昭和学院秀英中学校 入試対策
2024年度「昭和学院秀英中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
論説文(説明的随筆文)と小説の計2題が定形となっている。文量は計6000~7000字ほど。
合わせて漢字の読み書き5~6問と接続詞・慣用句など数問の知識問題が出されている。総解答数は25~30問程度。
形式は記号選択・書き抜き・記述などがバランスよく配されている。記述は40~60字程度で4~6問ほどの出題。抜き出した文章を元に戻す問題なども見られる。全体として、言葉で書く問題が少し多めの、オーソドックスな試験である。
なお、2024年度では素材文は計7300字ほどと例年通りで、記述問題も65字のものが出されている。今後の傾向を示しているかもしれないので注意しておきたい。
長文問題
論説文・小説とも3000~4000字程度の文量で配点もほぼ均等であり、扱いに差はない。
素材文も無理に難解なものではなく、小学六年生にも理解しやすい難易度やテーマの文章が多い。設問も、難しい言葉遣いやわざと迷わせるような意地悪なものはなく、相応の実力があれば正解できるよう配慮されている。難関校としては、控えめな難易度設定である。
特別な対策は必要ないので、長文読解の基本に忠実に学習を進めればよい。
論説文
段落の整理
形式段落を意味段落にまとめ、意味段落ごとに内容を見ておく。小見出しをつけると段落のつながりもわかりやすい。
要点と細部
各段落の最初と最後に特に注目して、大事な1文をマークする。例えや言い換えは細部に含まれることも多いので要点ばかりに気を取られないことも大事である。
要旨・要約
全体を見渡して要旨を把握する。普段の読書や学習でも、文章を短くまとめる練習をしておくことは、実力アップにつながり記述対策にもなるのでお薦めである。
小説
場面分け
時間・場所・登場人物の移動などで場面の変わり目をマークする。だれのどんな気持ちを描いた場面なのか。
心情把握
人物の言動や情景などから、気持ちを読み取る。人物の性格により反応も異なるので、十分考慮する。自分ならばこう考えるなどと予断を持ってはいけない。あくまで文中に書かれてあることから考える。
主題
全体を見渡し、だれのどんな状況・心情を描いた話なのかを読み取る。記述問題で聞かれることの多い内容である。
記述問題
「(具体的に)説明しなさい」という形で、字数以外の条件は示されない場合が多い。文中に適切な部分があれば使えば良いし、具体的な部分がなければ自分で説明することになる。
文中に全く手がかり無く自分で一から考えて記述するような問題にはなっていないので、あまり身構える必要はない。ただ、従来は40~60字くらいの字数が多かったが、2019年度は100字の問題も出されているので、類似の問題で感覚をつかんでおきたい。
漢字・その他
漢字は読み書きが5~6問程度出されている。標準~上級レベルの難易度である。
接続詞の問題はよく出されているので、苦手な人は克服しておくべきである。
その他の言語事項の問題はあまり出されていないが、読解との関連でことばの意味などは聞かれやすいので、読解力アップのためにも語彙を増やす努力を怠りなく。
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2024年度「昭和学院秀英中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
問題数は多くはないので、長文2題を13分前後で読み終えれば、時間は足りるだろう。ただし、選択肢問題は5択が多く、選択肢の文も長いものがあるので、理想としては分速650字を目指したい。
難解な用語が多く出てくる文章ではないので、慣れれば速く読めるだろう。
【大問一】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- ★必答問題
1. 見聞 2. 景勝(地) 3. 結実 4. 音信 5. けいけい
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:25分
「身体で覚える」には身体そのものを作らなければならず、知覚や感覚も刺激に応じて身体を動かすことで習得されるのだと筆者は述べている。
