｢漢字の読み書き｣(全８問)。｢読み｣が３問で｢書きとり｣が５問。例年、｢神奈川女子御三家｣のひとつである本校ならではの罠(読めるか？ ｢答え｣はどこかに……)がある｡しかし、本年度は昨年度同様に標準的難易度だ。本校志望者であれば｢全問正解｣が必須だ。注意すべきものだけを確認していこう。

(１)｢円い図形をえがく｣＝｢まる(い)｣⇒｢丸い｣は、主に｢立体的な球｣を指し、｢円い｣は主に｢平面的な円｣を指すという違いも理解しておきたい。

(２)｢母直伝のシチュー｣＝｢じきでん｣⇒｢奥義･秘伝などを、師が弟子に直接伝え授けること｣という意味も知っておくこと。

(６)｢本のカントウに言葉を寄せる｣＝｢巻頭｣⇒｢書物や巻物などの最初の部分｣のこと。

(８)｢兄はイサギヨい人物だ｣＝｢潔(い)｣⇒細部を丁寧に記すこと。本校では高度な｢語彙力｣が問われていると心得よ。尚、｢トメ｣｢ハネ｣などにも要注意、罠(わな)があるやも知れぬ。

やりたいことなんか、わかんない。だから、考えない。でも時々あせる……｢松野亜樹｣という中３の女の子の１年間を描いた物語。部活、友だち、家族、受験、恋愛などが描かれながら、亜樹は成長していく――。本文では、｢いつみ｣(お姉ちゃん)の留学に反対する｢お母さん｣と賛成する｢千秋ちゃん｣が言い争う様子と、その場から抜け出した｢いつみ｣と｢亜樹｣の様子が描かれている。平易な文章なので、内容はすぐに分かるはずだ。いかにも本校らしい多彩な小問が並んでいる。いくつかをチェックしておく。

[問一①]　｢条件付き人物名記述｣｡

傍線部(１)｢会社はどうしたのよ｣について、｢だれが言った言葉か｣を｢文中の人物名｣で答える。本文冒頭のセリフで、前後から｢お母さん｣の言葉だとすぐに分かるはずだ。だが、｢条件｣があるので｢人物名｣を確認する必要がある。すると、少し後の部分で、｢千秋ちゃん｣が｢お母さん｣に、｢光枝(みつえ)ちゃん｣と呼び掛けていることが分かる。よって、｢答え｣は｢光枝｣になる。本問のように、｢答え方｣に｢条件｣がある場合は必ずそのとおりにしなくてはいけない。

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[問三]　｢関係説明選択肢｣(５択)。

傍線部(３)の｢ふたりの関係は平行線のまま｣とは｢どのような関係か｣を答える。｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(原意絶対優位の原則)。ここは｢関係説明｣なので、｢平行線｣の｢原意｣と結びつかない｢関係｣を消去する。本来は各選択肢の｢文末｣を確認するが(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)、本問は｢選択肢説明｣が短いので全文と照合したい｡

(ア)｢いつまでたっても同じきょりを保つ良好な関係｣､

(イ)｢適当なきょりを取りながら並んで進んでいく関係｣､

(ウ)｢どこまでも交わることなく、わかり合えない関係｣､

(エ)｢上下関係でなく、同じ立場に立っている関係｣､

(オ)｢時々歩み寄りながらも、なかなか理解できない関係｣｡

どうだろうか？ ｢平行線｣の｢原意｣は｢同一平面上にあって、どこまで延長しても交わらない２本またはそれ以上の直線｣なのだから｢どこまでも交わることなく｣以外はそのまま｢消去｣できなくてはいけない。念のために、他の部分の説明を｢同一場面｣で確認する(｢小説｣では｢同一場面｣に｢手がかり･ヒント｣がある)。特に誤っていないと分かる。したがって、｢答え｣は(ウ)になる。何とも素晴らしい｢一発消去｣ではないか。畏るべし｢原意消去｣！ 確実に理解･定着させて応用できるように練習すること

