帝京大学 化学
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
本学は、試験日が複数日程になっています。
2024年のある日程の問題では、第1問は「触媒濃度と反応速度の関係」などに関する内容であり、あまり馴染みがなく、少し難しい内容と思います。
第2問は「様々なテーマについて正しい内容を選択する問題、銅と熱濃硫酸や濃硝酸との反応」などが問われており、正確に答えるには幅広い知識が必要と思います。
第3問では「複数の反応に関する共通点やそれぞれの名称、生成物の性質」などが問われており、こちらも正確に答えるには幅広い知識が必要と思います。
第4問では「グルコースに対する異性体や酵素との反応、反応で得られた酸の性質」などが問われており、グルコースに関して、深い内容まで問われています。
他の日程の試験内容も、内容の構成自体は類似しています。つまり、比較的深い内容が問われる大問と、幅広く関連した内容が問われる大問が、混在している印象です。したがって、苦手分野を作らない準備が必要と思います。
出題量と時間配分
2024年の化学(選択科目)の試験時間は、選択科目の2科目で120分でしたので、実質60分でした。
この試験時間に対して、大問が4問ありました。したがって、基本的には大問1問あたり、約15分ずつの時間配分となります。
この時間配分は、かなり厳しいという印象です。初見の問題であれば、完答は難しいと思います。事前に類似の問題を解いた経験があれば、何とか完答までいけるかな、という印象です。実際の試験の現場では、細かい時間調整をしながら、解きやすい問題から解いていく、という戦略が必要と思います。
出題形式
出題形式についてまず注意すべきは、大問4問構成という点です。また、大問ごとに特徴があり、大きく分ければ、一つのテーマを深く問う大問と、多くのテーマについて幅広く問う大問があります。その違いは、小問数にも現れています。例えば、ある日程の問題における小問数は、第1問が7問、第2問が13問、第3問が5問、第4問が5問、になっていますが、第2問は明らかに後者のタイプに属する、と思います。小問数が多くなると、どうしても時間をかけ過ぎてしまう恐れがあり、時間配分を誤ることにつながりやすいので、注意したいところです。
解答形式
回答形式は、第1問から第4問まで、マークシート形式と、記述解答用紙に記述する形式が、混在しています。
大問の小問ごとに、回答形式が指定されています。計算問題では、有効数字も指定されていますので、有効数字の考え方も理解しておく必要があります。また、漢字で書くべき答えについては、「漢字で」という指定がありますので、漢字で書けるように準備しておくべきでしょう(例:二酸化硫黄、二酸化窒素、など)。問題文中の例にならって、構造式を記述する問題もありますので、準備が必要です。
攻略のポイント
医学部の化学の特長は、一般に難易度が高いことに加えて、理論分野から無機分野、そして有機の高分子分野まで、幅広く出題される点にあります。そしてこの傾向は、本学を含む私立大学医学部において、より顕著といえます。そのため、最終的には難易度の高い問題を正解できるようになる必要はあるのですが、その前に、高校化学のほぼ全範囲に対して、標準的なレベルの問題を解けるようになることが極めて重要と考えます。この段階にできるだけ早く達することが、医学部合格に向けての重要なポイントになります。
この点、「標準的なレベルの問題」のイメージとして最も良い例は、高校で配布されることが多い化学の教科書準拠の問題集の問題になります。例えば『セミナー化学+化学基礎』(第一学習社)であるとか、『リードαの化学+化学基礎』(数研出版)のような問題集の問題になります。
これらの問題集の良い点としては、①概ね全範囲をカバーした内容になっている点、②別冊の解説本が付属されており、解説が詳しい点、③例えば、チェックテスト・基本例題・基本問題・発展例題・発展問題のようにレベル分けがなされており、レベルに応じた問題の選択をしやすい点、などを挙げることができます。
