立教池袋中学校 入試対策
2023年度「立教池袋中学校の理科」
攻略のための学習方法
立教池袋の理科の出題では、いつもの勉強では、あまり触れることがないユニークな内容が出題されることが多い。本年度の「海水の密度」「ボールに働く力」「光の速さの測定」、2022年度の「給湯器のエネルギー効率」「馬の遺伝子」、2021年度の「2021年度の「3億5千万年前の一日の長さ」・「日本刀」・「泡が出る入浴剤」、2020年度の「開花日」に関するいくつかのグラフ・「呼び鈴」、2019年の「もやし」・「暑さ指数」・「実際のエレベータの仕組み」、2018年の「ポップコーン」・「水星の軌道」、2016年の「大地震の周期」・「石油」、2014年の「カレーライス」、2012年の「コケ」、2010年の「ヤマネ」や「LED電球」、2009年の「膨張宇宙」。このうち、「LED電球は塾でも教わったよ」という生徒がいるかもしれないが、それは立教などの学校で出題されたからテキストに取り入れられたのであって、来年にはまた新しい内容が出題されるかもしれない。
もともと小学生の理科の原点は、「身近なものへのなぜ?なに?」であったことを考えると立教池袋の理科の方に正当性があるのだが、中学受験の理科も整理され体系立てまとめられていくと無理・無駄が省かれ、入試に出されやすいものをわかりやすい形で受験生に提供することになる。
それはそれでよいことだし、ほとんどの学校ではその内容の中から出され合格点も取れる仕組みになっている。
立教池袋の場合そのあたり少し異質なところがあるので、過去問を対策する時期になったときには少し注意して問題にあたってみよう。
その点を除くと、大問の文章はていねいでわかりやすく、1つの大問に対して設問も少ないので集中が切れることなく、また苦手な単元が出ても痛手が少ない。どちらかというとやりやすい、解きやすい理科のテストと言えよう。
しかし受験は甘くないのは、だからこそ受験生の多くは取り組みやすく、比較的平均点が高くなっている。簡単でできた、と思うのは誰もが同じこと。問題は、合格点を上回る正答率が出せたかと言うことであり、主観に過ぎない感想ではない。
やりやすい問題であるけれど、70%前後の得点を要求されるとなるとやはり厳しいレベルであることは間違いない。
合格点を取るための秘訣は?
まずは教材などで学ぶ、受験理科の基本的知識は穴のない形で頭に入れてしまおう。男子にありがちだが、計算分野ばかり得意とせず、植物・動物などの暗記物に時間をかけてもらいたい。
聞かれている知識は基本的とはいってもやはり上位校なので細かいことがらまで出来るだけ頭につめ込んで欲しい。柔軟な頭のうちに暗記力を高めておくことは大切で、長い目で見ても役立つ能力となる。
難易度としてはそう高くないレベルの設問が多いものの、典型的質問にとらわれずいろいろな視点で聞かれるので、同校の過去問や併願校のそれを演習しながら、入試問題ならではの出題を楽しむつもりで取り組んでもらいたい。
分野の克服が終ったら次は時間配分に余裕が持てるよう、早く解けるように自らを改革しよう。普段行う教材も、制限時間を定めてそれ以内に解くという練習を積めば、解くのにかかる時間はだんだんと短くなるはずだ。自分のペースでやるのは模試でよい。普段は自覚的にスピードを上げて解き、しかも正解できるように体と頭を改造していくこと。スピードが上がればいわゆるマイペースでも十分に間に合うようになる。
30分という短い間にいろいろな問題に会えるのが立教池袋の理科である。過去問を解いているうちは、その設問のユニークさを感じながら、面白いなと思って問題にあたって欲しい。そのゆとりある気持ちの向こうに合格が待っているはずだ。
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2023年度「立教池袋中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は30分で大問は7題,小問数は30で50点満点。大問数は例年6題または7題で、1つの大問に対する設問数は例年3~5問である。大問は、1つのテーマにそってじっくり考えさせる傾向でありそれも変化はない。
出題内容は例年ユニークである。本年度も海水の密度、野球のボールに働く力、歯車を使った光の速さの測定、メダカの遺伝子などをテーマにした出題が見られた。これらの問題に対しては、問題文の読み取りをしっかり行うことが大きなポイントとなる。
30分という試験時間に対して問題数が多く、問題文の読み取りや計算にかなり時間がかかることから、できる問題から素早く解答欄を埋めていくという姿勢が求められる。
【大問1】メダカの育ち方
- 難度:易
- 時間配分:3分
- ★必答問題
(1)メダカが卵からふ化するまでの絵を順番に並べる問題。
(2)背びれの形を比べると、オス:切れ込みがある メス切れ込みがない
尻びれの形を比べると、オス:平行四辺形に近い メス:三角形に近い
(3)遺伝子についての考察問題。父・母ともにBbのとき、子どもはBB、Bb、bbになる割合が1:2:1となり、BB、Bbでは黒に、bbでは白になるので、黒と白の比は3:1になる。
メダカの育ち方に関する出題。(1)(2)はテキスト等に書かれてある中学入試頻出の知識問題。(3)はメダカの遺伝子についての問題文の読み取りがポイント。
