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早稲田大学高等学院中学部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」
攻略のための学習方法

[形式・分野]

大問数5~6・小問数50前後というのが、早大高等学院中のほぼ決まった問題構成となっている。

大問の内、3~4問は500~1000字ほどのリード文を読んでから答える設問で、残りは1問1答や長文記述などが割り当てられる。用語記入と記号選択では用語記入の方が多い傾向。年度によって異なるが、1行記述や50~100字ほどの記述問題が2~4問出されるのも通例である。

分野別では地理・歴史にウェイトが置かれ、政治経済分野はやや少なめの出題となっているが、他の分野に紛れて出題されたりするので、この分野も手を抜いてはいけない。

基本事項を問う問題も多いが、小学校の社会では覚えない事柄や、なかにはテキストや資料集などに載っていないデータを考えさせる、いわば「社会科的センス」を問われるような難しい問題も見られる。

問題数も多く、文章量もあるので、迷うことなくてきぱき答えていかないと時間が足りなくなる。内容も濃くスピードも必要なヘビーな試験となっており、高い実力が要求される

[地理分野]

国土と自然、各地域の農林水産などの産業、人口統計を用いた問題などが過去よく出題されている。また、地域の特色に焦点を当てた問題が多いのも特徴である。「○○が××である都道府県」を選ぶ問題や、例えば2018年度年では「おろし」や「だし」という局地風をもとにした問題が出されている。その県や地域について、断片的でなく総合的に正確にイメージできるくらい、よく理解していないといけないのである

各地の地形と気候、それに基づく産業の特色など、地図や白地図、統計資料などで体系的に整理して覚えるようにしたい。

[歴史分野]

各時代からまんべんなく出題され、大きな偏りは無い。人物・位置・できごとについてまずは基本事項を押さえる。そして年表などで、「誰が」「どこで」「何をして」「その結果どうなる」というようなつながりをまとめるようにすれば、より実践的な知識が手に入る。

史料をもとに考えるような設問も見られるので、資料集の図版などは見慣れておくようにする。

[政治分野]

他の分野と比べると出題量が少ないが、日本国憲法や三権の仕組みと働きなどの基本駅事項を中心として、国際連合や日本と関連の深い国々についても目を通しておかねばならない。

時事問題もニュースで話題になったことなど、注意して見ておく。

[記述問題]

記述問題は、用語や出来事を説明するものから、統計史料の数値を比べてその意味を問うもの、ある歴史の史料から当時の人々の考えを推測するものなど、いろいろなパターンで出題されている。地理分野の記号選択問題や時事問題にも言えることだが、本校の問題には、与えられたデータの意味を読み取ってそこから考えられる理由や結果を問う、といった少し難度の高いものが見られる。

また、知識があるのは当然として、その自分の持っている知識を利用して、普段はあまり見慣れない資料の意味を考えなければならないといった問題もある。まずは、各分野の基本的・重要な事項の問題を落とすわけにはいかないので、ミスしないようにしっかり定着させておく。その上で、それらの知識を活用して、ニュースや新聞で見たさまざまな出来事の背景や他への影響などを考えてみる。

「自分は中学生である」くらいの意識で社会的な出来事への関心を持っていないと、高得点は望めないテストであろう。ただし、極端な難問・奇問ではないので、あくまで正確なまとまった知識を身につけて少し深く考える習慣をつける、このような訓練を積み重ねて欲しいということである。

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2023年度「早稲田大学高等学院中学部の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

総解答数47問と多めであった。適語記入の問題が多く、1~2行程度の記述5問。長文の記述問題は無かったが、書く分量が多いので時間的に大きな余裕はない。

選択問題・適語記入は出来るところを速やかに終え、時間がかかりそうな問題は残った時間であきらめずに取り組もう。

【大問1・2】地理分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:問1・2合計で14分
  • ★必答問題

【大問1】地理分野

各省庁の白書を題材とした問題。

問1 産業・経済や貿易などは経済産業省の管轄である。

問2 コロナ禍が始まった2020年に大きく減少しているので、は訪日外国人旅行者の推移。は世帯ごとのパーセンテージと考えられるので、スマートフォンなどの保有率の推移。

問3 は共働き世帯数の推移なので、数百万世帯といった単位であると考えられる。

 

