立教新座高等学校 入試対策
2015年度「立教新座高等学校の数学」
攻略のための学習方法
全体的に見てみると標準問題が圧倒的に多い。2次関数、平面図形、立体図形は要注意であり、徹底した演習が必要である。
2次関数に関しては、直線(1次関数)との関連の問題は必須である。同じ概念でも使われているジャンルによって意味合いと扱い方が異なってくる、ということに気を付ける。
例えば、「変化の割合(=グラフの傾き)」は直線と放物線とでは概念的内容については、当然ながら同じであっても、実際の問題になると設問へのあてはめ方及び処理の仕方が異なってくる。
1次関数においては直線のグラフとなり、当然ながら、変化の割合(グラフの傾き)は一定である。これに反して、2次関数の放物線においては、放物線上のどの2点を選択したかで変化の割合(グラフの傾き)はプラス(右上がり)になったり、マイナス(右下がり)になったりする。
特に、放物線上の異なる2点を結んでできる変化の割合は、その2点の間隔を限りなく「ゼロ(0)」に近づけてゆくと、高校数学で学習する「微分」の世界へと入ってゆく。放物線に関しては必ず出題されると考えた方が良いし、高校数学への導入としての役割も担うと認識したうえで、しっかりと概念的な理解を深めてゆきたい。
確率の問題も近年、上位高を中心に頻出傾向にある。しかも、出題傾向は年々難易度を上げているようである。標準的問題集にあるような、場合分けのパターンが単純なもの(複雑といってもせいぜい「~の場合が2回以上ある場合」)ではなく、他の数学の分野との融合問題である場合が予想される。
例えば、確率と図形の融合問題である。サイコロを振って偶数の目が出たらⅹの方向に目の数だけ進み、奇数が出たらyの方向に目の数だけ進むという条件で進んだ場合に、座標面上にあるグラフ(直線の場合もあれば放物線の場合もある)との関係で設問の条件を満足する場合の確率を求めよといった問題である。
このような場合に、ひたすら「場合と確率」だけを演習すればよいというわけでは決してない(勿論、しっかりした「場合と確率」の知識と演習量が求められるのは大前提ではあるが)。座標平面の特性やそこに存在するグラフ(直線又は放物線)の特徴を踏まえて問題を解けるかどうかが合否のポイントであろう。
さらには、そのようなサイコロの出た目の数字の分だけ立体図形の辺の上を移動させるなどの条件設定で作問も可能である。しかも、サイコロの目の数だけ動く点(動点)はどのような動きをするか、また設問にある一定の条件の下で、指定された点を結んだ場合にどのような平面図形ができるか、そしてその平面で立体図形を切り取った場合における、切り口の形状や面積など、さらには切り取り後における指定された点を含む立体の体積を求める問題にも慣れておいて欲しい。
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2015年度「立教新座高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】独立小問問題<8分>。数の計算、整数、関数、確率、図形など全ての問題から出題されている。【
大問2】方程式の応用問題<5分>。与えられた条件から連立方程式を考えて解答を得る。
【大問3】円と三角形に関する図形問題<10分>。円周角や相似と面積の関係などに関する基本事項を使いこなすこと。標準的問題であり一度は解いたことがある問題であろう。
【大問4】関数に関する問題<13分>。1次関数と2次関数の融合問題である。頻出問題であり、完答を目指したい。
【大問5】確率の問題<10分>。標準的問題であるので取りこぼしのないようにしたい。
【大問6】正四角錐に関する空間図形の問題<14分>。平面図形の定理(中点連結定理、三平方の定理)や図形の対称性の特性を使って取り組む問題である。
【大問1】
- 時間配分:
(1)は数の計算問題<1分>。
2015と202を基準数字として与式を変形して単純化できるかどうかがポイント。単純化のアイディアが浮かべば、本問は30秒で解決する。
(2)は整数問題<1分>。
与式を因数分解することが先決。