1. (Ⅰ) もちろん、手と脳のあいだの信号のやりとりも不可欠である。「しかし」、それだけでなく、筋肉もついてくることが不可欠の要素である。
(Ⅱ) 下手な練習で悪い動きを繰り返すと、良くない身体ができあがり信号のやりとりもよくないものとなる。「つまり」、下手な練習をすると脳と身体に悪い癖がつく。
(Ⅲ) 「なぜなら」~あるかもしれないからである。
2. 知覚される世界や感覚される世界は、赤ん坊でも大人でも大して変わらないと思われるかもしれない。「しかし、じっさいはそんなことはないのだ」【エ】
3. 「手で触れれば~述べることができる」のであるから、それまでに触覚では立体と球を知っているのである。
4. 身体で覚えるには、脳と身体が双方向的に信号をやり取りしてふさわしい筋肉や肉体をつくりあげる必要がある、と述べられている。
5. 続く二段落で下手な練習の弊害を示し、三段落目でそれを避けるためには「慎重に正しい手順で身体の訓練を行うこと」が重要であると述べている。
6. (1) ここで言う「分節化」とは、「身体による世界との交わり」によって「世界のそれぞれの事物が互いに明確に区別されること」であるから、選択肢オは当てはまらない。
(2) モリヌークス問題やエナクティズムという考えを紹介して、事物を知覚するためには「刺激の探り出し」が必要であることを述べ、そのために必要な能力として「感覚―運動スキル」を挙げている。
7. エナクティズムとは、事物を事物として知覚するためには、身体を動かして事物からうまく刺激を探り出すことが必要だ、という考え方である。これは文章中盤で説明されていた「分節化」と同様の意味であり、「身体による世界との交わりが無ければ、世界は分節化されて立ち現れてこない」というとらえ方と同じである。
8. 最初は何も見えないが、対象からから光の刺激を受けてそれに応じて身体を動かすという経験を積むことで視覚経験と触覚経験が結びつき、事物を知覚できるようになる。
【大問三】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
老犬ホームに勤める主人公の、老犬やその家族、自分の仕事への思いなどが描かれている。
1. A 知らない人への苦手意識を軽減してくれる「緩衝材」。
B 久しぶりに再会した飼い主との別れの場面であるから「切なげに」が合う。
C 犬との別れは悲しいが、仕事なのだから仕方ないと「割り切れる」。
2. おそらくは匂いなどで、飼い主が近くにいることに気づいたのである。
3. 後半で、主人公が飼い主を「美月さん」と呼んでいる。同行している女性は「母親」
であろうことが何度か示されている。
4. まず、飼い主である美月がいずれは病気を治してまたいっしょに暮らしたいと願っているので、他者に譲るつもりはない。他の方法として一時的に知人などに預けることが考えられるが、預け先でも犬に情が移ってしまって離れづらくなることもある。仕事として預かってくれる老犬ホームが適していたのである。
5. タヌ吉と一緒に暮らしていた頃のことが思い出され楽しい気持ちになると同時に、離れて暮らしている現状を悲しんでいる。選択肢イとオは当てはまらない。
6. 主人公は犬を預ける側の事情を理解しながらも、犬からすればそんな事情は関係なく飼い主の都合に過ぎない、と突き放した考えを述べている。一方で、自分の仕事が飼い主と犬の間に選択肢を一つ増やしているという自負も持っている→選択肢ウ。
7. 飼い主と別れた後で自分に懐いた様子を見せるタヌ吉に、飼い主と一緒に暮らせない不憫さを感じるとともに、かわいいという気持ちも抱いている。
攻略のポイント
長短3問ある記述問題は配点も大きくできるだけ得点したい。他の問題を速やかに終えて記述問題に余裕を持って取り組むためにも、読解のスピードは上げておこう。設問に示された条件が、正解を探す端緒にもなるので、落ち着いて見落とし無く進められるよう、過去問で練習しておく。
全体としての難易度は難関校としては押さえられおり、試験自体もオーソドックスなものである。無理に難問集などに取り組む必要はないので、しっかり準備して臆せず臨んでいただきたい。
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