慶應義塾高等学校 入試対策
2024年度「慶應義塾高等学校の英語」
攻略のための学習方法
合格を絶対に勝ち取るための学習法について以下にその概要を項目別に述べることとする。
①単語力・イディオム力は大事である
英単語は、最低でも3500語は欲しい。最難関校用の単語帳(英検レベルでは準2級相当)をしっかり学習し単語力を定着させること。イディオムも800~1000は確実に習得して欲しい。
どのようにすれば、それだけのボリュームを習得可能になるのであろうか。
英単語を例に考えてみよう。英単語に限らず、時間的に限られたなかで「如何に効率よく受験勉強を進められるか」が重要である。「効率よく」とは「既に理解している事柄は再度学習しなくともよい」ということである。つまり、心掛けなければならないのは「まだ理解していない事項および理解が曖昧な事項」についてだけ取り組めばよい、ということである。
英単語についていえば、上記「単語帳」の中で、単語の意味が完璧に覚えていない英単語がいくつあるかを早急(2日間程度)で洗い出すのである。そして、これらの理解不十分単語の数を自分が習得したい日数(100日または150日)で割って一日当たりの学習するべき単語個数を算出するのである。仮に、算出した一日の学習個数が10単語となったら、徹底的にこの10個を覚え切るのである。
そして、一週間に一日「まとめ日」を設け、それまで行ってきた6日分の単語数(10×6=60個)に対する「チェック」を入れるのである。そこで理解が未だに不十分である単語を抽出し、さらに6で割った数字を翌週の一日当たりの習得単語数に上乗せして学習を継続するのである。
この繰り返しを行なうことにより、英単語は徐々に自分のものとなり、飛躍的に英単語力は伸びてゆく。
また、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。
②文法事項をしっかり習得しよう
(1)関係代名詞・関係副詞についての理解を深めることが重要である。
英文が長くなる主たる原因の一つであるからだ。目的格(whom/which)の省略に慣れることや、先行詞を修飾する関係代名詞に導かれた形容詞節が何処までかを( )でくくり前にある先行詞にかけて(修飾させて)訳を考えること(いわゆる『返り読み』)は行わないように。
これは、最後まで読んで前に戻るという手法で時間のロスが大きい。その場合には、関係詞に関係なく左から英文に合わせて先行詞まで一気に読み、関係代名詞以下を「そして~である」と読めるように日頃から練習を積むべきである。いわゆる『返り読み』をしないとこが大切である。
(2)分詞構文には十分慣れておくこと
文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と捉えること。
分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。しかも、次に述べる接続詞(as)との関係で、ⅰ)~ⅳ)をしっかり覚えること。
なぜならば、asにはⅰ)~ⅳ)の全ての用法があり、さらに付帯又は時の経過(~するにつれ)という用法もあるからである。
また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)な受動態の場合であることも必須知識である。
(3)仮定法は願望である
少々乱暴な言い方に聞こえるかもしれない。どういうことか。一文を例示しよう。仮定法過去(現在の事実を否定しこうだったらいいのになぁという願望)の典型的な英文を一緒に考えてみよう。
If I were a bird, I could fly the sky.
