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2024年度「城北中学校の算数」
攻略のための学習方法

城北中学の算数は,男子校らしい問題の難易度と適切な問題量を持ち,毎年多くの受験生に受け入れられているオーソドックスな内容である。しかしながら、問題傾向に特徴を持っているので,そのための対策を施しておく必要が生じている。
それは、頻出である「図形問題」への対応である。もともと図形問題と一括してもいろいろな分野がふくまれているし,他校においても図形問題が複数出ることは当たり前であるが,城北の場合は問題数の半分近くを占めることがあり,図形分野の得意不得意が合否に大きく影響することは想像に難くない。

「図形」問題への対応に関してはやはりテクニック的なことに触れることになる。
「和差算なら線分図」「平均なら面積図」というように,問題 の内容によって典型的な解き方というのが存在し,その解き方を身につけるために日々勉強を続けているわけだが,図形の場合は「円の面積なら半径×半径×円周率」という公式の暗記だけでは解けないことが多い。ことに城北の算数で単純に円の面積を求めさせることはあり得ない。同様に,ありたきりの公式暗記は必要条件ではあっても十分条件ではない。

ポイントはもう一つ上のランク,「やっておきたい作業」の習得となる。
たとえば,平成28年度大問【2】(1)。「折り返した図形において,等しい角度にはしるしをつける」ができているだろうか。(6)の補助線しかり。また、平成30年度大問【2】(4)(5)もまた、補助線を引けないと答えが導けない作りになっている。
手作業が必要な問題を受験生は敬遠する嫌いはあるけれども,それでは城北中学の合格が遠ざかってしまう。
図形の問題は,特殊算と違って解き方を覚えたからと言って必ずしも解けることは限らない。だからこそ,「図形問題にはひらめきが必要だ」などとまことしやかに伝えられ,それを一概に否定することはできないけれど,まずは正解する可能性が高くなる作業は出来るようになっておきたい。
今回実例に挙げた以外にも,図形問題「解法のテクニック」はいくつも存在するだろう。公式を超えて,それらもしっかりと自分のものにしておきたい。
さて,「城北中学合格のための勉強法」をまとめると

・過去問を解いて自分の力との兼ね合いを図り,おおよその合格ラインを見据え,それに合ったレベルの問題をたくさん解く。
・図形の問題では直感に頼った解き方ではなく,テクニックとして必要なものの中からいつでも必要な作業を取り出せるようにしておく。
・基礎的な問題が解けるだけでは合格点には到達しない。一行問題集のレベルから早く脱して,標準的な文章題に対応できるポジションまで到達しておきたい。

城北中学の算数は総じてオーソドックスな問題が多い。特殊な勉強法は要らないので過去問に取りかかるのは力が十分ついた秋からで間に合う。それまでにどの分野から出されても高い正答率を持って問題にあたれるよう地道に力をつけておきたい。
易しくはないが決して困難ではない、城北中学の問題に真っ向から挑戦してみよう。

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2024年度「城北中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

試験時間は50分で大問が5,小問が16、問題数に対して解答のための時間は十分にあると思われる。計算問題の2題と独立小問の5題は慌てることなく確実に正答したい。その上で大問3題については、各大問の中の前半の問いを正答したい。

【大問1】計算問題

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

(1)□を求める問題。計算の順序を間違えないように落ち着いて処理すること。

(2)整数・小数・分数混合の四則演算。

いずれもやや複雑な計算。日頃から多少複雑な計算問題を、工夫をしながら解く練習を行うこと。

【大問2】小問集合

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

(1)過不足算 「4個しか入らない箱が1箱と空の箱が2箱」は32個不足、と考えることができる。

(2)食塩水の濃さ てんびん図または面積図で考えると、AとBを5:7の割合で混ぜると15%の食塩水ができることがわかる。比の2にあたる重さが80gなので、Aの重さは200g。

