ウナギはなぜ減少しているのか？　どうすれば守ることができるのか？　すぐ近くの川にいるウナギの生活は意外に知られていない――岡山県の児島湾で調査を行った若き研究者の記録｡
本文では、ウナギとアナゴの生態を比較し、共通点や相違点について説明している。｢専門用語｣は少なく、平易な文体なので内容は分かりやすいはずだ。
以下、いくつかの｢設問｣を検証してみたい。

[問一]　｢条件付き内容説明記述｣(字数指定なし。解答欄１行。１行＝30～40字程度。以下同じ)。

傍線部①｢児島湾と旭川で捕れるウナギとアナゴについて、その生態を比較してみた｣について、｢どういうことがわかったのか｣を説明する。

｢条件｣は｢53行目までを読んで｣答えること。傍線部①から｢53行目まで｣は同一意味段落だと分かる(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠｣あり)｡であれば、通常｢同一意味段落｣の｢まとめ｣は最後なので、そこを確認する。｢児島湾｣の｢ウナギとアナゴでは、行動時間だけでなく、エサの種類も共通していた｣とある。これが｢生態を比較してわかったこと｣だ。

では、｢行動時間｣と｢エサの種類｣はどうなのか。それぞれが説明されている形式段落をチェックする。｢行動時間｣は｢夜行性で、夜にエサを探している｣､｢エサの種類｣は｢アナジャコが多かった｣ということが分かる。

以上を整理して、｢過不足なく｣まとめていく。たとえば、｢ウナギもアナゴも行動時間は夜行性で、エサの種類も共通している。｣といった｢答え｣になる。｢条件｣＝｢手がかり｣｢ヒント｣と心得よ。

＜時間配分目安：３分＞

[問二]　｢条件付き理由説明記述｣(｢30字以内｣指定)。

傍線部②に｢同じエサを食べる動物どうしが同じ場所に住んでいると、エサをめぐって競争になることが多い｣とあるが、｢実際には競争していない｣と筆者は述べている。その｢理由｣を説明する。

｢条件｣は｢解答欄に合うように｣答えること。｢解答欄｣は｢児島湾のウナギとアナゴは    　(30字以内)　    から。｣となっている。要は、｢空所｣に合うようにまとめるわけだ。｢同一意味段落｣を確認する。

すると、次段落に｢エサの種類は同じでも、大きさがちがうということは、ウナギとアナゴの食べているエサは異なっているということになる｣とある。｢エサは異なっている｣＝｢同じエサ｣ではない⇒｢競争｣にならないとなる。

あとは｢過不足なく｣まとめればいい。たとえば、｢(児島湾のウナギとアナゴは)同種でも大きさがちがうエサを食べるのでエサが異なることになる(から。)｣といった｢答え｣だ。｢空所補充記述｣では｢前後の文脈｣に必ず合致させること。

＜時間配分目安：２分半＞

[問三]　｢内容説明記述｣(字数指定なし。解答欄２行)。

傍線部③｢エネルギーのむだづかいだ｣について、｢どういう点がむだづかいと言えるのか｣を説明する。

｢何｣が｢むだづかい｣なのか？　｢傍線部一文一部の原則｣(｢傍線部｣が｢一文の一部｣の場合、｢傍線部以外｣が重要な｢手がかり｣｢ヒント｣)で確認する。

直前に｢競争ばかりしていたら｣とある。つまり、｢競争｣が｢むだづかい｣ということ。｢競争｣については同じ段落で説明されている。段落前半に｢競争相手に勝つためにエネルギーを使うので、その分自分が成長したり、子孫を残したりするためのエネルギーは減ってしまう｣とある。つまり、｢自分が成長したり子孫を残したりするためのエネルギーを競争相手に勝つために使ってしまうこと｣ことが｢むだづかい｣なのだ。

整理して、｢～という点。｣という形になるようにまとめること。たとえば、｢自分が成長したり、子孫を残したりするためのエネルギーを減らしてまで､競争相手に勝つために使ってしまうという点。｣といった｢答え｣になる。｢文末｣は｢設問｣に合わせること。

