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芝中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「芝中学校の理科」
攻略のための学習方法

芝中理科の満点は75点、合格者平均点は例年6割~7割程度である。塾などのテキストで学習してきたことを使えば解くことができる標準レベルの問題が中心であるが、ややレベルの高い問題も含まれている。各単元の基本知識を早い段階で固めた上で、物理・化学の計算問題を中心に、レベルの高いものまでしっかり練習しておくべきであろう

芝中学合格へ向けての理科の学習法としては、まず各分野の基本事項を早い段階でしっかり固めることが第一である。分野、単元にこだわることなく、テキストに書かれてある基礎知識をしっかり身につけて頂きたい。覚えたかどうかのチェックもしっかりと行って欲しい。塾のテキストやご家庭でこれまでに解いたことのある問題集でもよいので取り組んで欲しい。その際、過去問に出ている単元だけに的を絞って覚えることは危険であり、どの単元が出題されても大丈夫なように、まんべんなく学習して欲しい

実験や観察の進め方、実験器具の使い方なども過去に何度か出題されており、覚えておくべき重要なポイントとなる。化学分野の実験、光合成など植物に関する実験、上皿天秤・顕微鏡等の使い方なども理解し、覚えて頂きたい。

どの分野の出題についても言えることとして、実験や観察の結果(表・グラフなど)をもとに考察させる問題の比率が高い。同様のタイプの問題演習をしっかり行いたい

計算問題については、化学分野では中和反応・気体の発生・金属の燃焼など、特に比を用いて解く問題、物理分野ではてこ・滑車・浮力など力のつりあいに関する計算問題は演習を積み重ねることにより早めに定着させておきたい。また、化学分野では今回酸素の発生で出題されたような「反応の様子をグラフで表すとどうなるか」もしっかり押さえておきたい。

その他の単元では、出題頻度の高い「電気」「天体」については問題演習に時間をかけて頂きたい

9月以降は総合的な問題の演習を通じて、実戦力を上げていく時期になる。(そのためにも夏休みまでの基本の定着が必要)芝中過去問の演習はもちろんのこと、他校の過去問であっても同じような傾向の問題には取り組んで欲しい。取り組むべき問題の選択に関しては、家庭教師も有効に利用して欲しい。

過去問・模試・その他の問題演習で大切なことは間違えた問題に対しての取り組みである。

間違えた問題のやり直しはもちろんのこと、なぜ間違えたのかを分析し、その後の学習にしっかりつなげて欲しい。苦手分野の分析やその対策については家庭教師を有効的に使って欲しい。

最後に時間の使い方だが、各大問における実験・観察の説明が長く、40分で5つの大問を解き切ることは決して楽ではない。しかし慌てることなく、「問題文をしっかり読み理解する」という時間はしっかり確保したい。わからない問題はいったん後回し、できる問題は確実に、計算問題は冷静で丁寧にという気持ちで。空欄が一つ二つあっても慌てることは禁物である。

日頃の問題演習、模試、過去問においても、落ち着いて取り組んで頂きたい。

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2023年度「芝中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は5、小問数は30程度、試験時間は40分で例年通りであった。記号選択問題が中心で、適語を答える問題、簡単な記述問題、計算問題、図を描く問題も見られた。問題数が多く、長めの文章や図、データを読み取って答える問題が中心である。できる問題から解答欄を埋めていくという意識が必要である。過去問などを使って時間を意識した問題演習もしっかり行って欲しい。

【大問1】総合問題

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分

大問1は例年通り、芝太郎君が登場する総合問題。長めの問題文を読んだ上で答えるタイプの問題。

(1)エタノールの重さは70×0.79 より、55.3g。水の重さは30.0g。できた水溶液の重さは55.3+30.0より85.3g。85.3÷0.87 より四捨五入して、98㎤。

(2)木の灰を加えた水とセッケン水がアルカリ性。

(3)豆電球が光るように、図に配線を書き入れる問題。

(4)豆電球を解体した時の写真の黒い破片は電気を通さない。

(5)短時間に激しい雨を降らせる雲は積乱雲。しとしとと長い時間雨を降らせる雲は乱層雲。

(6)直径5㎜未満があられ、5㎜以上がひょう。

(7)マツ・スギなどの裸子植物は、「はいしゅ」が「しぼう」に包まれていない。

 

大問1は例年通りの各分野からの小問を集めた総合問題。やや細かい知識問題や計算を必要とする問題も含まれる。

【大問2】地学 地層と化石

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

(1)A地点では高さ130m、B地点では高さ130mで、C地点では高さ80mで火山灰の

層が見られる。これより、この地域では南北に地層の傾きが見られる。AC間とBD間の距離はほぼ同じなので、D地点でも80mの高さで火山灰の層が見られる。D地点は標高120mなので、40m掘ればよい。

