お茶の水女子大附属高等学校 入試対策
2016年度「お茶の水女子大附属高等学校の国語」
攻略のための学習方法
現代文
合否のポイントは論説文であろう。しかも、記述問題をいかに攻略するかが重要である。論理的文章を読み理解するためには、文章の読み方をしっかり習得しなければならない。漫然と設問文を読んでみても内容を理解できる訳ではない。重要なことは、文章がどのような流れ（論理立て）で書かれているのかを把握することである。
その際に重要なことは「キーワード」は何か、「段落ごとの関係性」はどうなっているのか、を考えることである。これが本文をしっかり理解する上で不可欠な作業である。
「キーワード」とは繰り返し使われる「言葉」である。重要であるから何度も使われるのであり、何度も使われるから「キーワード」となるのである。これが「キーワード」だと感じたら、本文に印をつけることである。例えば、マルを付けるとか傍線を引くという行為が大切である。
そうすることによって、読まなければ把握できない文章の内容・流れが目で見えるようになる。つまり、文章が「視覚的」に理解できるようになるのである。文章をそのように視覚的に把握できることができれば、本文の再読は必要なくなる。
これは解答する時間の大幅な短縮になるし、文章構造を視覚的に把握出るようになるのである。この作業をしっかりできるためには、論説文専門の問題集の掲載されている問題文で十分な練習を行なって欲しい。
始めはなかなか慣れずに、解答時間の短縮のために練習していたのが時間ばかりかかって効果が見えてこないかもしれない。しかし、この手順をしっかりマスターすれば、漫然と本文を読んで解答するよりもはるかに時間も短く正解に辿りつける。
したがって、慣れるまで多少の時間はかかるかもしれないが、忍耐強く練習を積んで欲しい。
次に「段落ごとの関係性」を把握する方法である。
先に述べた「キーワード」の視覚化と同様にこの「関係性」の把握は重要である。重要なことは、「接続詞」の把握である。特に、段落の冒頭にある「接続詞」の掌握である。
接続詞には順接と逆説がある。その二つの接続詞を「キーワード」同様に印をつけるということである。その際に、順接と逆説につける印を統一することが重要である。例えば、「順接」はマル、「逆説」はサンカクという具合である。そのような印をつけることによって、本文全体が一読することで視覚的に内容を把握できるようになるのである。
そのような印をつけた結果、マル、マル、サンカクという具合に印がつけられたら、サンカクの後からが作者の意見の流れが変わるという実態を目で確認できるのである。是非、この手法を習得して欲しい。
小説問題も第一義的に、人物の「心情把握」である。そのためには、人物描写や情景描写を丁寧に読み込むことである。人物の振る舞いについての記述や発言内容、そしてそのような発言に対するその他の人物の反応等に関する記述も要注意である。
古文
古典文法についても漏れがないように、万遍なく一通りの知識を明確に習得すること。
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2016年度「お茶の水女子大附属高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１は、哲学に関する論説文
＜時間配分目安：２０分＞
大問２は、小説に関する読解問題
＜時間配分目安：２０分＞。
大問３は、古文読解問題である。例年、哲学的文章が出題されるので、問題集や他の難関校に出題された問題等の演習をしっかり行うっておく必要がある。古文については、基本的文法事項は徹底的に習得しておくこと。
＜時間配分目安：１０分＞
【大問１】哲学系論説文の読解問題
- 時間配分：
出典は、「私たちはどこにいるのか？―哲学入門」（西谷修著）である。
問一は、接続詞選択問題である。
前後関係をよく読んで、適切な接続詞を選択すること。
＜時間配分目安：１．５分＞
問二は、漢字の読み書き問題である。
本問は完答したい。紛らわしい漢字もあるので明確に覚えておこう。
＜時間配分目安：１分＞
問三は、指示語の問題である。
グローバルスタディーズとは何かを考えること。
＜時間配分目安：２．５分＞
