｢熟語の漢字の同音異字判別｣(全５問)。
｢書きとり｣ではなく｢選択肢｣、問題なしっ！ などとナメてはいけない。より厳密に判別しないと間違う恐れがある。しかも、｢各４択｣ということは、合計で｢25の熟語｣を正確に知らなくてはいけないわけだ。まあ、本校志望者であれば｢全問正解｣といきたいが、若干悩ましいものとしては、
(２)｢欲望をジュウソクする｣(＝｢充足｣)⇒選択肢(イ)｢会がホッソク｣(＝｢発足｣)、
(３)｢需要とキョウキュウ｣(＝｢供給｣)⇒(イ)｢キュウリョウを支払う｣(＝｢給料｣)、
(５)｢昼食をジサンする｣(＝｢持参｣)⇒(ア)｢権力をホジする｣(＝｢保持｣)くらいか｡
やはり､本校では｢漢字｣の正確な定着が必要だ。

＜時間配分目安：２分＞

家族の一員としてかわいがって飼っていたブルドッグの｢ボス｣が死んで、後に残された｢彼｣とその家族の様子を描いた作品。
本文では、｢ボス｣の遺骨を山小屋の裏に埋めた後、墓に供えておいた食パンが消えたことと、その後のいきさつが語られている。古い作品なので、あまりなじみのない｢言葉｣や難解な｢語句｣もあるが、何とか内容は理解できるはずだ。｢心情読み取り｣｢場面分け｣｢表現特徴｣など、｢小説｣のオーソドックスな小問が並んでいる｡
以下、いくつかを確認してみたい。

[問一]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各４択) 
｢総合的知識問題｣｡傍線部(ａ)｢及び腰｣､(ｂ)｢頓狂な｣の｢ここでの意味｣を答える。
これらの｢原意｣(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、各選択肢の｢余計なお世話｣な｢説明｣に引きずられて、本文中の｢ここでの意味｣にこだわり過ぎると､間違ってしまう可能性がある。要注意。
｢答え｣は､｢(ａ)｣＝選択肢(ア)｢～不安定な姿勢｣､｢(ｂ)｣＝選択肢(ウ)｢～調子外れな｣だ。ただ、(ｂ)の｢頓狂｣は知らなくても不思議ない。｢捨て問｣でいい。
いずれにしても、｢原意絶対優位の原則｣(｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)を徹底させること。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問二]　｢場面分けの抜き出し｣(｢最初の５字｣指定) 
｢本文を内容から二つに分けるとしたら、後半はどこからか｣､その｢最初の五字｣を抜き出す。｢場面分け｣の問題だ。｢小説｣の｢場面分け｣の基準は、｢時｣⇒｢場所｣⇒｢登場人物｣⇒｢内容｣といった優先順位。
本文は｢時｣を基準として、｢日単位｣｢年単位｣で分けることが可能だが、｢二つに分ける｣ので｢年単位｣になる。｢現在｣と｢過去｣ではっきりと分かれている。傍線部(４)の直後に明確に｢おととしは冷夏で｣と始まる段落がある。そこから｢過去｣になっている。したがって、｢答え｣は｢おととしは｣となる。
｢小説｣では､｢時｣｢場所｣｢登場人物｣などを読みながらチェックしておくこと。

＜時間配分目安：１分半＞

[問三]　｢内容説明選択肢｣(４択)
傍線部(１)｢おなじ食パンで朝食をした｣について、それは｢どのようなことを表現しているか｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意絶対優位の原則｣に基づき｢原意消去｣をしたいが、何と｢おなじ食パン｣で、誰が｢朝食をした｣のかが分からなくては判断のしようがない。そこで、｢傍線部一文一部の法則｣(｢傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)で確認する。直前に｢三人は、今日の分として新しく食パンを一枚手向け直してから｣とある。｢三人｣とは？｢手向け直し｣た相手は？さらに、｢同一場面の直前直後｣を確認する(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢根拠･手がかり｣がある)｡すると、｢三人｣＝｢彼｣とその家族､｢手向け直し｣た相手＝死んだ｢ボス｣だということが分かるはずだ。つまり、｢彼とその家族は、家族の一員だった『ボス』と同じ朝食をした｣ということだ。であれば、選択肢(ウ)の｢『ボス』が死んでも家族の一員としてその心の中に生き続けていること｣以外は｢消去｣できなくてはいけない。
｢解法｣を駆使して｢消去｣していくことが肝要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問九]　｢本文合致選択肢｣(４択)。
｢本文の表現についての説明｣として｢最も適当なもの｣を答える。
｢小説｣の｢本文合致｣では、｢本文｣の｢内容｣や｢表現技法｣に関する選択肢説明の｢キーワード｣に着目して、｢合致｣するかどうかを判別していきたい。各選択肢を確認する。
(ア)｢次々に展開する不思議な事件｣⇒｢不思議なこと｣は起きているが、決して｢次々に展開する不思議な事件｣ではないので｢不適切｣｡
(イ)｢登場人物の心のすれ違いが悲劇的に描写｣⇒無論、全くあてはまらず｢不適切｣｡
(ウ)｢不思議な運命に振り回される『彼』｣⇒｢運命｣などととても表現できないので｢不適切｣｡
(エ)｢家族の『ボス』に対する思い入れ｣｢『彼』の視点｣｢回想や想像をおり交ぜ｣｢ユーモラス｣⇒全て｢適切｣なので｢答え｣になる｡
尚、｢小説｣の｢本文合致｣は解くのに時間がかかるので、｢戦術｣としては｢後回し｣にする方がいい。

