東京医科大学 英語
入試対策と勉強法
特徴と時間配分
出題範囲(分野)
以前は大問5題の出題となっていましたが、2023年度入試より大問1の発音アクセント問題がなくなり、大問4題の出題となっています。大問1が文法・イディオム等知識問題、大問2が語句整序問題、大問3・4が長文読解問題2題です。全体として標準的な知識・理解が問われており解きやすい問題と言えます。語句整序に関しては、年度によっては会話問題が出題されることもあるためどちらが出題されても対応できるようにしておきましょう。読解については、医療系から人文・社会系まで幅広く出題されています。
出題量と時間配分
試験時間は60分です。問題は解きやすいとはいえ時間が短いため時間管理は重要です。大問1は小問が6つ程度なので併せて5分弱、大問2の語句整序(もしくは会話)も7~8分で終わらせ、読解問題2題に45分以上残せるようにしましょう。長文読解は時間をかけただけ精度が増します。知識系の大問1・2を12~3分程度で終わらせることが出来るだけの知識の精度の高さを目指しましょう。
出題形式
読解問題に関しては、大問3・4ともに内容把握を中心とした下線部同義問題や内容一致問題が出題されていますが、2020年より最後の長文に記述問題が加わりました(2020~2021は説明問題、以降は和訳問題)。最後の長文については、以前は20~25の選択肢の中から5~8つの正しい物を選択するというものでしたが22年より数が12に減り解きやすくなっています。選択肢の並びと英文の流れが基本的には同一なので、1~2パラグラフ読むごとに選択肢をいくつか検討するという方法で進めれば、記憶が新鮮なうちに選択肢の正誤を判断できます。
解答形式
大問4(c)の記述式を除けば、全てマークシート形式となっています。大問4(A)については、数が減ったとはいえ12ある内容一致の選択肢が各々2~3行の英文となっているため、トータルではかなりの分量となっています。読み取りに思っている以上に時間がかかるので、前述した時間配分のとおり、やや多めの時間を確保しておきましょう。
攻略のポイント
[読解問題]
読解問題の出来が合否を左右する出題となっています。したがって、読解力向上に向けた取り組みに時間をかけましょう。試験時が60分であることを併せて考えれば、速読能力の向上も必須です。意味のかたまりごとに前から意味をとっていく事ができなければ時間内に設問処理まで含めて解答を終わらせることは出来ないでしょう。句・節ごとに意味をとらえ、ニュアンスの分かるものは日本語に訳さず読み進める力を身につけましょう。
一定レベル以上の英文解釈能力を身につけたら、句・節ごとにスラッシュを入れながら前から訳読み下すトレーニングをしましょう(スラッシュ・リーディング)。最初のうちはやや多めにスラッシュを入れることになるでしょうが、慣れてくればそれほど入れずに前から読み下していくことができるようになります。併せて行いたいのが音読です。一度解き、しっかり復習した英文を用いて、必ず英文音読の時間を設けるようにしましょう。音読することで、強制的に前から読み下す習慣を身に付けることが出来ますし、日本語を介在させなくとも内容が頭に入ってくるようになる英文が増えてくることになります。その際には必ず意味のかたまりごとに内容を把握する意識を持つようにしましょう。漫然と読んでいては効果が半減してしまいます。音源付きの長文問題集であれば、それを利用することでさらに効果を高めることが出来るでしょう。
[文法・語句整序]
大問1で問われる事項は標準的なものであるため、後述のようなインプット系の問題集を一冊完成させれば完答を目指せるでしょう。もっとも、かなり短い時間で解き切ることが要求されることになるため、高い精度で完成させましょう。語句整序が出題される年もあるため、こちらもしっかり対策が必要です。場当たり的な解き方ではなく、他動詞の性質や節の個数を意識した英文の骨組みから組み上げる手順をしっかり確立しておきましょう。
[単語・イディオム・会話表現]
