早稲田大学 政治経済学部 総合問題Ⅰ(日本文)
入試対策と勉強法
早稲田大学 政治経済学部 総合問題Ⅰ(日本文)
ここでは、早稲田大学の政治経済学部を目指す方に対して、国語の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。
※本学部は2021年度より大幅な入試制度改革が実施され、「大学入学共通テスト」(国語・数学ⅠA・外国語が必修科目+地歴・公民・数学ⅡB・理科・情報から1科目選択/「100点満点」に圧縮)と、学部独自試験の「総合問題」(100点満点)とを合わせて選抜されるようになっています。以下の「入試傾向」は、原則的に2024年度の「総合問題(日本文)」に準拠しています(ただし、必要に応じてそれ以前の問題に言及している場合もあります)。
早稲田大学政治経済学部 総合問題Ⅰ(日本文)試験の出題傾向とは
出題範囲(分野)
科目と出題内容は「日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する形式とし、記述式解答を含む」とだけ入試要項に記されています。
具体的には、2021年度から4年度分の日本文は論説文(評論文)が1つか2つとなっています(2021・24年度は1つ、22・23年度は2つ)。内容としては、「データサイエンス的要素」がある文章が続いています(2024年度は「メディアの効果研究」がテーマ)。
出題内容は、「空所補充」と「内容説明」を中心とした読解問題で、通常の現代文の問題と大差ありません。ただし、問題文中や設問中にいくつもの「統計図表」があり、その「読み取り」や「問題文との連関」が問われる出題が特徴となっています(2024年度は合わせて4つの「図表」)。また、「説明(意見)論述」が1、2問出題されます(2024年度は「説明論述」が1問)。
どういう問題を出題すべきなのかについて本学部の試行錯誤が続いているようですが、「論理的理解力」・「データ分析力」・「推論能力」・「論旨把握能力」・「論述力」が問われていることは間違いありません。そして、それは本学部の「アドミッション・ポリシー」にある「母語および英語を核とする言語運用能力や論理的思考力」・「自身の立ち位置を認識するために必要となる歴史・文化的知識」・「新しい時代に対応した理解力・分析力・コミュニケーション能力」などが求められているということなのです。
出題量と時間配分
問題文の文章量は、6000~7000字程度です(2024年度は約7000字)。
小問は6~7問(解答数は6~9つ)になっています(2024年度は7問で9つ)。
試験時間は総合問題全体で120分なので、日本文は60分弱で終えましょう。
出題形式
大問3題になっています。
Ⅰが「日本文」の読解問題(45点)、Ⅱは「英文」の読解問題(40点)、Ⅲが「英作文」(15点)という大問構成です。そのうち大問Ⅰの小問は、「空所補充選択肢」や「内容説明・統計図表読み取り選択肢」と「説明(意見)論述」になっています。
解答形式
ほとんどがマーク方式で、1~2問の記述式が混在しています。
マーク方式では、「傍線部内容」や「空所補充」「論旨合致」、「データ分析」などが問われています。
記述式では、「説明(意見)論述」で「論述力」・「推論能力」・「論旨把握能力」等が問われます。指定字数は「50~200字以内」(2024年度は「110字以内」)です。
早稲田大学政治経済学部 総合問題Ⅰ(日本文)試験を攻略するための勉強法
知識
直接的な出題はありませんが、「データサイエンス的要素」のある硬質な「問題文内容」を理解し咀嚼する為には、難解な語句や頻出テーマに関する「キーワード」を読み解く「知識」が当然必要となります。また、「説明(意見)論述」においても「高度な語彙力」が求められることは論を俟ちません。
そこで、先ずは「己が実力」を把握することが重要です。
「大学入学共通テスト」の漢字問題(要は同音異字、同訓異字の判別)がひとつの目安となります。「センター試験」も含めて最低10年分以上の過去問をこなしてみます。
その結果次第で、具体的な学習を進めていくのです。
尚、以下のサイトは「漢字問題」だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html
解法
基本的には現代文の読解になりますので、論説文(評論文)に特有の「解法」、そして、全てに共通する「解法」を体系的に理解し定着させて、応用できるようにすることが肝要です。
そのために重要なのが「復習」の仕方です。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須で、特に「間違った問題」が重要になります。誤ってしまった「分岐点」をしっかりと確認しておくのです。さらに、いくつもの練習問題や過去問を通じて、同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけてください。それが「解法」となります。
尚、具体的解法については本HPの別サイト「大学入試”王道現代文”」をご覧ください。
説明(意見)論述
本学部の説明(意見)論述は前述のように「50~200字以内指定」になっています。
説明(意見)論述で必要なひとつの「要素」は20~30字程度です。正否の分かれ目となる「最重要な要素」を「文末」として、他に「必要な要素」をその前に積み上げていく(積上げ方式)という手法を完璧にマスターすることが肝要になります。内容から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていく必要があります。そして、如何なる指定字数にも対応するために、いくつの「要素」でもまとめられるように慣れておきましょう。
