大宮開成中学校 入試対策
2023年度「大宮開成中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問3つに、漢字や文法・論説文の読解・小説の読解が割り当てられる形が続いている。
素材文は計7000~9000字ほど。総解答数は40~50問程度。
設問は字数指定の穴埋め書き抜きと選択肢が多い。記述問題は例年では字数制限が無かったが、2019年度から字数指定ありとなった。「本文中のことばを用いて」「指定された言葉を必ず使って」「説明しなさい」という形で1~2問出題される。2~3行ほど、50~80字程度が想定されている。また、2019年度からグラフから読み取れることを説明する論述タイプの記述問題も出題されており、今後の傾向に注意が必要である。
漢字・文法など
漢字は書き取りと同音異字で10問、文法は5問で助詞・助動詞や係り受けなどが出されている。この部分で20点の配点があるので、疎かにはできない。漢字は初級~中級、文法は品詞を中心に言葉のきまりをひと通り頭に入れておく必要がある。また、慣用句も読解問題と合わせて訊かれている。手を抜かなければ得点できる部分なので、ここで点を稼ぎたい。
論説文の読解
ここ数年は社会科学分野からの出題が多い。科学的な話題なので理科を好きな人には読みやすいだろう。論説文の読解の技を磨いておこう。
まずは段落の整理。形式段落と意味段落をまとめて、各段落のつながりを見ておく。意味段落の内容を小見出しのように書いておくとわかりやすい。
字数指定の書き抜きが多い点からも、要点と細部の区別は重要である。求められる答えが要点の部分にあるのか細部の部分にあるのか、探す際の手掛かりになる。選択肢問題は本文との一致・不一致を見分けるものが多いので、要旨・要約で筆者の意見を正確に理解しておくことが役に立つ。
論説文の読解は答えを文中から探す問題が多いので、傍線などで重要点を目立つようにしておくと解答がスムーズである。
小説の読解
登場人物を中学生・高校生に設定した話が多く、舞台も馴染みのある場面が多いので理解しやすい。文量は6000字程度になる場合があるので読むスピードはつけておこう。
文学的文章の読解の基本を身につけよう。
登場人物の名前・人数・性格・他との関係などをチェックする。人数を訊かれるような問題もあるので、重複しないように初登場時にしるしをつけてしまうと良い。
次に場面分け。時間・場所・人物の入出などで場面の切り変わりを見る。誰の何を描こうとした場面なのかを考えておく。そして最重要の心情の把握。人物の言動・表情や情景などにも注意して気持ちを想像する。同じ気持ちでも性格が違えば行動は真逆であったりする。最後に全体を見渡して物語のテーマを読み取る。主人公の悩み・葛藤や心の成長が描かれる話が多いだろう。
人間の心理に詳しいほうが有利であるのは確かなので、様々な小説を読み、文学だけでなく映画などでも多くの人物の生き方・考え方に触れることで精神的に大人になっておくことが、国語の試験に大きく資するところがある点は指摘しておきたい。
書き抜き問題・記述問題
穴埋め書き抜きは字数が指定されるものが多い。ピンポイントで答えを探さなくてはいけないので、時間がかかる場合がある。問題の多くは、ある意味段落やある場面の内容からまとめたものなので、おなじ意味段落・場面から探せばよいということになる。探すのに手間取らないように過去問でよく慣れておこう。
2019年度から記述問題にも字数制限がつくようになった。また、例年と同じタイプの記述問題に加えて、論述タイプの記述問題も出題されている。今後は論述タイプも出題される可能性があるので、自分なりの考えを自分の言葉でまとめるといった練習をしておこう。文字数は40~50字程度で、従来と変わりはない。
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2023年度「大宮開成中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は計8700字ほどで総解答数は44問。書き抜き問題は字数が指定されるので、適切な語句を見つけるのに時間がかかる恐れがある。要点などを見つけやすくする工夫をして時間をロスしないようにしたい。選択肢問題を素早く解き、書き抜き・記述問題にあてる時間を確保しよう。
【大問1】言語事項・記述
