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頌栄女子学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2015年度「頌栄女子学院中学校の理科」
攻略のための学習方法

着実な大学合格実績で、多くの受験生を集め、安定した人気を誇る頌栄女子学院。
その理科の入試問題も、生徒の実力を発揮しやすい良問である。
まず、出題範囲に偏りがない。いわゆる4分野から均等に出されており、基礎的な設問が中心でありながら、よく練られた計算問題も複数出されており、学力に合わせた点数が取れやすくなっている。
つまり、計算好きな生徒には高得点が望めるテストになっているということだ。
もちろん、計算ができなくても合格点は取ることができる。

では、まず何を心がけて同校の対策に入っていけばよいのか。
まずは、これはどの学校についても言えるのだが、「基本的な知識を着実に身につけること」。これが最初にして最後の目標だ。
理科の知識は煩雑で覚えきれない、という生徒もあろう。また、算数や国語に手がかかるという生徒もいるだろう。
だから、教えられたことを全部覚えなくてもいいのだ。指導してくれた先生が、「ここは大切!」といったところだけでいいから覚えていこう。

具体的には、模試などで正答率50%以上の知識問題の答えから覚えていけばよい。時間があればその先の段階まで進んでいこう。そんなに難しいことではないだろう。
しかし、極端に覚えていない範囲を作ってはいけない。
4分野が均等に出題されているとは書いたが、すべての単元から出されるわけではない。生物分野で「植物」が得意であっても、苦手な「昆虫」が中心となって出題された場合には、まったく得点できない場合も考えられる。そうなると致命的だ。
どの単元に関しても、得意でなくてもいいから、標準的な問いにはしっかりと答えられるように仕上げておこう。それが全分野に及べば、おそらく合格点は取れるはずだ。
それもできない、という生徒は、出題されやすい分野を絞ってそこを中心に覚えていこう。
生物では「人体」「植物」、地学では「天体」、物理・化学分野では「水溶液」や「気体の性質」などだ。
しかし、ヤマが外れた場合はどうなるか。想像に難くない。やはり、失敗したくなければ、まんべんなく知識を網羅していったほうが良い。
それらのことを十分にやった上で、さらに得点したい場合には、計算問題に磨きをかけるということになる。
前述のように、頌栄の理科の計算問題はなかなか難しい(本年度はさほどでもなかったが)。
算数が得意な生徒でも理科の計算が苦手な生徒がいるのは、算数に比べるといつも典型的な問題が出されるとは限らないからだ。

塩酸と水酸化ナトリウムの中和ならば何回も解いたことはあるだろうが、平成26年度の最後の設問などはまず初めて見る受験生もいたことだろう。
やったことがある問題でなければ、受験生はまず解けない。そういった点から見て、理科の計算問題もまずは典型的な問題に解き方をマスターした上で、新しい設問が出たら挑戦してもらいたい。
得点の目標は、100点満点の70点くらいが良い。
基本的な知識問題をだいたい正解し、計算問題に少し触れるくらいでその点数をクリアすることはできるだろう。
さらに悩む点があるとすれば、時間不足ということかもしれない。
40分で50問を解くわけだから、1問あたり48秒、見直しなどを考えると40秒以内で解かなくてもいけないということになる。

算数と違って、理科は後半の大問に進むにつれて難しくなっていくということはない。
下手な鉄砲とは言わないが、最後の設問まで読める程度には時間を作っておきたい。
そのためには、自覚的に解く早さを身につけること。普段、問題にあたるときも1問解いてお茶飲んで、とかのんびりペースではなく、20~30問くらい一気呵成に解くパワーを装着しておきたい。
なんといっても、テストには問題を解き切るパワーが必要だ。
確実な知識と解くスピードを身につけ、頌栄合格を自分のものにしてもらいたい。がんばれ!

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2015年度「頌栄女子学院中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

40分で大問は4つ、小問は50個前後。設問数は多めで、すばやい対応が必要になる。
受験勉強の中で蓄えてきた知識をあせることなく、解答用紙に展開できれば大方の設問には答えられるだろう。
注意すべきは「物理分野」「化学分野」の大問で、難解な問いが含まれていることがあり、あまり深く考え込んでしまうと残りの問題を解く時間がなくなってしまう。
自分の力を客観的に把握し、難しく感じた問いは後回しにし、テストにまんべんなく目を通したほうが高得点になる可能性が高い。

【大問1】 中和の総合問題(塩酸と水酸化ナトリウム水溶液、金属の溶け方)

  • 時間配分:10分

本年度は【大問1】が最も難易度が高いという構成になった。この分野から手をつけることにして、ここに時間を費やしてしまうと大問4の問題まで当たれない可能性が出てくる。あせらず全体を見渡して、解きやすそうな大問から始めるのも受験の大切な知恵である。現に自分は次の大問2から手がけた。
「塩酸」と「水酸化ナトリウム水溶液」を用いる、典型的な中和の問題である。はたして、どの設問まで食らいついていけただろうか…