＜時間配分目安：３分＞

小学生のころに暮らしていた町にもどってきた｢僕｣が、親友の｢山口君｣とカブト虫やクワガタをとりに行こうと約束したときのことを思い出す物語。とても親しみやすい内容だ。設問も｢理由説明｣｢心情説明｣が主で、分かりやすいはずだ、ただ、｢語句の意味｣がとらえられないと答えられないものもあるので、要注意。以下、２問だけ確認してみたい。

[問一]　｢条件付き内容説明記述｣(字数指定なし。解答欄２行)。

傍線部①｢僕はまんざらでもなかった｣について、｢どういうことを言っているのか｣を説明する。

｢条件｣は｢理由をふくめて｣答えること。先ずは｢まんざらでもない｣の｢意味｣を正確にとらえることが必須だ(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡｢まんざらでもない｣＝｢まったくだめだというわけではない。必ずしも悪くはない｣｡

何が？　直前から｢犬の散歩が僕の役目になったこと｣だと分かる。｢条件｣があるので｢理由｣もとらえる。｢傍線部一文一部の原則｣で確認すると、一文の冒頭に｢だから｣とある。

つまり、その前が｢理由｣だ。そこには｢そんな町中を、犬の散歩のついでに歩き回り昔なつかしい場所を発見したり変化におどろいたりするのは、ちょっと楽しみでもあった｣とある。｢ちょっと楽しみ｣⇒｢必ずしも悪くはない｣ということだ。｢そんな町中｣と｢指示語｣があるので開く(｢指示語｣が出たらすぐに開くこと)｡直前から｢そんな｣＝｢すっかり変わってしまった｣だと分かるはずだ。

以上を｢過不足なく｣まとめていく。たとえば､｢すっかり変わってしまった町中を歩き回り､昔なつかしい場所を発見したり変化におどろいたりするのはちょっと楽しみだったので、犬の散歩は必ずしも悪くはなかったということ｡｣といった｢答え｣になる。尚、｢説明記述｣では｢指示語｣は絶対にそのまま使わないこと。

＜時間配分目安：４分＞

[問二]　｢心情説明記述｣(字数指定なし。解答欄１行)。

傍線部②｢ランドセルを投げだして、きれいにほこりをぬぐうと、虫が生活するためのかれ葉や木くずをていねいに底にしきつめ、いつでも虫を入れられるように準備を整えた｣について、｢ここから僕のどのような気持ちが分かるか｣を説明する。

｢心情｣は｢セリフ｣｢ト書き＝セリフを直接説明している部分｣｢動作｣｢情景｣などから多角的にとらえていくが、ここでは｢動作｣だ。

｢同一場面の直前直後｣を確認する(｢小説は同一場面直前直後に根拠あり｣が鉄則)｡傍線部は､｢山口君とカブト虫やクワガタをとりに行く前日｣に、｢しまっていた飼育箱｣を取り出した直後だ。｢ランドセルを投げだして｣｢きれいにほこりをぬぐう｣｢ていねいに底にしきつめ｣｢いつでも虫を入れられるように準備を整えた｣といった描写から、一刻も早く｢虫を入れられる｣ことができるようにと、気がせいて楽しみにしていることが分かるはずだ、

また、傍線部直後には｢大きな飼育箱の中で、カブト虫やクワガタがえさのスイカの汁を吸っている姿を想像した｣ともある。これらから｢心情｣をまとめていきたい。

たとえば、｢一刻も早くカブト虫やクワガタをとりに行きたいと、気がせいて楽しみにしている気持。｣といった｢答え｣となる。｢心情説明記述｣では必ず｢心情表現｣を用いて文末をまとめること。

＜時間配分目安：４分半＞

｢漢字の書きとり｣。基本的な漢字ばかり。本校志望者は｢全問正解｣が前提条件だ。
あえて間違いやすいものとしては挙げれば、
(１)｢町のビカンをそこねる｣(＝｢美観｣)、
(５)｢受賞をジタイする｣(＝｢辞退｣)、
(６)｢シナンのわざ｣(＝｢至難｣)、
(９)｢エイダンを下す｣(＝｢英断｣)、
(10)｢イシツ物を受け取る｣(＝｢遺失｣)などだ。
｢同音異義｣｢同訓異字｣は必修。