城北高等学校 入試対策
2024年度「城北高等学校の国語」
攻略のための学習方法
小説は、設問の内容としての「心情把握」が定番である。
いかにして、的確に人物のキャラクターや特性、さらには内面の世界に広がる本人の「ものの考え方」、「他人に対する接し方」、「人生観や価値観」を理解できるか。
基本は、本文に即して、話の展開と情景描写を丁寧に追いかけることである。直截的にその様な人物の内面の世界を描写することはないので、文章に込められた作者の意図を見抜かねばならない。人物と人物の人間関係の変化などにも注目するように。そして、その変化がどのような背景に起因して生じたのかを理解することである。
そのような変化と心情変化を的確かつ確実に結び付けられるかが、設問の正解へたどり着く時間的プロセスを短縮にすることも可能となるのである。
ぜひ、日頃から小説(教科書に掲載された小説や私的に読む小説)に親しみ、様々な角度から文章を吟味できるようにしておいてもらいたい。
論説文については、論理的文章に自身の論理展開をあてはめられるように。
大事なことは、筆者が主張しようとしているテーマが何なのかをいち早く発見することである。
論説文の最初の段落には、一般的に、本文で扱うテーマの内容や、問題提起のきっかけとなった「出来事」や「筆者の心象風景」などが書かれているものである。文章全体を把握する有力なヒントとして、第一段落は極めて重要な個所である。そこで展開される筆者の主張(同じ単語や表現が複数回使用されているかどうか)をしっかり理解し、自分の中で再構築して設問に挑戦しよう。
論説文の常として、筆者の主張をより明確に、説得力をもって読者へアピールしようと考えると、「対立の概念」を用いるという手法がある。
「対立」―つまり、真逆の概念・事実を並立して対比させながら主張することにより、互いの特性や論理性、合理性が明確になり、筆者が論じようとしているテーマ(論点)があぶり出されてくる。その論点を時系列的に並べていくことにより、本文の論理展開の流れが明瞭になり、結果、内容把握が確実に迅速に可能となる。
また、小説との学習法と明確に異なる方法として、「主張を書き出す」ということである。
論点を並べるということは、自分の論理と思考を整理し、正解へ導く有力な手法の一つである。
ただし、その論点並べが単に頭の中だけで行われてしまったのでは、正確な論説文把握を行うためには不十分である。出来るならば、箇条書きで要点だけを書き出すことが重要である。書き出すことで、論理の流れをより明確に的確に理解できることが可能になる。
そのような論理の流れを大雑把に把握し理解することで、論説文の全体的構造が良く見えてくる。そこまで、本文の流れを把握していれば、設問の意図を素早く把握でき、正解を消去法などで選択(確かに、消去法は一つの有力な解法手段であることは認めるが)することなく、積極的に正解を特定できるようになる。
初めは、論点を書き出すことは非常に手間のかかることでもあるし、速効性のある学力向上、言い換えれば「点数を1点でも多くいかに得点可能か」という観点で考えれば、「今日それ(論点の書き出し・整理)をやったからといって、明日のテストで論説文の高得点が得られる訳ではない」ということは自明であろう。しかし、長い目で考えてみれば、「真の学力」つまり「自分の頭で考え自分の言葉で表現する力」が、確実に形成されることは間違いない。その延長線上には、現代文以外の他教科の学力向上が見えてくるのである。
なぜならば、「言葉で理解する」ことが「何を問われているか」を的確に把握し、説得力ある合理的な言葉と表現で答案を仕上げてゆくことができるからである。そして、考えを書きとめるということで、「漢字」に理解と知識への定着につながるはずである。
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2024年度「城北高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、論説文の読解<25分>。現代社会に関する社会学的論説文。50字、70字の記述問題対策をしっかり行っておくこと。
大問2は、小説の読解問題<30分>。本問のような小説におけるポイントは、登場人物の心情把握に尽きるのであり、ポイントは「会話」と「情景描写」である。心情把握問題の出題率は本問においても6割を超える。60字の記述問題も2題出題されている。
大問3は、漢字の書き取り問題<5分>。標準的な漢字である。完答を目指そう。
【大問一】現代社会に関する社会学的分野の論説文読解問題
- 時間配分:25分
出典は『「未熟さの」の系譜』(周東美材著)。