(3)場合の数 樹形図を描いて丁寧に考えること。

(4)平面図形 折り返し図形における求角問題。折り返しによってできる等しい角度に注目すること。

(5)図形の移動 丁寧な作図がポイント。置かれている4つの円と移動する円の中心を結んで考えると、150度の回転が4回あることがわかる。

平面図形・濃さ・場合の数・平面図形・図形の移動の独立小問5題。小問としては標準レベルの問題が並んでいる。慌てることなく、図を描くなどの作業の丁寧に行うこと。

【大問3】通過算とグラフ

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

(1)グラフより、列車Aの長さは360mで、24トンネルに入り始めてから24秒で全体   がトンネルの中に入ったことがわかる。360÷24より、秒速15m。

(2)グラフより51秒後に列車Aの先端がトンネルから出始めていることがわかる。51秒間に進んだ距離がトンネルの長さにあたるので、15×51より、765m。

(3)グラフより、列車Bの長さは272m。トンネルに列車の先頭が入り始めてから完全にトンネルから出るまでに61秒かかっている。この間に列車とトンネルの合計の長さを進んだことになるので、(272+765)÷61より、列車Bの秒速は17m。アは272÷17より16秒。イは80-16より64秒。

(4)列車Bがトンネルに入り始めた時、列車Aの最後尾と列車Bの最後尾は、765-15×⒚+360+272より1112m離れている。この2点の出会いの旅人算と考えると、1112÷(15+17)+⒚より、列車Aがトンネルに入り始めてから53.75秒に2つの列車がすれ違い終わるとわかる。

通過算とグラフに関する出題。速さとグラフについては本校では頻出。(3)までは、通過算の基本な解法が身についていれば十分に正答可能。(4)は2つの列車とトンネルの位置関係を図に描いて考えること。

【大問4】条件整理

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分

(1)問題文の説明より、1回目に1、2回目に3、3回目に5、4回目に7が取り除かれる。同様に考えると、1000回目には1000×2-1より、1999が取り除かれる。

(2)最初の枚数が8のとき、12345678⇒3456782⇒567824⇒78246⇒2468⇒684⇒48⇒8となる。同様に考えて、枚数が16枚のときは16が最後に残る。これより、枚数が2、4、8、16、32・・・のときは、最後の番号のカードが最後に残ると考えられる。最初の枚数が35枚のとき、32枚になったときの32枚目のカードが6なので、最後に残るカードは6となる。カードの枚数が2024枚のとき、1000回目の操作で1024枚目のカードが2000になるので、最後に残るカードは2000となる。

操作の説明に従ってカード並べ替えたときに、最後に残るカードについて考える問題。難しい発想の問題だが、考え形の流れが書かれてあるので、その誘導に従って解き進めていけば正解にたどり着くことができる。

【大問5】立体図形(切断)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分

(1)正六角形ABCDEの中心を通る3本の対角線を引くと6個の正三角形に分かれる。この図より、ADの長さは4㎝の2倍で8㎝とわかる。

(2)AからDに線を引きBFとの交点をSとすると、SDの長さは6㎝。同様に、GからJに線を引きIKとの交点をTとすると、TQ=6㎝。求めるべき切り口は平行四辺形DSGTで、底辺は6㎝、高さは10㎝なので、その面積は6×10より60㎠となる。

(3)ADの中点をX、GJの中点をYとすると、平行四辺形AXJYと(2)で考えた平行四辺形DSGTの交わった部分の六角形が切り口となる。(3)で求めた面積から、底辺4㎝高さ20/3cm の三角形を2つ引けばよいので、60-4×20/3×1/2×2 より100/3㎠となる。

立体の切断に関する出題。(1)正六角形の分割についての易問。(2)(3)は切断面を描くことができるかどうかがポイントとなる。(2)(3)いずれも切断面の面積を求める問題で、(3)では相似を使って長さを求めることができるかどうかもポイントとなる。

攻略のポイント

テスト時間は50分、100点満点で例年通りであった。
今年度第2回入試の合格者平均点は73点で、昨年と同じ得点であった。合格者平均点が昨年・今年と高くなっているので、逆にミスは許されない入試になっている。今年度の出題においては、大問5の立体の切断に関する出題でややレベルの高い問題が見られたが、それ以外は比較的考えやすい問題が多かった
今年度の出題においては、大問1の計算をミスなく正答できたか、大問2の独立小問を確実に正答できたか、大問3以降では前半の設問で正答できたか、以上が合格点を上回るために必要になる
城北中学(第2回)合格への対策として、次のことがあげられる。

・塾の教材や市販の問題集などで中程度の問題をしっかりこなし,正答率を上げておくこと。
・分野としては平面図形・立体図形・速さとグラフが頻出である。これらの単元を多少レ ベルの高い問題も含めて十分に練習すること。
・確実な計算力を身につけること。

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