広尾学園高等学校 入試対策
2015年度「広尾学園高等学校の数学」
攻略のための学習方法
[途中式を書く習慣をつける]
広尾学園の志望者は、設問を、「証明」「解法が典型的な設問」「思考力が必要な設問」の三点に分けて考えると、見通しが良い。
学習に際して気をつけたいのは、以下の3点になる。
1点めは、「途中式を書く習慣をつける」ことだ。
広尾学園の数学では、どの単元からでも証明問題として、「途中式」を書かせる出題がされる可能性がある。
志望者は、解答の数字だけを求め、計算式や図などは乱雑に書き捨てているようなら、受験に備えて、早めに学習姿勢を改めておきたい。
図式を整理して残しておく習慣があれば、もし計算に間違いが見つかったときでも、数字だけを直して対応できるようになる。
式や図をあらためて書き直すことのないようにしたい。
中学の数学のカリキュラムでは、そもそも「途中式」を書かせる設問が少ない。したがって、志望者は意識して「途中式を書く」習慣をつけていく必要がある。
生徒のなかには、頭ではわかっても、言葉にして表せない者も、よく見かける。
「わかる」ことと、「言葉で表現できる」ことは別のものだという認識を持とう。
[典型的な解法はすべて理解しておく]
2点めは、「典型的な解法はすべて理解しておく」ことだ。
広尾学園の数学は、基礎から応用まで、すでに過去に登場した典型的な解法が多く出題される。
これらの「どこかで見たことのある」設問は、志望者が準備を怠らなければ、しっかりと点数を得ることができる。
日々の試験について、漠然とした「数学の点数」ではなく、それぞれの「単元ごとの点数」を、志望者は自覚しておきたい。
ひとつの解法を学んだら、それを用いて積極的に演習をしていこう。
問題の数字や図形を入れ変えた類題を繰りかえし解くことで、解法に精通できるだろう。
[抽象的な数学の法則を理解しておく]
3点めは、「抽象的な数学の法則を理解しておく」ことだ。
【大問1】の(6)や【大問3】の(3)は、抽象的な数学の式を扱うことになる。
具体的な数字ではなく、文字式によって計算を進めていくことが特徴で、志望者はまずはこのような設問に慣れておきたい。
そのためには、まずは教科書に登場する基本的な定理を、「自分で証明できる」ようになろう。
例えば、三平方の定理や、解と係数の関係などを、暗記ではなく、その場で導きだせる演算能力が求められている。
そのうえで、さらに余裕のある受験者は、「数列」「整数問題」「約数倍数」などにも、挑戦していこう。
教材としては、他の難関校の過去問も、解いておく価値があるだろう。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2015年度「広尾学園高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は50分で、得点は100点満点だ。
設問数は19問と少なめで、そのうちの1問に途中式が求められている。
計算の数字が複雑になるものが多く、また解法までの手順も長くなる傾向がある。解法のために、受験者が自ら作図をするように求められているので、図形を描く時間も考えておきたい。
【大問1】
- 時間配分:10分
小問集合で、計算分野を中心に出題されている。解法も計算も、複雑なものが要求されており、教科書の水準の演習では通用しないので、対策は必須となる。
(1)因数分解の公式を利用することで、計算の手順を省略できる。
(2)計算の順序を工夫することで、時間が節約できる。
(4)連立方程式の基本的な解法を利用するが、文字の係数が√(ルート)となっているので注意しよう。
(6)倍数と約数の性質を利用する。解法は標準的なものなので、本番に考えても解けなくはない。しかし、倍数と約数について、受験者はひと通りの演習をしておくことが望ましい。
【大問2】
- 時間配分:10分
小問集合で、図形分野を中心に出題されている。
(1)と(3)平面図形の分野から、円の単元の出題だ。
(2)立体図形の分野から、内接図形の単元の出題だ。設問文では図形が与えられていないので、受験者は手書きする必要がある。
【大問3】
- 時間配分:8分
いわゆる「思考問題」で、初めてみた設問を受験者に解かせる。その場で思考する力が求められている。
(1)具体的な数をいくつか並べていくと、何らかの数の法則が見えてくるはずだ。まずは手を動かそう。
【大問4】
- 時間配分:10分
立体図形の分野から、正多面体の単元の出題だ。
(1)立体図形の設問は、必ずどこかの平面図形に注目することになるが、そのために、まずは正確に八面体を描こう。
(2)前問の数値を流用して計算するので、必ず数値の見直しをしておきたい。
【大問5】
- 時間配分:10分
関数・グラフ分野と、図形分野の、融合問題だ。両分野の解法に精通しておきたい。
(1)まずはしっかりと点の座標を確認し、グラフを描こう。
(2)解答の余白の大きさから判断すれば、きちんとグラフを描くべきだろう。くれぐれも計算の数値だけを書いて終わりにしないようにしたい。
(3)立体図形の分野から、回転体の単元の出題だ。ここだけで独立した設問と考えてよいだろう。
攻略ポイント
広尾の受験者は、試験構成に合わせて、ふたつの点で合否が左右される。
学力をさらにふたつの「基礎力」と「思考力」に分けて考えていこう。
「基礎力」は「計算が完璧にできる」ことと「基本的な解法に精通する」ことからなる。いわゆる教科書の内容を洩らさずに修得することだ。
そのうえで、「思考力」として、「抽象的な数学の設問」に挑戦していこう。
「基礎力」を固める時間と、「思考力」をつけるために演習をする時間が、それぞれ必要になる。