指導実例インタビュー
中尾先生
指導実例インタビュー
中尾先生
合格実績(五十音順)
青山学院大(経済・国際政経・法・社会情報)・学習院大(経済・理)・首都大東京(都市教養・都市環境)・中央大(文・理工)・筑波大(情報)・東京歯科大(歯)・東京理科大(理工)・日本大(薬)・法政大(情報科・生命科・理工)・明治大(経営) 他多数
強い決意と情熱で、短期決戦。学習院大学に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期:高3の8月
■指導科目: 化学
■指導回数: 週1回(1回2時間~2.5時間)
家庭教師でお引き受けする案件は、私立の中高一貫校の生徒さんが多いのですが、I君は中位の公立高校に通う生徒でした。
11月後半(お引き受けした時点からわずか3カ月後)に迫った学習院大学理学部の公募推薦を受けたいので、対策をしてほしいとのことでした。最大の問題点は彼の通う高校の化学の進度で、高3の1学期の時点でまだ化学平衡、無機化学、有機化学を全くやっていないという状況でした。
これまで彼の高校から学習院大学理学部に公募推薦で受かったという前例はなく、一般入試に関しても、GMARCHレベルの学校に受かる生徒は毎年数名程度でした。I君は部活を一生懸命やってきたこともあり、高校の先生は指定校のスポーツ推薦の道を勧めてきたそうです。しかし、I君はそれを断り、学習院大学の公募推薦に挑戦したいとのことでした。試験科目は化学一科目のみで、I君は物質量の基本的な計算は多少時間がかかるものの、問題なくやれるというレベルでした。
指導内容
推薦入試の過去問は基本的に赤本などには載っていないので、入手するのが難しいです。大学の入試説明会などで入手できることもありますが、通常は直近の1年分のみということがほとんどです。ただ、今回は教務の方のご尽力などもあって、過去3年分の過去問を何とか入手することができました。私なりに推薦入試の問題を分析した結果、日常の現象について化学的に考察させたり、実験器具の図示をさせたりといった、少しとっつきにくい記述問題がある反面、化学反応式を書かせたり、濃度計算をさせたりする典型問題も多くあることが分かり、まずは典型問題を絶対に落とせないという結論に至りました。
最大の問題点は上記の通り、まだ全範囲を履修し終わっていないことにありました。
幸いにして、I君は某予備校にも在籍し、映像授業をいくらでも見られる環境にあったため、最初の2ヶ月間は、映像授業を活用して未履修範囲を一通り学習し終え、セミナー化学の例題~標準レベルの典型問題をマスターしてもらうことに集中しました。私が週1回の授業で、未履修範囲を一から教えるとなると全く時間が足りず、具体的な対策どころではなかったので、この環境は非常に助かりました。毎週どこまで映像授業を見るか指示し、それに付随してセミナー化学のどの問題を解くのかを具体的に指示しました。私の授業では、映像授業を見たり、セミナー化学を解いたりする中で、分からなかったところを詳細に解説し、残りの時間は模試の過去問などを使って、標準的な入試問題に慣れていきました。
最後の1ヶ月は推薦入試の過去問を解きながら、記述問題の対策をしました。また、ネット上にかなりよくできた記述問題対策のサイトがあり、それも利用しました。
学習状況の変化と合格までの成績推移
■成績推移 : 53(模試名:河合全統マーク)→最高偏差値 不明
公募推薦の試験までわずか3ヶ月しか時間がない状況だったので、とにかく時間との勝負でした。
また上記の通り、私との週一回の授業以外の時間で、I君自身が一人でやらなければいけないことの負担がかなり大きく、指示したことをこなすのはもちろんのこと、どのレベルでこなせるかというのが大きなカギでした。I君は毎週しっかりと指示したことをやってきて、定着度も高く、私の予想をはるかに上回るスピードで成長していきました。実際に模試を受けたわけではないですが、授業で扱った全統マーク模試や、センター試験過去問では、9割近く取れるようになっていたと思います。
しかし、合格はそれほど甘くはないとも思っていたので、合格の一報を聞いた時は本当に嬉しかったです。
結果
■結果(進学先): 学習院大学理学部化学科
生徒とのエピソード
