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明治大学付属明治中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2015年度「明治大学付属明治中学校の算数」
攻略のための学習方法

「正攻法で攻めよ」明明の算数対策を一言で表わすならば、これに尽きる。
とりたててスピードも要らないし、超難問を解きほぐせるひらめきも要らない。受験算数という枠組みの、真ん中の道を進んでいけば、おのずから合格への道は開けよう。

《オーソドックスな問題》
50分で大問5題、設問15・6題という分量はきわめてオーソドックスである。上位校としては、やや少なめかもしれない。普通に研鑽を積んでいけば、時間不足になって解けないと言うことは無い。持っている力を十分に出して問題にあたれるはずだ。
また、難易度について言えば、やはりオーソドックスな難問が並んでいるという感じである。易しいとは言えないが、決して解けないレベルではない。他校に見られるような「捨て問」の類がきわめて少なく、0点から100点までで算数の力が競える。点差はつきやすくなるが、算数が得意な生徒は満点近くを狙えるし、なにより奇問・超難問によって生徒が悩むことがないのはきわめて評価できる点だ。どの問題にも既視感があり、生徒は安心して問題解法に進んでいけることだろう。
しかしながら、明明の壁は高く、そのハードルを越えるのは容易ではない。つまり、自分から見て「簡単だ」と思えるものは他者がみても同じであり、自分から見て「やりやすい」と思えるものは、他者から見てもやりやすいからだ。ここは誤解しやすいところである。明明の競争率が高いのは、テスト問題へのとっつきやすさも影響している。ある生徒が「やりやすい」と感じて選択するとき、他の生徒たちも同じ感想を持って明明を選択している。奇問・超難問を克服するよりは確かに対策は立てやすいが、いまわの際でライバルたちに差をつけなければならない困難さも理解しておこう。

《公式の応用》
では、実際の入試問題において、明明対策はどのようになされるべきか。
どの問題にも一貫して言えることは、手数のかかる問題が多いと言うことだ。大問【1】の計算問題から始まり、大問【5】最後の設問に至るまでそれは徹底している。
「公式」と言うものがある。「公式」に当てはめれば答えが出るという問題も数多く存在するが、明明ではあまり見かけない。(「公式が分れば解ける」これは簡単を意味しない。特異な公式を使えば一発で出来ても、知らないと解けないか解法に苦労するという問題はたくさん存在する)
代わりに多く登場するのが、「公式」は分っていても、それだけでは解けないという、公式の応用を試される問題である。
明明で頻出の内容に「速さ」と「割合」がある。
この2つの内容は、誤解を恐れずに言えば、公式は一つずつしかない。
よく「割合の3用法」とか「速さの3つの公式」とか言うが、1つの式の解く箇所を変えているだけである。だから、普通の受験生であれば「公式」を知らないから解けない、という分野ではない。
平 成27年度の問題にも、この2つの分野から出題はいくつも見られる。「食塩水」と「速さの比」と形を変えてはいても、使うのは「割合」と「速さ」の公式である。しかし、解ききるのは容易ではない。公式を何度も駆使して、ようやく解答までこぎ着けるというスタイルを取っている。
つまり、明明の算数では「公式の暗記量」よりも「公式の応用」に完全に重点が置かれていることがわかる。「規則性」の問題が意外に少ないのは、「規則性」の場合、その周期や決まりが分れば「公式」にあてはめて一発、という問題が多いからではないか。その代わり、「場合の数」のように、究極的な解き方は「数え上げる」という手法になる内容は多く出されている。
さらに言えば、明明の場合、「公式」にあてはめてさらっと解ける問題を避け、非常に手数のかかる、作業中心の問題が多い。
大問【1】では、計算問題は分数や小数、整数の混合算であり、逆算を要求されることもある。ここでも、「計算の工夫」一発というよりは、泥臭く計算を積み上げていくという問題が多い。一行問題には「和と差」「割合と比」「平面図形」などが多く出題されるが、やはり「公式は知っている」という前提でそれを使いこなせるかどうかが試されている。大問【1】は、式は不要で、答えだけを求めればよいという形式ではあるが、大問【2】以降とさして変わらぬ作図や式が必要となる。多少難易度が低く設定されているだけである。
大問【2】以降では、より手作業が必要な問題が増えてくる。
「割合と比」、「速さの問題」、「場合の数」などである。
これらの内容は、大問【1】よりも難易度が高めに設定されているがやることはさして変わらない。よく知っている、よく使ってきた「公式」や「考え方」を用いて、丹念に作業を積み重ね、正解まで持って行くという地道な努力があるだけだ。しかし、学校側はまさにそこを要求しているわけで、コツコツと作業をしていく問題が得意な生徒には向いていると言えるだろう。その代わり、男子によく見られる例で、ひらめきにかけては自信があるが、ノートに式を書いて求めていくのはイヤ(何が書いてあるのかさっぱりわからない~)という生徒、または苦手な生徒はこれから自分自身のやり方を方向転換しなければならない。この学校の姿勢がそうである以上、それに合わせて自分のスタイルを変えていくのが賢明な受験生である。
今までのことをまとめると、この学校では作業を要求される問題を多く出題し、生徒はそれに対応できるように努力するべし、と言うことになる。

