海城中学校 入試対策
2024年度「海城中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇問題構成
文学的文章1題と説明的文章1題で大問2題という構成が定形となっている。文量は計7000~9000字ほど。2024年度では9600字ほどであった。漢字も含めた総解答数は25問前後。
50~100字超ほどの記述問題が2問出題されるのもここ数年の通例となっている。選択肢の問題数が多いのも特徴である。選択肢ひとつひとつが長めであるのも特色で、全体として読む分量が多くなっている点、留意して準備する必要がある。
〇長文読解
近年、文量が多くなる傾向にある。意識して読むスピードを上げる訓練をしておこう。
素材文の内容は読みやすいものが多い。文学的文章は、人物の設定が受験生にも理解しやすい年齢や境遇となっているものが使われ、難易度が配慮されている。説明的文章も学生に向けて語りかける随筆のようなものが多いが、社会科学など分野的にやや高度な内容のものも見られる。全体としては難しすぎるということはない。
読解力が十分にあれば正解できる問題が多いので、国語の基本力をまずは充実させたい。
文学的文章であれば、場面分けを的確にする。時間・場所・人物の移動などに着目し、場面の変わり目をマークする。人物の言動や情景などにも注意しながら、心情を読み取る。予断を持たず、あくまで文中の手がかりに沿って考える。そして全体を通して作者の描きたかったこと・主題を考える。
説明的文章であれば、段落の整理。形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の大まかな内容を小見出しとしてつけておくとわかりやすい。要点の抽出。段落の最初と最後が大事とはよく言われることである。あとで見つけやすくまとめやすいように傍線などで目立つようにしておくと楽である。要点をまとめて要旨・要約へといたる。記述問題で使える部分もここに含まれることが多い。
〇選択肢問題・記述問題
選択肢問題は数が多く、ひとつひとつの文も長い。ただし、各選択肢の違いが明確で、無理に迷わせるような意地悪なものではない。読解がしっかり出来ていれば正解できる、実力が正確に現れる問題となっている。選択肢の中の正誤のポイントを見落とさないよう、類似問題を多くこなして十分に練習し、注意力を養っておこう。
記述問題は設問の条件をよく見ることが大事である。条件自体が文中の大事なポイントを見つける手がかりになっている場合が多い。使えそうな部分の見当が付いていれば、それを条件に合うように整えれば良い形でまとめられるようになっている。
いずれにしろ、まずは素材文をしっかり読解できていることが大事なので、国語力をつけた上で、なるべく多くの過去問をこなし、試験の特徴に慣れておいていただきたい。
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2024年度「海城中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は27問。文量は9600字ほどあり、選択肢ひとつひとつの文も長い。全体として読む分量がかなり多いので、スピードはつけておこう。
記号選択問題が20問あるが、選択肢はポイントがはっきりしていて本文の読解ができていれば迷わず選べるので、ここでなるべく時間と得点を稼ぎたい。
2題の記述問題も、条件に沿って書く部分を的確に選べればまとめるのはそれほど難しくない。配点が高い部分なので、なるべく時間を多く割り当てて高得点を狙いたい。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:27分
- ★必答問題
仕事の依頼で訪れた書道教室で教室を継いだ遠田薫の指導に触れて、主人公は書の奥深さと遠田の指導の巧みさに感銘を受ける。
問一 傍線1の時点で「どぎまぎしている俺(選択肢ア)」は描かれていないし、女の子たちが「俺に反感を持(選択肢ウ)」っている様子、「笑いかけて注意を引こうとしている(選択肢エ)」様子も見られない。「ふいの闖入者にテンションが上がっているのだろう」という主人公の推測(選択肢イ)が当たっているだろう。
問二 教室のくだけた雰囲気に戸惑いながらも、紹介してくれる様子もないので挨拶もできず、手持ちぶさたで腰を下ろした……という雰囲気である→選択肢ウ。
問三 生徒の気さくな話しかけ方や「ちゃっちゃと書いてどっか遊びにいけ」といった遠田の態度に、想像していた静かでまじめな教室とは違った雰囲気を感じているようである。
問四 筆を「ちんこ」と例えたり、しょんべん・膀胱などおよそ書の指導とはかけ離れた言葉を使ったりなど、人に書を教える立場にありながらあまりに下品ではないのかと、主人公は憤慨してしまったのだろう。
問五 遠田は一言で「風」と言っても人にはそれぞれの感じ方があり、それを書で表現すればよいのだと言いたいのであるが、子どもたちには「風」にそのような受け止め方の違いがあるとはわからず、遠田に訊かれていることが理解できないのである。
