國學院大學久我山高等学校 入試対策
2023年度「國學院大學久我山高等学校の国語」
攻略のための学習方法
1.読解力はすべての学力を高める不可欠な要素である
国語(特に現代文)の入試問題における「読解力」の重要性は、いまさら言うまでもないだろう。しかし、受験生の大半は「どのようにしたら合格力に直結する読解力が身につくのか」と素朴な疑問を抱いているだろう。数学などと違い国語は、学習した成果がなかなか感じられにくく、模擬試験などの得点アップに即効性をもって表れてくるわけでもない。したがって、具体的な国語攻略法も見つからないまま漫然と学校の授業を受け、塾のテキスト問題を演習し、何となく国語対策をしたつもりになっているのではないだろうか。国語力、究極的には、「読解力」がすべての教科の学力を支えている要素であることを忘れてはならない。勉強とは考えるプロセスであり、考えるためには素材を十分吟味しなければならない。この「吟味」の作業が「読解力」なのである。数学と国語の読解力の関連性があまりないのではないか、と思っている受験生も少なくないのではないだろうか。しかし、よく考えてみると数学は、「思考過程」を文字ではなく「数式」に置き換えただけであり、本質的な部分は問題の原理を正確に「読み解く力」が求められており、正解を導く上では不可欠な要素なのである。したがって、一見関係のないような国語と数学ではあるが、その根本的な部分で「読解力」というキーワードでつながっているのである。
2.読解力を高めるにはどのようなことに留意すればよいのか
結論から言えば「自分の頭で考え、答えを導き出す」ということに尽きる。「自分の頭で考える」ということは、いろいろな場面で受験生も耳にしていることだろう。その具体的な内容・作業とはどのようなものだろう。「疑ってかかる」ということである。これは、「人を信じるな」といいことを言っているのではない。つまり、本に書かれてあること、テレビで流れていること、新聞に書かれていること、著名人が話していること等々、自分の身の回りの事象が「本当にそうなのか?」と一歩引いた立場で考えてみるということである。一歩引くと視野が広がる。考えに余裕が生まれる。その結果、今まで見えなかった部分が見えるようになってくる。その見えてきた部分に対して、自分の考えや価値判断を当てはめるのである。そういう作業を日頃から継続してゆく中で、物事を捉える「自分の眼」が養われ、磨かれてゆくのである。そうすると、物事の本質を見抜く視点を持つことができるようになり、評論文のような難解で複雑な文章も「すんなり」自分の頭の中に入ってくるようになるのである。
受験生には、是非とも「自分の頭で考え」て「読解力」を今以上に高めてもらいたい。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2023年度「國學院大學久我山高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】小説に関する読解総合問題である<12分>。
記述問題(40 ~50字)が1題含まれている。
【大問2】論説文に関する読解総合問題である<17分>。
記述問題(40~50字)が1題含まれている。
【大問3】古文読解総合問題である<12分>。
現代語訳ができるように古語・古典文法の知識を確実にしておくこと。
【大問4】漢字問題である<9分>。
どれも標準的な問題である。確実に正解できるようにしておくこと。
【大問1】 小説に関する読解問題
- 時間配分:12分
出典:『友人未遂』(宮西真冬著)
(問一)心情把握選択問題である<2分>。
「視線を、…受け止めることができなかった」とは、美穂子の思いに応える自信がなかったのである。
(問二)内容把握問題である<1分>。
千尋は隆志がアメリカに留学することを聞いて、自分の「世界」が小さいことを感じたのである。本文には「(千尋は)村を出て、…外の世界を知って、…強くなっている」つもりだったのである。
(問三)内容把握選択問題である<2分>。
祖父の考えを正確に把握すること。祖父は「自分の負けを認めないと人は成長しない」と考えている。
(問四)心情把握選択問題である<2分>。
このときの千尋は「どうしたいのか分からない」状態であったのである。そんな自分を「躊躇なく脱ぎ捨て」とは、「自分の弱さに向き合おうとしている」のである。
(問五)内容把握記述問題である<5分>。
「寄宿舎に戻る日をもう少し延期」することによって、千尋は「これからの自分の進路(進むべき方向性)」をじっくり考えようとしているのである。
【大問2】 技術に関する自然科学的分野の論説文読解総合問題
- 時間配分:17分
出典:『培養肉についての考察』(藤原辰史著)
(問一)内容把握選択問題である<2分>。
「培養肉の開発が、水、土地、気候変動、それぞれの危機を軽減するために効果を発揮すること」は明らかなのである。
(問二)内容把握選択問題である<2分>。
チャーチルも90年前に「培養肉技術への期待」を明かしていたのであり、「培養肉が流通するようになるのは当然の流れ」ある。
(問三)内容把握記述問題である<5分>。
内澤のいう「豊かさ」とは、「動物の死と生と、自分の生存とが有機的に共存すること」と考えているのである。
(問四)内容把握選択問題である<4分>。
副題に「三匹の豚とわたし」とあるのは、「他の固有の命を奪うことが自覚される」ためである。
(問五)要旨把握選択問題である<4分>。
培養肉は人々にいろいろな利点を与えるが、すべてがよいことだけではないのである。
【大問3】 古文読解総合問題
- 時間配分:12分
出典:『枕草子』(清少納言著)
(問一)古典知識問題である<2分>。
「二月」は旧暦で「如月(きさらぎ)」である。旧暦での月の名称は覚えておこう。旧暦での春は1月から3月まである。
(問二)内容理解選択問題である<5分>。
「これが身にただいまならばや」とは「この人の身に今すぐになりたい」と思ったのである。つまり「羨ましい」と感じたのである。
(問三)内容把握選択問題である<2分>。
「やうやう暑くさえなりて、まことにわびしくて、など、かからでよき日もあらんを、何しに詣でつらむ」と思っているのであり、「後悔」の念がにじみ出ているのである。
(問四)内容理解問題である<3分>。
髪が長く整っている人のことを作者は「うらやましげなるもの」としているのである。
【大問4】 漢字問題
- 時間配分:9分
漢字問題の書き取り問題である。全部で10題。「啓発」「肝要」「卑屈」「佳境」「促進」「粉」「請」「停滞」「飽食」「陶酔」である。完答を目指そう。
攻略のポイント
論説文、小説、古文、漢字(知識問題)と出題としては、すべてのジャンルから偏りなく出題されている。出題された題材も標準的レベルであり、難解な文章ではない。ただし、記述問題対策はしっかり行っておくこと。指示された本文箇所の表現をどのように言い換えているのかを注意深く捉えていくことが重要である。また、漢字の書き取りの知識問題も比較的出題数が多いので、事前の準備をしっかり行い完答してほしい。全体的な出題レベルは、標準的であるのでしっかり本文を読み、前後関係を把握して解答するクセを付けよう。対策としては、上位高校の入試問題のうち論説・随筆・小説に関する問題演習を70題程度こなしておくこと。