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青山学院中等部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「青山学院中等部の国語」
攻略のための学習方法

問題構成

本校の試験は大問が5~6問と多めである。漢字1題・長文読解3題・詩1題といったパターンがここ数年続いている。長文は文学的文章1問と説明的文章2問という組み合わせが多い。

文章量は文学的文章が多めで4000~5000字、説明的文章が1500~2500字ほどで2問あるので、多い年だと10000字超にもなる。2024年度は文学的文章6500字を含む、計14000字ほどにもなり、文章量は多い傾向にある

総解答数は40問程度。2024年度では40問中、記号選択20問・書き抜き7問・記述1問・その他といった設問の割合になっている。また、「自分の言葉で」適語を考える問題も数問みられる。書き抜きは字数指定のあるものが多い。

長文読解

本校の高い偏差値からすると、素材文や設問の難易度は比較的低いと言える。難解・長大な問題で受験生をふるいにかけるのではなく、小学校6年間で培った適正な国語力を測ろうとしている印象を受ける。

説明的文章は1問が1500~2500字ほどの文章で、選択肢問題もいたずらに迷わせるような意地悪な内容にはなっていない。

文学的文章も6000~10000字ほどと文量は多いが、内容は小学6年生にも理解しやすい設定やストーリーのものが多く、読みやすい。

設問形式は記号選択と書き抜きが大半を占めるので、解答にさほど時間は取られない。

全体として、文章・設問ともに難し過ぎない設定で、適正な実力でテンポよく解いてゆく試験と言えるだろう。簡単過ぎず、難し過ぎず、中学入試としてよく練られた問題である。ただし、文章量・問題数は決して少なくはないので、スピードは十分につけておく必要がある

以上のような点をふまえて、長文読解の基本に沿って演習に取り組む。段落・要旨・要約や場面・情景・人物の心情とテーマなど、文学的文章・説明的文章の読解テクニックを身に付ける。記述問題は30~50字程度のものが出題されるが、全体の要約が必要なものやあまりに難しい心理を説明するような重い記述問題ではないので、同程度の字数の記述問題で練習して慣れておけば、それほど手間取らないだろう。

必ず詩の問題が1問出されるのが本校の特徴である。他校ではまったく見られない場合も多いので対策がおろそかになりがちだが、配点でも2割ほどを占めるので、大きく失点するわけにはいかない。

特別に難解な問題が出されるわけではない。中学入試レベルの教材で良いので、詩に特有の表現や技法に慣れておくこと。詩に多く触れて想像力を養うことは、長文読解にも大きく資するところがある。

漢字・その他

漢字は5~6問出題される。難しい漢字ではないので、標準的な漢字教材を1冊仕上げておけば対応できるだろう。その他、接続詞・ことわざ・慣用句などの言語事項が2~3問合わせて出題される。全般的な国語の学習や読書を通じて覚えられるレベルであろう。

まとめ

選択肢問題と書き抜き問題が多いので、類似問題で慣れておく必要はある。全体の文章量と問題数の多さから、スピードも必要とされる。その他の点は、中学入試として適切な難易度で整えられているので、普段の学習で手を抜かず、読書にもできるだけ親しむ習慣も持てば、自信を持って試験に臨めるであろう。

ただ、2018年度以降では文章量が増え、問題の難易度が高くなった印象がある。今後の傾向に注意しておこう

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2024年度「青山学院中等部の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

今年度の読解問題は論説文1題・詩・小説2第という構成であった

小説6400字・論説文8000字・その他で計14000字ほどと、文量も多くなっている。ことばの知識は漢字や詩の技法、慣用句やことわざなどが数問出されている。

詩や論説文は解ける問題をてきぱきこなし、最後の長い小説になるべく急いで目を通して、設問にはひととおり手をつけたい。100点を目指す必要はないので、答えられそうな問題なのに解く時間が無かった、という事態は避けたい。

【大問一】漢字の書き取り

  • 難度:標準
  • 時間配分:2分

(1) 供養  (2) 肥大  (3) 延(ばす)  (4) 台帳  (5) 温厚

【大問二】詩の鑑賞

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

弁当を食べずに捨てた息子とそのことに気づいた母親の心情が描かれている。

(1) ①・②  時間を推定する根拠は「学校がえり」と「ななめの陽」であるが、「行き」に捨てたかもしれず特定できないので、「ななめの陽」を採って時刻は夕方と推定する。

(2) 母親の問いが「なにかあったの」だけだったので、息子は中身を捨てたという事実を母親に知られていることには気づかず、「いつも通りに弁当を食べたフリ」を通すことができたわけである。

(3) イ. 6・7行目の表現に当てはまる。

(4) ① 弁当に手を付けずに帰ったら母親が心配し傷つくだろうと予想したから途中で中身を捨てたのである→5行目。

 弁当箱に詰めたそっくりそのままの形で捨てられていた→1行目。

【大問三】論説文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

社会の存続のためにできることとして人間に特有の「ミーム」を紹介し、「ミーム」が人間社会でどのように働くかを解説している。

(1) まず次の段落で「ミーム」が「人間の脳の中でしか存在できない」ことを示し、最後から三番目の段落で「文化や芸術というミームを維持し発展させていくこと(二十四字)」は人間にしかできない、とはっきり述べている。

