｢総合的知識問題｣｡
｢漢字の書きとり｣では｢同音異義語｣､｢文法｣では｢文節分け｣に特に注意したい。
また、｢故事成語｣は本校らしい｢高度な語彙力｣が問われているので覚悟すること。
いくつか確認してみたい。

[問一]　｢語句の選択と漢字の書きとり｣(全10問/10択)。
示されている｢設問文中の空所｣(①)～(⑩)に当てはまる言葉を【語群】から選び｢漢字｣に直す。
｢同音異義語｣に注意したいのは、(１)｢行政(①)｣(⇒｢キカン｣＝｢機関｣)、(２)｢(②)な天候｣(⇒｢イジョウ｣＝｢異常｣)、(５)｢小学校の(⑤)を終え｣(⇒｢カテイ｣＝｢課程｣)など。
また、(９)｢選手の活躍に(⑨)した｣(⇒｢コウフン｣＝｢興奮｣)､(10)｢内容を(⑩)にまとめる｣(⇒｢カンケツ｣＝｢簡潔｣)は細部への目配せを忘れず正確に記すこと。

[問二]　｢文節数の数字記入｣(１問)｡
｢文法｣。示されている｢文｣の｢文節数｣を答える。
｢文節｣は単に｢～ネ｣を入れて分けるのではなく、｢自立語｣｢付属語｣の判別をして正確を期すこと。
｢一番/上の/兄が/楽しそうに/今日の/学校での/出来事を/母に/話して/いる/。｣という｢文節分け｣になるので、｢答え｣は｢10｣｡
｢文節分け｣は｢文法｣の基礎中の基礎、練習を繰り返すこと。

[問三]　｢同じ種類の語の選択肢｣(全３問/各５択)。
示されている｢例文｣(１)～(３)の傍線部について、｢同じ種類の語｣が使われているものを答える。
(１)と(３)は｢品詞｣､(２)は｢意味･用法｣での判別だ。
(１)｢奇妙なこと｣＝｢奇妙だ｣という｢形容動詞｣の｢連体形｣⇒｢答え｣は選択肢(イ)の｢おだやかでない｣(＝｢形容動詞｣の｢連用形｣)､(ア)(オ)は｢形容詞｣､(ウ)(エ)は｢『名詞』＋『助動詞』の『だ』｣｡
(２)｢想像するのもいいものだ｣＝｢助詞｣の｢の｣で、｢体言代用｣(｢こと｣｢もの｣で言い換え可能)の｢用法｣⇒｢答え｣は選択肢(ウ)の｢サッカーがうまいのが彼の持ち味だ｣(｢こと｣で言い換えられる)､(ア)は｢『軽く意味を添える』用法｣､(イ)(ウ)は｢『主語を示す』用法｣､(オ)は｢『場所を示す』用法｣｡
(３)｢速くない｣＝｢形容詞｣の｢ない｣⇒｢答え｣は選択肢(イ)の｢簡単でない｣(＝｢自立語｣なので｢形容詞｣となる)､(ア) (ウ)(エ)(オ)は全て｢付属語｣なので｢助動詞｣｡
(３)の｢ない｣の判別は､特に定番中の定番だ。
｢ズ｣｢ヌ｣などでの置き換えや、｢自立語｣｢付属語｣の違いで判別する手法を習得しておくこと。

[問四]　｢故事成語の用法に関する選択肢｣(５択)。
示されている｢例文｣(ア)～(オ)の傍線部の｢故事成語｣について、｢使い方が正しいもの｣を答える。
(ア)｢虎の威を借る狐｣､(ウ)｢他山の石｣､(エ)｢画竜点睛を欠く｣､(オ)｢四面楚歌｣については知っていて当然なので、｢答え｣は｢(オ)｣だと特定できるのだが、(イ)の｢三顧の礼｣はどうか？
知らない諸君もいるのではないか。
なぜか最近、中学入試に頻出なので確認しておく。
｢目上の人が格下の者のもとに三度も出向いてお願いをすること｣だ。
｢四字熟語｣｢ことわざ｣｢慣用句｣なども含めて、本校志望者は｢知識｣を完璧にしておくことが必須だ。

