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開智高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「開智高等学校の国語」
攻略のための学習方法

〇長文読解

説明的文章・文学的文章が各1問ずつ出題される。2024年度では論説文4000字・小説3500字の計7500字ほどの文量であった。

文章自体は高校受験の試験としては適した内容で、難し過ぎるということはない。小説の主人公も中学生の設定になっていたりする点、中学三年生向けの難易度で配慮されている。

形式は選択肢問題がやや多めで、書き抜き・記述・文中の内容を自分で考えて言葉にする問題なども見られる。記述は字数指定のないものや、50~60字ほどのものも出題されている。

【記述問題】

配点も大きく、字数指定の無いものもあり、やはり差がつくところであろう。              「簡潔に説明しなさい」という形で訊かれるものが多いので、何をどのようにどのくらい記述するのかは自分で判断することになる。

論説文であれば、要約の能力が必要である。設問で求められた点を過不足無くまとめなければならない。

小説の場合は、文中にはっきり表現されていない場合も多いので、文中の出来事・人物の言動や表情・情景などから、(おそらくは)人物の心情を感じ取って、説明しなければならない

字数指定が無い問題は、解答欄の大きさからだいたいの行数を考え、1行につき20~25字くらいの見当で書ける文量を決める……など。類似問題で十分な練習を積んでおかないと対応できないことである。

20~30字・70~80字などの字数で要旨・要約をまとめたり、人物の行動理由や気持ちを自分なりに表してみたり、一定の字数で記述を整える感覚を体得しておこう

【 読 解 】

記述問題に慣れておくことは当然のこととして、つまるところは文章の要約であり登場人物の心情理解が求められているわけである。長文読解の力が無ければ記述問題など手もつけられない。長文読解のテクニックを磨くこと

形式段落と意味段落・段落のつながり・要点と細部・要旨のまとめ……論理の流れをしっかりたどる。場面の転換・登場人物の関係・言動や表情や情景などから心情を理解する……テーマを読み取る。同じような文量の問題でスピードをつけておくことももちろん必要となる。

〇古文                                   

大学受験と同様の素材文が出されているが、難しい箇所には現代語訳がついていて難易度の配慮はされている。このレベルの試験だと助詞の接続による意味の変化を見分ける必要があったりするが、全体の筋が読めれば答えられるような問題にはなっている。

ともあれ、難易度としてはやはり高校で詳しく習うことなので、重要語句や基本文法・古典の知識を一通り覚えて古文を読みなれておかないと、十分な得点に結びつかないだろう。高校初級~標準レベルの教材で学習しておくことをお薦めする

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2024年度「開智高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

論説文4000字・随筆文3500字の7500字ほどに古文の約400字といった文量で例年通りであった。総解答数は34問。記述問題が5問、その他は記号選択が多くなっている。記述問題以外はあまり時間を取られるような問題はないので、素材文を読むスピードが十分にあれば、時間は足りるだろう。記述問題は30~70字ほどでまとめるもので、答える内容もそれほど難しくはなっていない。

【大問一】論説文の読解

  • 時間配分:20分

「色」が社会における身分標識として機能してきた歴史と、「色」で個性と人格の発露を表現する人間の意識と、歴史学者としての「服の色」についての考察が述べられている。

問1 A. さかのぼ  B. かっとう   C. たずさ  D. うかが  

問2 a. 壮観  b. 習熟  c. 明瞭  d. 独占  e. 託

問3 学校という制度での身分標識についての説明であるから、この場合の「役割」は「制服を見ればどの学校の生徒であるかわかる」ということである。

問4 中国やそれに学んだ日本における「統一的身分体系」については、二つ前の段落に「天皇を頂点とする統一的で重層的な上下の体系(二十一字)」と端的に表現されている。

問5 教育を受けていない者でも色の違いはわかるので、社会における身分の上下などを身に付ける衣服の色でしめすことで、誰でも容易に相手の階級や立場を理解できるのである。

問6 有無を言わさず――(相手が)賛成だろうと反対だろうと・納得してもしなくても。

問7 第二段落で、通常公務服の上着の色について「一般民衆は黄」という説明がされている。

問8 服の色が強力な身分標識として機能していた歴史について説明されているが、同時に色を個性と人格の表現として大切にする人間の営みについても解説されている。身分・階級を示すシンボルとしての社会的機能持つ一方で、「個性と人格の豊かな発露」が託されている点を「魔力と魅力」表現したのだと考えられる。

