広尾学園中学校 入試対策
2023年度「広尾学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
広尾学園中第2回入試の理科の満点は50点、記号選択問題と計算問題が中心で、簡単な記述問題も含まれている。リード文や図・グラフ等を読み取った上で答える問題が多く、問題文の読み取り・理解力が大きなポイントとなる問題も含まれる。
攻略のための学習法としては、早い段階で基本知識を確実に固めること。夏休み終了までの時期を目途に知識をしっかり固めて欲しい。秋以降は、本校入試問題と同タイプの問題演習にも時間をかけたい。
各分野の学習法は次の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度はイネの成長に関しての出題であった。かなり長めの問題文を読んだ上で答える問題で、判断に迷う選択肢問題も見られた。昨年度は人のからだの働きに関しての出題であった。この分野の学習法としては、植物・動物・人のからだの働き・食物連鎖に関してテキストに書かれてある知識事項は確実に定着させること。その上で、光合成・蒸散作用・だ液の働き等についての実験・観察問題、および長めの問題文や表・グラフを読み取って考えるタイプの問題演習に時間をかけて欲しい。
地学分野 本年度は月と金星の満ち欠けに関する出題で、今回の4つの大問の中では最も得点を取りやすい問題であった。昨年度は火山に関して出題されている。この分野の学習方法としてまずは、最も出題される可能性の高い天体について知識を確実に固めて欲しい。太陽の動き・星の日周運動と年周運動・月の動きと満ち欠け・惑星について、以上のテーマについて「なぜそのように動いて見えるのか?」の理屈を理解した上で覚えること。天体以外では、地層と岩石、地震、火山、気象(風の吹き方・台風について・湿度の計算等)に関しても知識をしっかり固めて欲しい。
物理分野 本年は鏡と凸レンズによる像について出題された。像の作図方法についての説明文章があるので、それに基づいて考えれば解答可能な問題であった。昨年度は電気について出題されている。この分野の学習では、光の性質・電気・そして今回は出題されなかったが今後出題される可能性の高い力のつり合い(てこ・滑車・ばね・振り子・浮力)を中心に基本的な解法を理解すること。多少レベルの高い問題も含めて演習を十分に行って欲しい。
化学分野 今年度はメタンと化学変化について出題された。メタンハイドレートに関する問題文中の説明を理解することに大きな意味のある出題であった。昨年度は燃焼について出題されている。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など化学に関する基本知識を早い段階で固めること。秋以降は計算問題を中心に問題演習の時間を十分に確保して欲しい。この分野においても、多少難しい問題にも手を伸ばして学習して欲しい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2023年度「広尾学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は23で50点満点、試験時間は30分であった。記号選択問題と計算問題が中心で、簡単な記述問題や図を描く問題も見られた。
長めのリード文や図・グラフなどを読み取って解く問題が中心であり、計算問題も複数題あるので、30分という時間はかなり短く感じられるであろう。早い時期に知識を固め、秋以降は時間を意識した上での問題演習をしっかり行いたい。
【大問1】物理 光の性質 鏡・凸レンズによる像
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問1 図1において頭から出た光は点Hで、足先から出た光はGで反射しているので、HGの長さの鏡があればよいことになる。HGの長さは身長の半分の80cm、鏡の下端は足先から目の高さまでの半分の74cm。
問2 凸レンズに像についての選択問題。焦点の外側に物体を置くと、実像ができる。
問3 作図問題。3つの光線はすべてRSの中点に集まる。
問4 レンズの上端とS、レンズの下端とSを線で結ぶと、白板の⑪から⑬の間に光が届くことがわかる。
問5 像は上下左右が反対になる。
問6 像の大きさを大きくする方法についての選択問題。焦点距離の短いレンズに変えるか、光源をレンズに近づければよい。
光の性質と鏡や凸レンズによる像に関する出題。凸レンズによる像の作図は苦手にしている受験生が多いと思われるが、作図の方法についての解説が書かれてある。とは言っても、作図の練習をしっかり行ったかどうかで明暗が分かれそうな出題と言える。
【大問2】化学 メタンと化学変化
- 難度:標準
- 時間配分:8分
問1 実験結果の表1より、メタンの体積と酸素の体積が1:2のとき、過不足なくメタンが燃焼している。BとEは酸素があまるので、スチールウールを入れて燃焼させることができる。
問2 記述問題。二酸化炭素が石灰水に溶けた。
問3 グラフの読み取り問題。低温高圧つまりグラフの左下の領域では、メタンハイドレートが安定して生成される。
問4 (1)16gのメタンが燃焼すると、44gの二酸化炭素が発生する。17.6gの二酸化炭素が発生したので、16×17.6÷44 より、6.4g。
(2)6.4gのメタンが燃焼すると、6.4×36÷16 より、14.4gの水が発生する。50㎤のメタンハイドレートを燃焼させた時に残った水は54gなので、39.6gは氷がとけてできた水と考えられる。6.4:39.6=16:99 となる。
メタンと化学変化に関する出題。グラフの読み取りと計算問題が中心で、(4)の計算を行う上で葉、メタンハイドレートに関する問題文の説明を理解することが必須である。
【大問3】生物 イネの育ち方
- 難度:やや難
- 時間配分:7分
問1 記述問題。発芽の3条件の中の「酸素」が不足することを記述すること。
問2 光をしっかり受けて光合成を行えるように、まとめて植えるのは3~4本程度にしている。
問3 水量を変えることによって、イネの根元の温度を調整している。
問4 イネにはえいというつくりはあるが、花弁(花びら)はない。
問5 (1)品種Bの花粉を品種Bに受粉させたいのだから、品種Bのおしべを切り取ったり、4℃で栽培することは不適切。
(2)問題文の読み取りが難しい一題。問題文より、①うるち米はアミロースを多く含み、ヨウ素液で青く染まる。②もち米はアミロペクチンを多く含み、ヨウ素液で赤紫色に染まる。③もち米を作るには、うるち米は不要。以上のことより考察すると、Ⅰは青、品種Cと品種Eは赤紫に染まる。
イネの育ち方に関する出題。選択問題のうち、問2・問3は判断に迷いやすい。問5は問題文の理解・解釈が難しい。
【大問4】地学 月と金星の満ち欠け
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 問題文から観測地点と月の位置を図に示す問題。
問2 日の入りの頃、東の空に見えるのは満月。真夜中に西の空に沈むのは上弦の月。
問3 皆既月食は月が地球の影に入っている間続くので、皆既日食よりも継続時間が長い。
問4 夕方に見える金星を宵の明星といい、見える方角は西。また、夕方西の空に見える月は三日月。
問5 金星は地球の内側を公転するので、月と同じように満ち欠けをする。
月と金星の満ち欠けに関する出題。今回の大問4つの中で、最も得点しやすい内容である。ここでしっかり得点を伸ばしたい。
攻略のポイント
今年度の広尾学園中中第2回入試は昨年同様に4分野からの出題であった。リード文・図・表などを読み取った上で解答する問題が中心である。基本的な知識も当然必要になるが、問題を読み取る力が大きな比重を持つ出題が多くなっている。問題の読み取り時間を考えると、試験時間の30分はかなり短く感じられるであろう。
本校受験者は、まずは夏までを目標に各単元の基本知識や基本的な解法を身につけること。
秋以降は、問題集等を利用して、問題文を読み取った上で答える問題や、実験・観察の結果を基に考察するタイプの問題演習に時間を割いてほしい。問題の選択には家庭教師や塾の講師を積極的に利用すること。
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