早稲田大学高等学院 入試対策
2024年度「早稲田大学高等学院の英語」
攻略のための学習方法
長文読解における留意するべき点ついて、以下に述べてみたい。
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①正確な文法事項についての理解と知識を蓄えよう
「自分は文法が苦手で、文法問題の得点は安定しない」、「文法知識がなくとも、英文が自然と読める」という声を耳にすることがある。これらの「声」に共通しているのは、どちらも「文法事項に重点を置いていない」ということである。特に、後者の「英文が自然と読める」という状況は、実は「本当は英文が読めてはいない」のである。
例えば、接続詞の‘as’について少々考えてみたい。接続詞のasには、時(~のとき)、理由(~なので)、譲歩(~だけれども)、様態(~のように)、時の経過(~につれ)という基本的な意味がある。英文における接続詞のasは、上記のうちのどの用法であるかの判断をしなければならない。
受験生の中には、上記用法を一つ一つ当てはめて「これが何となく当てはまるかな、しっくりいくな」という程度の判断で、意味を決めてはいないだろうか。このやり方は合理的ではない。
原則的には、接続詞を用いた文章なので「条件節(従属節)」と「帰結節(主節)」とがあるから、これらの2つの英文の日本語訳を考え、日本語でつなぐ方法を考えてみる。
具体的には、‘As I broke the vase , I was scolded by my mother.’という英文を考えてみよう。まずは、2つの節を別個に訳してみると「私は花瓶を壊した」と「私は母に叱られた」になる。これらの日本文を自然な日本語感覚で考えると、「私は花瓶を壊したので、母に叱られた」という「理由」でつないだ文章になることは容易に想像がつく。
また、上記用法のうち「譲歩」に関しては、条件節の中で「倒置」が行われるのである。例えば、‘As kind he was , he did such a thing.’については、‘he was kind’ではなく、‘kind he was’と倒置が用いられている点が特徴である。
また、「~するにつれ」という意味になる場合には、ⅰ)変化を表す動詞が使われている場合、ⅱ)thanなし比較級が使用されている場合がある。
ⅰ)の変化を表す動詞とは、increase、decrease、develop、growなどが代表例である。これらの動詞は、時間的間隔のあいた2点間における変化を表すので、当然そのような状況のもとでは、「~するにつれ」となるのである。
また、ⅱ)の比較級は従来型のそれとは少々内容が異なるのである。従来型の比較級とは、時間的に今この時(=時間的変化はない)における異なるAとBという2つの事象を捉えて比較するのであるから、比較の対象基準となるものが必要になり、それがthan以下に表現されるのである。言い換えれば、この場合は時間的に水平方向(時間変化がない)に関することだけなのである。従って、そこには「時の経緯」はない。
一方、thanなし比較も存在する。これは時間の経過の中で、AがA’になるということであり、時間的水平方向とは対照的に時間的垂直方向での変化である。具体的には「太郎はより背が伸びた」という内容の文であり、ここには時間の経過があり「A⇒A′になった」ということである。従って、thanなし比較級が含まれる条件節が‘As’で導かれる場合には、「~につれ」となるのである。
以上、‘As’について、用法を中心に述べたがその他にも様々な文法に関連した事項があるので、日々の学習の中で一つ一つ習得していってほしい。
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2024年度「早稲田大学高等学院の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問Aは、文法総合問題<9分>。
出題内容は、適語選択問題、和文英訳適語補充問題、誤文訂正問題である。
大問Bは、長文(説明文)総合読解問題<20分>。
出題内容は、適語補充、整序、適語選択、要旨把握、アクセント、指示語、内容真偽となっている。
大問Cは、長文(物語)総合読解問題<7分>。
英問英答が7題である。
大問Dは、長文(物語)総合読解問題<14分>。
英問英答が6題、テーマ自由英作文が1題である。
【大問A】文法総合問題
- 時間配分:9分
基本的な文法事項、イディオムは確実に覚えること。完答を目指そう。
Ⅰ 適語選択問題<3分>
(1) tell+人+about+(目的語)という語法に関する問題である。
(2) 後半の文を見るとwould be surprisedとなっているので、仮定法過去の文を考える。
(3) get+目的語+過去分詞とget+目的語+~ingの違いを明確に覚えること。
(4) used to ~は「(昔は)~だったものだった」である。
(5) 「生徒2人ごとに」としたいので、everyとなる。
Ⅱ 和文英訳適語補充問題<4分>
(1) 「口にものをほおばったまま」とは、with+名詞+(形容詞又は分詞)を使って表現する。
(2) 「間に合う」は、make itである。
