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海城中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「海城中学校の理科」
攻略のための学習方法

海城中の満点は80点で、今年度の合格者平均点46.1点。ここ数年の中で最も難しい入試であった。問題の形式としては、長めのリード文・実験や観察のデータ・図・グラフなどをもとに答える問題が中心であり、高いレベルの計算問題・考察問題・記述問題も含まれる。知識を確実に固めることは当然のこととして、レベルを高めに設定した問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。化学・力学を中心とした計算問題の練習と記述問題を含む総合問題の演習には時間をかけたい。
分野毎の学習法は以下の通り。

<分野毎の学習法>

生物分野 本年度は昆虫と高山植物をテーマとした出題で、知識問題とグラフの読み取り問題が中心で、記述問題も含まれていた。ここ数年を見ると、植物に関する出題がやや多く、メダカと外来生物・魚のからだのつくりと働き・生物の個体数の変化などの出題が見られた。この分野の学習法としては、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。特に、出題される可能性のやや高い植物に関する知識は早めにしっかり固めておきたい。また、知識の丸暗記で終わることなく、実験や観察に関する問題の演習にも時間をかけたい。

地学分野 本年度は道路と環境をテーマとした出題で、詩の読み取りと考察などユニークな内容も含まれていた。ここ数年では、岩石の風化・気温と地温の変化・台風と河川の水位上昇・地層・岩石・日食等についての出題が見られた。この分野の学習方法としてまずは、台風・四季の天気の特徴・星の名前と動き・月の動き・岩石の分類・地層のでき方・地震・火山などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えて頂きたい。金星の見え方・日食や月食など細かい知識も学習しておきたい。さらに、地層のボーリング調査・地震波の伝わり・天体の軌道など計算を必要とする問題の演習にも時間をかけたい。

物理分野 本年は音の伝わり方に関する出題で、難度の高い計算問題が含まれていた。過去の出題を見ると、力のつり合いに関する出題頻度が高く、レベルの高い計算問題も頻繁に出題されている。また、電気に関する出題等も見られる。この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力など力のつり合いに関する計算問題の練習にしっかり時間をかけたい。レベルの高い問題にも取り組んで欲しい。その他、今回出題された音、電気、光についての学習も怠りないように。

化学分野 今年度は硫酸銅の溶け方に関する出題で、レベルの高い問題も複数含まれていた。ここ数年では、中和反応や気体の発生など化学変化に関する出題が多い。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。レベルの高い問題にも挑戦して学習して欲しい。

過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。

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2024年度「海城中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は4、小問数は30程度で80点満点(算数・国語は120点満点)。試験時間は45分、例年通りであった。
記号選択問題、計算問題、記述問題が中心で、図を描く問題も見られた。長めの問題文や図・データの読み取りに時間がかかる問題が多く、前半で時間を使いすぎると後半の問題を慌てて解くといった状況になりかねない。過去問等で時間を意識した演習をしっかり行うことが不可欠である。できる問題、特に知識問題をミスなく正答していくことが重要なポイントとなるであろう。

【大問1】 物理 音の伝わり方

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

問1 音が往復で600m進むので、600÷340 より四捨五入して、1.76秒。

問2 装置と音との旅人算と考えて解けばよい。600÷(340+10)より四捨五入して、1.71秒。

問3 板に音がぶつかるときの場所と時間を求めると、300÷(340+10)より6/7秒後で、340×6/7より四捨五入して、装置から291m地点。その後音が291m進むのにかかる時間は、6/7秒なので、合わせて12/7秒=約1.71秒。

問4 機器2が1回目に音を受け取るまでの時間は、300÷340より15/17秒。機器1
2回目に音を出すときまでに機器1は20m進んでいるので、このとき出した音が機器2に届くまでの時間は280÷340より14/17秒。従って、機器2が1回目の音を受け取ってから2回目の音を受け取るまでに時間は、2+14/17-15/17より四捨五入して、1.94秒となる。
 
問5 問4と同様に計算すると1.94秒。これより、音は2秒間隔で出しているが、機器1が秒速10mで近づいていることにより、音の受け取りは1.94秒ごととわかる。

問6 音の受け取りの間隔が2秒より長いので、機器1が遠ざかっていると考えられる。機器1が遠ざかる速度を秒速□mとして、問4と同様に考えると、{2+(300+□×2)÷340}-15/17=2.04となる。これより、機器1の秒速は毎秒6.8m。
 
音の伝わり方に関する出題で、音の速さに関する計算問題が中心。問4以降はレベル難。きれいな数字にならない計算が多いので、落ち着いて処理して欲しい。

【大問2】 化学 硫酸銅の溶け方

  • 難度:
  • 時間配分:14分

問1 (1)水の検出に用いられる試験紙は塩化コバルト紙。青色からうすい赤色に変化する。
    (2)乾燥剤は水を吸収すると色が変わる。

問2 25÷(100+25)×100より20%。

問3 問題文より、水100gに硫酸銅の無水塩は36g溶けるので、水150gに対しては、36×1.5より54g溶ける。
 
問4 (1)記述問題。水和物の結晶には水が取り込まれている。このため、硫酸銅を溶かすための水が減ったことが原因。
    (2)水溶液の重さは、100+36-20より116g。溶けている硫酸銅の無水塩は36-12.8より23.2g。従って23.2÷116×100より20%。