これらの問題集を使って、高校の定期テストの対策として、最初に「基本レベル」の問題をすべて解いておくことが理想的といえますが、受験生となった際にも、一通り解き直すことがよいと思います。その際に間違えた問題は必ずチェックしておき、できるようになるまで繰り返すことが重要です。そして、医学部受験対策としては、結果的に「発展レベルまでが必須」という点に注意してください。別の言い方をすれば、医学部受験ではこうした問題集の「発展レベルの問題こそが主戦場」であり、基本レベルまでの問題は発展レベルの問題を理解するための単なる準備にすぎない、ということを理解しておきましょう。
そして、「発展レベルの問題」を終えた後であれば、受験予定医学部の「過去問を読む」ことは可能になっていると思いますので、できるだけ早くその過去問演習に入るべきだと思います。「過去問を読む」とは「解ける」ことではなく、「問題と解説の意味を理解できる」ということを意味します。「解ける」ようになるまで過去問演習をしないという姿勢は、医学部対策において、あまり適当とはいえません。なぜなら、そのような姿勢では医学部過去問のレベルを知る時期が、どうしても遅くなり、結果として医学部対策が遅れることになる可能性が高いからです。医学部過去問の演習を通して、その内容の範囲・レベルを知った後で、これまで使ってきた問題集では足りないと判断した部分があれば、その時点で初めて追加の問題集を検討すればいいと思います。その方が、その「追加の問題集」を利用する動機付けが明確となるので、勉強の効果は高まると思います。
推奨テキスト
(1)『化学の新研究』 卜部吉庸著 (三省堂)
難関大学又は医学部を目指す受験生にとって、化学を受験科目として使用するのであれば、この参考書は必須と考えます。その理由は、とにかく内容が豊富であり、「大学受験化学における最大範囲」を思わせる内容量になっているからです。実際には、この本に直接載っていない内容でも出題されることはありますが、それでも、この本に載っていなければ当然、他の本にも載っていないと思わせる安心感もあります。また、この本に直接載っていない内容であれば、たとえ出題されても、解けない人が多いであろうというように、むしろ前向きに判断でき、他の問題に注力できるということもあり得るでしょう。この本の内容をすべて読み切ることは難しいかもしれませんが、少なくとも辞書的な使い方をすることはできるでしょう。または、辞書的な使い方がメインであっても、特に苦手な項目についてだけは、すべての内容をよく読むという使い方もできるでしょう。「大学受験化学における最大範囲」を感じるべく、この本を手元に置いておく価値はあると思います。
(2)『学校の教科書準拠問題集』
(『セミナー化学の化学+化学基礎』(第一学習社)、『リードαの化学+化学基礎』(数研出版)など)
前述しましたように『セミナー化学』や『リードα』のような問題集は、とてもよく出来た構成・内容になっていますので、もし抵抗がなければ、最初の段階では、これらの問題集を使ってみることをお勧めします。ただし、注意点が2点あります。1点目は、一般に「化学」分野は「化学基礎」分野を完全に含んでいるような見方をされることがありますが、常にそうとは限りません。実際、こうした問題集の「化学基礎」版には書かれてあった内容が、「化学」版には書かれていないということがあります。そのため、医学部受験生であれば必ず、「化学基礎+化学」版を使うか、または「化学基礎」版と「化学」版の2冊を使う必要があります。2点目は、前述したように、医学部受験生であれば、これらの問題集の「発展レベル」まで理解する必要があるということです。以上の2点に注意してください。
(3)『大学過去問(赤本)』(教学社)
前述しましたように、できるだけ早く、受験予定校の過去問演習をやってみることが重要、と思います。「解ける」必要はありません。今後の勉強方針を決定するために、できるだけ早く「やってみる(≒問題と解説を読んでみる)」ことが重要になります。使用する過去問はいわゆる『赤本』がいいと思います。前年の本がまだ出版されていない場合は、その前年の本でいいと思います。受験勉強においては「敵を知る」、つまり「受験校を知る」ことがとても重要になります。できるだけ早めに「やってみる」ようにして下さい。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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