中央大学附属高等学校 入試対策
2024年度「中央大学附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法
解法
特有の「説明文問題」だけではなく、「選択肢」「抜き出し」「空所補充」、その他の問題も含め、「中附の国語」で勝利を手中に収めるための基本は、何度も指摘している通り、いかに「解法」をうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。
それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵、否、それ以上の問題文を読まなくてはならない。全体で15000字程度。解答時間は60分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。中附に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速750字以上(できれば800字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「文法」なども含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「中附の国語」(直接出題だけではなく、「説明文問題」等でも不可欠)。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ、かも知れない。が、そこで諦めてしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ることだ(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「問題文理解」にも不可欠だ。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
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2024年度「中央大学附属高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2024年度は素材文で15000字ほどあった。本文と設問とでかなりの文量を読まなければならないので、読むのが遅いと不利である。設問形式は選択肢問題が大半を占めるので、ここを素早く的確に選べるように、類似の問題で「選ぶ」スピードも意識した練習を。とにかく最後まで一通り問題に手を付けられるスピードを身につけよう。
【大問一】
- 時間配分:28分
わたしたちには見えているのに見ていないものとは何かという問いから始まり、若者の諦観や老いの語りには偶然と特異性への眼差しが欠けているとし、どんな人に対してもその人の存在をまずは肯定するという意識が無いと、老いの声や自分の声すら聞き洩らしてしまうと述べている。
問1 a. 窓際 b. 喪失 c. 稼(ぎ) d. 紡(ぐ) e. 毛頭
問2 番組が選んだ話題だけを取り上げ他のことは見て見ぬふりをし、また報道自体が世間話のように一時人の口には上るが時間が経てばすぐに忘れられてしまうような、恣意的な通り一遍の話になってしまっているのである。
問3 A. ハ B. ニ C. ヘ D. ロ
問4 「偶然の出逢い」と「存在の特異性」への想像が欠けている点を「不遜」だと言っているので、選択肢イが合う。
問5 〈老い〉については老いる人自身の口から語られる(ロ・主体)べきである。〈老い〉とは誰もが経験する(ニ)自然なものだが、年齢という客観的基準(ハ)で区切ると「問題」としてしか捉えられない。これは〈老い〉の問題が当事者の存在を軽視して(イ)語られるからなのである。
問6 「老いは老いについて語る意識をも浸潤してくるもの・老いる以前の精神構造を裏切るもの」であり、きれいな物語のようには語られず、「ぼそぼそ、あるいはぽつりぽつり漏れてくる」声となるのである→選択肢ホ。
問7 ⑤ 浸潤――思想・雰囲気などがしみこむように広がっていくこと。
⑥ 契機――物事の始まりや変化の直接の要因や原因。
⑧ 格律――世間で広く認められている行為の基準。
問8 死を前にした引き返し不可能ななかに、だれかとの関係の抜き差しならなさが高じれば高じるほど、きれいな物語のようには語り得ないその人の「老いの異様さ・特異性」が現れるのである。
問9 「作る世代」とはバリバリ働いて「作る・する」にのめり込める若い世代を指している(ハ)。一方、老いを迎えることは死を意識する(ホ)ことである。老いが問題とされるのは「作る・する」ことにだけ価値が認められるという観点のゆえである(ト)。老いゆく人の「あれもこれもできなかった」「役に立たない自分」といった「後悔とともにつぶやかれる言葉」(ル)にも向き合う必要があるのではないか。
問10 「作る・する」ができなければ価値がないといって高齢者を軽視する価値観は、社会の超高齢化がさらに進む現状においては変えていく必要がある、と筆者は考えている。
問11 若者の間ではやった「見えちゃってる」という言葉には「予測不可能な出来事との出会い」を無視した安易な図式が見て取れる(ロ)。老いに関して高齢者は養われるべき受動的な存在で、「問題」として考えられがちなのは、「能力の有無によって人を測る価値基準」のゆえであろう(チ)。そこで見過ごされてきた「高齢者一人ひとりの存在を尊重する姿勢」こそこれからの社会に必要なのである(ト)。それは福祉の達成のための基本的な考え方であり、「人々が自分自身のありように向き合うこと」にもつながるのである(ホ)。
【大問二】
- 時間配分:32分
子どもを保育園へ登園させる二人の父親と子どもの一人の心の内が詳細に語られ、日常の平穏な一コマを通して登場人物の細かな思いや感情が描かれる。
問1 登園を嫌がって泣いたりぐずったりすることもなく保育室で楽しそうに走り回っており、今日の登園は手間がかからなかった、という意味であろう。
問2 道に寝転がって園に行こうとしないふいちゃんだが、怒って気分を害してしまってはさらに登園に手間がかかってしまうのである。
問3 気候の良い時期は虫の心配も少なく気持ちいい気温で、子どもを遊ばせるのに心配や負担が少ない、親としてはありがたい時期なのである。
問4 a. チ b. ロ c. イ d. ハ
問5 マスクを外せるようになった今、あらわになった保育士さんたちの顔を目にしたときに、マスクをしていたときの苦労や努力・さまざまな工夫が想像され、感謝の念と共に忘れられないものとなった。
問6 目に見える人の顔は現れているものの方が強く(ハ)、想像していたマスクの下の顔はひと月足らずでマスクを外した顔に書き換えられていき(ニ)、はじめは戸惑った誰彼の顔にも慣れつつあった(ロ)。そしてマスクの下にあるはずと思い込んでいた顔たちは徐々に思い出せなくなった(イ)。
問7 a. ニ b. チ c. ヘ d. イ
問8 [以下、ふいちゃんの父の心の内である] ふいちゃんが「長生きしてね」と自分に言ったのは、その前日に自分(ふいちゃんの父)の実家を家族で訪れ、妻が自分の父親に言った言葉を娘(ふいちゃん)が覚えていたのであろう。……自分と父親(ふいちゃんの祖父)の間にはかつて確執や衝突があった。……ともあれこの人(ももちゃんの父)はももちゃんをあずけたあともここにとどまり娘の相手をしてくれていて、子どもが好きなのであろう……。
問9 現在もう恐竜はいないなどと娘に言いきってしまったが、そういう自分もどこかで聞いた説をまことしやかに口にしているだけであり、純粋に恐竜の存在を信じている娘に偉そうに語れる資格はないのだと、反省にも似た気持ちをももちゃんの父は感じているのである。
問10 a. ト b. ホ c. ニ d. イ
問11 (1) イ (2) ヘ (3) チ (4) ル
攻略ポイント
本文と設問を合わせて、読まなければならない文量が多い点は要注意である。まずは読むスピードを鍛えて、すべての問題に一通り目を通せるようにしよう。ただし、通常は記述問題にされそうなテーマや要旨についての答えが選択肢としてすでに示され、そこから選ぶだけでよいという形式はある意味では易しいとも言える。ともあれ、読解力がなければ正解も選べないわけで、文学的文章・論理的文章ともに多くの文章に触れて、苦手を作らないようにしよう。