巣鴨高等学校 入試対策
2024年度「巣鴨高等学校の国語」
攻略のための学習方法
例年、論説文が出題される。論説文の特徴は何と言っても「主張の明確さ」と「論理展開の的確さ」であろう。論説文が入試問題として採用されるのは、その様な背景がある。事前の何らの準備もなく、入試本番で論説文を読んで問題に取り組んでも、適切な内容理解と設問への解答は望めない。当然ながら、事前の入念な準備は欠かせない。
それでは、どのような文章をどのように読めばよいのか。結論から言えば、論理的文章を丁寧に読み、自分の頭で考える、ということである。初見の文章であろうと、初めて触れる概念であろうと、書かれている内容をキーワード(何度も繰り返し使われている言葉)、表現(筆者ならではの独特な言い回し)を中心に整理することである。
事前の準備として、可能であれば、社会科学系、哲学系の書籍を読了することを勧めるが、時間的にも余裕がない受験生にとっては演習で行う「問題文」が最良の「読書」である。入試に扱われるような文章は、論理性にも優れ、極めて的確に解答を考えられるような文章になっている。
したがって、時間の余裕のない環境では「入試問題」を精読することが最高にして効果的な論説文対策の対処方法であろう。さらに、より自分の論理的思考力を向上させようと望めば、取り組んだ問題(論説文)について論点の流れを箇条書きで構わないので書き出してみることも有効である。これは、自分の頭の整理にもなるし、考えを文章としてまとめ上げる作業が効率よく可能となるはずである。
その際に、主観的意見や考えは極力排除し、あくまでも筆者の考えの流れに則した理解をするように努力すること。また、その様な作業を通じて習得して欲しい手法は「どのような手順とプロセスで結論に至るのか」と言いうことである。つまり「Aという事象にはBとCの背景が考えられる」という論理があった場合に、「何故Bなのか」、「何故Cなのか」を考えなければいけない。
その上、BまたはCという結論を導き出すために、どのような論理をあてはめているのか、をあぶり出すことである。たとえ、それが自分の考え方と異なっていたとしても、主観的な考え方は排除して筆者の考え方を忠実に辿ることである。
なかなか時間的な余裕はないだろうが、少ない時間を見つけては新聞やテレビのニュースなどを通じて「物事の捉え方・考え方」について、考える習慣を身に付けるべきである。特に、新聞に書かれている社説を毎日読み込むことも「論理的文章を読み込む」上では、最良の練習であろう。
とにかく、過去の入試問題における論説文や学校の授業で習う国語の教科書における論説文でも、その全てが自分の論理力を高めるための最高の教材であると自覚し、真剣に取り組むことが大事である。
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2024年度「巣鴨高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、論説文の読解総合問題<18分>。
人生に関する哲学的論説文読解問題である。
大問2は、小説の読解問題<21分>。
心情把握を主とした小説の総合読解問題である。
大問3は、古文読解問題である<21分>。
古典文法、現代仮名遣い、内容把握、文学史が主な出題内容である。文学史も一題出題されるので主要な作品名と作者名は押さえておこう。
【大問一】人生に関する哲学的論説文の読解問題
- 時間配分:18分
出典は、『友情を哲学する』(戸谷洋志著)である。
問1は、漢字問題である<2分>。
標準的な漢字なので、完答を目指したい。「記憶」「繊細」「慎重」「紛」「万策」である。
問2は、接続語問題である<2分>。
1「失ったことによる苦悩は、あなたにしかわからない」のであるから「だからこそ」が適切である。
2「苦悩が解消されるならばいいじゃないか」に対して、ニーチェは「そうは考えない」のであるから「むしろ」が適切である。
問3は、内容把握記述問題である<4分>。
70字の記述問題である。筆者は「同情」をどのようにとらえているかを把握する。筆者は「同情」とは「『私』が友達の苦悩を、自分の苦悩のように感じること」であると考え、さらに「同情するということは、『私』には本来知りえないはずの他者の苦悩を、あたかも『私』が経験したことのある苦悩であるかのように理解し、わかった気になることを意味する」と認識しているのである。
問4は、内容把握選択問題である<2分>。
不適切な選択肢を選ぶ問題である。適切な選択肢を選ばないよう注意すること。筆者は「苦悩との戦いは自己の人生のために必要な試練」であるとの記述はない。さらにその苦悩を「友達とともに超えることで友情が深まる」とは言及していない。
