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早稲田中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「早稲田中学校の国語」
攻略のための学習方法

【問題構成】

大問は物語と論説文の2題というのが定形となっている。文章量は2018年度では約12000字にもなったが、2024年度は約8000字であった。

問題数は最新年度では17問であった。そのうち、記号選択10問・記述2問・書き抜き2問と漢字・その他という構成である。例年、記述問題は30~50字ほどでまとめるものだが、制限字数の幅が5~10字ほどしかないので、指定の字数にうまく収める難しさが生じてしまっている

時間は50分なので十分足りるのだが、素材文自体がやや難しかったり、設問にも難しいものが織り交ぜられていたりと、簡単な試験ではない。時間を充分使ってやや難しい問題をじっくり考える試験であると言える。

【文学的文章の読解】

家族や友人との関わりを描いたものが多く見られる。また、フィクションとしてユニークな設定の物語も用いられる。

例えば2017年度では、主人公は車である。車の目から、その所有者家族やその友人の言動・隣家の車との会話などを通して、周囲の人間、さらには車の気持ちまでもが描かれている。多分に想像力を要する問題である。読書経験の中でも、現実に近い設定のものやSF・ファンタジーのような時空を超えた壮大なものなど、様々な書物や多様な設定・形態の小説に多く触れておくことが、このような問題では力となるだろう。

ともあれ、まずは長文読解の基本的な力をつけることが第一である。時間・場所・登場人物などの変化で場面の変わり目をチェックする。人物の性格も考慮し、その言動や情景などから、心情を理解する。あらすじをまとめ、誰のどんな気持ちを描いた話なのか・主題を考える、といった基本の取り組み方を練習しておこう

【説明的文章の読解】

国際化・日本文化・哲学など、幅広いテーマの文章が使われている。

選択肢問題でも記述問題でも、要点・要旨がしっかり見抜けているかどうかがポイントになる。論理的文章の読解の基本をしっかり身に付けよう。

段落の整理。形式段落を意味段落でまとめ、小見出しをつけるとわかりやすい。段落のつながりをよく確認しよう。各段落の要点を傍線などで目立つようにしておく。要点をまとめ要旨を把握する。おおまかに要約も考えておくと良い。問題を多くこなして論理の流れを正確にたどれるようになっておこう

【選択肢問題と記述問題】

選択肢問題は、似たような選択肢で紛らわしいとか文が長すぎて手間がかかるとか、いわゆる意地悪な選択肢ではない。しかし、素材文の細かい部分まで正確に読み取れていないと正解できない問題が多く、また、正解をあるだけ選びなさいといった全体を正確に読むことが必要な設問も多い。

選択肢問題のコツというよりも、読解力そのものが必要な問題という印象である。類似問題を多くこなすことはもちろんだが、本文を細部まで正確に読み取る注意力も十分に高めておきたい。

記述問題は2024年度では40~50字以内・30~40字以内という、その差10字の範囲内でまとめる問題になっており、字数調整に慣れておかなければならない。問われる内容は、傍線部近くだけ読んでも答えられないものが多い。次の場面や、さらに先の段落、全体のテーマなども含めて答えを探さなければならないものがある。

要点のまとめや気持ちの変化の流れなど、やはり読解がしっかりできていることが重要となる。「自分の考えを述べよ」といった論説タイプの記述ではないので、本文をしっかり読めていれば得点できる。過去問で慣れておきたい

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2024年度「早稲田中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

文章量は2題合わせて約8000字。ただし総解答数は17問しかないので時間は十分にある。記述問題も50字・40字とさほど重いものではない。素材文の細部まで見落としのないように正確に読み取り、選択肢問題でも注意を怠らず、正確に読み着実に答える。過去問で時間の感覚をつかみ、確実な読解を心がけるようにしたい。

