桐光学園中学校 入試対策
2016年度「桐光学園中学校の社会」
攻略のための学習方法
[スライド式学習]
「桐光対策」では当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野、「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れてはいけない。完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、悲しいことに人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。６年で学習した「公民」はまだしも(とはいっても「桐光」では要注意)、「地理」はどうだろうか？ 実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」でも「深知り知識」が求められる桐光ではなおさら。そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。
[いもづる式学習]
全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、桐光おなじみの「難問」など絶対に無理だ。そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。１つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(＝「面」)をも理解するようにする。このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。無論、桐光で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
[手づくり式学習]
特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、桐光などの上位校ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」～「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
[細部へのこだわり式学習]
「問題解説」でも指摘したが、「桐光攻略」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
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2016年度「桐光学園中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１ は｢総合｣(｢時事｣はなし)。｢北関東にある３県についての説明文｣からの出題｡小問は全５問(解答数15）、｢選択肢｣｢事項記述｣(｢漢字指定｣あり)｢空所補充｣。
大問２ は｢公民｣(｢時事｣３問あり)。｢『安全保障関連法案』の国会審議についての会話文｣からの出題。小問は全８問(解答数17)、｢選択肢｣(｢不適切｣あり)｢事項(人物)記述｣(｢数字指定｣｢複数完全解答｣あり)､｢整序｣。
大問３ は｢歴史｣。｢『日本の暦』についてのリード文｣からの出題。小問は全７問(解答数10)、｢選択肢｣(｢不適切｣あり)｢事項(人物)記述｣｢空所補充｣｢年代整序｣。
時間配分は、１問当たり１分弱というペース。無論、メリハリのある｢戦術｣が求められる。
[大問１]歴史・地理（1問のみ公民）
- 難度：易
- 時間配分：13分
- ★必答問題
北関東にある｢『茨城県』『栃木県』『群馬県』の３県について説明した文章｣からの出題。｢歴史｣｢地理｣がメインで、１問だけ｢公民｣がある。ほぼ全てが｢基礎的事項｣で、短時間で全問正解したい｢お得な大問｣だ。だからこそ、｢失点｣は許されない。少しだけ｢設問｣を確認してみる。
[問１] ｢説明文についての空所補充選択肢設問｣(全５問/15択)
｢歴史｣｢地理｣単元。｢茨城県についての説明文｣中の ① ～ ⑤ の空所に｢あてはまる語句･人名｣を答える。
｢地理｣の ③ ＝｢近郊(農業)｣(｢答え｣は選択肢｢(３)｣)､ ④ ＝｢鹿島臨海(工業地域)｣(｢答え｣は選択肢｢(14)｣)､ ⑤ ＝｢つくば(市)｣(｢答え｣は選択肢｢(５)｣)については、すぐに判別できなくてはいけない。｢歴史｣では、｢水戸は江戸時代には ① とよばれる領地｣⇒やや戸惑うかも知れないが、｢選択肢｣的には｢答え｣は(６)の｢親藩｣以外にはないと分かるはず。また、｢藩主であった ② は～『大日本史』を編集した｣⇒｢大日本史｣とあるのだから、｢答え｣は(７)の｢徳川光圀｣だと判断できなくてはいけない。本校では、｢基礎的事項｣の欠落は致命的になると心得よ。
＜時間配分目安：３分以内＞
[問５] ｢下線部についての事項記述設問｣(｢漢字４字｣指定)
