｢科学や技術が進歩しながらも、自然災害による犠牲者を守り切れないのはなぜか｣という問題提起に対して、｢本物の森づくりをすべきだ｣と提起している。平易な文章で内容も分かりやすい。が、女子学院らしい多種多様な｢設問｣が脈絡なく一気呵成に押し寄せてくる。
以下、いくつかの｢設問｣を確認してみたい。

[問二]　｢条件付き理由説明記述｣(字数指定なし、40字程度の解答欄×２)。
傍線部①｢犠牲者を守り切れないのはなぜでしょうか｣について、その｢理由｣を｢二点｣説明する。
｢条件｣は｢文中の言葉を使う｣こと。さほど難しくはない。
｢論説文｣では通常、｢問題提起｣の直後からそれに対する｢答え｣の説明が始まる。ここでも、傍線部の次からの３段落で｢理由｣が述べられている。
｢二点｣なので、｢論点｣を整理する。ひとつは｢災害の発生そのもの｣について、もうひとつは｢その対応｣についてだ。前者に関しては｢地震の正確な予知はではきていない｣｢災害の発生自体を止めることは不可能｣、後者では｢対策が遅れたり不十分であったり｣｢根本的な対応ができないまま現状が維持されていく｣といったことが説明されている。
これらを、｢条件｣に留意しながら｢過不足なく｣それぞれまとめていく。

＜時間配分目安：３分＞

[問三]　｢条件付き換言説明記述｣(字数指定なし、30字程度の解答欄)。
傍線部②｢自然は、いわば神のような存在で｣について、｢自然のどのような性質を表現しているか｣を説明する。
｢条件｣は｢解答欄に合わせる｣こと(｢冒頭｣に｢自然は｣、｢文末｣に｢存在であること｣と記されている)。要するに、｢自然｣＝｢神｣という｢比喩表現｣を換言するということ。
｢傍線部一文一部の原則｣(｢傍線部が一文の一部分｣だった場合、｢傍線部以外が重要｣ということ)で｢手がかり｣を探す。
傍線部直後に｢抗えない｣とある。つまり、｢神｣＝｢抗えない存在｣＝｢自然｣ということ。そこから、｢人間の力は及ばない、抗うことができないほどの大きな力を持っている存在｣といったまとめ方ができるはずだ。
｢解法｣を的確に応用することが重要だ。

＜時間配分目安：２分＞

[問四]　｢語句の空所補充記述｣(漢字指定)｡
空所(③)に当てはまる、｢天災｣の｢対義語｣を答える。
すぐに思いつくか？ 意外と落とし穴かもしれない。
｢天災｣＝｢自然災害｣⇔｢人的災害｣＝｢人災｣となる。
ＪＧではこうした｢総合的知識問題｣が随所にちりばめられている。万全の準備が欠かせない。

＜時間配分目安：１分＞

[問九]　｢換言説明選択肢｣(４択)。
傍線部⑧の｢人間の干渉に敏感なところ｣とは｢どのような場所か｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則なので、先ずは｢敏感｣の｢原意｣につながるかどうかで｢消去｣を試みる(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡
(ア)｢変わってしまいやすい｣、
(イ)｢なくなってしまう｣、
(ウ)｢可能性のある｣、
(エ)｢消さなければならない｣｡
どうだろうか？ ｢敏感｣の｢原意｣を考えれば、(ア)以外は｢消去｣できないか？ (ア)の前半の｢人間の生活によって｣は｢人間の干渉｣とも結びつく。よって、｢答え｣だ。
このように｢原意消去｣で一発消去も可能なので、活用すること。

＜時間配分目安：１分＞

[問十一]　｢条件付き換言説明抜き出し｣(字数指定なし、10字程度の解答欄×２)。
傍線部⑩｢柔よく剛を制す｣について、文中で｢柔｣と｢剛｣はそれぞれ｢何を指しているか｣を抜き出す。
この故事成語(｢柔らかく弱いものが、かえって硬く強いものに勝つ｣という意味)を知っている人は少ないだろう。
だが、｢剛を制す｣なので、｢剛｣が｢弱い｣ということは分かるはず。直後に｢コンクリートや鉄筋｣より｢木の根｣の方が｢強い｣とあるのだから、｢柔｣が｢木の根｣、｢剛｣が｢コンクリートや鉄筋｣となる。
｢文脈｣をしっかりと捉えること。

