国際基督教大学高等学校 入試対策
2015年度「国際基督教大学高等学校の数学」
攻略のための学習方法
特に、何かのジャンルを集中して演習するということだけで本問の得点に結びつくかどうか。『数学的発想法』、つまり物事を論理的に考えて、結論へ向け矛盾のない整合性の取れた論理の道筋をつけられるかどうかである。数学におけるスキル演習(問題演習)だけでは、不十分な設問設定になっている。
国際基督教大学高校の入試問題は、単純なスキル演習力を見る問題ではない。
初見の問題で、『数学的論理』をいかなる思考的プロセスを経て確立された論理へと昇華してゆくのかということを自身で見つけ、理論として確立できる『力』がどれ程有しているかを見る設問である。出題形式も、初めて見る受験生も多いと考えられるが、決して慌てることなく落ち着いて設問内容をよく読んで、問題の解法の手掛かりが会話本文のどの分に該当するのかを、よく考えて問題の本質を見抜くことである。
したがって、会話の中で、各々の『考え方』や『概念』について言及している部分をよく読み込んで、正確に落ちついて問題を考えるようにすること、これが本問のような問題に不可欠な解法へのアプローチである。
このような設問に対して、如何なる事前準備が有効であるかを一緒に考えてみよう。
通常、数学の試験に関しては、大量に問題(計算問題や求積〈面積・体積〉問題)を解くことが最優先として捉えられている。しかし、その様な事前準備においては『正解』を出すことが最大にして唯一の目標となり、公式を暗記している受験生は該当する公式に数値を当てはめて答えを出すという、ある意味では非常に『効率的』なアプローチに終始してしまうだろう。
そのような手法は、本問において合格点を取るのは難しいのであろう。なぜならば、公式などの原理・原則を根本から理解せず結果だけを『機械的』に導き出すことになれ切ってしまっているからである。大切なことは、自分の『頭』で考え抜く、ということである。
例えば、ある公式があったとしたら、公式の初めから自分で計算し最終的には公式の形まで自力で導き出せるかどうかである。
暗記したものはいずれ忘れてしまう。忘れてしまうことをネガティブに捉えてはいけない。人間はある意味では『物事を忘れる存在』なのである。覚えたばかりの知識を忘れてしまったら、再度繰り返して演習を繰り返せばいのである。
ここで述べたいことは、知識(特に数学)を暗記するのではなく理解することに重点を置くべきである、ということである。したがって、国際基督教大学高校の数学の入試問題に対応する学力は、数学的思考をしっかり身に付ける姿勢で普段の学習を行うべきである。
そのためにも、問題を解く上で使用した公式を自分で導き出す学習を励行して欲しい。
さらに、数学で使用する言葉や数字にはすべて『意味』があるということである。その意味をしっかり理解して、自由自在に操れる術をマスターしなければならない。
例えば、1次関数における切片とはどういう意味があるのかを考えるのである。単に、直線のグラフとy軸との交点のy座標である、としか覚えていないとしたら、その先の解法への広がりは限られたものになってしまう。切片であるb(y=ax+bのb)はx=0のときの(xに0を代入する)yの値である、という理解ができているかどうか。
このように考えていくことが、やがて自身の理論的思考力を鍛えることになり、結果的に解法の幅を広げることができるのである。
大事なことは、単に問題を解き正解を導くことだけで満足せずに、どうしてそのような式を考えて解放するのかということを根本的な原理から考えるようなクセを付けることである。
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2015年度「国際基督教大学高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
特殊な出題形式である。「資料文」を読みながら各設問に答えるという手順で、試験時間の70分は使い切ってしまうだろう。したがって、見直しをする時間的余裕は殆どないものと覚悟して、集中力を高め一問一問真剣に取り組むことである。
問題1・2は数の性質に関する問題である<5分>。
問題3~6は数(整数・無理数・実数)と四則演算に関する問題である<13分>。