問六 遠田が窓を開けて熱い風を体験させたのは、同じ風でも人によって感じ方が違うということを実感させるためだったと考えられる。そのことを通じてたとえどんな文字一つにでも、「文字の奥にあるもんを想像すること」「文字を通して自分が伝えたいことは何かを考えて見る」こと、そういう習慣をつけることでそれぞれの書きたい「文字」を自由に表現できるようになるのだと教えたかったのである。
問七 風を感じるという実体験を通して、漠然と文字を書くのではなくそれぞれが感じた自分なりの「風」を書にしてみようという意欲がわいて、集中して半紙に向かっている様子である。
問八 遠田の指導で子どもたちが新たな感覚をつかんで、書く文字が前よりもよくなっている様子に、主人公もおもわず身を乗り出して書に見入っている。
問九 一見雑に見えた遠田の指導法だが、書の本質をうまく伝えてその成果が子どもたちの字に如実に現れており、子どもたちも楽しそうに書に取り組んでいるさまを見て、遠田は指導者としても優れているのだと感じた。
問十 課題とは異なる病気の「カゼ」という意味であったが、その「カゼ」の持つ雰囲気がうまく表現されており、「文字を通して伝えたいこと」がちゃんと伝わっている点は評価してあげたいと思ったのであろう。
問十一 いたずら心で課題の「風」に病気の「カゼ」の意味を込めて表現した男の子だったが、伝えたいことが伝わる字だとほめられたことが照れくさいながらも得意で、遠田が自分のたくらみに気づいてくれたことも嬉しいのである。
問十二 ラフな指導法ではあるが、遠田の教えが書道を上達させ楽しくしてくれることを子どもたちは感じており、気さくに話しかけながらも尊敬し、指導者への礼儀を示している。
【大問二】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
「主観的体験」を通した「熟達」こそが人間にしかできないことであり、それには「孤独」の中で自分と向き合う必要がある。集団の中では味わえない「夢中になる喜び」がそこにはある。
問一 a. 検討 b. 発揮 c. 一層 d. 願 e. 傷
問二 「ある世界で技能の探求を通じて得た「学びのパターン」は他の世界でも応用可能だと筆者は考えている→選択肢ウ。
問三 前段落で「人間の行先は遺伝子と環境で決まる・努力は意味をなさない」という知見が紹介され、だとすると人間の可能性を信じるのが難しくなる、と述べられている。この「可能性」が「振れ幅」であるので、「努力=可能性=振れ幅」というつながりとなる。努力の結果が未来にどうあらわれるのか、その「幅」ということである。選択肢ウは「同じように努力をしたとしても」という前提が内容と合わないので、選ばない。
問四 機械にはできない卓越した技術は人間が担当し、その他の作業は機械にやらせるのが合理的だと考えられてきたが、多くの分野で機械に抜かれつつある現在、人間は何もせずすべて機械にやらせた方が合理的ではないかという皮肉な状況が生まれているわけである。
問五 筆者は機械と人間の最大の違いは「主観的体験」の有無にある、と考えている。人は身体を通じて外界を知覚し、それを元に考え行動する。考え行動する部分は機械にもできるかもしれないが、知覚は身体なしでは行えない。「私」という身体で世界を感じながら熟達していくプロセス(主観的体験)は機械にはできないことなのである。
問六 傍線部の段落とひとつ前の段落の内容から、選択肢ウが合う。
問七 続く二つの段落の内容をみてみる。正当な評価などない・評価基準が時代によって変わってしまうこともある・結局何が正しいのか答えは出ない……などの記述から、選択肢エが合いそうである。
問八 同段落の内容に注目。追いかけているうちに自分のやり方が正しいのかわからなくなってくる・結果だけで世間からの評価が下る・結局尋ねる相手は自分しかいない……などから選択肢イを選ぶ。
問九 他者といるときはそこ(他者)に注意が向かってしまい自分と向き合うことはできない・外的世界を理解することと自分の内側を理解することは根本的に違う……といった内容から考える。
問十 人は夢中になると孤独を認識する自我すらなくなる、熟達の道にはそれほどの夢中になる喜びがあるのである。
問十一 人間は社会的動物であり、集団に同調し認められることで生存の可能性が上がり、安心して生きていける。しかし、熟達の道を進むには「主観的体験」というプロセスが必要であり、集団から離れた孤独の中で自分の身体で世界を感じ取り自分の内側に目を向ける必要がある。それが人をオリジナルな存在にするのである。
攻略のポイント
素材文と設問(選択肢)の文量の多さには注意が必要である。本文と設問の細部にまで注意を途切らせずに、とにかく全ての問題に目を通すスピードを身につけたい。
出題数の多い選択肢問題は得点しやすい問題も多いので類似問題で十分に練習し、その上で記述問題でも得点を積み上げられるよう、過去問・類似問題で経験値を上げておこう。
全体としては極端に難しい文章や問題ではないので、読解力があれば合格点に到達できる。試験対策のみにとらわれず、国語の地力といったものを十分に高めておこう。
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