早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2015年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」
攻略のための学習方法
[難易度の変化]
高校入試において、かつてより難関校として名を馳せていた早稲田大学高等学院。その中等部として、大きな期待を持って開校したのが2010年。
以来、高い倍率と入試問題の質で受験生に「狭き門」「高い壁」を抱かせてきた同校だが、ここ2年間の問題を見る限りいささか風向きが変わってきたようだ。
まず、テスト自体は量より質の学校であること。これを頭に置きたい。
要求されることは、早く問題を解くような機械的な作業というよりは、条件の複雑な問題に対応できるような柔軟な頭である。
さほど難易度が高くない本年度の問題においてもその片鱗は見られる。
せめて合格点(合格最低点)の発表があれば具体的な目標を掲げることが出来るのだが…受験生たちはどの水準に合わせて勉強を続けていけばよいか、まさに頭を悩ませることになるだろう。
今後の入試情報には十分注意したい。
[基本は計算力]
学院の問題ではじめに目に飛び込んでくるのは計算問題である。
塾や家庭教師での勉強が説明を要する問題中心となり、学校の勉強は役に立たない水準なので、受験生たちはその問題適応力(応用力)に比べると計算力が貧弱で あることが少なくない。模擬試験でも覚えがあるだろう。後ろの方の問題は正解なのに、はじめの計算問題でミスをしてしまい点数がまとまらなかったことが…
このような場合、先生や保護者は「計算問題で間違えるな」「計算でミスするな」と注意はするものの、「算数の力がないわけではないから…」と浅く反省するだけで次の「文章題」に進んでしまったりする。
もし学院の過去問において計算問題の失点があったようなら、改めて計算についてチェックをしてみる必要がある。間違えるからには必ず理由があるはず。
1つは、分数や小数が混合されている場合、「小数→分数」や「分数→小数」の変換がおぼつかない可能性がある。またはその方法に無駄がある。
もう1つは、特殊な計算問題における、解くためのテクニック不足である。
割合や速さ同様に、計算問題もしっかりチェックしておかないと「ほっといても、いつか出来るようになるだろう」というものでもない。いい機会だと思ってしっかり点検しておこう。
次に頻出分野の「平面図形」や「割合と比」・「文章題」・「速さ」などであるが、こちらは学院ならではの問題の出され方に注意したい。普通の場合、過去問をたくさん解 けば慣れが生じてくるのだがご存じの通り、過去問は少ない上にレベルが一定ではない。学院も含め同じ系統の早実や、併願校となるだろう立教新座、(併願校にはならないかもしれないが)暁星・海城など少し手強い問題を出す学校の過去問にあたっておくとよいだろう。
[基本マスター]
これから算数の基礎を固めていこうとする生徒は、過去問対策は秋になってからでも十分間に合う。
まずは、早い時期に解き方のベースとなるテキスト(「四科のまとめ」「ベーシック」など)に出題されている例題・典型的問題の解法に用いられる公式や解き方はすべてマスターしてしまおう。学院レベルになると、誰でも解ける問題は本当に誰でも解いてしまう。ここで差をつけられるのは致命傷となる。
学院の問題レベルが下がったというのは算数があまり得意ではない生徒にとっては福音である。
難 しい問題に対応する力をつけるよりは、標準的な問題を効率よく正解する方がまだ簡単だからだ。平成26年度より前の問題を見てみるとどうにも手がつれられない問 題がいくつも存在する。そういった問題が解ける力というのは必ずしも努力によって身につくものでもない。やはり、得手不得手の領域に達しているレベルである。だから、多少言い回しにクセがあっても、そこを乗り切りさえすれば解きほぐしていける問題に変わったのは合格への可能性を高めてくれる、大切なポイントになる。ただ、合格点が上昇するのは間違いないので難易度が低くなると言うものではない。
[まとめ]
以上のことから、合格するための学習法をまとめると
・「計算問題」を軽視せずに、日々の問題演習の中に取り入れ、早く確実に解けるよう仕上げていくこと。少なくとも「計算問題は得意である」と言い切れるくらいになりたい。
・平面図形はじめ、頻出の単元に関しては、標準的な典型題はもちろんのこと、少しクセのある学校の過去問も含めて十分に問題演習を積むこと。
・高いレベルでの競争になるので、簡単な問題が解けるようになったくらいで慢心せずに引き続き難問に挑戦する精神をもって多くの問題にあたること。