問題7は結合法則の問題<3分>。
問題8・9は累乗等を含む演算と結合法則の問題である<5分>。
問題10はペアの計算問題である<5分>。
問題11はペアの計算の逆計算の問題である<7分>。
問題12は特定のペア計算の問題である<5分>。
問題13はペアの計算問題である<7分>。
問題14はペアの計算を利用した回転角度の問題である<10分>。
問題15はペアの計算を利用した面積の問題である<10分>。
【大問1】
- 時間配分:2分
問題1は数の種類の問題である。
資料文に記載された数に関する定義(有理数、自然数、整数)を踏まえて解く。
【大問2】
- 時間配分:3分
問題2は性質を満足する数の例示の問題である。
問題1同様、各数の性質を資料文を読んで押さえておく。
【大問3~6】
- 時間配分:13分
問題3~6に関しては、整数、有理数、無理数、2より大きい実数の各々が四則演算について閉じているか否かの問題である。
「閉じる」とは何かを資料文をよく読んで「反例」があるか否かを検証する。
【大問7】
- 時間配分:3分
問題7はひき算と割り算に関する結合法則の問題である。
結合法則の内容について資料文をよく読み理解すること。
【大問8・9】
- 時間配分:5分
問題8・9は四則以外及び累乗を含む演算と結合法則の問題である。
【大問10】
- 時間配分:5分
問題10はペアの計算問題である。
【大問11】
- 時間配分:7分
問題11はペアの逆計算の問題である。
両問ともペアの計算原理についてしっかり理解をすること。
【大問12】
- 時間配分:5分
問題12はペアの計算と2乗に関する問題である。
他の問題においてもあてはまるが、解答を求めるのに手法として「連立方程式」を用いる場合が多い。その前提は、資料文で提示された原理や定理の解説を読み込んで、何がいえるのか、また何がいえないのかを明確に押さえることである。
【大問13】
- 時間配分:7分
問題13はペアの計算の応用問題である。
内容的には周期性の問題である。周期性の問題であると理解するために平面座標が持ち出されている。この問題以降、平面座標との関連した問題が出題されている。
この類の問題は殆どの受験生にとって初見の問題であろう。そのような場合で必要不可欠なことは、原理をしっかり理解することである。本問に当てはめてみれば、資料文に記載された該当原理について的確にしかも正確に理解することである。
そのような心づもりで問題13以降も各設問に取り組んでもらいたい。
【大問14】
- 時間配分:10分
問題14はペアの計算と角度の問題である。
大半の受験生にとって、このような設問形式と問題内容は初見であろう。したがって、資料文をしっかり読み、ペアに関する考え方、つまりペア(a、b)をxy座標平面の点を表していることをしっかり押さえておくことが重要である。
【大問15】
- 時間配分:10分
問題15はペアの計算と面積の問題である。
これまでの資料文の考え方を踏まえて、△OAPにおける辺OAがx軸上のOBに回転移動することが理解できれば、△OAPの面積と△OBQの面積が等しいことが理解できるはず。したがって、△OBQにおいて、辺OBが底辺となり点Qのy座標が求めたい三角形の面積となる。
攻略ポイント
特殊な出題形式であるため、初めて過去問を目にして戸惑いを感じる受験生も多いのではないだろうか。このような出題形式は、数学的思考力・論理力を推し量るためのものであると考える。
資料文を読まなくとも問題1・2のように解答できる問題もあるが、その他の問題の大半は、「閉じている」「ペア」といった新たな概念・原理の解説を説明したうえで、問題を解答させる形式である。
このような出題形式は、未知なる原理に関して一定の説明を与えかつ演習例も示し、実際に受験生に問題演習をさせるという出題形式であり、個々の受験生の持つ論理的思考力や論理力を試す問題である。したがって、そのような問題を攻略するためには、単純なスキル演習(問題演習)だけでは限界がある。
できるならば、中学校で履修する公式の証明を自ら行うことをお勧めする。中学レベルの公式では不十分なので、ハイレベル問題集(具体的には『日々の演習』高校への数学など)において、高度な思考力を求められるような問題演習を数多くこなすことである。