問5 (1)難問。問4より、水和物に含まれている硫酸銅無水塩と水の重さの比は16:9。また、水100gに硫酸銅の無水塩は25g溶けることが分かっている。溶かす水和物に含まれる硫酸銅無水塩の重さを⑯、水の重さを⑨とすると、(100+⑨)⑯=4:1が成り立つ。これより、硫酸銅水和物の重さを求めると約45gとなる。
    (2)100gの水和物の中に水は36g含まれている。
      X:14.4g減少しているので、14.4÷36×100より40%減少。
      Y:さらに14.4g減少しているので、40%減少。
      Z:7.2g減少したので、20%減少。
        
硫酸銅の溶け方に関する出題。問1は易問。問3以降を解くにあたって、まずは、問題文に書かれてある「無水塩」「水和物」の意味を理解できるかがポイント。理解できたとしても、問4以降、特に問5(1)は難問。
大問2については、問3までを確実に正答したい。

【大問3】 生物 昆虫と高山植物

  • 難度:標準
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

問1 アブラナの花のつくりに関して、名称を答える問題。

問2 ハエの頭部についての問題。
  (1)Xは複眼。眼では不十分、単眼は間違い。
  (2)記述問題。触覚の細かい毛は、表面積を広くして、臭いを効率的に嗅ぐことに役立っている。
 
問3 集団で生活する昆虫を選択する問題。アリとシロアリが該当。

問4 記述問題。問題文の中の「高山の花に訪れる昆虫・・・・ハエ類が最も多く」が重大ヒント。ハエをおびき寄せるためにくさい臭いを出している。

問5 グラフを見ると、ニュージーランドの高山の花に訪れる昆虫はハエ類が圧倒的に多い。一方、日本の高山ではハエの他にハチも多い。従って、ほとんどが白い花のアがニュージーランドと考えられる。

昆虫と高山植物をテーマにした出題。前半の知識問題は確実に正答したい。後半はグラフや問題文を基にした考察問題。
決して簡単な大問ではないが、本年度の4つの大問の中では、最も得点しやすい。ここで得点を少しでも稼ぎたい。

【大問4】 地学 道路と環境

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

問1 図より。真北と方位磁針のN極が指し示す方向がずれていることがわかる。また、当時方位磁針のN極が指し示した方向と現在N極が指し示す方向が異なっていることもわかる。固定観念にとらわれて選択しないことが必要である。

問2 図を見ると、古い街並みの道路は南南西から北北東に伸びていることがわかる。表を見ると、北北東の風が最多だった月が多く、この風向きと道路の向きが関連していると考察できる。

問3 道路が南南西から北北東に伸びているので、日没の光が西北西から射していることになる。北半球であるメキシコで日の入りが真西よりも北寄りなので、選択肢の中では、8月13日が当てはまる。

問4 山口県青海島の道路・水域および金子みすゞが詠んだよる詩についての問題。
    (1)詩の中の「右はみずうみ・・・左ゃ外海」より、地図左下の砂州と思われる地形から北西方向を見て詠んだ詩なのではないかと思われる。
    (2)火山などなく海に近い場所なので、海流で流れてきた石が堆積してできたと考えられる。
問5 (1)図を読み取ると、南北方向が13本、東西方向が11本なので、南北方向が約54%、東西方向が約46%となる。この結果でグラフを作図すればよい。
    (2)記述問題。(1)の求め方では、道路の長さがまったく考慮されていない。ある特定の長さの何本分かを考えればよい。
    (3)記述問題。あらゆる方向に道が伸びているので、山道を登っていくような曲がった道だと考えられる。
 
道路と環境という中学入試では珍しいテーマの出題。純粋な地学分野の出題ではないが、太陽の動き・砂州などの地形といった地学的な要素が盛り込まれた出題。詩の内容からの考察など問題を読み取った上での考察力も試される内容。

攻略のポイント

本校の理科の入試問題は、都内難関校の中でもトップレベルの難しさと言える。知識問題と計算力・考察力が問われる問題がバランスよく出題されており、計算力・考察力が必要な問題のレベルは高い。知識問題についてもかなり正確な知識が求められる。出題の形式として、長めのリード文・実験や観察に関する説明やデータ・図やグラフを読み取った上で分析・考察する問題および計算を必要とする問題が多いことが本校の特徴である。また、記述問題が多く出題されることも特徴。
攻略ポイントとして、まずは幅広く正確な知識を確実に身につけることがあげられる。知識問題での失点は極力避けたい。その上で、計算問題や実験・観察問題の練習にも時間をかけたい。特に、物理・化学分野の演習量を十分に確保して欲しい。問題のレベルは高めに設定し、記述問題や計算問題の練習を十分に行いたい。
直前期には、過去問等時間を意識した問題演習もしっかり行うこと。

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