学校の先生から指定校推薦を勧められたにも関わらず、その安易で確実な道を断って、覚悟を決めてこの公募推薦にかけたI君の情熱が、何よりもすごいものだったと思います。化学科を志望するくらいなので、I君はもともと化学に興味があり、ある程度得意意識はあったのでしょうが、無機化学や有機化学はかなりの暗記量もありますし、私の出した指示をよくこなし合格までたどり着いてくれたと思います。過去問が複数年度入手できたこと、映像授業が利用できる環境にあり上手く活用できたこと、化学一科目だけに集中すればよかったこと、I君の強い決意と情熱、私との相性など、I君を合格させるために何か見えない力の後押しがあったかのように、様々な要因が上手く絡み合い、短期間で合格にたどり着いた忘れられない生徒です。
推薦入試全般を目指す受験生へのアドバイス
I君に限らず、一般入試では恐らく厳しいであろう生徒が、公募推薦で合格するという事例が近年増えてきているのを感じます。学校の評定や面接・小論文などの学科試験以外の要素も絡んではきますが、少子化の影響もあるのか、推薦入試は実はかなり穴場なのかもしれないと思っています。少なくとも、推薦入試の学科試験に関しては、一般入試に比べると科目数も少なく、難度的にも標準的な問題が多いように思います。
しかし、それなりの対策は絶対に必要です。推薦入試であろうと一般入試であろうと、試験に合格するために一番大事なことは、難しい問題を解けることよりも、基礎から標準的な問題で絶対にミスをせず確実に得点に結びつけることです。これは実は簡単なことではありません。「分かっていること」と、「試験で点を取ること」は全く違いますから何度でも反復練習するようにして下さい。
意識改革で激変。東京理科大学に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期:浪人が決定した高3の2月
■指導科目: 化学
■指導回数: 週1回(1回2時間)
Aくんは千葉県中位の私立高校出身で現役時はほぼ勉強しておらず、現役時のセンター試験の化学は10点という衝撃的な点数でした。適当にマークしたとしてももう少し取れそうなもので、かえって取るのがなかなか難しい点数です。理論・無機・有機全ての分野にわたって知識量はほぼ皆無で、物質名から化学式を言えない、化学式から物質名を言えないという状況でした。ただ、Aくん本人にそれほど危機感はなく、浪人して予備校に通ったり、家庭教師の先生に教えてもらったりすればMARCHレベルの大学に受かるのではないかという、かなり甘い考えを持っていました。
指導内容
化学の試験では知識系の問題は確実に得点しなければいけませんし、有機などは知識をベースにしてさらに構造分析などの思考力が試されます。したがって、覚えるべきことを正確に覚えていないと話になりません。Aくんは某予備校に通い、しかも家庭教師の先生もつけてもらうという恵まれた環境にいたのですが、それで何となく勉強した気になって満足してしまっていて、いざ模試などを受けてもなかなか得点できませんでした。
私との授業でも、教えたことはよく理解してくれますが、一週間後の授業で先週やったことをもう一度確認すると、「そんなことやりましたっけ」というレベルできれいさっぱり忘れてしまっているのです。聞かれたときに、瞬時に正確に条件反射的にアウトプットできるようになって、初めて「覚えた」ことになる。「う~ん、それはえ~と、何だったかな、確かこんな感じだったかな」というようなアウトプットのレベルでは、覚えたことになっていないし、試験で点数に結びつく保証はないと繰り返し訴え、とにかくAくんの意識を変えることに力を注ぎました。
具体的には無機・有機の主要物質について、名前・化学式・構造式・製法・性質・他の物質との反応および化学反応式が、瞬時に完璧にアウトプットできるようになるまで、泥臭く何度でもチェックしました。ただ、丸暗記するだけの作業は苦痛なので、弱酸遊離など、その反応が起こる背後の原理や理屈をなるべく細かく教えて、応用がきくようなイメージ作りを心がけました。また、楽しく印象的に覚えられるように、ネット上の動画などを活用しました。例として古い映像ですが、戦時中の物資の廃棄のため、金属ナトリウムの入ったドラム缶を湖に捨てるという映像があったのですが、水とナトリウムが爆発的に反応して大変なことになっていました…。印象には残りやすいものだったと思います。
学習状況の変化と合格までの成績推移
■成績推移 : 高3時センター試験化学10点 →1浪時センター試験化学92点
