暁星中学校 入試対策
2024年度「暁星中学校の理科」
攻略のための学習方法
暁星中学校理科の満点は75点、今年度の合格者平均点は52点で、ここ数年同程度の難易度が続いている。幅広い知識を必要とする問題、思考力や計算力が求められる問題も含まれる。問題の形式としては、長めのリード文・図・表・グラフなどを読み取った上で答える問題が中心である。
合格に向けての学習法としては、まずは各分野の基本知識をまんべんなく身につけることが必須である。その上で、過去問を中心にレベルの高い問題を含めた問題演習をしっかり行うことが求められる。
各分野における学習法は以下の通りである。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度はアメンボを中心とした昆虫に関する出題で、知識と考察力が試される内容であった。ここ数年では、アニサキスについて、有酸素運動と無酸素運動、動物の大きさとつくり、植物の生殖、植物の補償点、人のからだの働きなどに関する出題が見られる。幅広い単元から出題されており、しっかりとした知識が求められる問題や問題・表・グラフの読み取りが重要な意味を持つ出題が見られる。学習法としては、植物・動物・人のからだの働き・食物連鎖など各単元の知識を早い段階で固め、観察結果や長めの問題文を読み取って解くタイプの問題演習にも時間をかけたい。
地学分野 本年度は地層に関する出題で、知識とデータの読み取りがポイントとなる出題であった。近年では、大雨と自然災害、天体、岩石、天体、プレートと地震等についについての出題が見られる。中でも、天体に関する出題頻度がやや高い。この分野を学習する上では、月・太陽・星の動きなど天体についての学習には特に力を入れて欲しい。「なぜそのように動いて見えるのか?」の理屈を理解した上で覚えて頂きたい。気象については、低気圧・高気圧・台風・風の吹き方・雲と雨・四季の天気の特徴など幅広く知識を身につけること。岩石や地震・火山についての基本的な知識も固めておきたい。
物理分野 本年は電流と磁界およびてこのつり合いに関する出題で、浮力に関しての設問も見られ、力学計算の力が試される内容であった。ここ数年を見ると、力のつり合い(振り子・ばね・滑車など)と電気回路に関する出題が多く、光(凸レンズによる像など)・音に関する出題も見られる。他校ではあまり見られない凸レンズによる像に関する出題が過去複数回見られることには注意が必要で、本校受験者は対策が必要である。最も出題される可能性の高い力のつり合い(ふり子・てこ・滑車・輪軸・浮力・ばねなど)については、基本的な計算をしっかり練習して欲しい。電気・音などについても基本的性質を理解した上で問題演習を行って頂きたい。単なる頭の中だけでの丸覚えだけでなく、実際の演習や計算をしっかり行うことが大切である。
化学分野 本年度はドライアイスと燃焼についての出題であった。ここ数年では尿素の結晶、水溶液の性質、水の沸騰、ろうそくの燃焼などに関する出題が見られた。この分野の学習としては、気体や水溶液の性質、燃焼、物質の三態変化など基本知識を固めることが第一である。複雑な計算問題の出題はあまり出題されていないが、基本的な計算問題の演習はしっかり行って欲しい。
秋以降に実施される模試は、合格可能性の判定だけに注目するのではなく、苦手単元を見極めるチャンスとして考えて頂きたい。特に間違えの多かった単元においては、その問題だけの解きなおしではなく、これまで使ってきたテキストや問題集を活用して「基本」の洗い直しをすることも必要である。模試の結果の分析やその後の対策については、家庭教師を有効に活用して頂きたい。
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2024年度「暁星中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は30程度で75点満点、試験時間は40分で、例年通りであった。出題形式は、適語を答える問題、記号選択問題の他に、計算問題、記述問題も含まれている。
問題数がやや多く、問題文の読み取りや記述・計算にかかる時間を考えると、40分という試験時間は長くはない。できる問題から解答欄をてきぱきと埋めていく姿勢が求められる。
【大問1】 化学 ドライアイス・燃焼
- 難度:標準
- 時間配分:10分
(1) ドライアイスは「二酸化炭素」が固体になったものである。
(2) 泡はドライアイスが気体になったことによってできた。
(3) 白い煙は空気中の水蒸気が「水」になったもの。
(4) 同様に、コップについたしずくは空気中の水蒸気が「水」になったもの。
(5) 空気の密度よりも二酸化炭素の密度の方が大きい。
(6) ものが燃えるための3条件は、①燃えるものがある ②発火点以上の温度 ③酸素(空気)。
(7) 記述問題。 酸素がないために火が消えた。(6)との関連で記述すること。
(8) 化学変化の様子を図で描く問題。二酸化炭素を作る酸素の粒2つとマグネシウムの粒2つが結びつき、炭素の粒1つが残される。