【大問二】小説の読解

  • 時間配分:20分

結核の診断を受けた弟との、病院からの帰り道が描かれている。

問1 a. 愕然とする――とても驚くようす。

b. いじらしい――健気で同情したくなる。

c. 捨てばち――思うとおりに行かず、やぶれかぶれな気持ちになること。

問2 結核の診断を受け医師ともやりあった碧郎に入院の必要を説こうと必死になっているため、やや落ち着きを欠いた話し方になっているのであろう。

問3 寝台車ですぐ入院先へ向かう方がいいという医師の言葉に従わず、歩いて帰ろうと固辞している。入院してしまったら自由に過ごすこともできなくなると予想して、帰り路は残り少ない自由な時間を姉と共にしたいと考えを決めたのであろうことが、その後の言動からもわかる。

問4 アイスクリームを食べて喫茶店を出てしまったら、あとは準備をしてすぐ入院である。それまでの時間を少しでも先延ばしにしたいという心理が働いていると考えられる。

問5 それまでは結核患者への世間からの「遮断の垣根」を感じており、そこにはまだ身を動かすゆとりがあると思えた。しかしこの時、碧郎は自身で自分の周囲に垣根を作り他人とのわずかな接触も避けようとしており、身じろぎ一つする余裕もないと感じているのだろうと主人公は弟の心中を慮っている。

問6 いつ治るかわからない、死んだ方がましだ、だから元気なうちに写真を撮っておきたいと強弁する弟に、自分も元気のない様子を見せてはいけないと思い気を強く持って話をしている。

問7 入院を促しきっと治ると励ましてはみたが、当の本人である弟がどうしたいのかを考えておらず、一方的だったことを弟から指摘された格好である。

問8 死を覚悟したような物言いをする弟に言いたいことはあるが、現実問題として結核は治癒が難しい病であり、入院してしまったら自由に写真も撮れなくなるかもしれない。元気な姿の弟と今、写真を撮っておくことも意味があるかもしれないと思いなおしたのである。

【大問三】古文の鑑賞

  • 時間配分:10分

ある僧侶が、生活が苦しい自分の母に金を渡そうとしたところ、母は地獄に落ちる業だと嘆いた。

問1 a. 生活が苦しい母に対して「志」は深かったが、自分も修業の身で経済的に苦しかったので「孝養」することもできなかった。

b. 布施――僧侶に渡す感謝の金品。

c. まのあたり――目の前にして。

問2  孝養(きょうよう)――親に孝行を尽くすこと。

 「悦ばれん」の「れ」は助動詞「る・らる」で、この場合は母に対する「尊敬」の意味で使われている。「どれほどお喜びになるだろうか」 

問3 ③ (僧侶が金を渡すと)母はちらと見てちょっと後ろを向いてさめざめと泣かれた。④・⑤ (僧侶は)まったく理解できず「母上はうれしさのあまりなくのだろうか」と思ううちに…。

問4 母は息子が立派な僧侶になって自分の死後の成仏を助けてくれることを望んでいたが、金銭を渡すという現世での利益供与をしようとしたので「地獄に落ちる業」だと悲しんだのである。

問5 現実生活での苦労も気にせず息子が仏道に励むことを願ってくれていた母の親心に感動したのであろう。

問6 『新古今和歌集』は藤原定家らによる勅撰和歌集。『太平記』は作者不詳の軍記物語。『徒然草』は吉田兼好による随筆。『土佐日記』は紀貫之が書いた日記である。

攻略のポイント

長文読解の対策として読むスピードをつけて、読解の技術を磨いておくこと。

記述問題に対しては同程度の字数で要約や心情の説明をまとめる練習を積み重ねる。今年度も古文の配点は約2割と大きいので、苦手な人も諦めずに勉強に取り組むこと。古文の教材でやや高いレベルの古文演習をこなしておきたい。

全体としてはオーソドックスな内容で得点しやすい問題も多いので、難しい問題にとらわれすぎない冷静さも必要である。できる問題から確実にこなすこと

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