｢歴史｣単元。｢群馬県についての説明文｣中の下線部(イ)｢明治政府が欧米諸国のように豊かで強い国家をつくり上げようとした｣について、｢このように政府が経済を発展させ、軍事力を強化するための政策を何というか｣を｢漢字４字｣で答える。
｢基本のキ｣だ。｢豊かで強い国家｣なのだから、｢答え｣は｢富国強兵｣で決定だ。
本校志望者であれば、万が一にもここでつまずくようなことがあってはならない。
＜時間配分目安：30秒＞
[大問2]公民（一部時事）
- 難度：難
- 時間配分：17分
｢『安全保障関連法案』の国会審議｣という｢時事ネタ｣を切り口にしての、｢日本国憲法と国会に関する会話文｣からの出題。｢『公民』に難問が集中している｣という本校の特徴が遺憾なく発揮されている大問。 以下、いくつかを検証する。
[問１] ｢会話文についての空所補充事項記述設問｣(全６問)
｢時事｣が２問含まれている。｢会話文｣中の ① ～ ⑥ の空所に｢あてはまる語句･人名･数字｣を答える。
｢時事｣の ① ＝｢答え｣は｢安倍晋三(首相)｣､ ② ＝｢答え｣は｢集団的(自衛権)｣については、｢時事問題｣を押さえていた本年度の受験者には何ら問題がなかったはずだ。だが、他の｢公民｣単元の問題はどうか？｢日本国憲法第 ③ 条に憲法改正の手続きが規定｣⇒数字があいまいだと外してしまう。｢答え｣は｢(第)96(条)｣だ。また、｢衆議院の選挙制度は1994年の ④ 法の改正により、小選挙区比例代表並立制に｣⇒｢年度｣に惑わされてはいけない。｢選挙｣に関する法律なのだから、｢答え｣は｢公職選挙(法)｣｡
そして、｢小選挙区の候補者が比例代表の名簿にも載せることができるしくみ｣である｢ ⑤ 制｣⇒これは難しい。定着している諸君は少ないに違いない。｢答え｣は｢重複立候補(制)｣｡ 最後の｢衆議員の任期は ⑥ 年｣⇒これはさすがに全員正解だろう。｢答え｣は｢４(年)｣｡
本校では、｢公民｣の細部までを徹底的に押さえておく必要がある。
＜時間配分目安：３分＞
[問４] ｢下線部についての整序設問｣
下線部(ウ)｢憲法改正の手続き｣について、示されている４つの｢手続き｣を日本国憲法に規定されている順に並べかえる。
｢憲法改正｣は頻出なので覚えているはずだが、完璧に｢流れ｣を理解していないと誤ってしまう恐れがある。｢答え｣は､選択肢(３)｢各議院の総議員の３分の２以上が賛成｣→(２)｢国会が発議｣→(１)｢国民投票で過半数の賛成｣→(４)｢天皇が国民の名で公布｣となる｡｢日本国憲法第96条｣には､｢この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する｣とある。
｢憲法改正｣については正確に覚えておくこと。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問５] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)
下線部(エ)の｢国会｣について、｢国会で議決される予算案｣に関連して､｢2014年度一般会計予算の額に最も近いもの｣を答える。
｢国の予算｣については｢時事問題｣の定番。押さえていて当然｡知らなければ見当もつかないかも。｢答え｣は選択肢(４)の｢96兆円｣だ。
尚、2015年度は｢96.7兆円｣なので、｢約100兆円｣と覚えておけばいい。
本校では、｢時事問題｣の習得も不可欠だ。
＜時間配分目安：30秒＞
[問９] ｢下線部についての不適切選択肢設問｣(５択)
下線部(ク)の｢衆議院の優越｣として、｢誤っているもの｣を答える。
｢公民｣では頻出の｢衆議院の優越｣､全てもれなく定着しているかどうかが勝負の分かれ目だ。だが、この設問では悩んではいけない。なぜなら、各選択肢は、(１)｢条約の承認｣､(２)｢法律案の議決｣､(３)｢最高裁判所長官の指名｣､(４)｢予算の議決｣､(５)｢内閣総理大臣の指名｣で、(３)の｢最高裁判所長官の指名｣はそもそも｢国会｣ではなく｢内閣｣の仕事だ(｢任命｣は天皇)｡したがって、不適切なので｢答え｣は｢(３)｣になる。
尚、｢国会の仕事｣には、①｢法律の制定｣②｢予算の議決｣③｢決算の承認｣④｢条約の承認｣⑤｢内閣総理大臣の指名｣⑥｢内閣不信任の決議｣⑦｢弾劾裁判所の設置｣⑧｢国政調査権の発動｣⑨｢憲法改正の発議｣があるが、この中で｢衆議院と参議院が対等｣なのは⑦⑧⑨だけで、他は全て｢衆議院の優越｣がある。そのため、｢対等｣を覚えておく方が早い｡
＜時間配分目安：１分以内＞
[大問3] 歴史
- 難度：標準
- 時間配分：10分
- ★必答問題
｢古墳時代に伝わり、その後農作業に欠かせないものとして用いられてきた『日本の暦』についてのリード文｣からの出題。｢歴史｣の｢基礎的知識｣を問うものが多い。だが、時おり本校らしい難問が顔を出すので厄介だ。それを含めて、いくつか検討しよう。
[問１] ｢リード文についての空所補充選択肢設問｣(全４問/10択)
｢歴史｣の｢基本事項｣が多い。｢リード文中｣の ① ～ ④ の空所に｢あてはまる語句｣を答える。
