｢漢字の書きとり｣(全５問)。示されている(Ａ)～(Ｅ)の各文中の｢カタカナ｣を｢漢字｣に直す。昨年度同様に平易だ。本校志望者であれば｢全問正解｣が必須。確認する｡

(Ａ)｢時代のチョウリュウ｣＝｢潮流｣⇒何ら問題なし。

(Ｂ)｢最新作のドクソウ性｣＝｢独創｣⇒書けて当然⇒｢中学入試｣の定番。

(Ｃ)｢ケイロウの日｣＝｢敬老｣⇒問題なし。

(Ｄ)｢計画をメンミツに立てる｣＝｢綿密｣⇒一瞬悩むか？⇒｢詳しく細かいこと。すみずみまで注意が行き届いていること｣という意味も押さえておくこと。

(Ｅ)｢コウリツよく勉強する＝｢効率｣⇒｢同音異義語｣に要注意。尚、本校の｢漢字の書きとり｣では、わざわざ｢ていねいに書きなさい｣という｢条件｣が明記されている。ということは、それだけ厳しく採点されるわけだ。一点一画を意識して記すこと。

世界をこんなふうに見られれば、私たちはもっと強く優しくなれる――動物行動学者である筆者が、生きものと自然のユニークで新鮮な見方を伝えている。21世紀に生きるすべての人々に贈る、やさしい自然の魅力発見のエッセイになっている。本文では、人間は自分たちが自然に及ぼす影響の大きさに気づかないまま、取り返しのつかない形で自然を破壊していると警鐘を鳴らしている。平易な文章で内容は難なく理解できる。オーソドックスで標準レベルの小問が並ぶ大問だ。手際よく解き進めたい。いくつか確認する。

[問一]　｢空所補充の語句選択肢｣(全３問。５択)

本文中の　Ａ　～　Ｃ　の空所に｢入れるのに最も適当な語｣をそれぞれ答える。各選択肢は｢接続詞｣と｢副詞｣だ。こうした｢空所補充｣は本校に限らずどこの学校でも定番の問題。特に｢接続詞｣では、｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要がある。順に｢答え｣をチェックしていく。

　Ａ　には｢逆接｣の｢接続詞｣である(エ)｢しかし｣､　Ｂ　には｢添加｣の｢接続詞｣の(ウ)｢さらに｣、そして　Ｃ　には｢限定｣の｢接続詞｣である(イ)｢ただし｣がそれぞれ入ると判別できるはずだ｡いくつかの｢候補｣をしっかりと｢代入確認｣してから確定することが重要。尚、本校ではこうした｢空所補充選択肢設問｣は必出なので、細かな｢意味･用法の違い｣を確実に理解しておくこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：全問で１分強＞

[問三]　｢換言説明記述｣(｢40字以内｣指定)

傍線部①｢そういう自覚｣について、｢どのような自覚か｣を説明する。｢指示語換言｣だと分かる。開いていく(｢指示語｣が出たら即開くこと)。直前から、｢そういう自覚｣＝｢自然がすごいというより、人間がすさまじいという自覚｣だと読み取れる。これだけでは字数的に説明不足なので、補足すべき説明を｢同一意味段落｣で確認する(｢論説文(説明文)｣｢随筆｣では｢同一意味段落｣に｢根拠･手がかり｣がある)。｢同一意味段落｣は７つ前の形式段落からだが、前半の方で｢どれほどすばらしい自然でも、人間が介入すると、そのダメージはもとに戻らないほど深い｣｢人間の与える影響はとてつもなく破壊的だ｣などといったことが説明されている。あとは、指定字数に応じて｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢どれほどすばらしい自然でも、人間が介入する影響力はすさまじく破壊的だという自覚｡｣(40字)といった｢答え｣になる。｢指示語換言記述｣は本校に限らず定番なので、しっかりと練習しておくこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：２分半＞

[問五]　｢内容説明選択肢｣(４択)

傍線部③｢同じ問題を抱えざるをえない｣について、｢これはどのようなことを言っているのか｣を答える。｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣を試みたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡本問は｢内容説明｣なので、傍線部の｢原意｣と結びつかない｢内容｣を｢消去｣する。通常は各選択肢の｢文末｣と照合するが(｢選択肢説明｣での最重要ポイントは｢文末｣だ)、本問は各説明がとても短いので全体をチェックする｡

(ア)｢人間はほかの動物や環境のことを考えずに行動してしまうということ｣､

(イ)｢人間は関わるだけでどうしても自然に影響を与えてしまうということ｣､

(ウ)｢人間は自然に無力でありながらも介入したくなってしまうということ｣､

(エ)｢人間は粒子と同じように自然のふるまいをも変えてしまうということ｣｡

どうだろうか？ ｢抱えざるをえない｣のだから、｢どうしても自然に影響を与えてしまう｣以外は即｢消去｣だと分からなくてはいけない。念のために他の部分の説明を｢同一意味段落｣で確認する。特には誤っていないと判断できる。よって、｢答え｣は(イ)だ。華麗なる｢一発消去｣ではないか！ ｢原意消去｣、必ず完全習得して使いこなせるようにしておくこと。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分強＞

[問六]　｢条件付き内容説明抜き出し｣(｢13字｣指定)

