立教池袋中学校 入試対策
2016年度「立教池袋中学校の社会」
攻略のための学習方法
[分析]
例年、大問3つにそれぞれ地理・歴史・政治分野が割り当てられ、3分野がほぼ等分に出題されている。
総解答数25~30で試験時間は30分なので、問題量とのバランスは良いが、2~3行ほどの短文記述が4~5問出されるので、そこで多少、時間を必要とする。それ以外は、記号選択と用語記述の問題ばかりである。
内容は幅広い分野から万遍なく出題され、中学入試の基本的な事項が問われる問題がほとんどである。
また、例えば前年度が水産業と武家政治の問題だったら、今年度は伝統工芸品と平安時代について・・・というように、年度ごとに別の分野から出題されることが多くなっている。
[地理分野]
地形図の読み取り・気候・地勢・産業など、各単元から広く出題されている。
あるテーマに沿って関連した事項を訊くスタイルが多い。地図や統計グラフを使った問題も毎年、見られる。
この分野で、記述問題が1問出されるのが通例である。地形図を読み取って説明するもの(平成20年度・21年度)・漁獲量推移のグラフを読み取るもの(平成22年度)・伝統工芸品産業の抱える問題点(平成23年度)など、さまざまな内容・形式の記述問題となっている。
全体としては基本事項を問う問題がほとんどなので、テキストと地図・資料集で基礎をしっかりと固めておく。
[歴史分野]
各時代から、政治・文化・外国との関係など、幅広く出題されている。
明治時代の資料をもとにした問題(平成21年度)や3世紀~5世紀の日本について(平成24年度)というように、ある時代に範囲を絞った問題が多い。
文章による説明資料がよく使われるが、資料集でよく見るような図版が使われた年度もあるので、要注意。
時代順の並べ替えの問題もあるので、年表による整理が有効である。
歴史分野でも、あまりに細かい難解な知識は問われないので、人物・出来事・年代などの基本的事項を丁寧に学習しておく。また、この分野で記述問題が出される年度(平成24年度など)もある。
[政治分野]
日本国憲法・政治の仕組み・国際関係などの問題が出されている。
同時に、環境その他の社会的な問題・時事問題も合わせて出題される。
そして本校の特徴である、記述問題が2~3問、最後に出されるという形式が近年は続いている。
記述問題の内容としては、
①.グラフや統計から読み取れる事実を指摘する
②.前問①で答えた内容をふまえて、その解決策やそれに対する意見を述べさせる
というパターンが多く見られる。
社会科の学習のしかたとして、時事問題に関心を持ち、その背景や影響・結果を考えてみるということがよく言われるが、まさにそのような練習が生きる問題であろう。
統計のデータに素早く目を通し特徴をつかまえるスピードと、解答を字数にまとめる構成力も必要となる。
幸い、字数はそれほど多くないので、一般的な記述対策問題集で練習するのも有効であろう。
[さいごに]
選択問題や用語記入の問題は、中学受験の基本的な事項を問われるものが多いので、まずは基礎力の充実に努めるべきである。
さらに副教材で知識を補っていけばよい。難問集などに時間を割く必要はない。
そして、やはり差がつくポイントであろう記述問題は、用語や出来事を説明させる単純なもの、資料の特徴を読み取らせるもの、自分で考えさせる論述問題・・・といったパターンで出題されるので、それぞれに慣れておかなければならない。
記述対策問題集・資料集で多くの問題やデータに触れる。
ニュースや新聞で社会的な問題についてよく考えてみる。
50~60字程度で考えを文章にしてみる。
そのような練習を繰り返して、本校の記述問題のパターンに対応できるようにしておくことが大切である。
また、全体として言葉で書かせる問題が多く、記入する分量が多くなってしまうので、書くスピードをつけ、誤字・脱字をしないように意識して練習しておくことも忘れないようにしていただきたい。
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2016年度「立教池袋中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問3つがそれぞれ地理・歴史・現代社会に割り当てられ、総解答数は31問と、例年通りの構成である。今年度は歴史分野が13問と他分野より少し多く、記号選択も多めになっているが、その他は記述問題を含めて言葉で答える問題が多くなっている。
1行程度の記述問題が計4問・3行ほどの記述問題が1問出されている以外は時間のかかる問題はないので、テンポよく進めて記述問題に時間を残しておきたい。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:9分
交通を話題とした問題。
問2 東海道五十三次という言葉は、宿場町の数を表している。
問3 選択式の問題だが、まず交通手段を考え、それに当てはまる説明を答えるという二段構えの問題となっていて、選択式とは言え簡単ではない。以降、同じ形式の問題が多く見られる。
問4 東北新幹線からの分岐が何県のどの駅かは、よく頭に入れておこう。
問5 リニア中央新幹線を数え忘れないように。記述問題については、まず混雑緩和は思い浮かぶだろう。他に、災害時に複数のルートがあれば危険を分散できるといった利点も考えられる。
問6 「首都圏と地方に」との質問なので、両方に忘れずに答えること。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
江戸時代末期にポイントを置いて出題されている。
問2 「先例を破って」とあるので、通常は相談しない相手であり、幕府と見解を異にすることもある立場の者と考えられる。
問3 ペリーとハリスが来た際の開港した場所は、混同しないようにはっきり覚えてしまおう。
問4 Dはやや難しいかもしれないが、会津や肥前は消去法でふるい落とせたのではないだろうか。
問5 薩長同盟は大政奉還の前年の出来事。
問7・問8 日米修好通商条約は不平等条約で取引の均衡が取れず、貿易は大幅な輸出超過であった。そのため、国内は品不足になり物価が高騰し、攘夷の機運を高めることとなった。また、幕府が行った貨幣の改鋳が事態をさらに混乱させた。
【大問3】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
- ★必答問題
地震と防災というテーマで関係する内容を詳しく訊かれている。
問2・問3 地震はプレートの境界近辺で多く発生する。図表1でもわかるが、環太平洋造山帯とアルプス・ヒマラヤ地域は地震の頻発地帯となっている。
問4 問題の3つの大地震は、火山活動との関連は無く、他の国への津波の被害も無かったので、選択肢イ・ウは除外できる。
問6 「てんでんこ」は各自ばらばらに、の意。津波が予想される時はとにかく高台に逃げ、まず自分の身の安全を確保すべきとの教えである。冷酷な態度だと感じる人もいるだろうが、過去に津波で多くの犠牲者を出した経験からくる警告として覚えておくべき言葉であろう。
問7 ここは素直に各グラフの過去から現在への「変化」を書けば良いので、難しくはないだろう。
問8 「あなたが」という前提なのであまり難しく考え過ぎずに、小学6年生としてできることを素直に書けば良い。
攻略のポイント
用語記入・記号選択は基礎的な問題が多いので、ここを取りこぼすようだと厳しい戦いになる。まずは基本事項の徹底を図る。
記述問題は統計や文書資料を読み取り、そこから考えられることを答えさせるというパターンが多いので、資料が示している先を推理できる思考力が身につくよう、訓練を積んでおきたい。
また、今回は記述問題が5問出題されているが、時間との兼ね合いも考え、自分の苦手な分野や特に難しいと感じる1~2問を諦めるというのも、現実的な選択かもしれない。
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