《実践問題演習》
では、どのように普段の勉強を積んでいけばよいか。
まず、大問【1】レベルの、基本ではあるが、基本の中では最上級クラスの問題の解き方を身につけることが先決だ。ここでの5問は、明明合格への競争に参加できるかどうか、という資格が問われるところだ。このレベルで苦戦しているようでは、まだ後半の問題に取りかかるのは早計である。まずは一行問題を極めよう。手元によい問題集なり参考書があるはずだ。
そして大問【1】を突破し、大問【2】~【5】の問題に挑むにあたっては、過去問も含め、解く問題の分量はどうしても限られてくるので、要領よく時間を使って“合格の力”をつけたい。
大切なことは、問題の難易度に注意するということ。問題が易しすぎては話にならないが、超難問に時間を費やしても「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」である。自信もなくしかねない。過去問と同じ難易度を持つ他校の問題、たとえば「芝中」や「城北中」のような、男子進学校の問題を選んで解けばよいだろう。後半にある「捨て問」覚悟の難問ではなく、中盤の問題で十分だ。
また、出題範囲は限られているので、その分野の問題に絞って作業のコツなどを身につけながら力を蓄えていくのもよい。
特に、「動く点」の問題や「場合の数」の場合は、式ではなくて、表などに数値をまとめていくことが多い。ていねいに数値を数えていけるよう、普段から気をつけて作業に臨みたいものだ。
はじめのうちは時間を気にしなくてよい。納得いくまで時間をかけて問題の深みを味わおう。明明の難易度が体感できるはずだ。
秋が深まってくる頃には、大問1つを8分以内にこなせるスピードを会得し、算数で高得点が取れるよう仕上げていきたい。
算数の基本的な力を持つ生徒であれば、誰もが挑戦可能な難易度で「おもてなし」をしてくれる学校である。自分なりにテーマを持って挑戦し、合格を目指してもらいたい。

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2015年度「明治大学付属明治中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が5題、小問が16題。大問【1】は答えだけ、大問【2】以降は、式や考え方も解答用紙に書き込むという形式になっている。また、点数配分もおおよそきまっている。
時間と問題数がマッチした学校であり、良問も多く受験生は時間に追われることなく自分の力を十分出せる分量になっている。
ただし、合格までの得点を重ねることは決して容易ではない。

【大問Ⅰ】計算問題を含む、小問5題

  • 時間配分:16分

最初の計算問題も□が中ほどにありやりやすい問題とは言えない。
(2)は速さと比の典型的なもの。何回となく解いてきたことがある問題であり、正解するのは容易だったろう。
本年度は(3)~(5)の3問の水準が高いと感じた。ここで失点を1問程度にとどめられたかどうかが合否を分けたかもしれない。
(3)は3:4:5の辺比を持つ直角三角形を利用して辺の長さを求めると簡単に解けるのだが、直角三角形の辺の比が「3:4:5」ということをヒントとして提示もしないで問題に使わせてよいのかという疑問が残る。
(4)は場合の数・並べ方。落ち着いて問題文を読み、小さい方から書いていけばよい。おのずと決まりもわかり、40番目の数までたどり着くことだろう。
(5)の食塩水は前半としては難問に属するといえる。いつものように食塩の重さを使うことが出来ないため、食塩水の濃さをそれぞれ④、③などとおいて式を展開しながら解き方の糸口をつかむことになる。
明大明治(以下、明明)の場合、一行問題とはいっても、なかなか手の込んだ問題が初めから出されており、難易度も決して低くない。ただ、このあたりは5問中最低でも4問は解けるようになっておきたい。本年度のものであれば、(5)以外は正解しておきたい。