尚、100~200字程度の「要約」を数多くこなすこともいい練習になります。
データ分析
総合問題(日本文)の特徴である「統計図表」の「読み取り」や「問題文との連関解読」に不可欠となるのが、「データ分析力」や「推論能力」です。それらを学習するのは、2022年度からの学習指導要領に則っている「数学Ⅰ」での「データの分析」と「情報Ⅰ」の「データの活用」になります。前者は「データを用いた計算や、計算で得られた『数値の意味』」を考えさせるもので、後者は「データを分析した『結果の意味』」を考察させるものです。したがって、高校の授業で確実に理解することと、テストや問題演習などを通じて反復練習し完全定着させることが必須となります。
尚、受講が困難な受験生は別途、参考書や問題集を通じて習得する必要があります。
推奨テキスト
ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
知識対策編
(1)『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
(2)『現代文最重要語句らくらく練習帳』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 [三訂版]』(桐原書店)
(4)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)
前項の「大学入学共通テスト(漢字問題)」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始めるのがひとつの目安です。反復練習して完全定着させましょう。特に(4)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解することが重要です。
現代文編
(1)『現代文読解力の開発講座[新装版]』(駿台文庫)
中級レベルです。
文章を客観的に捉える術が説明されており、難関私大から国公立へのステップアップ段階の一冊です。
(2)『現代文と格闘する[三訂版]』(河合出版)
上級レベルです。
「文章を読み繋ぐ」ことを主眼として、そのためのシンプルな「視点」を提案しています。難関私大・国公立合格を確実にする一冊です。
(3)『[記述編]現代文のトレーニング [改訂版]』(Z会出版)
上級レベルです。
頻出テーマに沿った問題構成で、「完成度」を自己採点で把握できます。「説明(意見)論述」に習熟するための一冊になっています。
(4)『得点奪取 現代文《記述・論述対策》[三訂版]』(河合出版)
最上級レベルです。
「採点基準」が明確に示されています。採点の厳しさで知られる「総合問題(日本文)」で失点・減点を防ぎ合格を固める一冊です。
※尚、(1)(2)(3)には「要約問題」があるので必ずこなしてください(「長文説明記述」の練習になります)。
(5)『早稲田大学政治経済学部(過去問)』
実践レベルです。
しっかりと解いて、「解法」を繰り返しトレースしてください。
データ分析編
(1)『教科書だけでは足りない 大学入試攻略 7日間完成 データの分析[改訂版]』(河合出版)
初級レベルです。
短時間で「データの分析」の学習が一通りできます。「図の読み取り」については、多くの図が掲載されていて違いが判断でき、「計算方法」についても徹底的にマスターできます。
(2)『大学入試 苦手対策! データの分析 確率分布 統計的な推測 に強くなる問題集 』( 旺文社)
中級レベルです。
データの分析、確率分布、統計的な推測に関する問題をまとめて扱った問題集です。図表からの読み取りの力、この分野特有の計算の力を着実に身につけられるように構成されています。
(3)『らくらく図解 統計実力問題集』(オーム社)
上級レベルです。
「統計学」を理解するうえで最低限必要なものを集めた問題集です。まず例題を理解してから、次に確認問題で例題の理解度をチェックし、最後にテスト問題に挑戦してみましょう。
意見論述編
(1)『吉岡のなるほど小論文講義10(改訂版)』(桐原書店)
初級レベルです。
「小論文とは何か?」「どのように文章を組み立てたらよいのか?」という基礎・基本を体系的に解説しています。入門から基礎力養成の1冊です。
(2)『合格できる小論文』(河合出版)
中級レベルです。
「系統別実践演習問題」を収録し、「自己評価グラフ」で「到達度確認」もできます。「意見論述」への完成度を高める1冊です。
(3)『小論文を学ぶ――知の構築のために』(山川出版社)
上級レベルです。
「読みと書きの技術論」「小論文に必要な知の構築」「実践演習を通じての知の習得」の3部構成で、高得点ゲットをターゲットに据える1冊です。
(4)『小論文 テーマ別課題文集 21世紀を生きる[改訂版]』(駿台文庫)
最終レベルです。
「主要頻出テーマ」ごとの「論点整理」「キーワード解説」が充実しています。万全を期すための1冊になります。
(5)『○○✕✕年の論点100』(文藝春秋/毎年11月発売)
実践レベルです。
毎年の日本の様々な「争点」が多角的に提起されており、「論点」「視点」の捉え方を習得できます。「時事対策」にもなる1冊です。
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