(3) I’d be happy to help youとなるが、help youが省略されている。
(4) 「心の中でつぶやく」は、say to ~selfである。
(5) 「~するのももっともだ」は、have good reason to ~である。
Ⅲ 誤文訂正問題<2分>
(1) whileは接続詞なので後ろは文章が続かなければならないが、本問は名詞が来ているので「~の間」を表す前置詞duringは適切である。
(2) 「両親は無事だった」という文にしたいので、wereの後ろは名詞ではなく「形容詞」=safeとなる。
【大問B】説明文の英文読解総合問題
- 時間配分:20分
Ⅰ 書き換え適語補充問題<3分>
(1) 「~して初めて…である」という表現は、It is not ~ that …である。
(3) 笑っているときの「過程」における内容であるので、processである。
(9) 「…が~するのを妨げる」とは、stop … from ~ingである。
(15) 「…することよりも~でない」としたいので、less ~ than …である。
Ⅱ 整序問題<2分>
同格のthatを用いて、The fact that ~で「~という事実」と表現する。thatの内容は前文から類推する。
Ⅲ 適語選択問題<3分>
(4) 直後の文に、the tears add a jokey feelingとあるのでこれを参考に考える。
(5) 絵文字は「ほほえみ」を表している。
(8) Her に着目すること。
(10) You can almost read の箇所でYou が何を指すかを考える。
Ⅳ 要旨把握問題<2分>
本文は「ほほえみ」が「われわれにどのような意味をもつか」ということである。
Ⅴ 単語アクセント問題<1分>
(7)pho-to-graphsのアクセントはphoにある。
(11)def-i-nite-lyのアクセントはdefにある。
Ⅵ 適語補充問題<2分>
【12】後半にあるwhen they are alone との関連で考える。
【16】as well asとなる。
【17】文脈で考えるとbeganとなる。
Ⅶ 指示語問題<2分>
下線部を含む質問は、直前のWe can do really well recognizing smilesを受けている。
Ⅷ 要旨把握問題<2分>
エ 「人間の進化を考えたとき、実験の結果を説明する合理的な説明はないのである」が適切である。
Ⅸ 内容正誤問題<3分>合致しないものを選択しなければならないので注意すること。
ア 「新生児は両親の存在に関する感情を表現するためにほほえむことができる」
エ 「メビウス症候群を病んでいる人たちにとって、ほほえむことは滅多にないが、不機嫌な顔をすることは可能である」
【大問C】物語の長文総合読解問題-英問英答-
- 時間配分:7分
Ⅰ.「話の前半部分で、何故筆者はロシェルを気の毒に感じたのか」という英問である。
Ⅱ.「何故筆者は『ロシェルのお母さんはあたかもオーケストラを指揮しているように思えた』と思ったのか」という英問である。
Ⅲ.「以下の選択肢のうちロシェルが筆者におこった理由を説明しているのはどれか」という英問である。
Ⅳ.「ロシェルと母親が口喧嘩をした理由としてもっともあり得るものはどれか」という英問である。
Ⅴ.「以下の選択肢のうちロシェルが『ありがとう』と手話で表現しているのはどれか」という英問である。
Ⅵ.「筆者は『口から心臓が飛び出しそうになる』と言っているが、その理由として最も可能性が高いものはどれか」という英問である。
Ⅶ.「以下の選択肢のうち本文について正しくないものはどれか」という英問である。
【大問D】物語に関する長文総合読解問題-英問英答-
- 時間配分:14分
Ⅰ.「以下のよく知られた表現のうちどれが本問の物語のメッセージをもっともよく表しているか」という英問である。
Ⅱ.「以下の選択肢のうち物語の下線部と同じ意味を表しているのはどれか」という英問である。
Ⅲ.「3つの選択肢のうち、イザベラがエンツォと結婚するという結果になったものはどれか」という英問である。
Ⅳ.「以下の単語のうちこの文脈でaccidentlyの代わりに使うことができるのはどれか」という英問である。
Ⅴ.「以下の選択肢のうちに入る最適な選択肢はどれか」という英問である。
Ⅵ.テーマ英作である。英問の意味は「イザベラの状況にあったと想像してみてください。あなたならどうしますか、またそれはどうしてですか」という内容である。30字程度で仮定法を使ってまとめるとよい。
攻略のポイント
設問形式や長文の内容を見てみると、それほど難易度の高い問題ではない。解答するために必要な知識(単語・イディオム・文法)に関しても、その8割以上は基本的事項であり、受験生の殆どにとっては「周知の事実」であろう。
ただし、合格するためには「単なる知識」を超えた「理解」が求められる。
例えば、前置詞の理解である。‘down’や‘on’や‘with’などの前置詞が、根本的にどのような意味を有するのかについての知識をベースに、英文中においてどのような意味を持たされているのかについての「考察」を適切に行わなければならない。
英問英答の設問形式にも十分慣れておく必要がある。