早大学院の算数がいつまた水準を復活させるかどうかは分らないが、少なくとも本年度レベルであれば標準的な学力でも十分に対応できる。あとはその精度を上げるだけだ。最後まで悔いのない勉強を続けよう。
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2015年度「早稲田大学高等学院中学部の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が4、小問が15。本年度に関していえば前年度と引き続き時間的には持てたと考えられる。
決して平易な問題が多いわけではないが、学校の偏差値に見合った水準に落ち着いてきたといえよう。
この2年間をみる限り、この水準で推移するものと思われる。
合格するには、素直な設問には確実な正答を与え、手の込んだ問題にどこまで時間をかけられるかがポイントとなる。
こういうときは、はじめの計算などでの失点はかなり重くのしかかってくるので注意したい。
[大問Ⅰ]計算と小問
- 時間配分:12分
(1)(2)とも計算の工夫を駆使してうまく解かないと数字が大きくなって大変なことに。
計算問題だから練習では飛ばしていいや、ではなくじっくりと取り組んでほしい。
難易度は高く、工夫も一筋縄ではいかない。計算問題については、最上級のものまで取り組んでおく必要がある。
(3)は平面図形の角度を求める問題。
2つの辺の組み合わせがそれぞれ等しい、という条件からピンと来た生徒は必ずや解けたであろう。「図形を切り貼り」または「左側に同じ図形を書き込んで」二等辺三角形を作り、そこから角度を求めるという工夫が思いつけたか。
[大問Ⅱ]平面図形
- 時間配分:8分
図1に補助線を引き、どこの部分が図2に当たるかを決めてから解く問題。
(1)(2)とも解き方は共通している。三角形の底辺と高さの関係を用いて答えを導き出す。
(1)のほうが計算はやっかい。ここも正解しておきたい。
[大問Ⅲ] 速さの問題(ダイヤグラム)
- 時間配分:10分
2人が走り始めてからの時間と2人の間の距離のグラフはいやになるほど入試前に解いてきたであろう。そしてそのレベルを逸脱した問題ではないので、図2のグラフを読み間違えなければまずまず解けたのではないか。
グラフだけでなく、簡単な線分図に2人の関係を図示できれば(2)の①で引っかかることもなかっただろう。池の周りを走るというところがヒントになっている。
しかし本年度のテストの中では最も難易度が高いので、設問を1つくらい間違えるのはやむを得ないところ。
[大問Ⅳ]場合の数
- 時間配分:15分
さて最後は学院おなじみの面倒な数え上げの問題である。
「きたか!」と身構えた生徒も少なくないだろう。
が、意外と単純…
問題文をよく読んでから答えよう、というのが最大のヒントになる気がする。
(1)は言われたとおり、ていねいに1つずつ並べていこう。
(2)は、1、3、6枚目を○として、1つずつ調べていけばよい。それだけの時間は十分にある。
(3)もあせることなく問題文をじっくり読んで答えよう。「太郎君の考え」にそって問題を解いていくうちに、正解が出て終わっているという問題。
攻略のポイント
テスト時間は50分で100点満点。
早大学院の中等部は設立からまだ日が浅く、テストの水準に関しては難易の幅が広く、ターゲットを絞りにくいというきらいがあった。ただ、この2年間の水準は安定しているので、このレベルに照準を絞って勉強を進めればよいだろう。
つまり、来年以降も平成26・7年度水準で推移するとすれば、難易度の高い問題にはあまり手を出さずに、標準的な問題を数多くこなしていけばよいことになる。むしろ併願校として考えられる「立教新座」や「明大明治」の方が算数で手を焼きそうだ。
まず養うべきは「計算力」。意外と軽視してはいないだろうか。計算問題が一番難しいという稀有な学校になるかもしれないので、ねばり強くあきずに計算問題にあたっていけるようにしよう。
それから、いくら平易になったといっても、標準的な問題の解き方はすべて身につけておきたい。本年度でいえば【大問1】の(3)や【大問2】の解き方、【大問4】前半の設問などで戸惑っているようでは合格は厳しい。
あとは、多少問題の難度が上方にぶれても対応できるように早大学院の「過去問」にもしっかりと触れておこう。
「備えあれば憂いなし」対策はしすぎてしすぎることはない。他科目との兼ね合いも考えながら、算数の力をつけていこう。
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