(2)(3)シジミは「河口や汽水湖」を示す「示相」化石。

(4)図3は新生代の示準化石であるビカリア。選択肢の中で新生代の化石はデスモスチルス。デスモスチルスを知らなくても、消去法で消していくとこれが残る。

(5)川が曲がっている場所では、流れの速い外側が深くなり、内側よりも粒の大きな小石が積もる。

(6)1㎡=10000㎠、50kg=50000gなので、50000÷10000 より、秒速5cmとなる。

(7)粒が大きく重いものほど下に沈む。

 

地層と化石を中心とした出題。やや悩む選択肢問題もあるが、基本的な知識問題については確実に正答したい。(1)の地層の傾きについては、火山灰の層に着目して考えること。同タイプの問題は中学入試で頻出であり、できなかった方は問題集等で練習すること。

【大問3】物理 凸レンズによる像

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分

(1)光軸と平行に進んだ光は、レンズで屈折して反対側の焦点を通って進む。また、手前側の焦点を通った光は、レンズで屈折後光軸と平行に進む。

(2)レンズを通る光の量が減るので像は暗くなるが、像の形は変わらない。

(3)ロウソクからレンズまでの距離:レンズからスクリーンまでの距離=2:3なので、ロウソクを上に1cmずらすと像は下に1.5cmずれる。

(4)ロウソクも手も上下左右逆転して見える。

(5)「レンズからスクリーンまでの距離÷ロウソクからレンズまでの距離」 の数値が大きいものほど大きな像ができる。

(6)生物の目と凸レンズとの関係についての問題。見る物の位置に対応させるために、イカは水晶体の位置を移動させて、人間は水晶体の厚さを変えて網膜上に像を作っている。レンズの厚さは厚いほど焦点距離は短くなる。

 

凸レンズによる像についての出題。凸レンズによる像は多くの受験生が苦手にしている単元の一つ。ただし、今回の出題ではリード文の中の説明などが問題を考えやすくするヒントになっている。

【大問4】生物 生物間のつながり

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分

(1) 肝臓で作られるたん液には脂肪を別なもの変える働きはないが、脂肪を細かくする働きがある。

(2) 漢字二字指定の適語補充問題。胃液には「塩酸」が含まれている。

(3) 一般的に昆虫の羽は4枚だが、ハエ・アブ・カの羽は2枚、ノミやアリなど羽のない昆虫もいる。

(4) アブラムシは昆虫でセミなどと同様に不完全変態。ダニはクモと同じ仲間。

(5)(A) えさであるカマドウマの数で減ると、えさとして食べる水生昆虫の数はその分増える。えさとして食べるカマドウマ以外の陸生昆虫の数は変わらない。

    (B) 陸生昆虫が落下しなくなると、サケ科の魚は水生昆虫だけ食べるが、えさの数が不足すると考えられる。カマドウマに寄生していたハリガネムシの数も減る。水生昆虫のえさであった落ち葉だけが増えることになる。

 

生物間のつながりを中心とした内容の出題。前半には消化液についての設問も含まれている。生物分野の知識が正確に身についているかが試される。(5)はハリガネムシの寄生を題材とした寄生や食物連鎖など生物間のつながりについての考察問題。長めの問題文の読み取りが大切になる。

【大問5】化学 酸素の発生

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

(1)  ひらがな5字指定の空欄補充問題。二酸化マンガン自体は変化しない。このような働きを「しょくばい」という。

(2)酸素の中で線香はよく燃えるが、ポンと音は立てない。

(3)過酸化水素水の量は等しく、酸性・アルカリ性・中性の3つを比較すればよい。

(4)実験結果を考察して記述する問題。80℃の高温と0℃の低温ではカタラーゼが働いていないことを中心に記述すること。

(5)(a)グラフを作成する問題。同じ濃さの過酸化水素水の体積が2倍になると、発生する酸素の体積も2倍になる。また、しょくばいであるレバー液の体積を2倍にすると、同じ量の酸素を発生させるのにかかる時間が半分になる。

    (b)Aと比べてレバー液の体積も過酸化水素水の体積も3倍になっている。従って、発生する酸素は3倍になるが、グラフが平らになるまでの時間はAと変わらない。

 

酸素の発生に関する出題。知識問題と実験結果の考察問題が中心。記述問題も含まれているが、内容的には難しくない。テキスト等で書かれてある酸素の発生における二酸化マンガン(しょくばい)の働きが理解できていれば、十分正答できる問題が並んでいる。

攻略のポイント

例年通り各分野からからの出題であった。全体的に標準レベルの問題が多い。大問1の総合問題は例年通り、大問2以降は実験や観察についての長めのリード文や図・グラフ等を読み取った上で答えるタイプの問題が中心になっている。

出題単元については、ここ数年の傾向で出題頻度が高い単元もあるが、過度の固定観念は危険であり、どの分野から出題されても大丈夫なように、しっかり準備をして頂きたい。

まずは各分野の基本をしっかりと固めた上で、計算問題、実験や観察の結果・データ・表・グラフなどについて考えるタイプの問題の演習に時間をかけて頂きたい

試験時間は40分と十分な時間があるとは言え、問題数が多い。過去問等試験時間を意識した問題演習も必須である

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