【大問一】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:27分

死に近いおばを見舞い、その後亡くした主人公の心情が描かれる。

問1 三おばさんの「そんな顔しないで」「大丈夫、簡単には死なない」のことばから、主人公が深刻な表情で駆けつけたことがわかる。しかし、実際の病室はそんなに重い雰囲気でもなく、慌てて駆けつけたことがおばさんの病状の重さを証明しているような体になってしまったのである。

問2 この記憶を思い出したのは、死期を悟りながら周囲に気を遣わせまいと「さっさと死ぬのも悪くないわ」などと三おばさんが強がっている場面である。足が悪いのに「自分で走ってみろ」とひどいことを言われても気にしていない様子で普段通りに振る舞う三おばさんの大人としての気遣い、という意味でこの二つの場面は共通しているのである。

問3 にべもない――愛想がない・そっけない・冷たい

問4 直後で説明されていることをもう少し具体的に答えるとよい。頭の中では来るべき三おばさんの死を避けられない現実として受け入れ、論文を書き上げることなど日常へ気持ちが向いている。しかし今現在、体は台湾にあって残り少ない三おばさんの余生に寄り添い、その身を案じているのである。

問5 直前で少し先走る自分の心(おばさんの死後を予定する)に走って追いつき体(今現在のおばさんに寄り添う)に引き寄せられないか、という心情の比喩が示されている。そこから、帰国するまではおばさんと少しでも一緒にいたいという思いを「走りきる」と表現したのである→「病院に通いつめる」

問6 死期が迫った姉妹の病室という通常なら重苦しい雰囲気になりそうな場面でも、主人公という久しぶりに会う親戚がいることで話題ができて、沈鬱な空気を「避けられる」のである。

問7 口ぐせを先回りするほど主人公は三おばさんから影響を受けており、三おばさんもそんな主人公のことを自慢に思っているようすが伝わってくる場面である。

問8 「さっさと死ぬのも悪くないわ」などと強がっていた三おばさんも最期に際しては「死にたくない」と涙を流している。主人公がいるときは気を遣わせまいと「大人」として振る舞っていたのである。主人公もおばさんの死をただいつまでも泣いている「こども」でいるわけにはいかないのである。

【大問二】講義文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:23分
  • ★必答問題

人生における勉強に関して、「マナブ」から「オボエル」そして「サトル」に至るという良い段階を進む戦略が大切だと持論を述べている。

問1 a. 専門  b. 生意気  c. 子女

問2 本当は歯をしっかり磨く方が良いのだが、母のしつけがゆるかったのを利用して、あまり熱心に歯を磨かない人間に育ってしまった。

問3 ここでいう「勉強」は「マナブ」でとどまらず、自分なりに先に進んで「オボエル」に至ることであるから、選択肢アが誤り。

問4 「先生の方が質問をする」理由は、「知ることを妨げている抑圧の力をこわ」して「生徒に言葉にできないことをすでに知っていると認めさせ」ることだ、と述べている→選択肢イ。

問5 「いろいろな言葉を書き出して、それをもとに新たな本へとつなげてゆく(オボエル)」という過程を経て、「英語の内容を自分の日本語でいえる・他の場合でも自分で判断できる」ようにしたことが述べられている。この段階が「サトル」にあたると考えられる。

問6 「一般」と「普通」が見つけられるが、「先生方は、主題と訳されるのが普通」「もっと普通の、問題という言葉」と入れると、講義を聞いている人に「わかりやすくした」というニュアンスがよく伝わるので「普通」を選ぶ。

攻略のポイント

まず、文量の多い素材を読むスピードが欲しい。問題数は少ないので考える時間の余裕はある。本文に注意深く目を通し、ポイントを見逃さないように正確に読む。解答のテクニックというよりもまっとうな読解力が求められているようである

記述問題は字数指定の幅(5~10字)が狭いので、過去問で範囲内にまとめる感覚を養っておこう。

素材文・設問の難易度がやや高めではあるがクセの無い試験なので、他の難関校の問題なども利用するとよいだろう。

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