國學院高等学校 入試対策
2024年度「國學院高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
説明的文章1問・文学的文章1問の計2問が毎年出題されている。それぞれ3000~3500字ほどで計6000~7000字程度の長文読解になる。同程度の文量の問題で必要なスピードを体感しておくこと。
新しくマークシート方式が採用されている。選択式になったからと言って答えるのが簡単になったわけではない。正確な読解ができなければ選択肢の微妙な違いにも気づけない。設問内容はオーソードックスだが、選択肢の文が長い点には慣れておく必要がある。長いけれども、本文を注意深く読んでいれば判別はつくので、言葉を正確に吟味し、慌てず正確に判断する練習を積んでおこう。難易度としてもそれほどの難問ではなく、選択肢も選択を迷わせるような意地悪なものではない。特殊な対策は要らないので、堅実に読解の実力を付ければ良い。
・説明的文章
まずは形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容をまとめてタイトルをつけてしまうとわかりやすい。接続詞や指示語の指すところなどを確かめながら、段落のつながりを確認。各段落の最初と最後に特に注意しながら細部と要点の区分け。それらをまとめて結論・要旨へとたどり着く。読み進めながら印や下線で重要点を目立つようにしておくと時間の節約になる。
・文学的文章
登場人物・時間・場所などで場面の転換をマーク。人物・筆者の発言・行動・表情などから気持ちや考えを読み取る。それらをストーリーや話題と照らし合わせ、主題や筆者の意見を考える。重要点に下線を引いたり、関係する点を結んでおいたりすると設問にあたったときに考えやすい。
知識問題も読解と合わせて出されているが、難しい文法などは訊かれていない。語句の意味がよく出されているので、普段から本を多く読んで語彙を増やしておくと良いだろう。
古文
配点が大きいので、古文が苦手だからといって諦めてしまうわけにはいかない。使われる文章はなかなかに難しく、大学入試で出されてもおかしくないレベルである。ただし、全部ではないが現代語訳が付属しているので、難易度については配慮されている。
大筋の話はわかるようになってはいるが、それでもやはり古文を見慣れておかないと厳しい。高校古文の必修~標準レベルの教材で最重要単語や基本文法・敬語などを覚えておこう。
主語が省略されやすい古文では誰の発言・行動なのかを見分けることが内容理解には大事なので、敬語などで大まかにでも主語を推測できるようになっておくと役に立つ。古典に多く触れて宮廷や市井での人々の暮らしぶりを知っておくと、理解も一段と進むだろう。
選択肢問題
マークシート方式になり、すべての問題が選択式となった。同じマークシート方式を採用する試験問題(栄東高校など)で練習するのもよいだろう。読解が確実にできることは前提として、本文との一致・不一致を正確に見分けられるよう、一語一句を見逃さない注意力を養いたい。
漢字・その他
マークシート方式の必然として漢字の問題は同音異字の見分けが主となる傾向にある。その種の問題を多くこなして対策しておきたい。ただし、言葉というものは意味が分からなければ結局区別できないものなので、それぞれの字の根本の意味をよく理解しておこう。言葉の意味や四字熟語など、その他の言語事項も数問ほど出されるが、標準レベルの教材に目を通しておけば良いだろう。
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2024年度「國學院高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
当然、知識問題から先に手を着ける。漢字は4~5分で終えて残りは長文読解と古文に充てる。2題の長文を合わせて8000字ほどと古文600字ほどの文量である。
文章はさほど難解なものではないので、それぞれ5~6分で目を通し、重要点をチェックできるくらいのスピードで臨みたい。マークシート式だが選択肢の文が長いのでその分時間はかかる。他校のマークシートなどでも慣れておこう。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:15分
日本人には造形的な感覚の鋭さとものの考え方が経験的であるという傾向があり、そのことが自然との独特の関係を生じてきた。日本人の「自然」は、自然に内在する権威に由来して人間を人間たらしめる根拠と言えるのである。
問一 (…造形美術に対する感覚に民族固有の鋭さがあった)→私は日本人がすぐれて美術家であるという→しかしすぐれて文学者である・詩人であるというつもりはない→そうでない民族はむしろ少ないからである→固有の生活・風俗習慣気候風土・文化あれば必ず固有の文化がある→(こうした自己表現を他の文学と比較することは困難である…)