人間の生き方を根本から考え直す機会を与えてくれた東日本大震災の経験をもとに、人間がこのまま何の反省もなしに、欲望の拡大と利己主義を続ければ、もはや地獄しかないであろうと指摘し、禍を人間の未来への希望にどうつなげるかということを考察している。
本文では、人と人とが信頼と愛によって助け合い、連帯の絆を深めるべきだと論じている。
難解な語句が多く、｢哲学｣や｢世界史｣にも論究しているので手強い文章だ。
｢*注｣を活用して何とか内容をとらえてほしい。｢知識｣も含め本校らしい多彩な｢設問｣が並ぶ。いくつか検討しよう。

[問二]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各４択)。
二重傍線部(ａ)｢際限｣､(ｂ)｢無一物｣の｢意味｣をそれぞれ答える。
(ａ)の｢答え｣は選択肢(イ)の｢かぎり｣だということはすぐに分からなくてはいけない。
で、(ｂ)の｢無一物｣(｢ムイチモツ｣という｢読み｣にも注意)だ。
｢仏教用語｣で｢何一つ所有していないこと｣を意味する。
知らなくて当然だが､ここでは｢文脈｣を読み取り､｢答え｣は(エ)｢何一つ持っていないこと｣だと判別したい。
文中の｢語句の意味｣は｢知らないからあきらめる｣ではなく、前後の｢文脈｣からつかみ取ること。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問三]　｢内容についての条件付き例文記述｣(｢15字以内｣指定)。
傍線部(１)｢自然からの贈与を浪費する｣とは、｢例えばどのようなことか｣を答える。
｢条件｣は｢あなたが知っている例｣であること。先ずは｢自然からの贈与｣とは何かが問題だ。
｢傍線部一文一部の法則｣(｢傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)で確認する。直前に｢この｣とある。
｢指示語｣なので開く(｢指示語｣が出たらすぐに開くこと)｡
前文から｢この自然からの贈与｣＝｢物資とエネルギー｣だと分かる。
であれば、｢物資やエネルギー｣で｢浪費｣､要は｢むだに使っているもの｣で｢あなたが知っている例｣を挙げればいい。
たとえば、｢電気を消さずにむだに使うこと。｣といった｢答え｣になる。
｢あなたが知っている｣という｢条件｣なので、｢身近な例｣にすること。
｢設問条件｣は必ず守る必要がある。

＜時間配分目安：１分半＞

[問四]　｢内容説明選択肢｣(５択)。
傍線部(２)｢経済は、人間がよく生きることに仕えるべきもの｣について、｢経済が人間に仕える｣とは｢どういうことか｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡
各選択肢の｢文末｣で(｢選択肢｣の説明で｢最重要要素｣は｢文末｣に記されている)、｢経済が人間に仕える｣に結びつかないものを｢消去｣する。
要は｢経済が人間の役に立つ｣ということなので、選択肢(ア)の｢経済との関わりは必要ない｣、(イ)の｢経済による自然破壊もやむを得ない｣、(エ)の｢経済活動が重要｣､(オ)の｢経済はなくてはならない｣は｢消去｣できると判別できなくてはいけない。
残ったのは(ウ)の｢衣食住のための物資を経済が確保する｣だ｡
(ウ)は前半の説明も特に誤ってはいないので、｢答え｣となる。｢一発消去｣だ。
紛らわしい選択肢の多い本校では、特に｢原意消去｣を心がけよ。

＜時間配分目安：１分＞

[問五]　｢換言説明の不適切選択肢｣(複数完全解答/５択)。
傍線部(３)の｢生の本当の喜び｣に｢あてはまらないもの｣を｢すべて｣答える。
｢同一意味段落｣を読み解いていく(｢論説文｣では｢同一意味段落｣に｢手がかり･ヒント｣がある)｡
ここでは傍線部の段落と前段落だ。
前段落で、｢豊かに生きているときでも｣｢人間は、富や名声や快楽によって生の真の充足を経験しているのではなく｣｢人と人は愛と信頼によって生きている｣と説明されている。
ということは、選択肢(ア)｢人間の連帯の絆｣､(イ)｢愛と信頼｣､(エ)｢健康にかつ快適に生きること｣は､明らかに｢生の本当の喜び｣につながると分かるはずだ。
そして､(ウ)の｢富や名声や快楽｣は無論､｢不適切｣なことも明白だ。
悩むのは(オ)の｢大災害から命を守れること｣､何かあてはまりそうな気もするのだが、｢生の喜び｣なのだから､｢命を守る｣はズレていると判断しなくてはいけない。
従って、｢答え｣は｢(ウ)(オ)｣。確実に｢原意｣をとらえることが重要だ。

