青稜高等学校 入試対策
2024年度「青稜高等学校の国語」
攻略のための学習方法
記述
「青稜の記述対策」は「問題解説」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。60~70字程度で書いてみる(青稜の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。
「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
解法
前述のとおり、「多種多様な設問内容」の「青稜の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
全てで5000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
青稜に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「青稜の国語」では、「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる(直接出題は勿論、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、青稜などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。
従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2024年度「青稜高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は、経済に関する論説文の読解問題である<17分>
漢字の書取り問題(マーク方式)が10題出題されている。
大問二は、小説に関する読解問題である<21分>
会話の流れや情景描写より人物の心情把握や文脈を正確に捉えること。
大問三は、古文の読解問題である<12分>
基本的な古典文法はしっかり押さえておくこと。現代語訳も正確に行えるように事前の準備を行っておくこと。
大問一は、経済に関する政治・経済分野に関する論説文である
- 時間配分:17分
出典は、『世界は贈与でできている』(近内悠太著)
問1 漢字に関する問題<2分>
漢字問題であるがマーク形式であるため、同じ漢字を使用する選択肢を選ばせる問題形式
となっている。
a「後悔」⇒「懺悔」である。
b「褒美」⇒「褒賞」である。
c「効用」⇒「時効」である。
d「宣言」⇒「宣布」である。
e「応酬」⇒「応答」である。
f「無邪気」⇒「邪道」である。
g「義理」⇒「義足」である。
h「縁」⇒「縁起」である。
ⅰ「孤立」⇒「孤高」である。
j「徹底」⇒「徹夜」である。
問2 文章内容把握選択肢問題<2分>
(1) 金銭を支払えば購入(=入手・交換)できるのであるから「商品」である。
(2) 贈り主との合理的関係の構築手段としての価値が生じるわけではないのである。
問3 要旨把握問題<2分>
・本文に「誰かから与えられるものです。だからそれは買うことのできないもの、すなわち贈与なのです」とある。
・本来「贈与」は「他者」からなされるべきものであるが、自分で行うことにより「他者」との関係性が存在しなくなるのである。
問4 内容把握問題<2分>
「贈与」には「市場価値には回収できない何らかの余剰」=「ものに託される人の思い」がその本質であるから「現金が最適」という意見には賛同しかねる、と考えているのである。
問5 文章内容把握問題<1分>
直後に「つまり『つながり』を持つこと」とあるので「つながり」と同義の言葉を考え、「関係性」となる。
問6 文章内容把握問題<1分>
「『贈与』は単なる『モノ』に人の思いをのせた『贈り物』を他者へと託す行為」である。
問7 内容把握問題<1分>
どの様な状態を「自由」と呼んできたのかを本文に即して考える。他者との関係性の煩わしさから解放された状態が「自由」であり、それは必要なものあらゆるものを金銭で手に入れることで可能となるのである。それは「他者のために自分の貴重な時間や労力を費やすこともない状態」のことである。
問8 内容把握問題<1分>
「資本主義における経済システム」とは、「有形無形のあらゆるもの」が金銭換算できるのであり、そのことを信じて疑わない人間のことである。
問9 内容把握問題<2分>
資本主義において「商品」や「サービス」は金銭を所有していれば購入できるのである。つまり、金銭さえ持っていれば「自由」に「商品」を購入できるが、逆にいえば「金銭」がないとその「自由」を享受することはできないのである。
問10 内容把握問題<1分>
「贈与」とは他者に贈り物をする行為であり、受取人から見返りを求めない行為である。
問11 要旨問題<2分>
Aは「贈与」に関する意義が述べられおり、Bは「交換原理」に関する現代的問題点に言及している。
大問二は、小説に関する読解総合問題である
- 時間配分:21分
出典は『花の精』(上林暁著)。
問1 語句問題<2分>
(ア)「物色」は「多くの物の中から適当なものを探し出すこと」である。
(イ)「徐に」は「落ち着いてゆっくりと動作を始める様子」である。
(ウ)「よそながら」は「遠く離れていても陰ながら」である。
問2 慣用句問題<1分>
a ある事柄を記憶しているという意味の「頭にある」という慣用句である。
b 行動を起こすために一歩前に進むという意味の「腰を上げる」という慣用句である。
