東邦大学 数学
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
この大学の問題は、すべての大問が小問のように並んでいるような印象です。
2024年の問題では、第1問で「平方根を含む2つの分数式に対して、2乗の和と5乗の和を計算する問題」、第2問で「色のついた玉を用いた条件付き確率の問題」、第3問で「ルートを含む式が自然数となるように、ルート内の整数を決定する問題」、第4問で「元の関数とその逆関数が一致する場合や、2つの合成関数が一致する場合に関する問題」、第5問で「ある関数のn回微分の式に関して、その係数が等差数列になっている場合の公差や極限に関する問題」、第6問で「2つの不等式によって表された領域に関する問題」、第7問で「ある四角形に対する余弦や辺の値に関する問題」、第8問で「媒介変数表示された関数の値や曲線の長さに関する問題」、第9問で「平面ベクトルの問題」、第10問で「不等式を満たす定数の値を求める問題」、の各分野からの出題がありました。
全体的にみて難易度は様々と考えられますが、出題範囲は極めて多岐にわたっていますので、苦手な分野を作らないことが重要です。
出題量と時間配分
2024年の数学の試験時間は90分でした。
この試験時間に対して小問集合のような大問が10問ありました。したがって、基本的には大問1問あたり約9分ずつの配分となります。これらの問題には難易度の差がある上に、受験生の得意・不得意もありますから、現場で実際の問題を見ながら、細かい時間調整をしつつ、解きやすい問題から解いていくということになるでしょう。自分が得意な問題で、少しでも時間を節約し、その節約した時間を、自分が不得意とする問題のために使う、という流れになると思います。そのため、自分が得意とする問題から、先に解いていくべきと思います。
出題形式
出題形式について、まず注意すべきは大問10問構成という点です。そして、その10問が他の大学の問題でいうところの小問集合構成のようになっていますが、各大問のボリュームはそれぞれ異なっています。そして各大問の中は、さらにいくつかの細かい問いに分けられていることが多いです。
解答形式
第1問から第10問まで、すべてマークシート形式になっています。
そのためマーク箇所の数で桁数を想定できるようになっています。記述形式のように途中経過を記載する必要はありませんので、その点は精神的に楽になると思いますが、部分点を期待することはできません。
攻略のポイント
他の医学部の問題と比べれば、難易度が高い問題ばかりとまではいえませんが、レベルの高い受験生が多いですので、高得点の争いになることが予想されます。そのなかで勝ち抜くためには、やはり、基本的な問題から難易度のやや高い問題まで、幅広く準備しておく必要があります。そのため、後に紹介している網羅系の問題集をまずは、できるだけ早く終わらせるべき、と思います。
網羅系の問題集の1周目を終えた後は、間違えた問題に対して、その復習、つまり、2周目・3周目を行いながら、できるだけ早く、『赤本』(教学社)などの過去問演習にとりかかるべき、と思います。なぜなら、基本的な部分は、網羅系の問題集を複数回復習することで十分ですし、応用的な部分は、実際の大学の過去問で練習する方が、より実践的かつ効果的と考えるからです。もし、他の問題集にも手を出すのであれば、大学の過去問をやって、そのレベルや傾向などを知ってからでいい、と思います。この順番を逆にすると、その「他の問題集」を使う目的があいまいになるため、その演習効果が期待ほどは上がらない、ということがありえます。また、過去問を知るための最適なタイミングを逃してしまい、いつまで問題集だけをやるのですか? という状態になってしまう恐れがあります。また、通常、受験予定の大学は複数あると思いますので、各大学の数年分の過去問をすべて合わせると、かなりの数になります。その演習時間もかなりの時間になりますので、実際には「他の問題集」にかける時間をそれほどはとれないでしょう。このように、まずは、過去問中心主義で考えるべき、と思います。このことには、過去問の演習というプロセスを通して、自分に合う大学・合わない大学の判断も早めにできる、という重要な意味合いもあります。特に本学についていえば、あまりに難易度の高い問題集に手を出すと、試験レベルを大きく超えた対策になりかねません。他にも難易度の高い医学部を併願するのであればいいのですが、その点も注意したいところです。本学については、「深さ」よりも「幅広さ」が大事と思います。