単語レベルは標準的で、英文の素材に医療系のものが出題されることもありますが、医歯薬系の単語を覚えなくてはならないほどの出題はありません。オーソドックな受験用単語帳を1冊完成させれば十分です。会話表現については、対話文読解が毎年出題されるものの、口語表現の知識を聞くというよりは内容把握を問う問題であるのであまり神経質になる必要はないでしょう。もっとも、会話文ならではの特殊性があるので、苦手意識があるのであれば後述の問題集をやっておくと良いでしょう。
推奨テキスト
[英文解釈]
(1)『基礎英文解釈の技術100』(桐原書店)
英文構造の把握を身につけるための良書です。この1冊を7~8割程度消化したら、あとは速読のトレーニングをすることに注力しましょう。
(2)『ポレポレ英文読解プロセス50』(代々木ライブラリー)
やや勉強が進んでいる生徒向けとなっていますが、講義仕立てで読みやすく、量も絞ってある分、時間をかけずに終えることが出来ます。ポイントが絞られている分、説明の物足りなさを感じるところがありましたが、現在は筆者の西先生のYouTubeチャンネルでテキストの講義授業を受けられるため使い勝手がよくなっています。
[長文読解]
音源付きであり、出版も新しいため最新のトピックを知る上でも役に立つものをあげました。パラグラフ・リーディングの理解や設問形式ごとの解き方、英文エッセイの構成などまで説明されているテキストでもあります。いずれも問題を解くだけでなく解説までしっかり読み込みたい教材です。
(1)『The Rules英語長文問題集3・4』(旺文社)
(2)『英語長文ポラリス3』(KADOKAWA)
(3)『全レベル問題集:英語長文6』(旺文社)
(4)『イチから鍛える英語長文500・700』(Gakken)
(5)『英語長文PREMIUM問題集:Advanced/Top』(東進ブックス)
(6)私立医大の英語(長文読解編)
医療系のテーマに絞った長文問題集です。音源は付いていませんが、最新医療の時事問題、医学・生物学など医学部で出題されること多いテーマをバランスよく扱っています。また、イラストを用いて背景知識を説明してくれているページは読み物としても面白いです。
(7)過去問
当然ながら、最高の実践的トレーニングとして最も重要なものです。近年の1年分については、レベル・形式を把握するために早い時期に解いておきましょう。
[文法・語法]
(1)『頻出英文法・語法問題1000』(桐原書店)
文法・語法系のインプット教材としてはややボリュームがありますが、比較的説明が厚めなので自分で進めやすいでしょう。もっとも、学校などでNEXTSTAGEやVINTAGEなどを利用していれば、これらのテキストもよくまとまっているため、学校の進行に合わせてそれらを使った方が効率はよいでしょう。
(2)『英文法ファイナル問題集[標準編]』(桐原書店)
全10回のテスト形式です。範囲指定のない形で問題が作られているため、知識の定着度を図るのに良いでしょう。語句整序も各回に出題されているため、苦手な設問形式をピックアップして取り組むという使い方も可能です。
[単語・イディオム]
(1)『速読英単語[必修編]』(Z会出版)
学校使用の単語帳を用いるのが効率的ではありますが、使いづらかったり相性が悪かったりするのであれば、CD音源付きで速読の練習も兼ねられるこちらを利用すると良いでしょう。上級まで回せれば単語力に不足はないでしょう。
(2)『解体英熟語』(Z会)
ボリュームはありますが、テキストの後ろにある前置詞・副詞の整理ノートがよくまとまっており、効率的に覚えられるだけではなく、未知のイディオムもニュアンスを類推することができるようになります。
(3)『システム英単語Premium(語源編)』(駿台文庫)
語源ごとに編集された単語帳です。単語としてはやや難易度の高いものが多いですが、語源については分かりやくまとまっているため、自分の使っている単語帳では覚えにくい単語があるときに参考程度に利用するとよいでしょう。
[会話問題]
(1)『英会話問題のトレーニング』(Z会出版)
毎年の出題というわけではありませんが、会話問題に苦手意識がある場合には取り組んでおくとよいでしょう。ボリュームが多いため、時間がない場合には第3章の会話形式の長文読解25題をやるとよいでしょう。
テキストは相性があります。できれば書店で手にとって選びましょう。
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