c 決心をするという意味の「肚を決める」という慣用句である。
問3 内容把握問題<2分>
(1) 今にも枯れそうな「月見草」に「私」が少し手助け(水を与えるなど)をするだけで、すぐに回復したのである。つまり、きゃしゃな「月見草」の中に「たくましい生命力」を見たのである。
(2) 「私」の置かれた状況を考えること。妻と離ればなれで暮らしているのであり、寂しさや不安を感じながら生きているのであり、そのような状況「月見草」の健気さによって「私」は癒されるのである。
問4 心情把握問題<1分>
線路の端に生えていた「月見草」を家に持ち帰り庭に植えることで、「私」はさらに心が癒されると感じ「もう大丈夫」だと感じたのである。
問5 内容把握問題<1分>
初めて多摩川を見た「私」は、病を患っている妻のことが気に係る状況の中で、故郷の山河を思い出し懐かしい思いに浸ったのである。
問6 表現関連問題<2分>
サナトリウムに灯がつき始めて「私」は病院にいる妻のことを思い出したのである。「サナトリウム」は死を連想され、「私」の意識の中に妻と死が結びついていたのである。
問7 心情把握問題<2分>
サナトリウムに灯がついて「私」は病院に入院している妻に思いを馳せるのであり、妻に心穏やかに生きて欲しいと願っているのであるのであるから、「『私』の心情が基本的に前向きで暖かいものである」ことが理解できるであろう。
問8 表現問題<2分>
サナトリウム部屋の一つ一つについてゆく様が、夕暮れに花を咲かせる月見草の姿を連想させるのであり、「月見草」が「妻の命の灯」のように描かれている。
問9 文章内容把握問題<2分>
「私」は辺り一面に咲き広がる月見草の群れを目の当たりにすると、妻に対する「寂しい気持ち」や「不安な気持ち」をいっとき忘れるのである。さらに、帰りの車の中から見た車のヘッドライトに浮かび上がる月見草の幻想的な世界に「私」は圧倒され、苦悩に満ちた日々から解放されるのである。
問10 内容把握問題<1分>
泥のついた月見草を車内に持ち込んだ「私」は周囲の視線を感じたのであるが、それは「迷惑の視線」ではないのである。
問11 内容把握問題<2分>
「月見草」が自分の家に戻ってきたことで「私」は心が満たされたのであり、「長い間の憂いも清々しく解消した」のである。
問12 内容把握問題<3分>
(1)
Ⅰは、「心の憂いを晴らしたい『私』の潜在意識が読み取れる」と思ったのである。
Ⅱは、「私」は川向こうの山をを目にしてどのように感じたかを考える。
Ⅲは、「私」は「石塔を刻む槌の音」を認識し、「死を連想させる」ものに反応しているのである。
Ⅳは、「サナトリウム」に灯がつくことにより、「私」はどのような印象を抱き始めたかを考える。
(2)
aは、「私」は「無意識」の中で「妻の死」を恐れていたのである。
bは、「意識」のうえでは「私」は、「妻よ、安らかなれ」と祈ったのである。
cは、「月見草」は、「生」に向かう祈りや希望の象徴である。
dは、「妻の病いからの生還」が「月見草の復活」に託されているのである。
大問三は、古文(説話)の読解問題である
- 時間配分:12分
出典は『今昔物語』。
問1 内容把握問題<1分>
鋳師の発言内容は「…構へをしたるなりと言ひて」の箇所までである。
問2 内容把握問題<1分>
「日を足らしめず」とは「三年に満たなかったり」であり、「日を余して」とは「三年を過ぎてしまったり」という意味である。
問3 現代語訳問題<1分>
「鳴ることはあるべからず」とは「鳴るはずはありません」という意味である。
問4 現代語訳問題<1分>
「え」は打消しの語を伴って「できない」という意味になるので、「え待ちえずして」とは「待ち切れずに」という意味である。
問5 内容把握問題<1分>
本文には、鐘を「三年に満てらむ日のその明けむ日、掘り出すべきなり」であったのに、別当は「未だその日にも至らざりける」のに掘り出してしまったのである。
問6 内容把握問題<1分>
鋳師との約通りに鐘を掘り出せば「珍しい鐘」になったのであるが、その約束を守れなかった別当は三年に満たない段階で鐘を掘り出してしまったため、普通の鐘になってしまったのである。
問7 現代語訳問題<1分>
三年待って掘り出せば、鐘を撞く人がいなくとも鐘が十二時になったに違いないのである。
問8 古語問題<1分>
「口惜し」とは、本文では「つまらない」という意味である。したがって、同じ意味の選択肢は「言ふかひなく」である。
問9 内容把握問題<1分>
「その時の人」とは「その当時の人」という意味である。
問10 古典文法問題<1分>
係り結びの法則から考える。「ける」が適切な選択肢である。
問11 古語問題<2分>
A 「心もと無かり」とは「待ち遠しい」という意味であるので、「じれったく思って」が適切な選択肢である。
B 「めでたかり」とは、「すばらしい」という意味である。
攻略ポイント
全問選択肢の出題形式である。試験時間に対して問題数及び内容のレベル感としては、かなりのボリュームが感じられる。選択肢であるからと言って正解を導く際に比較的安易であると考えてはいけない。問題を見てみればわかるように、各選択肢は微妙に正解を絞りこむことが極めて難しい。通常、選択肢問題の場合に2つぐらいに選択肢を絞り込んで1つに決定するのであるが、絞り込んだ後の解答を決定する際の『決め手』を決める手掛かりに気付きにくい設問が多いため普段の学習においても迅速かつ的確に正解を出せるように本文の読み込みと選択肢の絞り込みの練習を積むことが重要である。