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[問四]　｢空所補充の語句選択肢｣(全２問。６択)。

本文中の空所 　Ａ　 ･ 　Ｂ 　に｢あてはまる言葉｣を答える。各選択肢は、｢形容詞｣と｢形容動詞｣だ。空所前後の｢文脈｣を正確に読み取って、つながりを整えた上で特定していく。順に｢答え｣を確認していきたい。 　Ａ 　には｢形容動詞｣である(ウ)｢いじわるな｣、 　Ｂ 　にも形容動詞の(イ)｢しずかな｣がそれぞれ入ると分かるはずだ｡｢候補｣はひとつとは限らないので、しっかりと｢代入確認｣してから確定することが重要だ。

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[問七]　｢理由説明選択肢｣(５択)。

傍線部(６)｢安心してお母さんに反抗できる｣について、｢いつみがこのように言い切れるのはなぜか｣を答える。先ずは｢原意消去｣から。ここは｢理由説明｣なので、｢安心してお母さんに反抗できる｣ことの｢直接的理由｣として結びつかないものを消去する。各選択肢の｢文末｣を確認する｡

(ア)｢最後には折れてくれるという自信があるから｣､

(イ)｢ケンカをしたことをいつまでも引きずることはないから｣､

(ウ)｢(父たちは)味方をしてくれるという確信があるから｣､

(エ)｢母は自分を受け止めてくれるという信らい感を持っているから｣､

(オ)｢自分の主張をはっきりと伝えることができるから｣｡

どうだろうか？ ｢安心して｣｢反抗できる｣ということは、｢信らい感を持っているから｣以外はそのまま｢消去｣できるはずだ。念のために、他の部分の説明を｢同一場面｣で確認して、特に誤っていないと判断できる。よって、｢答え｣は(エ)でＯＫだ。またしても華麗なる｢一発消去｣だった。やはり｢原意消去｣は使える。本校合格のための｢ショートカット｣だと心得よ。

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[問八]　｢内容説明記述｣(｢60字以内｣指定)。

傍線部(７)｢それって、どうやって見つけたの？｣について、｢この問いに対する『いつみ』の考え｣を｢六十字以内｣で説明する。傍線部は直前の｢いつみ｣の言葉｢行きたい場所ややりたいことが、やっと見つかったんだもの｣を受けており、直後で｢いつみ｣は｢見つけるんじゃないよ。気づいただけだよ｣と答え、さらに、｢気づく｣には｢本を読んだり、テレビや映画を見たり、友だちと話したりしているときに、自分の気持ちがゆさぶられる瞬間をのがさないようにする｣ことや、｢自分の気持ちを注意深く見ててあげる｣ことが必要だと述べている。したがって、こうした内容を整理して、｢過不足なく｣まとめていきたい。たとえば、｢本を読んだり、テレビや映画を見たり、友だちと話したりしているとき、自分の気持ちがどう反応するか注意深く見ていて気づいた｡｣(60字)といった｢答え｣になる。尚、｢説明記述｣では｢最重要要素｣(｢理由説明｣では｢直接的理由｣)を必ず｢文末｣とせよ。

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どんな人も生まれる環境や親は選べないが、そこから自分の人生を自由に選ぶことはできる――カウンセリング経験豊かな精神科医である筆者が｢親との別れ方｣を指南している。本文では、｢子と親が対等になる｣ためのプロセスである｢反抗期｣について、その意味を説明している。やや分かりづらい語句もあるが、｢注｣を活用すれば内容は理解できるはず。本校としてのオーソドックスな小問ばかりで、難易度も標準レベルだ。手際よく解き進めたい。以下、いくつかを検証してみたい。

[問一]　｢空所補充の語句選択肢｣(全２問/５択)。

本文中の空所   Ａ   ･   Ｂ   に｢あてはまる言葉｣を答える。各選択肢は、｢接続詞｣だ。本校に限らず必出の定番問題。｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外ではどれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認すること。また、形式段落冒頭の｢接続詞｣は｢前段落全ての内容｣を指し示すことにも注意したい。では、それぞれの空所の｢答え｣を確認していきたい｡   Ａ   には｢順接｣の(ウ)｢だから｣、   Ｂ   には｢逆接｣の(オ)｢しかし｣がそれぞれ入ると特定できるはずだ。｢候補｣はひとつとは限らないので、必ず全て｢代入確認｣すべし。 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：１分＞

