慶應義塾大学 経済学部 小論文
入試対策と勉強法
慶應義塾大学 経済学部 小論文
ここでは、慶應義塾大学の経済学部を目指す方に対して、小論文の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。
※以下の「入試傾向」は、原則的に2024年の「一般入試問題」に準拠しています(ただし、必要に応じてそれ以前の入試問題に言及している場合もあります)。
慶應義塾大学経済学部 小論文試験の出題傾向とは
出題範囲(分野)
経済学部の試験科目としての「小論文」は、「高校生にふさわしい知識、理解力、分析力、構想力、表現力を問う。高等学校の特定の教科とは直接には関わらない」と「入学案内」に明記されています。
本学部の学部系統は「経済学科」のみだが、経済分野に限定されずに多種多様な分野(「時事的要素」のあるものも頻出)に関する課題文が提示され、「知識・理解・分析」の力を問う「説明・要約問題」と、「構想力・表現力」を問う「見解論述問題」とで総合的に評価されます。
尚、本学部では、批判的で対話能力を備えた人材や、知識の創造的な応用ができる人材の育成の重要性にこだわった出題傾向があります。
近年では、「社会サービス」(2020年度)、「支配的関係ではない非対称的な関係」(2021年度)、「集合知と多様性」(2022年度)、「人間の意図的行動と合理性」(2023年度)などについて、批判的視点での「論述」が求められているのです。
出題量と時間配分
課題文の文章量は3000~4000字程度で、他の上位校の現代文と比較して少なめです。
試験時間は60分。「課題文」を5分ほどで読了し、「説明・要約問題」を15分程度で仕上げ、「見解論述問題」の構成メモは20分程度をかけてしっかりと作成し、残りの20分強で、丁寧に論述していきましょう。
出題形式
課題文(複数の文章で構成される年度もある。直近では2022年度)が示され、それに関しての設問2題が定着しています(2012年度は例外的に「小問」が設けられ、計3問の「記述」「論述」の出題でした)。
例年、設問Aは課題文の内容理解を問う「説明記述問題」(「着眼点」が提示されます)で指定字数は300字以内(あるいは200字以内)、設問Bは課題文に就いての受験生自身の見解を問う「見解論述問題」(視点や条件の提示があります)で指定字数は300字以内(あるいは400字以内)となっています。
設問条件が多岐に亘り、的確且つ完璧に応じることが求められており、要注意です。
総記述字数は600字が基本(2012年度は例外的に580字でした)。
慶應義塾大学経済学部 小論文試験を攻略するための勉強法
知識
小論文だから知識は無用、とは無論なりません。学際的に様々な分野を横断する硬質な課題文を理解し咀嚼する為には、難解な語句や頻出テーマに関する「キーワード」を読み解く知識が当然、必要になります。
また、見解論述での誤字・脱字は確実に減点要素になるので、漢字ひとつたりとも疎かにはできず、高度な語彙力を養成する必要があります。その為には、先ずは「己が実力」を把握することが重要です。
そこで、「センター試験」の漢字問題(要は同音・同訓異字判別)がひとつの目安となります。最低10年分以上の過去問をこなしてみましょう。その結果次第で、具体的な
学習を進めていくのです。
尚、以下のサイトは漢字問題だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html
読解
小論文といっても課題文が示され、それに就いての設問として「説明記述問題」・「見解論述問題」があるのだから、その点では現代文の問題と捉えなくてはいけません。課題文の内容をいかに正確に読み取るかが最優先となります。
課題文は原則的に「論説文(評論文)」であって、そこで重要になるのが最重要解法である「Nの法則」の習得です。本文を「序論」「本論」「結論」に分け、論旨が述べられている「序論部」「結論部」の対応関係及び、「本論部」での段落相互関係に着目して読解するという手法です。これを完璧に理解、定着させ、応用できるようになるまで問題練習を重ねることが重要になります。
記述
設問Aの「説明記述問題」は純粋な現代文長文記述問題として、上記解法等を用いて先ずは読み解いていきます。
そして、記述です。正否の分かれ目となる「最重要な要素」を文末として他の必要な要素を積み上げていくという手法(積上げ方式)を完璧にマスターすることが肝要になります。内容から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていきます。各要素を20~30字程度でまとめられるように徹底的に練習することが必要です。300字以内(あるいは200字以内)というの字数指定が基本なので、10~15程度の要素でまとめることができるように、繰り返し練習することが重要です。
論述