問1は、語句内容選択問題<2分>
A 「否応なし」とは、有無を言わせないということである。
B 「相対的に」とは、他と比べたうえでということである。
問2は、内容理解抜出し問題<3分>
「近代家族の理想像」とは、「皆が結婚すること、その結婚は愛情・性愛・出産を…人々の意識を縛っていったのである」である。
問3は、内容把握記述問題<4分>
視聴者は「近代家族の理想像」を反映した芸人像を求めるのである。つまり、女性は結婚して家事などを行うべきであるという認識である。
問4は、内容把握抜出し問題<3分>。
従来の習慣などで凝り固まった大人と異なり、子どもは「開かれた感受性」をもつのである。
問5は、内容把握選択問題<2分>。
「外部化」とは、本来家族が分担して担うはずの家事を外部に委託することであるので、「外部」のファミリーレストランに食事を注文し届けてもらうことである。
問6は、内容把握選択問題<4分>。
(1) 近代以前は、子どもがどのように捉えられていたかを考える。「大人がただ小さくなっただけの存在」と考えられていたのである。
(2) 少子化により子どもの数が減少し、少なくなった子どもは親からの愛情を一身に受けるのであり、「より高等で社会的評価の高い学校に進学することを目標」とされる存在になるのである。
問7は、内容把握記述問題<7分>。
70字以内の記述問題である。最低でも65字でまとめたい。本文に即して都市化に伴う「社会変動」についてまとめる。都市化によって「伝統的な価値意識」=「宗教」を揺るがせたのであり、その代替として「自分の子ども」を「人生と幸福の目標」として捉えるようになったのである。
【大問二】小説に関する読解問題
- 時間配分:30分
出典は『川のほとりに立つ者は』(寺地はるな著)。
問1は、慣用句問題<2分>。
X 疑問に思うという意味の「首を傾げる」である。
Y 興奮して見境がなくなるという意味の「頭に血がのぼる」である。
Z 驚いて目を見張る様子のことであるので「目を丸くする」である。
問2は、内容把握選択問題<2分>。
「客をじろじろ見る」ということは、客に圧力をかけることになってしまうのである。つまり、「早く注文を決めてほしいという威圧感」を感じさせてしまうのである。
問3は、内容把握問題<2分>。
「それが『□』の字の男性」とある。「字」ということから「…名刺の…『株式会社カドクラ繊維』という社名で、ようやく相手が誰だかわかった」のである。
問4は、内容把握抜出し問題<2分>。
「ふたり組への警戒で心と身体が硬直」し「第三者の男の登場に混乱と恐怖はピーク」に達していたのである。
問5は、内容把握選択問題<3分>。
「女性の立場を理解」していない「松木の配慮のなさ」に対して「怒りが湧いている」のである。
問6は、心情把握記述問題<5分>。
清瀬を助けた松木は「男だから女の立場や気持ちは理解できない」と批判され、清瀬に「反感」を感じたのである。
問7は、内容把握選択問題<2分>。
「ついていた」とは何かを考える。まずは「清瀬に会えたこと」、そして「長い時間二人で話すこと」ができたことである。
問8は、内容把握記述問題<5分>。
60字以内の記述問題である。どんな状況になろうとも「食事」は抜かないという姿勢から、どのようなことを感じ、それに対していかなる感情を抱いているかを考える。
問9は、内容把握問題<3分>。
清瀬と松木が初めて出会ったときから1ヶ月後に、世パワイに絡まれている清瀬を松木が助けたのが二人の再会であった。
問10は、要旨把握問題<4分>。
清瀬が酔っ払いに絡まれた話に興味を持った[生徒ウ]が適切である。
【大問三】漢字の書き取り問題
- 時間配分:5分
標準的な漢字である。普段から知識問題としてしっかり練習を積み重ねて欲しい。完答を目指したい。書き取りの漢字は「庶民」「堅実」「破綻」「随行」「励」である。
攻略のポイント
全体的には標準的な問題レベルであり、出題範囲も現代文(論説文と小説)、漢字である。
対策としては、標準的問題集をしっかり演習すること。その際に、文章読解力を高めるため設問の本文をじっくり分析しながら読む姿勢が必要である。時間の少ない受験生にとって、いかに良い文章、論理的文章に触れるかが国語の得点力向上に不可欠な要素であることを考えた場合に、上記のような設問の文章を丁寧に読み込むことの重要性は極めて高い。記述式問題の割合が高いため、50~90字程度の記述式問題にも慣れておく必要がある。自分の考えを過不足なくしっかりとまとめ上げるスキルは、何回も文章を書いてまとめ上げる鍛錬を積まなければならない。
また、知識問題として漢字、ことわざなども事前にしっかり押さえておきたい。