【大問2】地理分野

2022年度の気象と電力供給という話題で、各地の産業や特徴などについて訊かれている。

問1 電気供給のひっ迫が予想される地域などに、時間などを決めて故意に電気の供給を制限する「計画停電」。

問2 (1) 色丹島

     (2) 北海道東部には根釧台地や十勝平野など、酪農の盛んな地域が多い。

     (3) は特に冬に訪れる人が多い。これはオホーツク海に面した付近に漂着する流氷を目当てにした観光客が多いからだと思われる。

問3 武雄温泉駅から長崎駅まで開通し嬉野温泉駅を通るので、佐賀駅は当てはまらない。

問4 人口の多い順に新潟市・金沢市・富山市・福井市となる。

問5 イは宿泊などサービス業が多いことから、観光が盛んな沖縄県。は農業・林業が少ないことから平野が広く大都市のある福岡県。は農業・林業の割合が高いので青森県。残るが新潟県となる。

問6 かつては加賀百万石とも呼ばれた加賀国。

問7 (1) 会津  (2)猪苗代 (3) 安積

問8 (1) 液化天然ガスの輸入先は、オーストラリア・マレーシア・カタールが上位3か国である。

     (2)・(3) 愛媛県の別子にはかつて銅山があった。

問9 ヒートアイランド現象が起こると蓄えられた熱が放出され夜間でも気温が下がらなくなってしまう。

 

【大問3・4】歴史分野

  • 難度:標準
  • 時間配分:問3・4合計で18分
  • ★必答問題

【大問3】歴史分野

占いや呪いなどの呪術信仰を話題に、各時代の出来事などについて訊かれている。

問1 イ. 「漢倭奴国王」の金印について書かれているのは『後漢書』東夷伝である。

問2 ア. 九州地方ではなく、近畿地方から広まった。

     イ. 大王ではなく、大王に仕えていた人の墓だと考えられている。

     ウ. 土偶ではなく、埴輪である。

問3 陰陽師は、陰陽道を用いて占ったり国策を決めたりした官職の一つである。 

問4 菅原道真の死後、謀判をたくらんだとされる藤原時平らが相次いで病死したり、清涼殿への雷が落ちたりなどしたため、道真の怨霊の仕業と考えた朝廷は北野天満宮を建てるなどした。

問5 僧兵

問6 室町幕府で将軍を補佐する役職は管領である。

問7 ほら

問8 江戸時代後半には道が整備されたことなどもあり人々の往来が活発になる中、善光寺や伊勢神宮にお参りすることが流行し、いわば観光旅行の目的ともなっていた。

 

【大問4】歴史分野

日本とロシア(ソ連)との関係を話題として、各時代の出来事や人物について訊かれている。

問1 (あ) ラクスマン  (い) レザノフ  (う) 間宮林蔵  (え) イギリス

(お) セオドア=ルーズベルト  (か) シベリア  (き) 日ソ共同宣言  (く) 国際連合

問2 ウクライナ(カ)は北側で敵対的なベラルーシ(オ)とロシア(右上)に、南側で黒海に接している。

問3 . 松平定信の寛政の改革の内容として正しい。

問4 日米和親条約で伊豆と下田を、日米修好通商条約で神奈川・長崎・新潟・兵庫を開港し、のちに下田は閉港した。

問5 1875年に樺太・千島交換条約が結ばれた。

問6 真珠湾攻撃(1941年)→サイパン島占領(1944年)→沖縄の地上戦(1945年3~6月)→広島への原爆投下(1945年8月)

【大問5・6】政治経済・現代社会分野

  • 難度:やや難
  • 時間配分:問5・6合計で8分

【大問5】政治経済分野

2022年の出来事を話題に、主に政治のしくみについて訊かれている。

問1 (a) 248  (b) 30

問2 公職選挙(法)

問3 特定枠制度では、特定枠に置かれた候補者は個人名での得票数に関係なく優先的に当選となる。

問4 一定金額の供託金を預けることによって、遊び半分や売名目的など不適切な立候補を防ごうとしている。

問5 . 普通選挙の反意語は制限選挙である。

     ウ. 普通選挙法の成立は1925年で大正時代である。

     エ. 初めて適用されたのは2016年の参議院議員選挙である。

 

【大問6】現代社会分野

ゲーム理論についての問題。

問1 黙秘した場合は最高15年の可能性があるが、自白した場合は1年か8年なので、可能性を考えると自白した方がよい。

問2 どちらを選んでもなにがしかの不利益があるような状況をジレンマという。

攻略のポイント

地図を使った問題がよく出されている。統計や表を読み取って考える問題も多い。類似問題を多くこなしてよく練習しておこう。

問題数の多さや知識だけでは答えられない記述問題など、時間がかかる部分も多いのでスピードが必要とされる。基本事項のマスターは当然として、記述問題への対応なども高いレベルで求められる。出来事の原因を考え結果を推測する思考力を養おう。

社会科のすべての範囲で高い実力が求められる試験なので、十分な準備をして臨むべきである。

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