傍線部④｢人間中心主義｣について、｢どのような考え方｣なのかを｢十三字ちょうど｣で抜き出して答える。｢条件｣は｢解答欄に合うように、★より前から抜き出す｣こと。｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣を特定した上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んで探していくことがポイントだ。｢内容｣は設問のとおりで、｢人間中心主義｣とは何かということだ。｢抜き出し範囲｣は｢論説文｣なので通常は｢同一意味段落｣だが、本問では｢｢★より前｣という｢条件｣に従う｡丁寧に探していく。すると、傍線部から４つ目の形式段落に｢人間は自然を征服するものだと思っている西洋の人間｣という部分がある。まさに、｢人間中心の考え方｣だ。｢抜き出し範囲｣には他に候補はない。よって、｢～という考え方｡｣という｢解答欄｣と｢指定字数｣を勘案して、｢答え｣は｢人間は自然を征服するものだ(という考え方｡)｣(13字)になる。尚、｢抜き出し｣では｢候補｣はひとつとは限らないので、必ず全ての｢範囲｣を確認することが肝要だ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：２分弱＞

人と話すことが苦手な｢美咲(みさき)｣(わたし)。いつも困ったときに寄りそってくれていた愛犬｢レオン｣の死をうまく乗り越えられず、たくさんの悩みを抱えたままだった。そんな｢美咲｣の目の前にあらわれたのは、｢レオン｣にそっくりの犬｢ビリー｣だった――どれだけ暗いトンネルの中にいても、夜明けはいつか必ずやってくることを信じさせてくれる物語。本文では、｢美咲｣が｢ビリー｣の飼い主の｢おねえさん｣と一緒に、保護犬の｢サン｣を散歩に連れて行く様子が描かれている。内容は理解しやすいはずだ。多種多様な小問が並び、最後に｢自由作文問題｣が待ち構えている。以下、いくつかの｢設問｣を検討してみたい。

[問三]　｢無言内容類推説明選択肢｣(４択)

傍線部②｢『……』｣について、これは｢美咲がある言葉を言おうとして言えなかった｣ということだが、｢ある言葉の内容｣を答える。とてもユニークな問題だ。さて、どうするか？ 何はともあれ｢同一場面｣を確認したい(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢根拠･手がかり･ヒント｣がある)。直前から、｢おねえさん｣が自分自身のことを｢弱さも含めてありのままに語ってくれた｣ことに対して、今度は｢美咲｣が｢自分の言葉｣で｢自分のこと｣を伝えようとしている部分だと読み取れる。各選択肢は、

(ア)｢『おねえさんは、どうして花屋をはじめたの？』｣･(イ)｢『わたしも少し前に、すごく悲しいことがあったんです』｣､(ウ)｢『おねえさん、元気出して』｣､(エ)｢『わたしは近くの小学校に通っている六年生です』｣｡｢美咲｣が｢自分のこと｣で｢言おうとして言えなかった｣ことは無論、｢大好きだったレオンを失ったこと｣だと類推できるので、｢答え｣は(イ)になる。自分が解いたことのない新手の問題内容であっても、決してあせることなく、何を答えるべきなのかを冷静に考えて解き進めていけばよいと心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：３分＞

[問四]　｢内容説明選択肢｣(４択)

傍線部③の｢気持ち宝箱｣という言葉からは、｢おねえさんが『気持ち』をどのようなものとして考えていると分かるか｣を答える。先ずは｢原意消去｣から。本問は｢内容説明｣なので、｢宝箱｣という｢比喩表現｣の｢原意｣と結びつかない｢内容｣を｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣と照合する｡

(ア)｢他人に決して見せてはいけないもの｣､

(イ)｢光りかがやく素晴らしいもの｣､

(ウ)｢保管しておきたいもの｣､

(エ)｢大切にとっておきたいもの｣｡

｢宝箱｣＝｢宝物が入った箱｣⇒｢たからもの｣＝｢たいせつなもの｣なのだから、｢大切にとっておきたいもの｣以外は即｢消去｣だと判断できるはずだ。念のために他の部分の説明を｢同一場面｣で確認しても、特には誤っていない。よって、｢答え｣は(エ)だ。ここでも見事なる｢一発消去｣だった。 やはり、｢原意消去｣は本校合格のための｢たからもの｣だと心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分強＞

[問九]　｢条件付き自由作文｣(｢字数指定｣なし、｢120字ほど｣の解答欄)。｢作文問題｣。

本文では、｢名前を呼ぶ｣という行動が｢美咲にとってサンやおねえさんとの関係、そして自分自身を変える重要なものとして描かれている｣が、｢あなたのこれまでの経験の中で『名前を呼ぶ』または『名前を呼ばれる』ということが特別な意味を持った出来事｣について｢作文｣する。｢条件｣は｢実際の経験や具体例をあげて作文する｣こと。本文では、｢美咲｣は｢サンの名前を呼ぶこと｣で絆(きずな)を築いたり、｢葉子さん｣という｢おねえさんの名前をあらためて呼び｣、より親しい関係に進み始めたりしている。そうしたことを読み解き、参考にしながら、｢あなたが、名前を呼んだり呼ばれたりしたことで相手との関係が一歩深まったこと｣について、何か｢実際の経験や具体例｣を取りあげて｢作文｣していけばいい。その際に、｢『名前を呼ぶ』ことや『名前を呼ばれる』ことを意識したきっかけ｣に触れ、そうしたことが｢『特別な意味』を持つことになった理由｣についてもしっかりと述べていくことを忘れてはいけない。設問文には｢評価は、表記もふくめた言葉としての正しさ、巧みさにも着目しながら、文章として完結しているもののみ内容を中心に行います｣と記されている。したがって、そのことを十分に留意する必要がある。尚、｢作文問題｣は本校が求めている｢鑑賞力･想像力･創造力･表現力｣の全てが網羅されているので、｢白紙｣のままというのは絶対に避けたい(本年度の配点は｢10点｣)。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：５～６分＞