問1・2は理科の基礎的な知識。間違えようがない。
問3から問5までが計算問題、問6・9がグラフを書くという問題でここが難問になっている。
問3では、《実験2》から中和する割合を求めて《実験3》に使ってみればよい。ここはできれば正解しておきたい。
問4では《実験3》でできた固体の割合を《実験2》で使うことになる。割り切れないので計算には注意が必要だ。
問5は、完全中和ではない《実験1》の結果から、水酸化ナトリウム水溶液に溶けている水酸化ナトリウムの重さを求める。本年度の計算問題ではここが一番難しい。とは言っても長い受験勉強の中では必ず解いてきたレベルの問題である。本番で出来るかどうかは別としてしっかりと理解しておきたい。
問6はそれまでの結果からグラフのはじまりの数値と完全中和したときの食塩の重さなどをグラフに表す。これができればこの分野は自信を持ってよい。
問7以降は基本的な設問ばかり。

本年度は例年に比べると理科の平均点が高いが、これは【大問1】における科学分野の計算が平易であったことと関係があり、平成26年度のように手が出ないような設問はなかった。

【大問2】人体

  • 時間配分:10分

頻出の人体では、「消化器官」に関する問題が多くを占めた。後半は「呼吸・血液の循環」に関する問いもある。
問1~問6まで、これまで何度も答えてきたことだろう。ここは完璧に正解しておきたい。
問7以降も難しいと言うことはない。
問8の血管名は苦手としやすいところなのでこの問題を通してしっかり復習しておきたい。
できればすべて正解して進みたい大問である。

【大問3】ものの運動

  • 時間配分:10分

角度のあるレールの上をボールが転がる問題。数値を答える問題もあるが計算と言うほどではない。
問2は表をじっくり読んで、b・cの条件が同じものを選択したい。
問3・4は苦戦しそう。Cをうまく答えられたかどうか。
問5はなかなかの難問。記号を選ぶだけではなく、そう考えた理由をきちんと書けて、採点官を納得させられるかどうか。

【大問4】火山

  • 時間配分:10分

例年よく出される「天体」ではなくて、近年話題の「火山」の大問が出された。受験生としては少し意表を突かれたところだろう。設問も基礎的なものから考えて答えるものまでバラエティに富んでいて、解いていて一番面白い問題になっている。
問1は簡単と言えば簡単だがハイキングの名所「高尾山」を知らないと迷うところだ。
問2~問4は連動している。ポイントは問3・4で、沈み込んでいくから海洋プレートの方が重く、135度の角度から直角二等辺三角形を利用して数値が選べただろうか。
問5以降はどれも基本的な知識の確認問題。出来なかった問題は反省に値する。
ただ、問8の設問が間違えやすいところで、特に(2)の並べ替えは、下の地層とそれに関連する働きの順番をうまくまとめること。

攻略のポイント

テスト時間は40分で100点満点。受験者平均点が58.8点、合格者平均点が67.9点と例年よりは10点近く高くなっている。おそらく【大問1】に代表される計算問題が少し易しかったせいかと思われる。
受験生には70~75点くらいの得点を期待したい。他科目への負担も減る。
さて、この得点は厳しいものなのだろうか。そんなことはないと思う。
確かに、難しい設問も含まれているが、生物・地学分野では本当に基本的な知識が問われている。それが大半だ。

本年度【大問1】の「中和の問題」についても、計算以外はテキストに載っていることばかりだ。本当に難しいなと思われる設問は【大問1】の問5と、【大問3】 の問5くらいであろう。あとの設問には答えてもらいたいと思って、あなたの先生は授業を行っている。この割合で言うと、80点くらいは取れてもおかしくないということになる。
ではなぜ、実際のテストでは60点台で合格できるのか。
それは、受験生が基本的な知識も十分に身につけることなく本番に臨んでいるからだ。

頌栄を受験する生徒の場合、算数・国語に比べると社会・理科は少し手薄になっているからではないか。それは算数・国語のレベルが高く、克服するのに時間がかかるということもあろうが、理科に関してはあまり難しいことができなくても合格点には十分おつりが出るくらいの得点はできる。ならば、応用力が必要な科目よりも基礎的な知識で対応できる科目に時間を費やしたほうが合格する可能性は高くなると思われるがどうだろうか。
理科は苦手だ、という生徒は少なくないが、聞いてみると大半の生徒は知識を定着させることさえ怠って「苦手」という言葉に逃げていると思う。

まずは知識を身につけたうえで、堂々と「苦手だ」と言おうではないか。ただし、そのときにはもう苦手だとは思っていないだろうが…。
理科の攻略法についてまとめておく。

・どの分野においても本当に大切だと思われる知識、たとえば星座であれば「冬の大三角」「夏の大三角」「北の空の星座」くらい。問われる内容も典型的なものだけでよい。他の分野についても同じことで、持っているテキストが何度も繰り返して出してくる言葉と意味をしっかりと覚えておこう。そして、それ をテストで正確に表現できるようにしておけば、十分に合格ラインに手は届く。

・計算問題まで欲張り、理科でたっぷりと貯金をしておきたい生徒は同校の過去問さらに男子校の過去問、または計算問題を集めた問題集などで十分に演習を積んでおこう。計算問題の場合、出される設問が限定できないのが弱いが、計算自体が問題の大勢を占める力学などでは多くの問題に触れてきた苦労が必ず 実るだろう。まず基本的な知識で合格点、さらに計算力を身につけ得点を大きく上乗せできれば、頌栄の合格もぐっと身近なものになる。健闘に期待したい。

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