問5は、内容把握選択問題である<1分>。
不適切な選択肢を選ぶ問題である。「友人への途切れることのない愛を意識して付き合う」が不適切である。
問6は、内容把握記述問題である<3分>。
「友達と敵対すること」は友情の否定ではなく、「互いを成長させ、理想へと近づけさせる」ことであり、「より大きな困難と立ち向かい、成長することができる」のである。
問7は、内容把握選択問題である<2分>。
「君の心がもっとも彼」に近づくとは、「友人と敵対する」場合に「友人と相通じる思い」が不可欠なのである。
問8は、要旨把握選択問題である<2分>。
ニーチェは「『友情』と呼ばれるに値する」とは、「友達同士が、…互いにより高い『理想』を目指す関係」であると言及している。
【大問二】小説の読解総合問題
- 時間配分:21分
出典は、『燃やす』(西加奈子著)。
問1は、漢字問題である<2分>。
標準的な漢字の書取り問題である。「瞳」「無尽」「緊張」「軽蔑」「粘」である。
問2は、内容把握選択問題である<3分>。
「私」は、煙によって母の行為(母のスカートを焼かれた経験)を思い出したのである。
問3は、心情把握選択問題である<3分>。
「私」は、「燃えないにちがいない」と思えるようなものでも「綺麗に」燃やしてしまう「おじさんの手管」に夢中になっていたのである。
問4は、内容把握抜出し問題である<2分>。
「母の燃やしかた」と「おじさんの燃やしかた」との違いについて考える。母は「何かを罰するように燃やす」のであるが、おじさんは「何かを慰めるようなようなやり方」で燃やすのである。
問5は、心情把握記述問題である<5分>。
母の意に反して「かわいくなりたい」ためにスカートをはき、事件に巻き込まれてしまった私を母は強く非難したのである。
問6は、内容把握選択問題である<2分>。
おじさんの発言はプロフェッショナルとして適切ではあるが、燃やしたいものがあっても燃やせないものがあることに関する気持ちは「私」に通じるものがある。
問7は、内容把握選択問題である<2分>。
事件に巻き込まれた「私」を他の人とは違って受け止めてくれる人であると「私」は感じたのである。
問8は、内容理解選択肢問題である<2分>。
本文において「燃やす」という行為は、「これまでの自分の生き方から解放してくれる」行為であり、自分を救済してくれるきっかけとなる行為である。
【大問三】古文(説話)の読解問題
- 時間配分:21分
出典は、『沙石集』である。
問1は、歴史的仮名遣い問題である<1分>。
「習ひ」は「ならい」と読む。
問2は、古典文法問題である<3分>。
A主語は「ある若き僧」である。
B主語は「隣の坊の若き僧」である。
C主語は「隣の坊の若き僧」である。
問3は、現代語訳選択問題である<1分>。
「やらむ」は「~であろうか」という意味であり、「何経であろうか」という意味になる。
問4は、古語意味問題である<2分>。
Ⅰ「給べ」は「ください」という意味である。
Ⅱ「あまた」は「たくさん」という意味である。
問5は、内容把握問題である<2分>。
二巻は「仁王経」、八巻は「法華経」とされたのである。
問6は、内容把握選択問題である<2分>。
「隣の坊の若き僧」が経典をくださいと言ったのである。。
問7は、古典文法問題である<2分>。
係り結びの法則である。
問8は、現代語訳問題である<2分>。
「さ見候ひつる」は「そのように見ました」という現代語訳になるが、この場合は経典の持ち方が逆さまであるということを気づいていた、ということである。
問9は、内容把握記述問題である<4分>。
本文に「文字にも向はで覚えたる」とある。五人の僧に共通しているのは、文字が分からないということである。
問10は、文学史問題である<2分>。
出家した人物によって書かれた仏教説話集は『徒然草』である。
攻略ポイント
論理的文章に関して、「自分の頭で考える」練習をしっかり積むことである。筆者がどのような主張を、どのような根拠(考え方)で、どこまでをどのように論理展開しているのかを、丁寧に的確に追い掛けてゆくスキルを高めることが大事である。
その際には、本問でもあてはまるように「キーワード」が極めて重要である。文章の初めの段落や最終的な段落に繰り返し使われている「ことば」を抽出する方法を身に付けることである。
途中の段落においても、筆者が『結論』らしき事柄の導入部分を瞬間的に見抜く力を向上させたい。そのためにも、日頃から身の回りの事象や社会の現象に対して、高い意識を持ち自分の考えを持つようにすることが大切である。
また、知識問題の分野(漢字、ことわざ、慣用表現、文法、文学史)も怠りなくしっかり押さえておきたい。