転機となったのは夏の模試が終わったころです。上記の通り、何となく勉強した気になって自己満足していたAくんは、8月の模試で思うような結果が出ずに大いに悩みました。始めは家庭教師である私をやめて別の先生に変えることを検討していたようです。
そこで私はAくんに、自己満足の勉強ではダメで、自分自身が変わっていかない限り、いかに先生を変え環境を変えたところで何も変わらない、ということを真剣に訴えました。
そこからAくんの勉強に対する意識や取り組む姿勢に、劇的に変化が現れました。まずAくんは予備校をやめました。そして自分と真剣に向き合い、一つ一つのことを曖昧にせず徹底的に追求するようになりました。夏の終わりにしてようやく受験生としての本当の出発ができたという感じがしました。間違いノートを作り、間違えたところや曖昧なところはどんな小さなことでもそこに書き込み、1日の終わりはそのノートを必ず見直し、それを枕元において寝て、次の日起きたらすぐにそのノートを見返して確認するということを主体的にやるようになりました。
成績は右肩上がりに上昇し続け、センター試験ではそれまでの自己最高の92点が出ました。大いに自信を深め、その勢いのまま東京理科大に合格しました。
結果
■結果(進学先): 東京理科大(理工)
■結果(他の合格校): 法政大(生命科学)
生徒とのエピソード
合格後にAくんと話した際、「試験の最中に、先生の顔が何度も浮かびました」と言われました。相当しつこく同じことを何度も何度も確認したので、Aくんの脳裏に私の顔が刻み込まれたのでしょうか…。厳しいことを何度も言いましたし、途中終了になる危機もあったのですが、それを乗り越えて、お互いに深い信頼関係の中で勝ち取った合格なので、すごく印象に残っています。Aくんは夏の終わりごろになってようやく自ら悟るところがあり、大きく自分を転換できたのですが、それができた生徒はその後短期間でも大きく成績が伸びることはよくあります。
同じ志望校(東京理科大学)を目指す受験生へのアドバイス
難度の高い問題も含まれますが、標準的な問題や典型的な問題も多いので、まずはそういった問題をミスなく確実に取れるようになることが大切です。特に知識は瞬時に正確に条件反射的にアウトプットできるようになるまで、何度でも反復して覚えるようにして下さい。具体的には「リードα」や「セミナー化学」といった学校で使用されているような問題集を最低3周ほど繰り返して基礎固めをするとよいと思います。その次に、志望校の過去問や、「化学重要問題集」、「標準問題精講」などで応用力を磨いていくとよいでしょう。
例題を徹底マスターし先生に説明!定着率が高まり千葉大に合格!
指導を始める前の状況
■指導開始時期:高3の4月
■指導科目: 数学7割、英語3割
■指導回数: 週1回2時間
Eくんは千葉県の某県立高校に在籍する生徒で、家庭の事情もあり、地元の国立大である千葉大への進学を考えていました。Eくんの高校はまずまずの上位校ですが、成績は振るわず、クラス内順位は41人中40位が定位置で、学年順位だと320人中300位前後をさまよっていました。「席次」という言葉が成績順位を表しているということに気付いておらず、「数字が大きい方が良いと思っていました!」という面白いエピソードの持ち主です。
一番壊滅的だったのが英語で、一つの英文中に幾つも分からない単語があり、Eくん曰く「僕にとって英語は外国語というよりは、宇宙人がしゃべる宇宙語といった感じです」と全く分かっていない様子でした。詳しく聞いていくと、高校1年の最初から分からなくなって興味を失い、その後はほったらかしにしてしまったとのことでした。本来であれば一番苦手な英語から手をつけるべきですが、Eくんの性格上、興味のないことはやる気が起こらず覚えられないタイプだったので、英語はひとまず保留にし、数学から手をつけることにしました。
Eくんは文系ですが数学が好きで、第一志望の千葉大法政経学部は、2次試験で数学が課され配点も大きいため、数学を強化すれば他の生徒に差をつけられると考えました。また、数学で自信がつけば、苦手な英語にも相乗効果が期待できると思いました。
指導内容
使用したテキストは青チャートです。文系にはややハードルの高いテキストですが、上記の通り数学である程度アドバンテージを稼ぐという戦略で、やや発展的な内容も扱う必要があったからです。