【大問Ⅱ】割合…売買損益の問題

  • 時間配分:6分

大問1の(2)同様、入試問題における典型的なものであり、多くの受験生たちはここをしっかりと正解できたものと思う。逆にここを落としてしまうと、後半かなり苦しい戦いを強いられることになる。
(1)は「またか…」と思いつつさらっと解いてみたい。今さらあやまって答えに「定価」の数値を書く生徒はいまい?
(2)への展開もいつものパターンであり、つるかめ算を用いてすんなり答えを出しておきたい。
この大問の正答は絶対に必要であり、間違えた生徒はあわてて基本に戻ること。

【大問Ⅲ】速さと比…正比例

  • 時間配分:8分

あやまった時刻を示す時計が2つ出され、それらを使って(1)~(3)の設問を解く。設問は徐々に難しくなってはいくが、明明志望者であれば、最後まで解けないと言うことはあるまい。
(1)は解説も不要な基本中の基本問題。遅れる時計なので、時間差を引くことを間違えないように。
(2)では「正しくない時計」が時刻を示すと言うことでランクがあがっている。ここで受験生のうち何割かは振り落とされる危険性がある。「正しくない時計」と「正しい時計」の速さの比を求め、比例式を使って答えを出すという一連の解法が身についているかどうか…
(3)の方が平易かもしれないが、慎重に期したい。
ここも最低2問は正解したい。

【大問Ⅳ】水そうとグラフ

  • 時間配分:8分

珍しく立体図形に属する内容であるが、与えられたグラフまたはその数値から、体積や底面積を用いることはなく、比の問題であることがわかる。
(1)がポイントになっていて、ここの答えが次の設問のヒントになっている。
低い方の仕切りがいっぱいになる時間(20分)と、㋑の部分で高い方の仕切りがいっぱいになる時間(35分)の比(4:7)から、①の高さを求めることが出来る。
①が求まると、①と35cmの高さの比から、先に②(3)の答えが先に求まり、35分と②を比べることで(2)の連比も求めることが出来る。
水そうグラフの問題も何度となく解いてきたことと思うが、比を用いるだけで解く問題としては良問なので、必ず解けるよう頭にたたき込んでおきたいところ。
ここもできれば正解しておきたい。

【大問Ⅴ】ニュートン算

  • 時間配分:10分

本年度の末尾を飾るのはニュートン算だった。また、大問の中では最も難しく、後半の条件がユニークだったので苦戦した生徒も多かった予想される。(1)だけ解いておいて、あとは見直しに走るというのが現実的かもしれない。
(1)はそれほど難しくはない。1分間に増える人数は(28÷7=)4人であり、行列に加わる人数は12人なので、その差(12-4=)8人ずつチケットを買っていることがわかる。
(2)はこんな解き方をしてみた。
10時17分から10時25分の8分間で列が半分になるので、その8分前には10時と同じ行列の長さになっていたと言うことだ。つまり、10時9分のときと10時ちょうどのときの列の長さは同じである。と、10時7分には28人行列が増えていたので、この28人を(9-7=)2分で減らしたことになる。1分間だと14人、後ろから並ぶ人は12人なので、1分間に(14+12=)26人ずつチケットを売っていると言うことになる。
(3)は2つの式を立てて券売機1台の値を求めるというもの。(1)(2)が解けていれば正解は容易だった。しかし(2)のレベルが高いので、ここでの失点はやむを得まい。

攻略ポイント

テスト時間は50分で100点満点。受験者平均が50、合格者平均が71と、かなり点差があるのが特徴だ。合格点は60くらいとしておこう。

明明特有の、この“こてこて”した問題群に立ち向かうには、基本問題の徹底履修だけでは難しく、基本的な公式や解き方を身につけたら、設問が2つ以上はある条件の複雑な問題にもトライしてみよう。初めは時間がかかってもよい。
また、上に挙げた頻出の分野は時間をかけて必ず得意にしておきたい。特に、「割合」と「速さ」は頑張ろう!

模擬試験の受け方も考えてみたい。
模試で、偏差値稼ぎのため、初めの方だけていねいに解いて得点を上げるといった方法は一時期置いておき、後半の難問にも挑戦していけるメンタルを身につけたい。模試では前半の平易な問題を完璧に解ければ偏差値は60くらい取れるかもしれず、それによって明明の合格可能性は高まるかもしれない。しかし、それはその場しのぎに過ぎない。ここはあえて正答率が下がってでも、難易度の高い問題への自信をつけるために模試の受け方も変えてみたい。

明明は大学附属の中でも大変人気が高い学校であり、競争率も高く出題される問題も一筋縄ではいかない難しさを持っている。しかし、日頃の演習によって十分克服できるレベルでありこの学校に入りたいという強い意志を持っていれば成し遂げられるはずである。
まずはチャレンジ精神を持って、明明レベルの問題にあたっていこう。

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