武蔵中学校 入試対策
2024年度「武蔵中学校の理科」
攻略のための学習方法
男子御三家と呼ばれる中学の一つが、この武蔵中学だ。近年台頭する学校が増えたために以前ほどの合格難易度はないかもしれないが伝統的なアカデミックな校風は好感が持てるし、ユニークな出題として知られる入試問題は大人が解いても楽しいものになっている。もちろん、今でも十分に難関校であるが。
武蔵を受ける場合に限らず、男子進学校全般に言えることであるが、理数系の科目では難問への対応力が問われる。一問一答形式による知識の充実も必要であるが、やはり難しい問題へ立ち向かう学力、というよりパワーが欲しい。
そのためには、6年の前半まで、進学塾でいえば夏期講習くらいまでの時期は、思い切って難問に挑戦してほしい。武蔵の対策に欠くことができないのかどうかではなく、どんな問題が出てもまずは対応できるという土壌を養っておく必要があるからだ。
公開模試などで、武蔵中学の合格可能性ラインまでならば基本的な問題にくまなく答えていくだけでも到達できるだろう。基本的知識の暗記だけでもうれしくなるような合格可能性はもらえるかもしれないが、それでは6年後半の学校対策に入ったときに必ず壁にぶち当たる。
あまり要領は良くないかもしれないが、塾や家庭教師の先生と一緒に難問にトライしてもらいたい。正解できればそれに越したことはないが、できなくてもそういう挑戦したという体験が後になって生きてくる。
まずは挑戦体験と知識の十分な蓄え、これに時間を費やそう。
6年秋以降は本格的な学校対策となる。
はじめて過去問に触れた時には通常解いている問題との違いに驚くかもしれない。「こんなこと習ってない」とか「問題文が長くて読むのがつらい」とか「記述の問題がある…」などだ。しかし普段の学習と入試問題との開きというのはつねに存在する。スポーツでいえば練習と試合の違いだ。練習だけでは力が分からないやみくもに試合ばかりしても力はつかないし伸びない。
ここで夏までの難問挑戦を生かそう。
過去問に付き合っているうちにこの学校の求めているもの、その水準がおのずと見えてくるはずだ。ここまで考えればよいのか、ここまで書けばよいのか、といった具合に。
ここから先はむやみに難問挑戦はせず、武蔵中学の問題で合格点を取る勉強にシフトしていこう。誰も解けそうもない問題には触れることはないのだ。ただ、そこまで難解な設問はほとんどないと思うが。
そして武蔵を志望するならば、この学校の問題傾向を好きになり、問いていて楽しいと思えるレベルまで自分を変えていこう。そうすれば、武蔵合格はおのずからついてくるはずである。
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2024年度「武蔵中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間40分で大問は3,小問数は15、小問数は多くないが、記述問題が多く、記述にある程度の時間を要することが本校の理科の特徴である。
大問1と大問2の中には知識問題も見られるので、ここは確実に正答すること。また、問題文の読み取りが大きな意味を持つ設問もあるので、慌てずに落ち着いて問題と向き合うこと。大問3の記述問題はしっかり解答欄を埋めることが大切だが、ただむやみに長い文章を書くのではなく、科学的根拠が明確な文章を記述することが大切である。
【大問1】火山の噴火
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
問1 火山噴出物の特徴についての選択問題。2㎜以下の角ばったものが多い。
問2 西之島の噴火について、地形の記録から言えることを選択する問題。図の観察力がポイント。
問3(1)図より、DCBAの順に多く積もっている。
(2)火口に近いところほど多く積もる、偏西風に火山灰が乗るので、富士山の東にしか積もっていない。
問4(1)記述問題。軽石の穴は、マグマが冷えて、含まれていた水蒸気などが抜けることによってできた。
(2)記述問題。同じ体積当たりの重さが、軽石は水より軽く、溶岩は水よりも重い。
(3)記述問題。記述のポイントは、①海流の影響で軽石が流された ②流されている間に小さくなった
③すき間に水が入ると重くなって沈む。
火山の噴火についての出題。火山灰の特徴や偏西風の影響など基本的な知識は必須。問4の記述にはしっかりとした考察力も必要。
【大問2】「とける」という現象について
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 記述問題。固体が見えなくなり、単なる水との区別がつかなくなったとき、「とけた」と判断できる。
問2 記述問題。アルミニウムが水に溶けると、塩化アルミニウムという全く別の物質ができる。
問3 (1)36×200÷136より四捨五入して、53g。200gの「飽和水溶液」であって、200gの「水」ではないことに注意が必要。
(2)食塩の量と濃さの関係を表すグラフを完成させる問題。変化の仕方は次第に緩やかになり、食塩を36g入れてもうこれ以上溶けなくなって以降は濃さの変化はなくなることに注意。溶け残りの食塩を濃さの計算に加えてはいけない。
問4 加えた塩酸と溶けたアルミニウムの重さの関係を表すグラフを完成させる問題。
一定の割合で増え、これ以上溶けなくなると変化が止まる。
問5 問3で描いたグラフと問4で描いたグラフと同じような形のグラフを描く現象をそれぞれ選択する問題。
紙コップは上の方が少し広くなっているので、深さの変化が次第に緩やかになり、水がこぼれ始めると、変化が止まる。ビーカーに一定の割合で水を注ぐと、深さも一定の割合で増え、水がこぼれ始めると変化が止まる。
「とける」という現象についての出題。計算問題、記述問題、グラフに関する問題と様々だが、今年の大問3つの中では最も得点に結びつきやすい。
【大問3】くり出し式容器についての観察と考察
- 難度:難
- 時間配分:20分
毎年恒例の「お土産問題」袋の中の『くり出し式容器』についての観察と考察問題。くり出し式容器とは、スティックのりやリップクリームなどで利用されているもの。
問1では部品の形や構造について、その特徴を記述する問題。
問2は回転軸を回すと台が上下するする仕組みについての考察問題。回転軸の回転を上下の動きに変換するためのねじの役割などについて記述すること。字数の指定はないが、図を使っての説明は許されない。なお、本校ホームページに入試当日に配られた道具の写真が公開されているので、確認して欲しい。
攻略のポイント
テスト時間は40分、60点満点で例年通り。合格者平均点は34.4点、昨年に比べるとやや難化しており、ここ10年で見ると最も平均点が低くなっている。
前半の【大問1】【大問2】の中には、知識だけで解ける問題や、比較的難度の低い計算問題やグラフ作成問題も含まれている。攻略のためにはまず大問2までの正答率を上げることが大きなポイントとなる。
一方、各大問の中の考察問題・記述問題は例年通り難度が高くなっている。記述問題はまずはしっかり埋めることが大切だが、科学的根拠を明確にした上で、正しい言葉を選び採点者を納得させることが出来る答案を作成できなくてはならない。
本校受験者は夏までには各分野の知識を確実に固めること。その上で、秋以降は記述問題対策に力を入れたい。特に、「何故なのか?」をしっかり説明する練習が必要になる。日頃から記号選択問題であっても「何故それを選択するのか?」を明確にする姿勢で学習に取り組むことが求められる。
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