お茶の水女子大附属高等学校 入試対策
2024年度「お茶の水女子大附属高等学校の数学」
攻略のための学習方法
極めて標準的な問題である。特別なアイディアや方法論は必要ない。ただし、標準的な問題演習をどれぐらい自分の頭で考え抜いたかが大事になってくる。少し解いてみて考えがまとまらず、その後の方針が立てられないときに、安易に解答を見るのではなく最後までとことん考え抜くこと(仮に正解が出なくとも構わない)が大事である。
数量編では、因数分解(標準以上のレベル)はしっかり行っておくこと。因数分解は、単に「因数分解」のジャンルにとどまらず、あらゆる分野(図形編も含め)に有用な考え方であるからである。つまり、平面図形の求積において、放物線と直線の連立方程式から交点の座標を求め、与えられた図形の面積を求める際に、因数分解を用いると手際よく短時間で確実に正解が求められる。高校数学において、全ての分野での計算の演習速度を高めるためにも因数分解は基礎力となるので、しっかり押さえておいて欲しい。
また、1次関数と2次関数は必ず出題されると考えて、あらゆる出題パターンを演習するように。
新傾向としては、平面座標と2つの円の共通接線や放物線が直線できられた場合の線分比なども十分練習をしておくように。
平面図形・空間図形共に、三平方の定理や円に関する定理(接弦定理、方べきの定理、円周角と中心角等)をしっかり図形の問題に的確にあてはめることができるかが大切である。
また、場合の数と確率は必ず標準以上からハイレベルの問題を演習するように。確率の問題も単純に「サイコロを転がして出た目に関する場合の数や確率」などの基本問題ではなく、サイコロの出た目の数だけ図形上の点が動く、という条件を考慮した問題。
その他には、新傾向の問題にも注目である。整数に関する問題。これは、整数の特性を考えさせる問題である。その際に、2つの整数mとnが「互いに素である」ことの概念をしっかり理解し、正解へ向けどのようにその考え方と原理をあてはめるかを考えられるようにしておくこと。
さらに、「互いに素」であることを前提として、最大公約数・最小公倍数の求め方の仕組みをキチンと理解するように。お茶の水女子大附属高校が入学して欲しい生徒の思考過程として、単に公式を暗記して数値を公式にはめ込むだけでよしとする思考ではなく、公式や原理・定理をその成り立ちを自分で理解するスタンスで問題の解法に取り組んでもらいたい。そのような作業を繰り返すことによって「論理的思考に根差した学力」を養成する知性が醸成される。
また、「動く図形」も押さえておきたい。例えば、立体の表面上をすべらずに一定の速さで決まった方向に移動する2つの立体のある時間(=T)における3つの立体の表面上の各1点を結んでできる新たな立体の体積を求める問題なども事前にチェックしておきたい。参考までに、その様な「新傾向問題」を演習してみようと思っている受験生は、『高校への数学「新作問題ベスト演習」』(東京出版)で「論理的思考力」を養って欲しい。
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2024年度「お茶の水女子大附属高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、独立小問題である<5分>。正確で迅速な計算力が求められる。2次方程式、平方根の計算からの出題である。
大問2は、方程式の応用に関する問題である<10分>。与えられた条件から手際よく方程式を立式することがポイント。図を書き問題の視覚化を図ることも重要である。
大問3は、関数(1次関数・2次関数の融合)に関する問題である<11分>。xy座標平面上にある正三角形に関し、面積を与えられた場合の問題である。
大問4は、データの活用(箱ひげ図)に関する問題である<9分>。四分位数などのデータ活用に用いられる用語の定義を正確に覚えること。
大問5は、平面図形(三角形・円)に関する問題である<15分>。与えられた条件に基づく作図の問題と相似や円周角などの平面図形における原理を用いる問題である。
【大問1】小問集合問題
- 時間配分:5分
いずれも標準問題であるので迅速で正確な計算力で完答したい。作図に関しての問題を事前にしっかり行っておくこと。
(1)2次方程式問題である<2分>。与式を展開し解の公式を用いて方程式を解く。
(2)式の計算問題である<3分>。( )7の中を計算すると- となることを利用する。
【大問2】方程式に関する応用問題
- 時間配分:10分
ふもとのP点から頂上のQ点を1往復する場合に関する問題である。