前半はドライアイスについて、後半は燃焼についての出題。記述問題や化学変化の様子を図で描く問題も含まれるが、化学変化の計算問題はなく、知識さえあれば得点しやすい内容であったと言える。
【大問2】 地学 地層
- 難度:易
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1) 適語を答える問題。積み重なってできたしま模様は「地層」、火山が砕せつ物を吹き出す現象は「噴火」、積み重なった中に見られるのは生物の「化石」。
(2) 火山岩と深成岩の違いについての選択問題。
(3) 洪水による川の流れの変化は火山の噴火とは無関係。
(4) 粒の大きい順に下から小石、砂、泥となる。
(5) 河口に近く浅いところから順に、れき、砂、泥と積もる。
(6) 火口に近いほど大きなものが落下する。
(7) 記述問題。火山砕せつ物は密度がほぼ同じなので、粒の大きなものが先に沈む。パンニングでは、金の密度が最も大きいために速く沈む。
(6)までは基本知識があれば解答可能な易問。(7)の記述問題では、表のデータから金の密度が圧倒的に大きいことを読み取って記述して欲しい。
【大問3】 生物 昆虫・アメンボについて
- 難度:標準
- 時間配分:10分
(1) 動物・植物・菌類の違いについての選択問題。
(2) 昆虫の特徴についての選択問題。
(3) 昆虫の系統樹を作成する問題。根元の枝分かれから順に、変態するかどうか⇒はねをねじってたたむことができるか⇒さなぎの時期があるかどうか、系統樹を作成すればよい。
(4) 昆虫の冬越しに関する選択問題。実験結果を見ると、ワイヤーの直径が細いものだけが水に浮いたことがわかる。ただし、この実験だけでアメンボが水に浮く理由を特定できない。
(5) 実験結果より、表面張力の大きさが浮くかどうかに関係していると考えられる。
(6) 記述問題。人間の手や足では水に接触する部分の面積が小さく、表面張力が大きくならない。
前半は昆虫全般についての基本知識を問う問題であり、確実に正答したい。後半はアメンボが水に浮く理由についての実験結果を考察する問題で、記述問題も含まれる。
【大問4】 物理 電流と磁界・てこのつり合い・浮力
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1) 方位磁針の振れる向きを図に描く問題。図6と図5は電流の流れる向きが逆になっている。図5ではコイルの左側がN極になっているので、図6ではコイルの右側がN極になる。従って、方位磁針のN極は北東方向に振れる。
(2) 磁力を強くする3つの方法は、①コイルの巻き数を多くする ②電池を直列に増やして流れる電流を大きくする ③コイルの内側に鉄心を入れる
(3) 記述問題。電磁石の利点として、電流を流すかどうかで磁力をON/OFFできる。
(4) 8÷2×10より、おもりの重さは40g。
(5) 右回りの回転力(支点からの距離×重さ)の合計は、5×30+10×20より350。左回りの回転力も350になるので、おもりBの重さは350÷10より35g。
(6) はかりXとはかりYの合計が180gであることから、180-(60+50)よりおもりCは70g。支点を棒の左端とすると、左回りの回転力は5×42+10×138より1590。50gのおもりによる右回りの回転力は8×50より400。おもりCによる回転力が1590-400の1190になればよいので、1190÷70より右から17㎝、左端からだと3㎝の位置につるせばよい。
(7) てこのつり合いと浮力の融合問題。右回りの回転力は10×80より800。60gのおもりにより左回りの回転力は3×60より180。従って、800-180より左端のおもりによる回転力が620になればよい。620÷10より、左端の糸には62gがかかっている。おもりDは水に完全に使っているので、その体積分の浮力が働く。従ってDの体積は、30-(62-45)より13㎤。
前半は電流と磁界に関する出題で、電磁石の特徴についての標準的な出題。後半はてこのつり合いについての出題で、浮力について考える問題も含まれる。(6)(7)は支点の位置の決め方がポイントで、力学計算の力が試される内容。
攻略のポイント
化学・物理・生物・地学の各分野から1題ずつ、計大問4題の出題であった。本校の理科の出題では毎年ユニークな内容をテーマにした出題が見られる。今回は生物分野でアメンボ、化学分野でドライアイスをテーマにした出題が見られたが、それ以外は比較的オーソドックスな内容の出題であった。
知識だけで解ける問題も意外と多く、思考力や計算を必要とすると問題がバランスよく配分されている。テスト時間は40分と十分あるので、問題の読み取り・理解・計算をていねいに行うことを意識して欲しい。
学習を進める上では、基本知識の習得を夏休みまでを目途に行い、秋以降は過去問またはそれと同傾向の問題演習をしっかり行って欲しい。演習に使う問題の選択については、家庭教師などに相談して欲しい。
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