設問Bの「見解論述問題」は小論文としては短いものなので、その中で「自らの見解」を的確に論じるには、構成メモの作成が欠かせません。頭の中のイメージを視覚化し、客観的に捉えるという作業になります。
最重要となる論旨、それを説明する為の様々な論点、視点(設問条件も含め)をアトランダムに記し、それらを整理し、チャート化します。その上で、「頭括型」の論述としてまとめるべく各要素を取捨選択するのです。その際には、「批判的スタンス」の要素を特に意識したいです。
「序論」「本論」「結論」のバランスは「1:3:1」が原則。こうした構成メモの作成練習を繰り返すことが重要です。
尚、実際の論述練習では無論、添削指導を受けることが必須となります。
推奨テキスト
ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。
ここではテキストを知識編、読解力編、要約・説明問題編、見解論述問題編に分けてご紹介します。
知識
(1)『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
(2)『現代文最重要語句らくらく練習帳』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 [三訂版]』(桐原書店)
(4)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)。
前項の「大学入学共通テスト(漢字問題)」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始めるのがひとつの目安です。反復練習して完全定着させましょう。特に(4)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解することが重要です。
読解力
(1)『システム現代文 バイブル編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。
「解法」って何? といった皆さんにお薦めの入門書です。根本を徹底的に解説しており、マスターすれば「解法」は一通り理解できます。
(2)『現代文読解力の開発講座(新装版)』(駿台文庫)
中級レベルです。
文章を客観的に捉える術が丁寧に説明されており、GMARCHから慶應へのステップアップ段階の1冊です。
(3)『現代文と格闘する(三訂版)』(河合出版)
上級レベルです。
「文章を読み繋ぐ」ことを主眼として、その為のシンプルな「視点」を提案しています。経済学部の「課題文」を確実に読解する1冊です。
※尚、(2)(3)には「要約問題」があるので必ずこなしておきましょう。
要約・説明問題
(1)『システム現代文 論述・記述編(改訂新版)』(水王舎)
初級レベルです。
「記述問題」から「要約問題」までを明快に解説し、「記述」習熟の為に何を学習すればいいかが分かる1冊です。
(2)『得点奪取 現代文 記述・論述対策(三訂版)』(河合出版)
中級レベルです。
「実例答案」をもとに、答案作成のコツを具体的に提示。自己採点ができて、「要約問題」に自信がつく1冊です。
(3)『[記述篇]現代文のトレーニング(改訂版)』(Z会出版)
上級レベルです。
頻出テーマに沿った問題構成で、「完成度」も自ら把握できます。「要約問題」の総仕上げへ向かっては不可欠の1冊になります。
(4)『上級現代文Ⅱ』(桐原書店)
最上級レベルです。
これまでに演習してきた「論述問題」の考え方、解き方が定着しているかどうかをチェックできます。文学部の「要約問題」攻略へ最終段階の1冊です。
見解論述問題
(1)『吉岡のなるほど小論文講義10(改訂版)』(桐原書店)
初級レベルです。
「小論文とは何か?」「どのように文章を組み立てたらよいのか?」という基礎・基本を体系的に解説しています。入門から基礎力養成の1冊です。
(2)『合格できる小論文』(河合出版)
中級レベルです。
「系統別実践演習問題」を収録、「自己評価グラフ」で「到達度確認」もできる。文学部「見解論述問題」への完成度を高める1冊です。
(3)『小論文を学ぶ――知の構築のために』(山川出版社)
上級レベルです。
「読みと書きの技術論」「小論文に必要な知の構築」「実践演習を通じての知の習得」の3部構成で、文学部で8割以上の得点ゲットをターゲットに据える1冊です。
(4)『小論文 テーマ別課題文集 21世紀を生きる〈改訂版〉』(駿台文庫)
最終レベルです。
「主要頻出テーマ」ごとの「論点整理」「キーワード解説」が充実。万全を期すための1冊になります。
(5)『○○✕✕年の論点100』(文藝春秋/毎年11月発売)
実践レベルです。
毎年の日本のさまざまな「争点」が多角的に提起されており、「論点」「視点」の捉え方を習得できます。「時事対策」にもなる1冊です。
過去問編
『慶応大学経済学部(過去問)』
実践レベル。数多く解き、文学部合格への最終的な仕上げとしていきます。
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