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問一 ① 専門家 ② 移植 ③ 講義 ④ 感傷 ⑤ 証拠 ⑥ 察知 ⑦ 潔(く)
⑧ 巧(みに)
問二 ① 青菜に塩 ② 背水の陣
問三 ① たとえ――つらくても
② 突然――聞き
問四 「変化」について読み取れることを書けばよい。2011年から2015年にかけて減り(①)、2015年から2019年にかけて増え(②)ている。「減って、増えている」のように①と②を組み合わせたり、最終的には2011年よりも増えている(③)と結論付けたりしてもよい。間違ったことを書かなければよいのである。
【大問2】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
- ★必答問題
自然を守る主体は地域主権を中心に形成されなければならないとしたら、多くの点で自然に対立的な近代的価値基準に従って生きる我々はどうしたらよいのか、と疑問を投げかけている。
問一 A. 企業の出す公害(第5段落)
B. 都市
問二・問三 市民の所得を増やし暮らしを拡大させてきた経済成長が公害発生の基盤になっていた=市民の生活が公害を作り出す一因となっていたことに気づいた(第9段落)のである。
問四 ア. 自然保護(第4段落)
イ. 公害
ウ. 拡大(第9段落)
問五 ア. 伝統的(第17段落)
イ. 適した(第19段落)
ウ. 多様性(第15段落)
エ. 生命力(第16段落)
問六 エ. 同段落内に、「さまざまな自然が関係を結びながら、全体の自然が展開している」「さまざまな自然に適した自然と人間の関係を創造すること」が自然保護の出発点であると述べられている。
問七 昔から伝統的に継承されてきたものであろうから、選択肢アが合う。
問八 (ⅰ) ア. 二十世紀的な精神 イ. 普通の人間
(ⅱ) 近代的な価値基準ではなく、「地域的な考え方」「知恵や技」「歴史の継承」を重要視する人間・生き方ということであろう。
(ⅲ) ウ. 絶滅危惧種だけをねらって保護するといった意見は合わない。
【大問3】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:18分
さつきに負けたことで自信を失くし体型変化のせいもあってジャンプの調子を崩している理子と、理子にスキーを止めないで欲しいと願い励ますさつきは、互いに本心を語り合い気持ちを通わせる。
問一 ジャンプを始めたころの姿を見たいという理由が「かわいかっただろうから」だったことが予想外で、戸惑っている。その後すぐ笑っているので「混乱」「焦った」「困り果てた」などは強すぎる。
問二 さつきに負けたことが辛かったと認めながら、さつきの自然で自由なジャンプを好きだとも言っている。
問三 ア. 体型変化で不調 イ. 理子に勝った ウ. 理子のすごさ エ. 迷っている途中
オ. 強くなれる
問四 伝えたいことが多すぎてうまく言葉にしきれない分、手に力を込めることで自分の本気を理子に感じてもらいたいと思っている。
問五 じっくり話すために二人はバスに乗らず長い道のりを徒歩で帰っている。帰り道の半分ほどのところで日が暮れるまで、二人は夢中で話し合っていたのだという描写になっている。
問六 A. スキージャンプの選手としてともに練習に励んできた二人(この時点では特に理子)にとっての究極の質問「ジャンプを好きか」を問うたのである。
B. 現在の苦しい状況に負けずに好きなジャンプを再開して、たとえ以前のようなよい成績が出せなくてもその経験は無駄にはならないだろうという、さつきの現時点での前向きな気持ちである。斉藤さんのアドバイスに後押しされている。
問七 「やめない。斉藤選手を見返す」という気持ちが、「理子の手がさつきの手をぎゅっと握り返してきた」という行動で表現されている。
問八 「……(三点リーダー)」は文章を省略したり間が開いたことを示したりする記号で、文中では会話の途中で考えている時間を表している。
攻略のポイント
漢字・文法・慣用句などの言語事項もしっかり出される。地味と言えば地味な分野だが、国語力の基礎になる部分でもあるので、地道に覚えていこう。
字数指定の穴埋め書き抜き問題は本校の特色ともいえるので、できるだけ多くの過去問をこなして十分に慣れておきたい。最新年度では記述問題にも字数制限がついている。論述タイプの記述問題も出された。今後の傾向に注意が必要である。
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