＜時間配分目安：２分＞

｢家族の深さと強さ｣を｢難局｣の中で再確認する｢家族小説短編集｣の一編。
本文では、東京で暮らす｢私｣(＝｢亜季｣)と田舎から出てきた｢父｣が､｢私｣の小学生時代の｢父のおにぎり事件｣を語り合いながら思いを通わせていく様子を描いている。
平易な文章だが、｢現時点｣と｢回想｣がやや入り組んでいるので、｢時制｣には注意する必要がある。
だが、｢設問｣自体はさほど難しくない。以下、３問だけ検証したい。

[問一(１)]　｢傍線部の内容説明抜き出し｣。
傍線部(１)｢それはあまり思い出したくない想い出なのだ｣について、｢『想い出』の内容が描かれているのはどこまでか｣、｢その終わりの五字｣を抜き出す。
｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣をとらえた上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。
｢内容｣は｢想い出の回想場面｣であり、｢範囲｣は｢回想全て｣だ。
傍線部の次段落から｢回想場面｣が始まっていることはすぐに分かる。
丁寧にその場面を追っていくと、傍線部(３)の５行前に｢今となっては〝父のおにぎり事件〟も笑い話になっていいのかもしれない｣とある。
ここで｢現時点｣に戻っているわけだ。
従って、その前までが｢回想場面｣なので、｢答え｣は直前の｢涙が出た。｣となる。
一般的に、｢抜き出し｣では｢範囲｣の絞り込みがポイントになると心得よ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問一(２)]　｢条件付き理由説明記述｣(２問/各｢10～20字以内｣指定｣。
傍線部(１)｢それはあまり思い出したくない想い出なのだ｣について、｢思い出したくない｣のは｢なぜか｣を説明する。
｢条件｣は､｢理由を二つ挙げる｣ことと､それぞれ『～思いをしたから。』という形に合うようにする｣こと。
[問一(１)]で分かったように、この｢回想場面｣を｢私｣は｢父のおにぎり事件｣と名付けているのだから、｢父のおにぎり｣に関連するとすぐに判断できる。確認する。
｢小学校六年生の運動会｣の｢回想｣だ。｢お弁当｣は｢父が作ったもの｣だった。
それを食べている時、｢目敏いクラスメイトの男子｣が｢おにぎり、でっけ！ヘンな形っ｣と｢囃(はや)し立て｣､｢私｣は｢傷つき｣､その｢恥ずかしさを引きずった｣となっている。
であれば、｢恥ずかしい(思い)｣がひとつめの｢理由｣だと分かるはずだ。
そして、｢回想｣の冒頭に｢それまで三着以内に入ったことがない徒競争｣で、この時は｢三着に入るチャンス｣だったとある。
しかし、結果は｢五着｣で、｢回想｣の最後は｢悔しくて涙が出た｣と結ばれている。
なので､｢悔しい(思い)｣がもうひとつの｢理由｣だ。以上を簡潔にまとめていきたい。
たとえば、｢父が作ったお弁当をばかにされ恥ずかしい(思いをしたから。)｣と｢チャンスだった徒競争で三着に入れず悔しい(思いをしたから。)｣といった｢答え｣になる。
｢回想場面｣では特に｢最初｣と｢最後｣に着目すること。

＜時間配分目安：３分半＞

[問二]　｢心情説明選択肢｣(５択)。
傍線部(２)｢お父さんが作ったんだからな｣について、ここでの｢父の心情｣を答える。
｢心情｣であっても無論、先ずは｢原意消去｣だ。各選択肢の｢文末｣で｢消去｣していく。
傍線部は｢父｣自身の言葉で、そう言って｢私｣に｢お弁当｣を手渡している。
であれば、選択肢(ア)の｢開き直っている｣、(ウ)の｢娘をふびんに思っている｣、(エ)の｢緊張している｣､(オ)の｢思い上がっている｣は｢消去｣できると判別できるはずだ。
これらに対して、(イ)は｢得意になっている｣､傍線部の｢心情｣としてはふさわしいのは当然だ。
他の部分の説明も不適切ではない｡従って、｢(イ)｣が｢答え｣だ。
｢一発消去｣！やはり本校では｢原意消去｣が有効だ。

＜時間配分目安：１分＞