＜時間配分目安：２分＞

全52編を紹介している｢文学入門書｣の中の１篇｡金子みすずの詩の魅力を解説し、その生涯にも触れている。｢詩｣の読み取りも求められている。
以下、いくつかの｢設問｣を検証してみる。

[問三]　｢心情説明選択肢｣(５択)。
傍線部③｢原始的な、不思議な気持ち｣とは｢どんな気持ちか｣を答える。
各選択肢の｢文末｣を確認しても、傍線部の｢原意｣での｢消去｣は不可能(｢選択｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)｡そこで、直後に着目すると｢偉大な何ものかに向かって祈ったような｣とある。｢受け身｣ではないので、(イ)｢心がゆさぶられる｣と(エ)｢新鮮なおどろき｣は｢消去｣できる。次に、｢祈った｣、｢何｣を？ 明確にはされていない。ということで、(ア)｢自然を｣と(オ)｢幸福を｣も｢消去｣してい。
よって、｢答え｣は(ウ)の｢人間が本来もっている、つつしみ深いかしこまった気持ち｣となる。
様々な｢要素｣を組み合わせて｢選択肢消去｣を行うことが必要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問七]　｢詩の読み取りの換言説明記述｣(字数指定なし、40字程度の解答欄)。
傍線部⑦について、｢つもった雪｣の｢詩｣の中で｢見えぬけれどもある｣のは｢何か｣を説明する。
｢星とたんぽぽ｣という｢詩｣の一節について、他の｢詩｣に当てはめてその内容を問うという｢変化球｣、いかにもＪＧらしい問題だ。
｢つもった雪｣の解説の中に｢上と下と中の雪をそれぞれ見分けています｣とある。つまり、｢何か｣を｢見ることができている｣ということ。何か？
｢詩｣には、｢上の雪 さむかろうな｣｢下の雪 重かろうな｣｢中の雪 さみしかろうな｣と表現されている。ということは、｢見えぬけれどもある｣のは、｢上の雪、下の雪、中の雪、それぞれが感じているはずの、さむさや重さやさみしさ｡｣となる。

＜時間配分目安：２分半＞

[問十一]　｢換言説明抜き出し｣(七字指定)。
傍線部⑩｢生きる意味｣について、｢金子みすず｣にとって｢生きるとはどういうことだったのか｣を抜き出す。
｢傍線部一文一部の原則｣で考える。
｢生きる意味｣＝｢これ｣によって｢奪われるもの｣。｢これ｣とは何か？(｢指示語｣があったらすぐに開く)｡｢ご主人｣が｢禁じた｣｢詩の投稿｣だ。｢詩の投稿｣はどのような｢生きる意味｣なのか？ 前段落に｢自分を表現する方法｣として｢童謡｣(＝｢詩｣)を｢投稿｣すると述べられている。
つまり、｢自分を表現する｣が｢奪われたもの｣＝｢答え｣ということだ。
論理的に｢筋道｣を追って考えていくことが重要。

＜時間配分目安：２分＞

[問十三]　｢指示語の換言説明記述｣(字数指定なし、30字程度の解答欄)。
傍線部⑫｢それ｣とは｢何か｣を説明する。
単純な｢指示語換言｣だ。｢それ｣＝｢彼女の詩｣が｢救い出された｣こと｡
以上、終了！ とはいかない。
｢記述｣では、｢代名詞｣や｢比喩｣は使えない。｢彼女｣＝｢金子みすず｣/｢救い出された｣＝｢後世に残してくれた｣(前文から分かる)⇒｢金子みすずの詩が後世に残されたこと｣なのだが、若干｢字数｣が不足だ(｢指定字数｣は｢それだけ記述する内容がある｣というヒントでもある)｡
さらに前を確認する。｢手帳に書き残しておいた｣とある。これだ！ ということで、｢書き残してあった金子みすずの詩が後世に残されたこと｣といった｢答え｣になる。
※｢指示語換言記述｣では指示がない限り、｢文末｣に｢句点(｡)｣は打たない。

＜時間配分目安：２分半＞

｢漢字の書きとり｣(５問)。
基本的な漢字なので、ＪＧ志望者は全問正解が当然だ。まあ、｢あれっ？｣というのを強いて挙げれば、(４)｢みんなでダンショウする｣(＝｢談笑｣)くらいか｡

＜時間配分目安：１分以内＞