【大問2】海水の密度
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
(1)海水が凍ってできた氷は海水に浮く。
(2)グラフより、水温が低いほど海水の密度が大きくなる。また、海水の水から凍り始めるので、海水の塩分濃度は増え、密度は大きくなる。
(3)海の表層付近が凍り始めると海水の密度は大きくなり、海の深い部分に沈んでいく。
(4)10000000÷4÷24÷365=285.3・・・ より、約300年。
海水の密度に関する出題。(3)までの選択問題はいずれも選択に迷う可能性がある。(4)の計算問題は単位の変換に注意すること。
【大問3】顕微鏡の使い方
- 難度:標準
- 時間配分:3分
(1)顕微鏡各部の名称についての選択問題。
(2)対物レンズは広い範囲が見えるように低倍率のものから使う。はじめに対物レンズを観察する物体に近づけ、徐々に離しながらピントを合わせる。
(3)ロバート・フックが製作した顕微鏡と、現在ある顕微鏡の対応に関する問題。
(4)オイルを燃やした光を集める働きがあると考えられる。
顕微鏡の使い方に関する出題。(2)までは顕微鏡についての知識問題。(3)以降は1600年代に自作された顕微鏡と現在ある顕微鏡の比較というユニークな内容。
【大問4】星の見え方
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1)シリウスはおおいぬ座の1等星である。
(2)明けの明星は東の空、宵の明星は西の空に見えるはずなので、金星を6時に西の方角に観測したという記録に誤りがある。
(3)天の赤道から最も離れているさそり座の方向に見えた火星が最も南中高度が低い。
星の見え方に関する出題。(1)(2)は正確な知識が求められる。(3)は図の読み取り問題だが、さそり座の南中高度が低いことを知っていれば解答可能。
【大問5】中和反応
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1)表の中の残った固体の重さに注目する、実験⑦までは0.1gずつ減少し、実験⑦以降は0.21gずつ減少している。これより、A=1.34-0.1=1.24g、B=0.63-0.21=0.42g。
(2)赤色リトマス紙も青色リトマス紙も変化しないのは中和した実験。(1)より、中和したのは実験⑦。
(3)「残った固体を水に溶かす」に要注意。⑤は中和する前で、食塩に加え水酸化ナトリウムの固体があまっているので、アルカリ性になる。よってBTB液は青色に変化。⑩は塩酸が余っているが固体は食塩だけなので、BTB液は緑色である。
中和に関する問題。(1)(2)は残った固体の変化に注目すること。(3)は水溶液の性質についての設問ではないことに注意が必要。
【大問6】ボールに働く力
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1) 図を見ると、ボールの上側では「ボールの回転で引きずられる空気の流れ」と「空気の流れ」が同じ方向だが、ボールの下側では逆向きになっている。
(2) (1)より、ボールの上側だけ空気の密度が小さくなるので、ボールには上向きの力(揚力)が働く。
(3) 飛行機やヘリコプターは揚力を使って飛行する。熱気球や飛行船は軽くなった気体が浮かぼうとする力(浮力)を利用している。
ボールに働く力についての出題。小学生にとっては難しい内容だが、問題文や図がヒントになる。
【大問7】光の速さの測定
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
(1)360×34 より、12240個。
(2)歯数360個の歯車が1秒間に68回転すると1秒間に点Aを通過する歯数は、360×68より、24480個。従って、歯1個分動くのにかかる時間は、1÷24480×10000000 より、四捨五入して40.8マイクロ秒。
(3)歯車と平面鏡の往復距離である12km進むのに(2)で求めた時間がかかるので、12×24480 より上から2けたの概数で表すと、秒速29万km。
(4)歯車が1.5個分動くと再び光がさえぎられて見えなくなる。
光の速さの測定に関する出題。フィゾーの実験は中学入試で度々取り上げられる内容。書かれてある実験の内容を理解できるかがポイントになる。(2)(3)は単位の変換や四捨五入もあり、落ち着いて計算して欲しい。
攻略のポイント
テスト時間は30分で50点満点。 受験者平均点は26.9点で、昨年度とほぼ同じであった。本校理科の特徴として、ユニークな内容をテーマとした出題が多いことがあげられる。問題文を読んで、書かれてある内容や出題の意図を理解することが大きなポイントとなる。とは言っても、解答に必要なことは学習してきた知識や解法である。基本知識・基本的な解法を学習することの大切さを忘れないでほしい。
試験時間の30分に対して問題量がかなり多い。また、すべての大問において問題文がかなり長いので、問題文の読み取りにかなりの時間を要する。過去問を中心とした問題演習に時間をかけることが対策として必須である。
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