サレジオ学院中学校 入試対策
2023年度「サレジオ学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
(1) 知識分野
本校の入試では、計算分野や思考力問題に比べ、知識問題では易しいものが少なくない。その為、あまり細かい知識の習得には時間をかけるよりは、とにかくまず基礎知識を完璧に仕上げたい。ただその際、単なる一問一答的な暗記だけで済ませずに、テキストの詳しい解説部分や資料集・参考書・インターネット等を活用し、周辺事項まで掘り下げた解説を読み込んでおきたい。そうすることで、より豊かなイメージを伴った知識力を構築したい。
(2) 思考力問題
これは知識問題とも物理・化学の計算問題とも異なる問題で、主に生物・地学分野から、一定の知識をより大きな文脈の中で活用したり、またはその場で隠れた法則を見つけて解いてゆく問題である。これらは頻出の典型問題ではなく、時折見かける大問だが、問題集やテストからこうしたものを丹念に拾って解いていってほしい。
サピックス生なら毎週のテキストに多様な問題が含まれているので、それを進めてゆけば良いし、早稲アカ生なら『マスターテキスト演習編』を全て仕上げたい。他に市販教材の『塾技100』(文英堂)などもお薦めしておく。その他の問題集を含め、大問単位のピンポイントで構わないので、とにかく初見の問題を探してゆこう。
そしてまずは時間を気にせず、初見での一発正解を目指し、条件を正確に読み取り、深く考えるトレーニングを積んでほしい。
(3)計算分野
本校の計算分野問題の特徴としては、塾で習う典型問題とは異なる見慣れない問題が多い点が挙げられる。ただそうは言っても、塾で習った標準的な内容が土台となる事には変わりなく、既知の内容を初見の問題に正確に運用できるかを問われている。これは少しハードルが高いが、推理力を高めるつもりで挑戦を楽しんでゆこう。
対策としては前項の思考力問題に続き、より多くの大問に触れることが鍵になる。その為には問題集も1冊に絞らず数冊を買い置いて、典型問題は当然しっかりと仕上げつつもそこに終始せず、パラパラと問題集をめくって未知の問題を探してほしい。間違えた問題は時間をかけて解説を読み、理解してゆこう。
(4) 過去問演習
個性的な出題の多い本校入試では、過去問もより多くの年度をこなしたい。そうする事で初見の雰囲気にも慣れ、その場で思考力を働かせる感覚を養ってゆける。一度解いた過去問から大問単位で二度目に取り組むのも本校では特に効果的である。
また、他の難関男子校の過去問も、大問単位で見慣れぬ問題を求めてチャレンジしてみるのも良い対策となる。
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2023年度「サレジオ学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間40分で大問4つと例年通りであるが小問数は多めである。各大問冒頭の文章には精読すべきものが多く、また考えさせる問題も多いので、時間的余裕はかなり少ない。本文を精読した上で、各小問は短時間で解き続ける必要があり、その点でハードルは高めである。また、塾のテストで一般的な「同一大問内では小問がほぼ易しい順に並んでいる」傾向は、本校入試には当てはまらない。⑴⑵がいきなり難しかったり、逆に⑸⑹が易しかったりするので、先入観を持たずに対応したい。
【大問1】物理(ふりこ)
- 難度:易〜難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
※落とせない問題は問1・4
誰もが塾で習ってきた「ふりこの問題」と異なり、インクを垂らしてグラフを描いてゆく非頻出の実験問題で、ややとっつきの悪いスタートである。一般的に理科・社会のテストでは、大問冒頭の長文は斜め読みの方が効率的なことが多いが、本文のような見慣れない実験説明は精読してほしい。
(1)はシンプルにグラフを読み取るだけなので、必ず正解したい。
(2)はグラフの数値そのままではなく、本文中の秒速で割らなければならず、慣れない内容のため「やや難」か。