問四は、文章内容問題である。
哲学には「あらゆる知識が成り立つもとを確かめたり、根拠をさぐるような働きをともなる」ということから考えてみる。
＜時間配分目安：３分＞
問五は、文章内容問題である。
１ 「学問」は「必ず･･･対象があり、･･･一つの学問として、体系として成立」するものである。
２ 「特定の領域」や「確かに手でつかまえられるような対象」がない哲学は「あらゆる知識が成り立つもとを確かめたり、根拠を探るような働きともなる」のである。
＜時間配分目安：６分＞
問六は、文章内容問題である。
「考える力」により「グローバル世界の中で、われわれはどういう条件のもとに生きているのか、ここで人が生きるということはどういうことなのか」をじっくり考えて答案を導こう。
＜時間配分目安：６分＞
【大問２】小説の読解問題
- 時間配分：
出典は「曇り日の行進」（林京子著）。
問一は、慣用句の問題である。
「音をあげる」「水をさす」も共に完答したい。
＜時間配分目安：１分＞
問二は、品詞の問題である。
形容動詞と副詞に関する設問である。
＜時間配分目安：１．５分＞
問三は、心情に関する問題。
息子は「私」と一緒に外食することがうれしくてたまらない、という気持ちを捉えて考えよう。
＜時間配分目安：２．５分＞
問四は、文章内容把握問題である。
「私」が原爆にあった瞬間の気持ちを考え、「息子に移植された自分の生命」に「私」はどのような感慨をもっているのかを考慮しよう。
＜時間配分目安：２分＞
問五は、表現問題である。
「私」は定期健診の良くない結果や被爆者手帳を見たくなかった。その見たくない気持ちを考える。
＜時間配分目安：２分＞
問六は、心情把握問題である。
ほめてもらいたい息子の言動を、動揺していた「私」はうるさく感じ、拒否してしまったのである。
＜時間配分目安：３分＞
問七は、文章内容把握問題である。
「私」が恐れていることは一体何かを考える。
＜時間配分目安：２分＞
問八は、心情把握問題である。
思いがけず「私」に拒否された息子の気持ちを考え、息子の心の中の「不服」を捉える。
＜時間配分目安：５分＞
問九は、文章内容把握問題である。
「私」が息子を拒否すれば、息子は「不服そうな顔」をするが、その後母が受け入れてくれたときの気持ちを考える。
＜時間配分目安：１分＞
【大問３】説話古文読解問題
- 時間配分：
出典は「古本説話集」。
問一は、歴史的仮名遣いの問題である。
「ゑ」は現代仮名遣いでは「え」になる。
＜時間配分目安：１分＞
問二は、古語の問題。
完答したいところである。
＜時間配分目安：１．５分＞
問三は、現代語訳の問題である。
①反語に気を付けること。④「よろこび」はお礼、「取らす」は与える、「なかりければ」はなかったので、という意味である。
＜時間配分目安：１分＞
問四は、古文内容把握問題である。
文脈を丁寧に辿り主語を選択する。
＜時間配分目安：１．５分＞
問五は、古文内容把握問題である。
女は「女従者」に何を与えたか。
＜時間配分目安：１分＞
問六は、古文内容把握問題である。
女が「女従者」に与えた物が誰の肩に掛かっていたか。女はその様にどのように感じたか。
＜時間配分目安：１分＞
問七は、古文内容把握問題である。
女が観音に助けを求めた。女従者は実は女の前に現れた何かを考える。
＜時間配分目安：２分＞
問八は、古文内容把握問題である。
普段から信仰深い女に対し、観音はどのように対応したか。
＜時間配分目安：１分＞
攻略のポイント
論説文、小説、古文と全てのジャンルから出題されている。また、設問内容も漢字、文法事項、内容把握（選択肢問題と記述問題）、心情理解等々である。レベル的には、比較的標準タイプの設問形式である。
しかし、論説文はかなり内容の高い問題になっているので、事前にしっかりとした練習は不可欠である。具体的には、選択肢問題と記述問題の問題集で事前の準備を万全にしておいてもらいたい。
また、国語の得点力をアップさせるためには、読解力の向上は不可欠である。そして、それは読書量に比例するといわれている。
読書の大切さは言うまでもないが、読書をする時間的余裕はない受験生にとって、設問を読む際にその問題文をじっくり読み込み、設問演習を通じて真の読解力を身につけよう。