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慶應義塾大学 環境情報学部 小論文
入試対策と勉強法

出題傾向・攻略のための勉強法・推奨テキスト

慶應義塾大学 環境情報学部 小論文

ここでは、慶應義塾大学の環境情報学部を目指す方に対して、小論文の試験の出題傾向や試験合格のための勉強法、さらに、おすすめのテキストをご紹介いたします。なにから始めればいいのかわからない、効率的に勉強したい受験生は、ぜひ参考にしてください。

※以下の「入試傾向」は、原則的に2024年の「一般入試問題」に準拠しています(ただし、必要に応じてそれ以前の入試問題に言及している場合もあります)。

慶應義塾大学環境情報学部 小論文の出題傾向とは

出題範囲(分野)

環境情報学部の試験科目としての「小論文」は、「発想、論理的構成、表現などの総合的能力を問う」と入学案内に明記されています。
環境情報学部は、「ひとつの学問分野にとらわれることなく幅広い視野を持ち地球的規模で問題発見・解決できる学生を歓迎」(同学部HPより)しており、入試では「環境情報学部の理念や研究内容をよく理解した上で、SFCでこんなことをやってみたい」という問題意識が問われるのです。
「多様で複雑な社会に対してテクノロジー、サイエンス、デザイン、ポリシーを連関させながら問題解決」を図り、「既存の学問分野を解体し、実践を通して21世紀の実学を作り上げること」(同HPより)を目標に掲げる本学部(SFC)では、文理を問わず学際的で多種多様な分野からの出題がありますが、「自由な発想力」(これまでにないビジョンやコンセプトを創り出す力)と、自分が持っているイメージを他人に的確に伝える「プレゼンテーション能力」を問うということが出題の基本的なコンセプトになっています。そのため、出題者側のまさに「自由な発想力」で、入試問題としては想像もつかないような、ありとあらゆる分野からの出題があります(2018年度はなんと「ファンタジーの創作」という冒険的な出題だった)。

出題量と時間配分

文章や図表、写真・イラスト・漫画・タイトル・キャッチコピー等、多種多様な何種類もの膨大な資料(文章だけで1万5千字以上の年度もある)を読み解いた上で、合計で800~1700字程度の記述や論述、そして、図示などをすることになります。
試験時間は120分です。
資料の理解・読解、検討、比較・分析、論点整理を40分強で終わらせ、それぞれの設問ごとに構成メモをしっかりと作成した上で、残りの時間でさまざまな事項記述問題や見解・アイデア論述問題等を丁寧に論述し、さらには図示などをこなしていきます。

出題形式

複数の資料(3~10程度)が示され、それに関しての設問(2~4、解答数は2~6)があるという形式は定着していますが、設問内容は年度によって全く異なります。
ただ、共通しているのは、提示された「テーマ」に則して、与えられたさまざまな条件(資料)の中から共通する何らかの問題点を抽出し、それに就いての受験者各位の解決策を「見解・アイデア」として、記述、論述や図示することが求められるということです。その際に、上位・下位概念にカテゴリー分類したチャートを示すことや、タイトルを付すといったようなプレゼンテーション能力が高い頻度で問われるという特色もあります。
また、資料に関しての説明・要約記述が出題されることも多いのですが、それらは見解・アイデア論述に繋がっているので、整合性に注意する必要があります。

 

慶應義塾大学環境情報学部 小論文試験を攻略するための勉強法

前提

環境情報学部の小論文では、必ず「同学部(SFC)で何をしたいのか?」という視点が求められます。それは、「未解決の問題に取り組み解決策を創造する」という同学部(SFC)の「理念」そのものだからです。しかも、「何を学びたいのか?」といった受動的なことだけではなく、能動的に自ら構想し、どのように「社会に貢献できるのか」という何かを具体的に論述する必要があります。
その為には、環境情報学とは何か? 同学部の「先端情報システム」「先端領域デザイン」「先端生命科学」「環境デザイン」「人間環境科学」という5分野では具体的に何を研究しているのか? それらに就いて、情報収集をして十分に把握しておくことが肝要になります。

知識

資料としての硬質な文章を咀嚼する為には、難解な語句やキーワードを読み解く知識が必要です(公民の「政治・経済」「現代社会」「倫理」の教科書レベルの知識も必須です。また、理系分野でも高校での必修科目程度の知識は確認しておきましょう)。
無論、論述での誤字・脱字は減点要素なので漢字ひとつたりとも疎かにはできず、高度な語彙力が求められます。
先ずは「自己診断」が必要です。「センター試験」の漢字問題がひとつの目安になります。15年分以上の過去問をチェックし、具体的な学習を進めましょう。
尚、以下のサイトは「漢字問題」だけがまとめられていて便利です。
http://www.kanjijiten.net/center/index.html

読解

資料の一部として文章が示され、設問としての説明・要約論述もあるのですから(必出ではないが)、その点では現代文の問題と同様です。文章の内容を正確に読み解くことが最優先になります。
したがって、論説文(評論文)読解の「解法」を完璧に定着させ、応用できるようにしておきましょう。

発想

本学部の小論文は「アイデア提示型」が多いので当然、独創的な発想が必要になります。あらゆる可能性の中で、如何に説得力のある視点を提起し、具体的なアイデアを提示できるかが成否を分けるのです。
つまり、これまでにない「ビジョンやコンセプトを創り出す力」や「ものごとを想像する力」が求められているわけです。したがって、常日頃から現在のさまざまな社会的課題に関して、如何なる画期的で具体的な新たな解決策を提示できるのか、研ぎ澄まされた問題意識を持つことが重要になります。身近に溢れる情報を、そうした観点で批判的に捉え発想力を磨いておきましょう。

