開成高等学校 入試対策
2024年度「開成高等学校の英語」
攻略のための学習方法
合格を絶対に勝ち取るための攻略的学習法について以下に項目別に述べることとする。
①単語力は大事である
具体的には最低でも3500単語は欲しいところ。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。特に、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。
文法というものは、単にその知識を習得するだけではないことは言うまでもない。そのような知識習得は当然のこととして、開成高校合格を目指す受験は是非次のことを念頭に焼き付けて欲しい。
『文法事項とは情報伝達の基本ルールであり、話し手・書き手は聞き手・読み手に何を本当は伝えたいのかを認識・理解するための基準である』
それでは、具体的に最低限必要な文法事項について以下に概観しよう。
②関係代名詞についての理解を深める
英文が長くなる主たる原因の一つである。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないことが大切である。
③分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。
④前置詞・接続詞に注意するように
どのような場合にどの前置詞を使用するかの識別をしっかり押さえておくこと。toがあると無条件で原形動詞があとに続くと考えてはいけない。イディオムによっては、toが前置詞(その後には名詞が置かれる)である場合には、前置詞のルールに従い原形動詞ではなく名詞の役割を持つ動名詞(~ing)が続くということも必須知識として押さえたいところ。
⑤仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fly the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。
⑥比較は時系列の中での比較を習得しよう
比較には2種類あることを理解して貰いたい。
第1には『同時に異なる2事象以上を比較する』ということである。したがって、この場合には『比較の元』になる事象が必要なのでthan以下の表現を伴うのである。つまり、AとBを同時に比較し『Aの方がBより背が高い(A>B)』という表現になる。
第2には『時の経過の中で変化してゆく様を表す(比較する)』ということである。つまり『Aは10年たって背が伸びた(10年前に比較するとAは背が伸びてA´になった)』ということである。この様な比較の用法があることもしっかり押さえておいて欲しい。
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2024年度「開成高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、長文総合読解問題(物語)<15分>。
会話の流れと情景描写を的確に把握すること。
大問2は、長文総合読解問題(エッセー)<10分>。
アメリカで急に高まったテニス人気に関するエッセーである。
大問3は、単語定義問題<2分>。
示された英文を正確に読み取れば完答も可能である。
大問4は、会話文完成問題<5分>。
会話の流れを正確に把握すること。
大問5は、適語補充の書き換え問題<3分>。
標準的な問題。基本イディオム知識と基本文法事項を確実に習得しておくことが必要である。
大問6は、リスニング問題<15分>。
【大問1】長文読解総合(小説)の問題
- 時間配分:15分
何度もその前を通り過ぎた店に、時間的余裕があった「私」は足を踏み入れた。店の中は、冷えていて暗かった。「私」の興味を惹くような商品は一つもなかったが、一つだけ興味をそそる商品があった。それは、厚い金属の留め金で閉じられた本であった。
(問1)適語補充書き換え問題<2分>
本文下線部(1)は、「~にとって興味深い」という意味のイディオムであるof interest to ~である。書き換えは主語がI になっていることに気をつけること。
(問2)語句解釈問題<1分>
insteadは「~の代わりに」という意味である。直前に、nearly enough to turn me awayとあり、続けてI continue further into the storeとあることから「店から出ていく」代わりに「店の中へと進んでいった」のである。
(問3)整序問題<3分>
wonderに続くので間接疑問文にする。イディオムとしては、manage to ~「なんとか~する、どうにか~する」、stay in business「商売を続ける」である。
(問4)適語選択問題<1分>。