｢720年に完成した歴史書 ① ｣＝｢日本書紀｣(｢答え｣は選択肢｢(３)｣)､
続いて｢701年に制定された ② 律令｣＝｢大宝(律令)｣(｢答え｣は選択肢｢(５)｣)､
そして、｢ ③ の皇帝から足利義満が日本国王として認められる｣＝｢明｣(｢答え｣は選択肢｢(８)｣)までは難なく判別できるはずだ。
しかし、｢鎖国下にあっても『宝暦歴』『 ④ 歴』『天保歴』の順で暦は改められて｣⇒これは誰も知らない難問か？確かにそうだが、何かに気づきたい。そう、｢天保｣とあるので、｢暦の名称｣は｢元号｣ということだ。よって、｢鎖国下｣＝｢江戸時代｣の｢元号｣では、｢選択肢｣的には｢答え｣は(４)の｢寛政｣(｢寛政の改革｣でおなじみ)以外にはないと特定できなくてはいけない。
｢私が知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考えること。
尚、｢選択肢設問｣では｢消去法｣を十分に活用すること。
＜時間配分目安：２分半＞
[問２] ｢下線部についての年代整序組み合わせ選択肢設問｣(５択)
下線部(ア)の｢中大兄皇子｣に関する｢できごと｣として示されている(Ⅰ)～(Ⅲ)を､年代の古い順に並べた場合の｢正しい組み合わせ｣を答える｡
冷静に｢整序｣しないとやや悩ましいかも知れない。(Ⅰ)の｢壬申の乱｣は｢中大兄皇子｣の死後､(Ⅱ)の｢即位して天智天皇｣と(Ⅲ)の｢大化の改新の詔｣ではどっちが先か？｢蘇我氏を滅ぼした｣直後に｢改新の詔｣が出されていると判断できなくてはいけない。
したがって、(Ⅲ)→(Ⅱ)→(Ⅰ)なので、｢答え｣は｢(６)｣となる。｢年代整序｣ではあいまいな｢年代の数字｣に頼るのではなく、｢背景｣や｢流れ｣から判断することが肝要だ。
尚、｢大化の改新｣とは｢645年｣に｢中大兄皇子や中臣鎌足が蘇我氏を滅ぼした事件｣(＝｢乙巳の変｣)のことではなく、そこから始まった一連の｢政治改革｣(701年の｢大宝律令｣制定で完成)のことだということはしっかりと理解しておきたい。
＜時間配分目安：１分＞
[問７] ｢下線部についての不適切選択肢設問｣(４択)
下線部(オ)｢明治｣について、｢明治時代のできごと｣として｢誤っているもの｣を答える。
各選択肢の｢キーワード｣は、
(１)｢日清戦争｣｢下関条約｣｢台湾を植民地とした｣
(２)｢日露戦争｣｢ポーツマス条約｣｢南樺太を得た｣
(３)｢韓国併合条約｣｢朝鮮半島は日本の植民地となった｣
(４)｢初の本格的政党内閣｣｢原敬内閣成立｣
あれっ？全部｢適切｣じゃないの？どうなっているの？などと勝手に落とし穴にはまらないこと。確かに｢内容｣は全て｢適切｣だ。だが、｢設問｣には｢明治時代のできごと｣とある。
無論、｢原敬内閣｣は｢大正時代｣だ(誰でも知っているはず)｡よって、｢不適切｣､｢答え｣は｢(４)｣となる。勝手な勘違いで｢自爆｣しないこと。
尚、｢初の本格的政党内閣｣は｢大正時代｣の｢原敬内閣｣だが、｢初の政党内閣｣は｢明治時代｣の｢第一次大隈重信内閣｣なので注意すること。
＜時間配分目安：１分半＞
攻略のポイント
●他校と比べ｢公民｣単元からの出題が多く、しかも｢難問｣が集中している。
いかに｢攻略｣するか？無論、｢裏ワザ｣などない。実直に、｢基礎的事項｣から｢詳細事項｣までを理解し、定着させることが必要。その上で、｢細部へのこだわり｣と｢知らない問題｣への｢対処法｣も押さえたい。
前者はいかに｢細部｣に着目して｢判断｣できるかであり、後者はいかに｢知っていること｣に結びつけられるかということだ。必ず、どこかに｢手がかり｣｢ヒント｣が隠されている。｢リード文｣、｢設問文｣や｢設問条件｣、｢設問どうしの関連｣等々と｢自らの知識｣を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ｡
｢合格者平均｣(男女合計)は６割強(過去４年間の｢男女平均の合格者得点率｣は61.9%､本年度は｢説明記述｣がなかったためか一気に上がって71.0%)。｢公民｣での大きな｢失点｣は許されない。
●｢時事問題の攻略｣もポイント。
過去１年間程度の｢時事ネタ｣は、細大漏らさず確実に整理して覚えておくこと。さらに、それらに関連する｢あらゆる事項(知識)｣も全て復習する。当然、日々の｢新聞｣をしっかりと確認することが不可欠。全て読み通せとは言わないが、｢見出し｣｢リード｣は必ずチェック、知らない｢ネタ｣は｢スクラップ｣しておくこと。
●｢地理｣では｢地図｣｢地形図｣｢統計資料｣｢都道府県の形｣等、｢歴史｣では｢年表｣｢歴史史料(｢図版｣含む)｣｢写真｣等がよく出題されるので、確実に覚え、常にチェックしておくこと。もちろん、｢統計資料｣は必ず最新版を使いたい。テキストとしては｢日本のすがた｣(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
桐光学園中学校の科目別
入試対策一覧
中学受験のために
家庭でできること
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