城北中学校 入試対策
2023年度「城北中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向と特色
例年は文学的文章・説明的文章の読解に語句や漢字というオーソドックスな構成であったが、2017年度から大きく傾向が変わった。
小説の読解1題(ことばの知識を含む)に漢字の書き取りだけと、かなりの変わりようである。説明的文章は出されていない。
素材文の文量は10000字ほどにもなり、2023年度では記号選択が9問・書き抜きが1問・40~85字の記述が5問と、記述重視の傾向が続いている。
来年度も記述中心の構成なのか、文学的文章だけなのか、あるいは以前の傾向に戻るのか、さまざまに考えられる。学校説明会などには積極的に参加して、情報収集を怠りなく行いたい。
傾向は変わったが、全体の難易度は変えていないと思われる。傾向が変わって5年目になり、過去問での練習もしやすくなったので、経験を積んでおきたい。
長文読解
素材文は文学的文章・説明的文章のどちらが使われるか、あるいは両方出されるのか、いろいろな可能性を考えてどちらにも対応できるようにしておかなければならない。
まずはそれぞれの読解の基本的な技術を磨こう。文学的文章であれば登場人物の整理・時間や場所や人物の入退場による場面分け、人物の心情や描かれているテーマの把握など。説明的文章であれば、形式段落と意味段落の整理、段落ごとの要点と細部、要旨と全体の要約など。
出題傾向は変わったが、素材文自体の難易度などは過去問と変わらないと思われるので、過去問で経験を積むことはもちろん有効である。
記述対策
文学的文章では、人物の心情や行動の理由などを聞かれる場合が多い。類似問題をこなすのはもちろんだが普段の読書においても常に意識して、いまこの人物はどういう気持ちなのか・なぜこんな表情になりこんな行動をとったのかなど、考えながら読むようにしたい。
説明的文章であれば、要点・要約が答えあるいは手がかりになる場合が多いので、読んだ部分を短くまとめるような練習が役に立つだろう。
そしてそれらを50~100字程度で文章に破綻がないようまとめる練習を積もう。だいたい一つの事柄・内容は20~25字くらいでまとめられることが多いので、70字であれば2~3の内容を使って解答を組み上げれば良いということになる。
城北中の過去問で練習に加えて、記述問題中心の普連土学園中や、難易度は高くなるが海城中や豊島岡女子学園中などは、文章量の多さなどの面でも練習台になるだろう。
傾向の近い他校の過去問などもうまく利用して、記述問題に慣れておかれたい。
漢字・言語事項
言葉の知識も出されている。漢字と合わせて、標準レベルの教材でよいので、丁寧に学習しておこう。
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2023年度「城北中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説で文量は10000字弱。解答数は読解問題が15問、そのうち記号選択が9問・書き抜きが1問・40~80字の記述問題が5問となっており、これに漢字10問が加わる。素材文は15~17分程度で読み終え、記述問題に時間を残したい。
【大問1】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:46分
- ★必答問題
水害とコロナ禍の辛い暮らしの中で、本当の気持ちを押し殺すように生きてきた主人公たち。自分の描く絵にもその嘘を感じ取った主人公は、黒く塗りつぶした絵を自分たちの現実と重ね合わせ、その下に隠れている生きいきした姿を削り出そうと熱意を取り戻す。
問1 (A) 汚れたり折れたりしたクレヨンが、方向もばらばらに乱雑に入れられている様子。
(B) 主人公が突然、一心不乱に絵を描き始めたので、理由がわからず不思議に思っている。
(C) 僭越(ながら)――自分の身分や立場を超えた出過ぎた行い(ではあるが)。
問2 自分の家は洪水被害で住むこともできない状態だが、学校付近は被害にあわず以前と変わらない日常が続いている。その違いに被害を受けた者と受けなかった者の格差を感じてしまったのである。
問3 家に帰れば泥で汚れた家の片付けに身を粉にする日々であるところに、絵を描く道具まで汚れていることに苦しい現実が重なって見えて、うんざりしてしまったのだと考えられる。
問4 ボランティアの厚意に応えようと描く気もあまりないまま描いた嘘くさいタンポポが、意図せず疲れた母親を癒してしまい申し訳ないような、罪悪感のような気持ちを抱いてしまった。これをきっかけに主人公はきれいで明るい色彩ばかりを使った嘘くさい絵を描くようになってしまう。
問5 絵に描かれているのは「あざやかで躍動感あふれる選手たち」だが、実際のところ彼らは「大会がなくなって、ふてくされて練習に身が入らなくなっている」。自分自身も同様に絵を描く情熱を持てずにいる。絵そのものとそれを描いた自分の気持ちと、両方ともが「嘘っぽく」思えているのである。
問6 鈴音は真っ黒に塗りつぶされた主人公の絵を見て、自分がうっかり汚してしまったせいで絵が台無しになり没にしてしまったのだと勘違いをして、罪悪感で大泣きしている。
問7 感情を隠さず大声で泣き叫ぶ鈴音の嘘のない姿をきっかけに、主人公は真っ黒いキャンバスに「塗りつぶされて~かすかな抵抗をする」自分たちの現状を見て取り、黒く塗りつぶされた表面とその下にある鮮やかな色合いを削り出し、「生きている感じ」を描きだしたいと、どう猛にキャンバスに向かっている。
問8 罪悪感で大泣きしていた鈴音が泣き止んでじっと絵を見つめた挙句、口にしたのは「鼻水」のことだった……その落差に「拍子抜け」してしまったのであろう。
問9 「嫌がらせで描いたように見える?」という主人公のまじめな質問に「口をつぐんで」〔X〕、「そうは見えない」という意味で「首を横にふった」〔Y〕。
問10 「黒い表面」を「スクラッチで削って鮮やかな色彩を浮かび上がらせる」ことが、それぞれ比喩しているものを考える。コロナ禍で普段通りの活動を行えない鬱屈した気持ちが「真っ黒な絵」だとすれば、その下に隠れているものは「生きいきと部活動や学校生活に勤しむ学生たちの日常」であろう。コロナ禍での鬱屈からは完全には抜け出せていないが、そんな中でも生きいきした気持ちへと変わりつつあることを、スクラッチに重ねて表現したのだと考えられる。
問11 (1) きれいで明るい色彩
(2) 鈴音の気持ちを爆発させたような行動を「美しい」と感じた主人公は、辛い現実の陰に潜んでいた、ごまかさずありのままに生きることの美しさを描き始めたのである。
【大問2】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:4分
1. 優勝 2. 工程 3. 署名 4. 包容(力) 5. 灯火(管制)――敵の空襲などに備えて遮光・消灯などをすること。 6. 宗派 7. 早晩 8. 千秋楽 9. 呼(び捨て) 10. 枝葉
攻略のポイント
新たに記述対策が必要になった点は負担に感じるかも知れない。だが、同じく記述問題が多く出される、いわゆる最難関校ほど難しくはない。傾向が変わって6年目だが、合格者平均点に大きな変動はなく、難易度自体は以前と変わらないものと思われる。
来年度も同じ傾向が続くものと仮定して、同程度の字数の記述問題を多くこなしておこう。過去問が不足するが、同じように記述問題の多い普連土学園中など、他校の過去問も利用して経験を積んでおきたい。
たとえ設問の形がどうであれ、読解力を磨くことが第一であることは言うまでもないだろう。
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