[問二]　｢換言説明選択肢｣(５択)。

傍線部(１)の｢このように学童期の親と子は、互いに自分の心の範囲を設定して、その『枠』の中で安定してきたのです｣とは｢どういうことか｣を答える。先ずは｢原意消去｣を試みたいが、前提として｢指示語｣があるので開いておく(｢指示語｣が出たら即開くこと)。直前から、｢このように｣＝｢親は子を保護し、子は親を信じて学校に居場所をつくるように｣だと分かる。さて、ここは｢換言説明｣なので、｢親と子は｣｢安定してきた｣の｢原意｣と結びつかない｢説明｣を｢消去｣する。各選択肢の｢文末｣を確認する｡

(ア)｢(自由は)不安でこわいことだと学ぶこと｣､

(イ)｢生きることに喜びを感じること｣､

(ウ)｢人生観に従うこと｣､

(エ)｢安心して生きていくこと｣､

(オ)｢反発を覚えながらも否定はしないこと｣｡

どうだろうか？ ｢安定してきた｣のだから、｢安心して生きていく｣以外はそのまま｢消去｣可能だと判断できるはずだ。念のために、他の部分の説明を｢同一意味段落｣で確認する(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠･手がかり｣がある)。特に誤っていないと分かる。したがって、｢答え｣は(エ)になる。｢説明文｣でも｢一発消去｣だ。やはり、｢原意消去｣は必須定着ツールだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：２分弱＞

[問六]　｢空所補充のことわざ選択肢｣(５択)。総合的知識問題。

｢ことわざ｣の用法判別。本文中の空所   Ｙ   に｢あてはまることわざ｣を答える。空所直後に｢つまり『喧嘩してかえって仲良くなる』｣とある。各選択肢は、

(ア)｢あぶはち取らず｣･(イ)｢後は野となれ山となれ｣･(ウ)｢親の心子知らず｣･(エ)｢石の上にも三年｣･(オ)｢雨降って地固まる｣。当然ながら、｢答え｣は、｢もめごとなど悪いことが起こったあとは、かえって基盤がしっかりしてよい状態になることのたとえ｣である(オ)の｢雨降って地固まる｣になる。他のそれぞれの｢ことわざ｣についても当然知っていなくてはいけない。尚、本校では｢ことわざ｣だけではなく、｢慣用句｣｢故事成語｣｢四字熟語｣等、高度な｢語彙力｣が求められるので覚悟せよ。

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[問十]  ｢本文内容合致選択肢設問｣(５択)。

｢本文の内容と合っているもの｣を答える。本文は｢説明文｣だが、｢論説文｣と同じ構成なので｢本文内容合致｣＝｢論旨合致｣となる。｢頭括型｣にせよ｢尾括型｣にせよ、｢序論部分｣と｢結論部分｣との照合で判別可能だ。各選択肢説明の要点で正誤判別していきたい。

(ア)｢反抗期の過程を通ることは必要｣⇒｢序論部分｣に｢親から離れて孤独と向かい合わなければならない｣とある＝適切。

(イ)｢親子が激しくぶつかりあわなければ反抗期とはいえない｣⇒｢結論部分｣に｢激しい反抗期だけでなく、穏やかな反抗期もある｣と述べられている＝不適切。

(ウ)｢親は反発せずにだまって子の怒りを受け止めると良好な関係になる｣⇒｢結論部分｣に｢親子の『正確な怒りの応酬』が必要｣と指摘されている＝不適切。

(エ)｢学童期に親が子に自分の人生観をおし付けないことが……子のすこやかな成長には大切｣⇒｢序論部分｣に｢学童期に親は『親の生き方(人生観)』を教えて子を引っぱる｣と述べられている＝不適切。

(オ)｢親子が同時期に正しい反抗期をむかえてともに乗りこえる｣⇒｢親と子が同時期に反抗期｣など、そもそもありえない＝不適切。以上から、｢答え｣は(ア)だ。尚、｢小説｣の場合の｢本文内容合致｣では、｢本文全て｣と照合させる必要があり、とても手間ひまがかかるので｢戦術的｣には｢捨て問｣で構わないと心得よ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜時間配分目安：２分弱＞