(3)は3つのグラフが1点で交わる(連立方程式の解が1組存在する)ことからアプローチする。
(4)は確率の問題<2分>。
aもbも共に正の整数であることから、y=aⅹ+bのグラフの概形をかき与えられた条件で正解を導く。面積が整数になる、ということをどのように考えるかがポイントになる。
(5)は立体図形における辺の長さを求める問題<2分>。
円柱の内部に内接する球が絡んだ問題である。典型的な問題なので、一度は目にしたことがあるだろう。
【大問2】
- 時間配分:
(1)は連立方程式の問題<2分>。
数学と理科をそれぞれⅹ、yとして連立方程式を考える。
(2)は(1)と同様に連立方程式の問題<3分>。
数学、国語、英語に関する連立方程式を立てる。
【大問3】
- 時間配分:
(1)角度の問題<2分>。
∠DOO´=90°であることに気が付くかどうかがポイント。
(2)辺の長さを求める問題<3分>。
正三角形、直角三角形の特性を考慮し、かつ円における中心角と円周角の関係性に注目すること。
(3)面積の問題<5分>。
DOEO´が正方形であることを手掛かりに、相似比と面積比の関係を使って解答を求める。
【大問4】
- 時間配分:
(1)1次関数の式を求める問題<1分>。
A、Bそれぞれの座標を求め、傾き、切片の順に数値を求める。
(2)座標を求める問題<2分>。
1次関数(1次方程式)と2次関数(2次方程式)との交点を求める。もちろん、交点を求めるためには2つの方程式の連立方程式である。
(3)求積の問題<5分>。
MがCDの中点であることを手掛かりに△CNDは△CNMの2倍である。したがって、まずは△CNMの面積を求めること。
(4)条件に適合する座標を求める問題<5分>。
△MCN=△QCNということで何が言えるのかを洗い出し、その上で条件を整理する。
【大問5】
- 時間配分:
(1)①は確率の問題<2分>。
2枚のカードの数字の積が素数となるのであるから、具体的にそのような場合を数え上げてみるとよい。
②も確率の問題<3分>。
積が2の倍数(偶数)になる場合を具体的に数え上げるよりは、積が奇数になる場合を考え全体よりひく方法が効率的である。
(2)①確率の問題<3分>。
取り出すカードが3枚になった。3つの自然数の積が8の倍数になる条件を考える。
②確率の問題<2分>。ある自然数の2乗となる(平方数)は、与えられた条件の下ではそれほど多くはない。したがって、具体的に数え上げてもそれほど手間はかからないであろう。
【大問6】
- 時間配分:
(1)は三平方の定理を用いて辺の長さを求める問題<2分>。
△ABHは直角二等辺三角形になることからAHの長さは△OHAにおいて、三平方の定理から求められる。
(2)中点連結定理を用いて辺の長さを求める問題<3分>。
O、A、Cを通る平面を考える。
(3)面積を求める問題<3分>。
AB∥DCよりQP∥ABとなり、ABPQは台形となることに着目する。
(4)体積を求める問題<6分>。
点Cを含む立体は、3つの立体に分割できることを手掛かりに体積を求める。
攻略ポイント
全体的には標準レベルの問題である。事前の準備としては標準的な問題を徹底して繰り返し演習することである。
特に、2次関数に関しては様々な出題パターンを想定して準備をして欲しい。放物線(2次関数)に関する問題は高校入試の数学において、メインテーマの一つである。直線がからんでくると交点の座標は2次方程式の解を求める考え方が必要であるし、その際に中学校では絶対に学習しない(塾等では当然のように学習する)。『解と係数の関係』の考え方を応用すると迅速かつ確実に正解へたどり着ける。
また、図形編では空間図形は必須と考えて欲しい。空間図形に平面図形で使われる各種の定理(中点連結定理、三平方の定理、特定三角形(三角定規)における三辺の比など)をしっかり当てはめられるかどうかが、合否の分かれ目といっても過言ではないであろう。
また、確率の問題にもしっかり対応できるように、事前に十分な演習が必要である。確率で大事なのは『発想の豊かさ』である。場合分けで行くのか、または与えられた条件ではない場合を想定し全体からその場合の数を引いて求めたい場合の数を求めるのか、といった手法の選択を的確にすることである。