問二 日本は「経験主義的・実際的な思想の栄える傾向がある」国なので、「実践的な理論」が合う。
問三 後から入ってきた仏教は「超越」的な面があったが、日本人は実際的・経験的な傾向が強いので非「超越」的な原始宗教を背景としており、仏教の方が日本で変化したのである。
問四 日本でよく知られていて「美しさ」を含む表現が入るであろうから、「山紫水明」が合う。
問五 話している二人はロシアの生活や風俗をよく知らず、自国の詩と比べようもないので、ロシアの詩について何を言われたところでそういうものかと受け入れるしかないのである。
問六 日本人にとって自然は恐るべき相手でも戦うべき敵でもなく、親しみやすい友だちであり、自然に内在する権威に由来して「人間を人間たらしめる論拠」だと言える、とある。
問七 「微妙な風の肌触りに秋を予感するほど、季節の感覚が研ぎ澄まされていた」→選択肢③。
問八 この自然への愛を告げる言葉には、自然を親しみやすい友達と感じ季節に対する感覚が研ぎ澄まされている日本人の性質がよく表れているのである。
【大問二】小説の読解
- 時間配分:17分
就職して大阪で暮らすことになった玉緒は家族と町で記念写真を撮ったところ、その写真が店の展示窓に飾られることになったが、半年後に父は事故で亡くなってしまう。
問一 いぶかしい――不明な物事・人物を怪しく思う様子。
問二 a. 「顔」を見合わせた
b. 「胸」をなでおろした
問三 早く展示されている写真を見に行きたいと「じりじり」した。
問四 実際は家族とも相談して写真館に許可を出したのだから、この言い方は照れ隠しである。
問五 家族写真を撮ったときの「わたしはしあわせ、などという言葉を本当に口に出して、悪魔にでも聞かれたらふしあわせになる」という父親のことばのことである。父の死を知る前、玉緒は(おそらく)恋人と旅行をしていてその言葉を口にしている。そのせいで父によくないことが起こったと、ひとり父の死を遅れて知らされた玉緒は後悔にも似た気持ちになっている。
問六 父が死んだとき、自分一人だけか家族と離れ男と旅行していたことで、自分だけ家族から心が離れてしまったと感じているのである。
問七 ③ 雀は最初に玉緒抜きで写真を見に行った時と、のちに玉緒だけで写真を見ているときと二回描写されている。写真内では全員そろっているのに、一回目は玉緒がおらず、二回目はこの世から父がいなくなっており、「誰かがいない」ことが暗示されていると考えられる。
⑤ 「父親」を「谷口」「収入役」と複数の呼び方をしている。
問八 写真館の窓に飾ってある家族写真を皆で見ている場面であるから、【 ③ 】がよい。
【大問三】古典の鑑賞
- 時間配分:13分
頭に落ちてきた柿がつぶれたのを矢で射られたと勘違いした臆病な男が、もうだめだと思い込んで同輩に頼んで首を切らせて死んでしまった。首を受け取った妻はあまりに愚かな夫の行動を嘆き悲しんだ。
問一 古典では七月~九月が秋なので、「秋の末つかた」は九月ごろになる。
問二 ④ けしうはあらじ→けしゅうはあらじ
問三 A. 法師が大けがで助かりそうもないので首を切れと言う。
D. 同輩は手に赤いものが付いたので本当に血だと思って……。
F. 同輩は法師の言う通り切った首を包んで大和国へ持って行って……。
G. 妻は頭に矢の傷がないので、同輩に体の方に傷を負ったのですかと聞いた。
問四 法師が大けがを負ったというので、同輩が傷はどこだと聞いた。
問五 頭がひやりとして、触るとぬるぬるとぬれていたから。
問六 怪我はしているのかもしれないが、話ができるのだし大したことはなさそうだから同輩は治療に連れて行ってやろうとした。
問七 柿が当たって潰れただけなのに、大けがで助からないと信じ込み自ら首を落としてくれと頼んで死んでしまった法師の、あまりに臆病な性格であった。
問八 ⑤
問九 ① 臆病すぎる勘違いで大切な命を落としてしまった法師の愚かさである。
【大問四】同音異字
- 時間配分:5分
(1) 履く――脳裏・距離・鋭利・履行・経理
(2) 継ぐ――直系・啓発・契機・継続・連携
(3) 括る――渇望・統括・活躍・分割・円滑
(4) 規程――料亭・行程・園庭・内偵・貞淑
(5) 形跡――関所・主席・職責・筆跡・功績
(6) 虐待――招待・対処・体操・忍耐・退去
(7) 採用――色彩・採算・際限・救済・共催
(8) 注釈――釈明・拝借・尺度・晩酌・伯爵
攻略ポイント
人それぞれに得意・不得意はあるものだが、本校の試験では説明的文章・文学的文章・古文が毎年出題されるので、このうち2分野は得意分野にしておきたい。古文はさほど時間を取られないだろうから、現代文読解のスピードをつけ、できれば全体を時間内に終えることができれば理想的である。
また、古文の配点の大きさはやはり捨てるには惜しいので、塾あるいは独習で一定の時間をかけて学ぶべきであろう。
選択肢問題の比重が大きい試験なので、正解の選び方のコツをつかんでおきたい。