慶應義塾大学 物理
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
大問3題構成で、大問1は小問集です。大問1では満遍なく出題されますが、特に原子は頻出です。また、問題集ではあまり問われない知識問題が出題されることもあるので侮れません。
大問2と大問3で頻出の分野は力学と電磁気です。また、波動、熱力学、原子が融合される場合もあります。
難易度は、大問1の小問集は「やや易」の問題で、残りの二つの大問は「標準」と「やや難」の問題であることが多いです。年度、問題によって難易度には差があり、名称や人物名を答えさせる問題や公式の当てはめで解ける問題から、最難関国公立のような問題まで出題されます。特徴的な問題としては、現象を物理的にモデル化して考察する問題です。
2024年はニュートンビーズ(チェインファウンテン)、2023年は眼球などが扱われました。
出題量と時間配分
理科2科目で120分です。
すべて記述式です。
大問1は小問が3題前後からなります。
大問2と大問3は、問いが6~10前後からなり、長文となることもよくあるため、特にモデル化の難しい問題などでは読解に時間を要します。
答えだけ書く問題もあれば、起こる現象や理由を説明する論述問題、解答過程を記述する問題もあります。また、煩雑な数値計算、近似を含む難易度の高い計算もちりばめられています。
分量は一見多くはありませんが、時間を取られるところがあるため、問題の難易度、他科目の状況などを総合して上手に時間配分することが求められます。時間を浪費しないように、得点できる問題を確実に得点することが重要です。
解答形式の特徴
記述式です。
一般的な記述の試験ですが、空欄補充形式の記述問題もあります。細かい指定に注意して、答えましょう。文字を用いた数式で答える場合は、問題文で指定された文字に注意しましょう。
論述問題もよく出題されます。日ごろの学習において、記述の練習をするとともに、物理現象の深い理解、思考力を養っておく必要があります。
攻略のポイント
第1段階:まずは教科書レベルの定着が基本かつ重要
言うまでもないことですが、教科書の内容を理解し、定着させることが基本かつ重要です。特に、本学の受験生たるもの、教科書は初めから最後まで、すみからすみまで熟読して、すべての例題や問いを解くことは当然のことと考えましょう。なにしろ「入試問題の出典」は原則教科書なのですから。教科書にある公式はスラスラと出てくることが必須です。また、大問1の小問集では問題集などであまり問われない知識問題も出題されますが、教科書にはコラムなどで掲載されています。
物理の学習においては、問題演習が非常に重要です。授業に沿って傍用問題集である『セミナー』(第一学習社)、『エクセル』(実教出版)、『リードα』(数研出版)などで演習し、基礎を固めましょう。市販の問題集では『物理のエッセンス』(河合出版)や『漆原の明快解法講座』(旺文社)などをこの段階で併用するのもおすすめです。習得すべきポイントやつまずきやすい内容をわかりやすく解説してくれています。
第2段階:次は入試物理の「標準」レベルの問題集を一冊マスターすること
基礎を身につけた次の段階は、本学の入試に挑戦できるレベルになるまで、物理力を鍛えていきます。難しい問題に対しても物理的に正しく考えることができるように理解を深め、様々な問題の考え方やテクニックを身につけていく段階です。
この段階は、問題演習中心です。『名問の森』(河合出版)や『重要問題集』(数研出版)などに取り組みながら、ポイントとなる考え方や式の処理などを身につけていきます。最低でも一冊を2周、できれば受験期も含めて3周以上することを目指しましょう。
また、この段階においては、近似計算や公式の導出をしっかりと練習しておくことは大切です。物理の諸法則の関連性の理解を深めてくれることにもつながります。
第3段階:次は何と言っても過去演習
第2段階で本学の入試に挑戦できるレベルになったら過去問演習です。過去問演習で行うことは、他大学と同様に、出題形式や問題の傾向などを把握し、時間配分などを考えることです。合格するために「解ける問題で確実に得点する」ことを考えましょう。
特に過去問演習において注目してほしいのは、モデル化の問題です。これは市販の問題集には少ないこともあり、過去問演習をすることが非常に意味のある問題演習となります。現象を高校物理で扱えるようにある程度単純化して、その設定の下で分析をしていきます。おそらく内容は初見のもので、導きにのって、物理的に正しく考えていくことが要求されます。
また、余裕がある場合は、過去問演習と並行して、第2段階よりさらに難しいレベルの問題集に取り組むこともおすすめです。
推奨テキスト
(1) 『教科書』(各出版社)
(2) 『セミナー物理基礎・物理(セミナー物理)』(第一学習社)
(3) 『エクセル物理・総合版(エクセル物理)』(実教出版)
(4) 『リードα物理基礎・物理』(数研出版)
第1段階用です。
教科書はなければ合格できないというものでもなく、これさえマスターすれば合格というものでもありません。しかし、教科書が入試の出典の原点であることは強調し過ぎということはありません。各種公式・法則の導出過程やさまざまなカラーの図式・写真などだけでも相当の価値があるでしょう。
『セミナー』、『エクセル』、『リードα』などは、教科書傍用の問題集で、第1段階で定番の問題集です。学校で配られるものでいいでしょう。物理は、問題演習をすることがとても重要な科目なので、授業の進度に応じてしっかりと問題を解くようにしましょう。掲載問題の中には入試で少し難しいレベルの問題もありますが、基本的には基本から入試基礎レベルの問題が中心で、そのレベルの対策向けです。
(5) 『物理のエッセンス(力学・波動および熱・電磁気・原子)』(河合出版)
(6) 『漆原の物理・明快解法講座 四訂版 (大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
第1段階用の補助教材としておすすめです。習得すべきポイントや、つまずきやすい点のわかりやすい解説がありますので、基本的な学習内容を理解するためのフォローに役立ちます。また、各分野のポイントを押さえた効率的な学習を進めることができます。
(7) 『名問の森』(河合出版)
(8) 『実戦 物理重要問題集2024 物理基礎・物理(重問)』(数研出版)
第2段階用です。
入試標準~やや難レベルの問題を整理された形で学ぶことができます。本学を志望するレベルの受験生には、第2段階でおすすめの問題集です。第1段階では基本的な考え方を身につけ、諸公式を覚え、易しい設定の問題の解き方を練習しました。次の段階として、問題演習を通して、複雑な設定の問題にどのようにアプローチしていくかを学んだり、諸公式をより深く理解したりしていきます。問題の中に第1段階では学ばなかったポイントが1つ以上ありますので、1つ1つ吸収していきましょう。
(9) 『物理標準問題精講』(旺文社)
(10) 『難問題の系統とその解き方(難系)』(ニュートンプレス)
第3段階のフォロー用です。
余裕のある受験生や、東大、京大、東京医科歯科大、横浜市大、千葉大、慶大などの超難関校の医学部と併願する生徒は、過去問演習を解きながらこれらの問題集に取り組みましょう。また、苦手な単元や問題にぶつかった時は、類題を5題探して解くと効果的です。全部をこなすのは無理だとしても、類題演習のためにもあると良いでしょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
慶應義塾大学への受験を控えている保護者様へ
慶應義塾大学の受験には学校別の対策が必須になります。プロ教師界でトップの実力を持つリーダーズブレインの家庭教師は、様々な医大・医学部受験の合格実績と受験ノウハウを有しています。その中でも、お子様に最適な東京医大・医学部に強い家庭教師をご紹介します。