(3)は概ね基礎知識の運用なのだが、ウなどは慣れない速さの要素が加わるので「やや難」だろうか。
(4)素直な問題なので、少々惑わされていても正解したい問題である。
(5)難しい。インクが減ることで軽くなるのは誰でも解るだろうが、重心の変化に気づいた受験生は少ないだろう。
【大問2】化学(液体の温度変化)
- 難度:易〜やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
※落とせない問題は問2・3・5
凍らせたスポーツドリンクの温度による変化を考える問題で、身近な化学として面白い出題である。
(1)は最初の小問だからと油断していると間違えてしまう。体積の変化だけでなく、食塩と砂糖の重さをちゃんと計算に入れなければならない。「やや難」である。
(2)は基礎知識なので、確実に正解したい。
(3)は長い文章の穴埋めになるが、大問冒頭の文章と合わせてちゃんと読んでいれば易しい。逆にこれを落とすのは、理科大問中の長文を読まないクセがついてしまっているかもしれない。
(4)はグラフを見れば易しいはずだ。「こんなの習ってない」などと諦めずに目を見開いて正解しよう。
(5)もごく基本的な内容で、確実に正解したい。
【大問3】生物(ヒトの誕生・遺伝)
- 難度:易〜難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
※落とせない問題は問2・3・4
前半は「ヒトの誕生」で、男子校ではやや珍しい出題。後半は「遺伝」で、多くの塾であまり時間をかけない非頻出分野である。その場でどこまで読み取り考えられるかを試される。
(1)の「胎ばん」は大人には基礎知識だが、6年男子は意外と弱いかも知れない。
(2)は哺乳類を探せば良いので易しいだろう」。
(3)も(4)も特に塾で習うわけではないが、考えれば易しいはずだ。
(5)も基礎知識だが、男子が正確に覚えてられているかどうか。
(6)は答えられなかった受験生も多いのではないか。塾のテキストでもちらっと出てくるだけだろうから不正解でも仕方ない。
(7)は記述で慣れていない内容である。本文をちゃんと読めば正解は導き出せるが、やや難か。
(8)は正しい標本調査を行う為の条件について、基本的な思考力を試す良問である。たとえ初見であってもしっかり考えて解いて欲しい。結果的には「やや難」か。
(9)は難しい。解答欄はなるべく埋めたいが、捨て問で良いだろう。
【大問4】地学(岩石・気象・流水の働き)
- 難度:易〜やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
※落とせない問題は問1・2・3①・4②
本年の地学分野は「天体」ではなく、福井県の東尋坊を舞台とした複合的な出題となった。
(1)は雲の名称としては最も有名な「積乱雲」なので易しい。
(2)の「ハザードマップ」も頻出の基礎知識である。
(3)の①の「火山岩」も基礎知識だが苦手な人が多いので基本的な分類と頻出の岩石だけでも復習しよう。②はややマニアックな知識と言える。
(4)の①はグラフを正しく読み取れば難しくはないのだが、初めて見る珍しいグラフの読み取りと意外な答えの為、落としても仕方ないか。②はグラフによらずとも正解できる位なので正解したい。
(5)は、グラフを踏まえた模範的な答案を書くのは難しいが、自分なりにでも考えて部分点を獲得したい。
攻略のポイント
75点満点で受験者平均が49.6点、合格者平均が54.9点と例年並みである。合格にはまず50点を超えることが必要になる。各大問に易しい基礎知識の問題が少なくないので、まずここを確実に正解した上で、難度の上がる思考力問題・計算問題をどこまで取れるかで合否が決まる。思考力問題では各事象の持つ意味を踏まえ、知識を活用して類推する力、また計算問題では実験内容を正しく理解し、初めての道筋でも思考に沿って進む力が試されている。ハイレベルだが条件は他の受験生も同じである。正誤ばかり気にせずに自分なりの思考を楽しんで、新しい仮説を立てる気分で解き勧めて欲しい。
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