直後にI feel frustrated ~とある。「苛立ち」を感じた原因を考える。
(問5)英文和訳問題<3分>。
lookは「目つき」であり、asは接続詞(後ろに文章が来ている)である。接続詞のasは重要。意味としては、~のとき、~なので、~だけれども、~のように、~しながらは最低限覚えておくこと。
(問6)適語選択問題<1分>。
金属の留め金が開いた場面である。このときの「私」の気持ちを考える。
(問7)適語補充問題<2分>。
直前にthey all walk past the window とあるので、その後に続く内容はpastした理由を考えること。
(問8)適文補充問題<2分>。
店のユニークなルールを理解すること。本文中にthe woman say, “Try your birthday.”とある。
【大問2】長文総合(エッセー)の問題
- 時間配分:10分
アメリカで急激に人気が高まった「テニス人気」に関するエッセーである。このテニス人気は様々な新しいアイデアを生み出す結果となり、その中でも一番面白いものの一つが「ママさんテニス」である。
(問1)適語選択問題<1分>。
空欄を含む文章には、not A but B「AではなくBである」が含まれている。
(問2) 英文解釈問題<2分>。
thisは「次に書かれていること」であり、itは「ママさんテニス」のことである。goとは「(物事が)進行する」という意味である。
(問3)適文選択問題<1分>。
(3)は、直後にTell him to hang onto the top of the roof.とある。
(4)は、直後にFifteen minutes later she returned, and play started again.を根拠に考える。
(5)は、直後にSally went to her carとある。その理由を考える。
(問4)指示語問題<2分>。
CとD以外はそれぞれ「娘」と「父」である。
(問5)指示語問題<2分>。
直前に、Peter, don’t stay on the line とあることから考える。
(問6)整序問題<2分>。
no different from ~は「~とまったく違わない」を基準に組み立てる。
【大問3】単語定義問題
- 時間配分:2分
(1)「考えることなく、しばしばやってしまうこと」=habit「癖、習慣」
(2)「教えられることなく、何かを行うことが得意な生来の能力」=talent「才能」
(3)「ある場所からある場所へ到着するためのバス、列車、飛行機などの乗り物によるシステム」=transport「交通」
(4)「利用できたり、あるいは容易に購入できたり見つけられることができる」=available「利用できる」
(5)「状況に応じて簡単に変わることができ、変えられることができる」=flexible「柔軟な」
【大問4】会話文適語補充問題
- 時間配分:5分
①アは、直前にYes, it’s really bigとあり、ホールで高さのあるもの(天井)を考える。
①イは、天井の高さを尋ねたのである。
①ウは、「高さ」のスペルにあるeiを含む数詞を考える。
②アは、it has a security system and an alarm will ringから判断する。
②イは、アと共通でouが入る「動物」を考える。
【大問5】書き換え補充問題
- 時間配分:3分
(1)「両親に頼らなくなった」ということは「両親から独立した」と読み替える。
(2)現実にはI can’t attend the partyであるので、仮定法過去を用いて書き換える。
(3)「あの歴史の本はこの科学の本よりも安い」という文章にしたい。動詞はcostを使う。
(4)「できるだけ」という2つの表現を覚えておこう。
(5)直接話法から間接話法への書き換えである。時制に気をつけること。
攻略のポイント
例年通り、求められている英語力は高校初級レベルを超えている。実態的には英検で考えると準2級以上のレベルは最低でも必要である。
一つ一つの設問内容は、比較的標準レベルであるが、自分の知識の引き出しの中に蓄積させている「知識の山」から、迅速かつ正確に最適な知識(道具)を取り出せるか否かがポイントとなる。
また、日頃から解答時間を自分で計り、感覚的に時間の尺を自分の体に叩き込む必要がある。具体的には、1分間で100wsを読めるスピードが必要であろう。単語力は、最低でも3500単語は欲しい。
文法知識は、関係代名詞、分詞構文、前置詞、仮定法、比較、準動詞の知識とそれらの事項に関連した例文はしっかり理解しておくこと。書き換え問題では話法も頻出であるのでしっかり事前準備をしておきたい。
難関校対策として様々なジャンルの英語長文読解総合問題(700ws)を2日に1題を目標に取り組んで欲しい。