提示

「自分が持っているイメージ」を他者に的確に伝え、「自らのアイデア」を提示するブレゼンテーション、そのポイントは実現可能性とインパクトになります。前者では単なる画餅でないことを多角的且つ客観的に証明する論述力を磨くこと、後者では図解・キャッチコピー等の広告宣伝の手法を習得することが重要です。

論述

見解、アイデアを的確に論じるには構成メモの作成が欠かせません。頭の中のイメージを視覚化し、客観的に捉えるという作業になります。
最重要となる論旨、それを説明する為のさまざまな「論点」「視点」(設問条件も含め)をアトランダムに記し、それらを整理し、チャート化します。その上で、「頭括型」の論述としてまとめるべく各要素を取捨選択するのです。その際には、批判的スタンスの要素を特に意識したいです。
「序論」「本論」「結論」のバランスは「1:3:1」が原則。こうした構成メモの作成練習を繰り返すことが重要です。
尚、実際の論述練習では無論、添削指導を受けることが必須となります。

 

推奨テキスト

ここからは、勉強に役立つテキストをご紹介します。テキストには相性がありますので、できるかぎり書店で手にとって確かめることをおすすめします。

「環境情報学」習得対策

(1)『環境情報学――地球環境時代の情報リテラシー』(大学教育出版)
「環境問題」の情報を収集・整理し、バランスよく思考して意思決定するプロセスが解説されています。

(2)『コラボレーション!――SFCという「融合の現場」』(慶應義塾大学出版会)
研究領域を融合し未来的ビジョンを示す為に、SFCで何をしているかを説明しています。

(3)『インターネットの基礎――情報革命を支えるインフラストラクチャー』(角川学芸出版)
「プロトコル」や「ウェブ」など、インフラとしてのインターネットを知るための基礎知識を収録しています。本学部でも頻出の新たな「情報基盤」に就いての解説もあります。

(4)『誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論(増補・改訂版)』(新曜社)
「ヒトにとって使いやすいデザインとは何か」に就いて詳説しています。本学部の「過去問」でも引用された書籍です。

※尚、2017年度「過去問」に本学部(SFC)の一部の「研究会」の研究内容が紹介されています。

知識対策

(1)『漢字 一問一答【完全版】』(東進ブックス)
(2)『現代文最重要語句らくらく練習帳』(学研プラス)
(3)『新版完全征服 頻出現代文重要語700 [三訂版]』(桐原書店)
(4)『現代文キーワード読解[改訂版]』(Z会出版)。

前項の「大学入学共通テスト(漢字問題)」チェックで、5割未満の場合は(1)から、6割は(2)から、7割は(3)から、8割は(4)から始めるのがひとつの目安です。反復練習して完全定着させましょう。特に(4)では、「キーワード編」のみならず「頻出テーマ編」も熟読し、完全に理解することが重要です。
また、「政治・経済」の教科書は必携です。
勿論、(5)『政治・経済用語集』(山川出版社)等の用語集も準備しておきましょう。

見解論述問題対策

(1)『吉岡のなるほど小論文講義10(改訂版)』(桐原書店)
初級レベルです。
「小論文とは何か?」「どのように文章を組み立てたらよいのか?」という基礎・基本を体系的に解説しています。入門から基礎力養成の1冊です。

(2)『合格できる小論文』(河合出版)
中級レベルです。
「系統別実践演習問題」を収録し、「自己評価グラフ」で「到達度確認」もできます。総合政策学部「見解論述問題」への完成度を高める1冊です。

(3)『小論文を学ぶ――知の構築のために』(山川出版社)
上級レベルです。
「読みと書きの技術論」「小論文に必要な知の構築」「実践演習を通じての知の習得」の3部構成で、総合政策学部で8割以上の得点ゲットをターゲットに据える1冊です。

(4)『小論文 テーマ別課題文集 21世紀を生きる〈改訂版〉』(駿台文庫)
最終レベルです。
「主要頻出テーマ」ごとの「論点整理」「キーワード解説」が充実しており、万全を期すための1冊です。

発想、提示、論点、視点対策

(1)『システム×デザイン思考で世界を変える――慶應SDM「イノベーションのつくり方」』(日経BP社)
イノベーション創出のためのまったく新しい方法論「システムデザイン・マネジメント(SDM)」の考え方、手法、活用事例を集約した決定版テキストです。「発想」のヒントが満載されています。

(2)『プレゼンテーション・パターン――創造を誘発する表現のヒント』(慶應義塾大学出版会)
聴き手の発想や発見を誘発する「創造的プレゼンテーション」の秘訣をまとめています。「プレゼンテーション」とは単なる伝達ではなく「創造の誘発」であるということが理解できます。

(3)『キーメッセージのつくり方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
人を動かし、商品を売る「言葉」づくりの教科書です。「広告表現」を習得できます。

(4)『○○✕✕年の論点100』(文藝春秋/毎年11月発売)
毎年の日本の様々な「争点」が多角的に提起されており、「論点」「視点」の捉え方をタイムリーに習得できます。

(5)『NEWSWEEK Japan』(CCCメデイアハウス/週刊)
グローバルな「視点」を磨くのに便利です。

過去問対策

『慶応大学環境情報学部(過去問)』
最終レベルです。
数多く解き、環境情報学部合格への仕上げをしていきます。

※尚、新聞は毎日通読し、未知の内容や気になる記事はスクラップする。また、様々なメディアの「広告表現」を、「私だったら」という視点で比較検討することも重要です。

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