＜時間配分目安：２分半＞

｢古池や蛙飛こむ水のおと｣――松尾芭蕉の名高いこの句は｢古池に｣と｢や｣を｢に｣にした途端、凡句となってしまう。｢や｣という｢切字｣によって、芭蕉はひとつの高みに到達し、俳句は芸術となったということについて説明している。
本文では、同じく芭蕉の｢閑さや岩にしみ入蝉の声｣と比較して、その共通点について述べている。冒頭にいきなり｢古文｣が記載されており、面食らうことは必至だ(｢現代語訳｣は記されてはいるが)｡さらに、｢俳句｣に関する｢解釈｣でも小学生には難解な部分が多々ある。全てを理解しようとせずに、｢※注｣も活用しながら、おおよその内容を理解すればいい。尚、[問七]に｢本文合致の正誤判別問題｣がある。｢論説文｣では｢論旨合致｣となるので｢序論部｣と｢結論部｣だけと照合すればいいが、この大問のような｢説明文｣では｢本文全て｣と照合する必要があり、とても手間がかかるので｢捨て問｣で構わない。
他のいくつかの｢設問｣を検討する。

[問三]　｢換言説明選択肢｣(４択)
傍線部(３)｢芭蕉の句には忠実ではない｣について、それは｢どのようなことか｣を答える。何が｢忠実ではない｣のかを、｢傍線部一文一部の法則｣で確認する。直前から｢この訳｣だと分かるはずだ。｢指示語｣なので開く(｢指示語｣が出たらすぐに開くこと)｡｢この訳｣＝｢『松尾芭蕉集②』の訳｣だと判明する。
次に、｢芭蕉の句には｣ということは、他の何かには｢忠実だ｣ということだ。何か？傍線部直前に｢地の文には忠実｣とある。さらにその前では、｢この訳｣は｢切字『や』のもたらす切れ｣を｢見落としている｣と指摘されている。｢切字｣は｢地の文｣にはない。つまり、｢芭蕉の句｣の｢切字｣を｢見落としている｣から、｢忠実ではない｣ということになる。そして、各選択肢を確認すると、｢切字｣について説明しているのは(エ)だけだと分かる。
したがって、｢答え｣は｢(エ)｣だ。｢文脈｣に忠実に読み解いていくこと。

＜時間配分目安：１分半＞

[問四]　｢空所補充選択肢｣(４択)
｢総合的知識問題｣｡本文中の｢　　Ｘ　　｣に｢入る言葉｣を答える。
｢四字熟語｣の｢空所補充｣だ。
各選択肢は、
(ア)｢針小棒大｣
(イ)｢枝葉末節｣
(ウ)｢大同小異｣
(エ)｢多種多様｣
基礎的なものばかりだ。あとは｢文脈｣に即して判別すればいい。
｢土台をおろそかにしたまま　　Ｘ　　をあげつらってきた｣となっているのだから、当然、｢答え｣は｢(イ)｣＝｢枝葉末節｣となる。
本校志望者は、難なく正解できなくてはいけない。

＜時間配分目安：30秒以内＞

[問六]　｢内容説明記述｣(｢字数指定｣なし、｢50字ほど｣の解答欄)
傍線部(４)｢発想自体～っている｣について、｢『閑さや岩にしみ入蝉の声』の句と『古池や蛙飛こむ水のおと』の句を比べて、どのような点が似通っているのか｣を説明する。
本校特有の｢選択肢説明｣の｢省略｣がある。当然、先ずは傍線部全てを確認すること。
次に、｢同一意味段落｣に｢手がかり｣を求める(｢説明文｣｢論説文｣では｢同一意味段落｣に｢根拠･手がかり｣がある)｡すると、次段落に｢古池の句では蛙が飛びこんだ水の音が芭蕉の心に古池の面影を呼び覚まし｣､｢『閑さや』の句｣でも､｢蝉の声という現実の音が心の世界を開いた｣と説明されている。要は、｢水の音｣｢蝉の声｣＝｢現実の音｣⇒｢心の世界を開いた｣ということだ。こうしたことを｢過不足なく｣まとめればいい。たとえば､｢両方の句とも、水の音や蝉の声といった現実の音を聞いたことをきっかけとして心の世界を開いている点。｣といった｢答え｣になる。
｢同一意味段落｣に着目することが肝要だ。

＜時間配分目安：２分半＞