(1)速さを求める問題である<2分>。蘭子さんの上り(P⇒Q)の速さと下り(Q⇒P)のは速さの比は4:5であるので、それぞれ上りの速さを4t、下りの速さを5tとおいて式を立てる。
(2)時間を求める問題である<3分>。PQ間のどこかで蘭子さんとバスが出会った場合、それぞれの進んだ距離の合計は2400mである。出会った時刻を8時x分として条件に合う式を立てる。図を描いて与えられた条件の可視化を図ること。
(3)道のりを求める問題である<5分>。題意より、与えられた条件を満足するとき、バスがP点に到着するのは2回目である。また、バスは8時1分にQ点を出発し、片道10分で往復する。バスは、P点・Q点で1分ずつ停車するので、バスが2回目にP点に到着する時刻は、8時33分である。このことより式を立て答えを求める。
【大問3】1次関数・2次関数の融合問題
- 時間配分:11分
xy座標平面上に三辺比が1:2: の直角三角形を見つけ出そう。
(1) 比例定数を求める問題である<2分>。ABとy軸の交点をMとすると、△OAB正三角形であるので、△OAMは三辺比が1:2: の直角三角形となる。xy座標平面に角度が30°、60°、90°の三角形がどこにできるかを見抜くことがポイント。△OABが正三角形であることを手掛かりに考える。tは直線OAの傾きである。
(2) 比例定数を求める問題である<4分>。OA=AB=mとおくと、OM= mとなる。△OAB=9 であることよりmを求めることができる(m>0)。さらに、Bの座標を求めy=sx2に代入しsの値を求める。
点の座標と三角形の面積を求める問題である<5分>。Cはy=px2とy= xの交点であるので、連立して方程式をときCの座標を求める。Cの座標が求められれ放物線のy軸に関する対称性からDの座標も導き出すことができる。△OCDの底辺をCDとみると、高さ=- となる。
【大問4】データの活用(箱ひげ図)に関する問題
- 時間配分:9分
(1)正誤問題である<2分>。四分位数に関する定義と活用法を正確に覚えておくこと。データの活用に関する用語をしっかり覚えることは言うまでもないが、問題へどのように当てはめるかについて問題演習を通じて練習を繰り返すこと。この分野は、今後出題頻度が増加する傾向が十分予想される。
(2)平均点に関する問題である<3分>。箱ひげ図における最小値と第1四分位数、また中央値の考え方を把握しておくこと。これらの数値より平均点を求める考え方を導く。
(3)平均点に関する問題である<4分>。前問同様に箱ひげ図におけるデータの処理に関する考え方を正確に覚えること。
【大問5】平面図形(三角形・円)に関する問題
- 時間配分:15分
(1) 作図に関する問題である<3分>。△ABCの∠ABCの二等分線とACの交点をDとしたとき、Dを通る円Oを作図する問題である。円OはABと接していること、すなわちOA⊥ABである。また、OはADの垂直二等分線上にあることが分かる。これらの条件を満たす作図を考える。
(2) 角度、辺の長さ、面積を求める問題である<12分>。
① 角度を求める問題である<3分>。∠C=90°であることより、∠BAC=90°-a°となる。また、△OADは二等辺三角形である。円周角と中心角の関係から求める角度を求める。
② 辺の長さを求める問題である<4分>。∠ACB=90°であるので△ABCにおいて三平方の定理を用いてBC=6となる。また、DよりABに垂線DHを引くと△BDC≡△BDH(直角三角形における斜辺と1鋭角相等)である。さらに、△ABC∽△ADHであることを利用する。
③ 辺の長さと三角形の面積を求める問題である<5分>。△BDCに三平方の定理をあてはめてBD=3 となる。円と円周角、相似の図形などの原理をあてはめることができる図形を見つけ出し、比例式などを立て辺の長さを求める。
攻略のポイント
例年と比較してもレベル的には大差がない。昨年同様、難問・奇問の類は出題されてはいない。全体的には標準的問題である。初見の問題の類も少ない。合格答案を作成するために求められる力は「計算力」と「着眼力」である。特に、「着眼点」は重要であり、それを自分のものとするために基本から標準レベルの問題演習を通じて、最後まで考え抜く習慣をしっかり身につけて欲しい。また、「着眼力」とは、問題を解くうえでの見通し、方針の立て方である。問題を見た瞬間に、正解を導くための道筋が見えてこなければならない。この方針の立て方を見誤ることに起因する時間的ロスは、本番入試では挽回不能になる。その「着眼点」を養うためには、「良問を大量に解く」ということに尽きる。また、作図が例年出題されているので、事前にしっかり準備を行なう必要がある。