まず指示したのは、例題の徹底マスターです。少し考えて分からなければ、すぐに答えを見て解法を暗記します。その際、例えば「2次方程式が異なる2つの実数解を持つ」→「判別式D>0」といった具合に、なぜその条件をそのように立式するのかを意識しながら、答えにたどり着くまでのプロセスを自分の口で説明できるようにします。これを、問題を読んで瞬間的・反射的にできるようになるまでひたすら反復しました。授業では、分からない箇所を私が詳しく解説するのはもちろん、Eくんが先生役になり、暗記した例題の解答までのプロセスを、自らの言葉で1問1問、生徒役の私に説明してもらいました。私は出来の悪い生徒役なので、Eくんに容赦ない質問を浴びせます。この指導方法は、実際に具体的な計算をして数値を出すというところは省いているので、計算力を養うことには課題がありますが、時間に対して相当数の例題をチェックできるので効率的です。また、私に説明するというアウトプットをすることで、ものすごく定着率も高まりました。
学習状況の変化と合格までの成績推移
■成績推移 : 全統記述40台後半 → 最高偏差値不明
もともと好きな数学においては、上述のやり方が上手くはまり、数学ⅠA・ⅡBの青チャートのほぼ全ての例題のマスターに成功しました。千葉大の数学の過去問を解いても、6割以上安定して得点できるようになりました。また、数学である程度好循環が生まれると、当初の予想通り、徐々に英語にも相乗効果が生まれました。そもそも英語は手を抜いてやっていなかっただけなので、単語や文法の知識量が増えると共に、自然と長文も読めるようになっていきました。
センター試験は英語で20点ほどのマークミスがあり(試験終了1分前に気付き絶望したそうです…)、世界史は34点という信じられない点数で、センターリサーチをかけた結果、案の定千葉大法政経学部はE判定でした。ただ、千葉大法政経学部は2次試験の配点が高く、数学は大問1つ上手くはまれば逆転もあり得るので、私もEくんも希望を失わず、2次試験までの40日あまりを必死に追い込みました。幸いにして?と言ったら語弊があるかもしれませんが、Eくんは事情から私大の併願はほぼ考えておらず、千葉大のみをターゲットにラストスパートをかけることができました。この期間、苦手な英語を中心に学習し、過去問も10年以上解いたと思います。試験当日、数学は過去最高の手応えで8割5分はできたということでした。得意な分野からの出題も多く、Eくん自身「これは上手くはまった」という感触があり、試験中は感動に打ち震えたそうです。見事合格という結果を手にして、私も正直驚きましたし、高校の先生や同級生の誰もが本当に驚いていたそうです。
結果
■結果(進学先): 千葉大学法政経学部
■結果(他の合格校): なし
生徒とのエピソード
センター試験後、2次試験までのある指導においてEくんが「先生、最近すごく受験勉強が楽しくて、下手したら一生この生活を続けてもいいかも、みたいな心境になります」と言ってきたことがあります。このようなことを言ってきた生徒は過去に無く、すごく印象に残っています。ある意味、受験勉強という世界を深く極め、一種の悟りの境地に入ったのかもしれません。
また、Eくんは「効率」というものに重きを置く生徒で、受験のプロである先生の言うことを信じてその如くやることが、自分流で回り道するよりも、最も効率的に勉強できると考えていました。また、モチベーションが上がらない時も、そのまま勉強し続けて、ズルズルと冴えない時間を無駄に過ごすことがなく、家族や友人とコミュニケーションを取って上手く切り替え、常にいい精神状態を自ら作り出し、日々の勉強に取り組んでいました。
同じ志望校(千葉大学)を目指す受験生へのアドバイス
Eくんの例は、希望や状況に合わせて王道ではない戦略を敢えてとったレアケースだと思います。千葉大2次試験の配点は確かに高いですが、王道はセンター試験で少しでもリードを奪い、余裕をもって2次試験で逃げ切るというパターンだと思います。苦手科目を作らずにバランスよく勉強し、典型的な頻出問題をまずは確実に得点できるようになりましょう。
経験上、文系で数学が個別試験にある場合、間違いなく合否を分ける科目になると思います。文系では、国語や英語は得意としている生徒が多くそれほど差がつきませんが、数学は大きな差がつきます。千葉大の数学は大問4題で300点満点なので、大問1つ完答できれば最大75点の差がつくことになります。ぜひ、数学が得意な文型を目指しましょう。