受験勉強の最終目標は、受験校に合格することですが、それを除けば、受験校の過去問と同等レベルの問題を解けるようになることにあります。そのために、中心に考えるべきは、やはり受験予定校の過去問演習です。前述の網羅系の問題集の演習は、インプット面に限っていえば、あくまで受験予定校の過去問演習において、その解説を理解できるようになるための準備にすぎません。そのような意味において、まず網羅系の問題集をこなして、その後に受験予定校の過去問演習をこなすこと、そして、その上で自分に足りず、かつ網羅系の問題集でも足りないと判断した部分については、その部分をカバーする「その他の問題集」を使ってみるという順番が正解ではないか、と思います。さらに、その上で、大手予備校の模擬試験で、実戦経験を積んでいくべき、と考えます。
推奨テキスト
(1)『青チャート・数学ⅠA・ⅡB・ⅢC』(数研出版)
この『青チャート』に代表されるような、チャート系の問題集は、いわゆる「網羅系の問題集」の代表格です。
いわゆる「網羅系の問題集」として利用できるための要件は、3点ある、と思っています。1つ目は、当然ですが「内容が網羅的であること」です。そうでなければ、十分な準備はできません。2つ目は「解説が詳しいこと」です。これは、解説が詳しくなければ、自習ができないためです。そして、3つ目は「掲載されている問題の難易度が、易しい問題から難しい問題まで、幅広く揃っていること」です。例えば「★マークの数」などによって、難易度表示されているものがいいと思います。その方が、自習をしやすいからです。このチャート系の問題集は、この3要件を満たしていると思いますので、推奨できます。
また、例えば『青チャート』でいえば、問題は「基本例題」と「重要例題」などの区別がありますが、難関大学や医学部のような難関学部に対応するためには、「基本例題」だけではなく、「重要例題」などの難しい問題まで、しっかり理解するようにしてください。また、1周だけではなく、解けるようになるまで、何周も繰り返すことが大切です。
(2)『フォーカスゴールド・数学ⅠA・Ⅱ・BC・Ⅲ』(啓林館)
数学の「網羅系の問題集」として、他に知られたものが、この『フォーカスゴールド』のシリーズです。上記の『青チャート』などのチャート系を、かなり意識した作りになっていると思いますが、この『フォーカスゴールド』も、上記の3要件を満たしていると思いますので、「網羅系の問題集」として、利用できると思います。また、『フォーカスゴールド』は、マスター編、チャレンジ編、実践編、に分かれていますが、まずはマスター編だけでいいですので、何周も繰り返してしっかり理解するようにしてください。
(3)『ニューアクションレジェンド・数学ⅠA・ⅡB・Ⅲ・C』(東京書籍)
数学の「網羅系の問題集」として、比較的最近、知られてきたものが、この『ニューアクションレジェンド』のシリーズです。その作り自体は、上記の『青チャート』や『フォーカスゴールド』と大差はない、と思います。このシリーズも、上記の3要件を満たしていると思いますので、「網羅系の問題集」として、利用できると思います。
ここまで、3つの種類の「網羅系の問題集」をご紹介してきました。どれにするかで迷う人もいるかと思いますが、もし学校で配られたものがある場合で、特に使いたくない理由もない場合は、そのシリーズでいいように思います。そうでない場合は、実際に、これらの問題集を手にとって、自分に合いそうなものを選んでみてください。内容に大きな違いはないと思いますが、長くつきあう問題集ですので、自分との相性は大事と思います。
(4)『大学過去問題集(赤本)』(教学社)
前述しましたように、できるだけ早く、受験予定校の過去問演習をやってみることが大切です。「解ける」必要はありません。今後の勉強方針を決定するために「やってみる(≒問題と解説を読んでみる)」ことが大事になります。過去問は、いわゆる『赤本』が良いと思います。前年の本がまだ出版されていない場合は、その前年の本で良いと思います。受験勉強においては「敵を知る」、つまり「受験校を知る」ことがとても大事になります。できるだけ早めに、「やってみる」ようにして下さい。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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