一度は目にした英文だろう。例文の動詞(助動詞)の時制は見た通り『過去』であるが、文頭にifがあるために、この英文は仮定法過去の文章となり現在の事実を否定して、現実とは逆のことを想定しているのである。つまり、現実には「私」は現実には「鳥」ではないが、もし「鳥」ならば空を「飛ぶ」ことができる(空を飛びたい)のに、という「私」の願望が込められているのである。
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2024年度「慶應義塾高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、長文読解(適語句選択)問題<8分>。
大問2は、誤文箇所訂正問題<9分>。
大問3は、適語補充による長文完成問題<10分>。
大問4は、長文読解総合問題(物語文)である<33分>。
英問英答問題、内容一致問題、文脈把握問題、英文和訳問題、条件英作文が設問内容である。例年の出題形式と変更はない。
【大問1】適語句選択による長文読解問題
- 時間配分:8分
1.「~に属する」はbelong to ~である。
2.so ~ that …の構文と文脈を考えること。
3.前後の関係から「~のことを気の毒に思う」となるので、felt sorry for となる。
4.該当文の初めにremovedとあり、これとの対比で考えるとappearedが適切である。
5.前後関係は対立関係にあるのでeven though ~「~だけれども」となる。
6.a small communityにおいてもいじめが発生していたのである。
7.文脈的に「なぜ、そんなこと(いじめ)をやったのか」という疑問文が入る。
8.選択肢のlookの意味は「見た目、表情」である。
9.過去の出来事について述べている個所であるので「過去形」を選択する。
10.「いじめる側」と「いじめられる側」の対比である。「いじめる側」はmake fun of ~「~をからかう」のである。
【大問2】誤文箇所訂正問題
- 時間配分:9分
1.runs under を現在分詞の形容詞的用法(後置修飾)を用いてrunning under とする。
2.「人が~するために」としたいので、for 人 to ~ とする。
3.「もはや~ない」としたいので、no longer ~とする。
4.文脈を考えると本問は受動態で表す。
5.倒置構文であるので、主語はoperationsであり複数であるのでwasは間違いである。
6.原因を表す形容詞的用法の不定詞でるのでto haveとする。
7.本問は現在完了形であるのでwhenではなくsinceとする。
8.「~することを止める」となるのでrepeatはrepeatingとする。
9.a questionを修飾するために関係代名詞whichを用いて表す。
10.「~ができない」としたいので be unable toとする。
【大問3】適語補充による説明文の長文完成問題
- 時間配分:10分
1.複数の中から選択する疑問詞を考える。
2.前文にあるthe five-storied pagoda「五重塔」を言い換える。
3.主語+be動詞が省略されている文法上のルールをあてはめる。
4.「~をよじ登る」としたいのでclimb up ~である。
5.本問は「角度」を表しているのでdegreesとなる。複数になることに注意。
6.「~に当てはまる」としたいのでbe true for ~とする。
7.half the ~で「~の半分」とする。
8.三角形の残り2辺のうちの1辺を表しているのでanotherとなる。
9.手段(~することによって)を表すbyを用いる。
10.Howを用いる感嘆文である。
【大問4】物語文に関する長文読解問題
- 時間配分:33分
A:英問英答問題<6分>
英問の内容は以下のとおり。
1.「ポールの母親が不幸を感じている理由は何か」である。
2.「ポールと2人の妹についてどれが正しいか」である。
3.「ポールの父親について正しくないものはどれか」である。
4.「ポールの家族が平均以上の暮らしをしていることを示すのに不適切なものはどれか」である。
5.「下線部(ⅰ)と意味が最も近いものはどれか」である。
6.「XとYに入れる最適な選択肢はどれか」である。
7.「ポールの母親は、ポールが狂ったように揺り木馬に乗っていたことをどのように感じていたか」である。
8.「ポールの心を取り乱させたものとして不適切なものはどれか」である。
9.「ポールの母親の反応で一番ポールが恐ろしいと思っていたものは何か」である。
10.「この物語の中で、おじのオスカーを最も適切に表しているのはどれか」である。
B:英文語句解釈問題<7分>
①本問のin styleは「贅沢に」という意味である。
②この場合のtastesは「嗜好、好み」という意味である。
③文頭にあるItはluckのことである。
C:英作問題<20分>
英問の内容は以下の通りである。
1.「下線部(ⅱ)で、ポールの性格についてどのようなことを示唆しているか」である。
2.「この物語を完結させる結末を書くことを想像しなさい。幸せな結末と幸せでない結末のどちらを選ぶか」である。
(1)「なぜその結末を選んだのか」である。
(2)「ポールとポールの母親との間に何が起きるであろうか」である。
攻略のポイント
相当な英語力が求められているものの、全く手も足も出ないというレベルではない。単語力、イディオム力、文法知識、長文読解力などをしっかり身に付け、事前の準備として全国難関校の入試問題演習を徹底的に行え ば、合格点は達成できるだろう。
特に意識しておいてもらいたいのは、「読解力」である。600~800単語の長文を5分前後で読み込める「力」が欲しい。そのためには、単語力、イディオム力が不可欠であるのはいうまでもないが、一番大事なことは「長文読解に慣れる」ということである。
つまり、全国上位校に出題されるような長文総合問題を2日に1題を目標に継続して演習し続けることである。そのような練習を通じて「速読力」と「精読力」を身に付けることが可能になる。