(2)   同段落内で、「時代を超えて引き継がれている」「大きな魅力があり、ファンが多い」という点を挙げている。

(3)   直後で、「作品を見る人の生存や子孫を残す可能性には、ほぼ何の影響も与えない」と理由を述べている。

(4) Ⓓとなっている理由を次の段落で推察し、だから芸術作品などが「いきがい」になるのも説明がつく、と論を展開している。

(5) (4)も参照。こう考えればミームたちが生きがいをもたらしてくれるというのも妥当である→理解できる・適切である。

(6) ミームは進化し増殖するが、「人間の脳の中でしか存在できない」ため、他のリソースやミーム同士で脳の容量を取り合っているわけである。

(7) イ. 最後から三番目の段落の「文化や芸術は、人間の持つ複雑な情報処理が可能な脳という器官があることで、初めて生まれて増えることが可能になったもの」と合う。

ウ. 「ミーム」に含まれる小説や漫画などの説明として正しい。

【大問四】論説文の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

コミュニケーションにとって重要なのは「聞く力」であると説き、さらに「聞く力」を掘り下げて論じている。

(1)   まずコミュニケーションとは「意見」を交換して理解し合うことと定義し、同じ内容を12行後で相手がどういう「考えや価値観」をもっているかを拾い自分の「考えや価値観」と照らし合わせる、と表現している。

(2) Ⅰ. コミュニケーションは意見を交換して理解し合うことである。「つまり」納得がなければ成立しない。

  Ⅱ. 相手と自分の価値観を照らし合わせていく。「すると」相手の素顔が見えてくる。

  Ⅲ. 自分の言葉に翻訳する。「たとえば」~としましょうか。

(3) 「聞き方にコツがある」「自分の言葉に翻訳する」と述べ、さらに詳しく「相手の話を、自分が理解できる言葉や風景に置き換える(二十五字)」と言って、これこそが私の言う「聞く」ことなのだと明言している。

(4) まず話をよく聞いて相手を知り、共感できる部分を基盤とし、価値観が異なる部分も分かったうえで初めて、良い議論や意見交換が出来るのである。

(5) 逸る――心が急く→「うずうず」

(6) 「不本意だけど同調」であるから、相手の意見には賛同できないが相手に合わせる、という意味で選択肢エが選べる。

(7) レッテルを貼る

(8) 共感できてもできなくても、意見が違えば違うなりの関係がよく話しあうことで構築できる、というのが全体としての筆者の意見であるから、選択肢がよい。

【大問五】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:18分
  • ★必答問題

自分は自信がないのを怪我のせいにして部活をやめたのではないかと悩んでいた主人公だったが、バスケ部の仲間の温かい言葉に前向きな気持ちを取り戻す。

(1) 「心配してくれてありがとうございます」の語順を入れ替えた「とうちほう(倒置法)」。

(2) 以前から主人公は上達しないことで自信を無くしており、そこに怪我というやめる理由ができてしまったことで自分は部活から逃げてしまったのではないかと悩んでいた。「脚のことを理由にして、部活の苦しさから逃げた(二十二字)」といううしろめたさがあったのである。

(3) ①・② 部活から逃げたのではという負い目を感じている主人公は、クラスにバスケ部がいない「寂しさ」より、「ほ」っとする気持ちが強かった。

(4) バスケ部をやめた今、新たに吹奏楽部に入部しようという「勇気」である。その勇気が出なかった最初の場面は、見学の帰り際また見学に来てねと声をかけてくれた先輩たちに曖昧な笑顔しか返せなかった、という場面である。

(5) 先生の勧めがきっかけになって、バスケ部の仲間から暖かい言葉をかけてもらって、自分の本心に気づき前向きな気持ちになれたのであるから、選択肢ウがよい。

(6) 先輩らしく振る舞う仲間をみてたまらなく寂しくなったという部分の後【Ⅱ】が合う。

(7) 退部したのに練習に顔を出すのは気が引けて…などと遠慮するのは、バスケ部の仲間からしたら「よそよそしい」と感じてしまうだろう。

(8) 久しぶりに主人公と会って、以前のバスケ部に戻ったような楽しさ・なつかしさを感じているのであろう。

(9) 直後に会話が途切れる場面が描かれている。話していても気おくれを感じてしまい、以前のように屈託なく会話できないのだろう。

(10) ア. そもそも主人公はうそなどついていないし、みんなにもそんなことを思っているようすはない。

(11) 自分はバスケが上達しないという苦しさから怪我を言い訳にしてやめたのではないかと主人公は悩んでおり、吹奏楽部に入っても同じことを繰り返すのではと自信をなくしていた。しかし、バスケ部の仲間たちの言葉でそうではなかったのだと思うことができ、これから待ち受ける困難にもあきらめないで、自分や仲間を信じて取り組んでいけるのではないかと、前向きな姿勢を取り戻したのだと考えられる。

攻略のポイント

最新年度も文章量の多い試験である。問題の難易度も高い。素材文の長文化は難関校全般に見られる傾向なので、スピードを意識した演習をこなして、最後までやり通す手際の良さを身に付けておこう

とはいえ、文量が多いと時間切れの恐れは出てくる。無理そうな問題には早めに見切りを付けて、できる問題を確実に答えるのも作戦である。こつこつと手を抜かずに身につけた実力があれば合格圏に到達できる試験である。文学的文章・説明的文章・詩のそれぞれに、苦手意識を持たずに地道に勉強に取り組んで欲しい。

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