巣鴨高等学校 入試対策
2016年度「巣鴨高等学校の国語」
攻略のための学習方法
例年、論説文が出題される傾向が強い。論説文の特徴は何と言っても「主張の明確さ」と「論理展開の的確さ」であろう。論説文が入試問題として採用されるのは、その様な背景がある。事前の何らの準備もなく、入試本番で論説文を読んで問題に取り組んでも、適切な内容理解と設問への解答は望めない。当然ながら、事前の入念な準備は欠かせない。
それでは、どのような文章をどのように読めばよいのか。結論から言えば、論理的文章を丁寧に読み、自分の頭で考える、ということである。初見の文章であろうと、初めて触れる概念であろうと、書かれている内容をキーワード(何度も繰り返し使われている言葉)、表現(筆者ならではの独特な言い回し)を中心に整理することである。
事前の準備として、可能であれば、社会科学系、哲学系の書籍を読了することを勧めるが、時間的にも余裕がない受験生にとっては演習で行う「問題文」が最良の「読書」である。入試に扱われるような文章は、論理性にも優れ、極めて的確に解答を考えられるような文章になっている。したがって、時間の余裕のない環境では「入試問題」を精読することが最高にして効果的な論説文対策の対処方法であろう。
さらに、より自分の論理的思考力を向上させようと望めば、取り組んだ問題(論説文)について論点の流れを箇条書きで構わないので書き出してみることも有効である。
これは、自分の頭の整理にもなるし、考えを文章としてまとめ上げる作業が効率よく可能となるはずである。その際に、主観的意見や考えは極力排除し、あくまでも筆者の考えの流れに則した理解をするように努力すること。
また、その様な作業を通じて習得して欲しい手法は「どのような手順とプロセスで結論に至るのか」と言いうことである。
つまり「Aという事象にはBとCの背景が考えられる」という論理があった場合に、「何故Bなのか」、「何故Cなのか」を考えなければいけない。その上、BまたはCという結論を導き出すために、どのような論理をあてはめているのか、をあぶり出すことである。たとえ、それが自分の考え方と異なっていたとしても、主観的な考え方は排除して筆者の考え方を忠実に辿ることである。
なかなか時間的な余裕はないだろうが、少ない時間を見つけては新聞やテレビのニュースなどを通じて「物事の捉え方・考え方」について、考える習慣を身に付けるべきである。
特に、新聞に書かれている社説を毎日読み込むことも「論理的文章を読み込む」上では、最良の練習であろう。
とにかく、過去の入試問題における論説文や学校の授業で習う国語の教科書における論説文でも、その全てが自分の論理力を高めるための最高の教材であると自覚し、真剣に取り組むことが大事である。
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2016年度「巣鴨高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、論説文の総合問題<23分>。精神分析の無意識の概念の中で中核的な役割を果たしているが、脳科学の視線からは原理的に逃れてしまう現象を精神分析者であるフロイトが「快感原則を超えて」と呼んだ現象であることから、本文を説き起こしている。
大問2は、随筆の読解問題<13分>。芸術分野に関する随筆である。内容的になじみが薄い文章かもしれないが、内容把握力がポイントである。
大問3は、古文読解である<14分>。古典文法、内容把握、文学史が主要な出題内容になっている。
【大問1】論説文の総合問題
- 時間配分:23分
心理学に関する論説文の読解問題である。出典は、『生きるための自由論』(大澤真幸著)である。
問1は、内容把握問題である<1分>。
本文に即して「快感原則を超える現象」の意味をしっかり考えること。
問2は、内容把握問題である。
(1)「人間も動物」も「何かを欲する」存在である<3分>。
(2)人間の欲望に限りはなく、何かを得られるとまた何かが欲しくなるのが人間の性である<5分>。
(3)前後の本文を熟読し内容を吟味すること<2分>。
問3は、内容把握選択問題である<2分>。
「貨幣=お金」をもっともっと欲するようになるという人間の欲望の奥深い本質的な実態を考えること。
問4は、内容把握問題である<3分>。
「このような逆説」とはどういうことなのかを本文に即し、忠実に考えて解答すること。
問5は、内容把握選択問題である<2分>。
ラカンは「欲望の対象と原因」を区別し、「欲望を真に惹き起こしていた」のは、「対象」ではなく「原因」であるとする。また、何故「欲望」が消えることがない、とラカンが認識しているのかを把握する。
問6は、内容把握抜出問題である<3分>。
「子どもが真に欲しているのは」、「母」という絶対的存在である。
問7は、漢字問題である<2分>。
基本的な漢字であるので正確に書き、完答を目指したい。
【大問2】随筆の読解問題
- 時間配分:13分
芸術分野に関する随筆の読解総合問題である。出典は、『七つめの絵の具』(いせひでこ著)。内容的には馴染みの薄い文章かもしれないが、文脈を丁寧にたどり内容把握を確実に行うこと。
問1は、漢字問題である<2分>。
gは明るいあい色のことであり、hは家などに籠って外出しないことである。
問2は、心情把握問題である<1分>。
「こわさないで自信のないまま絵を仕上げること」は結果的に「私自身がこわれる」と認識しているのである。
問3は、内容把握問題である<2分>。
つみあげたものを「瞬時に無に戻す作業」が、いとも簡単に行われれば行われるほど、「痛みと重さ」は大きくなる。
問4は、内容把握記述問題である<3分>。
絵の完成直前に「私」はどのように感じ、そのような気持ちを抱くのかを考えること。
問5は、内容把握選択問題である<2分>。
「私」は完成間近になってデッサンの狂いに気づき「直観力」で絵具を選び取ったのである。
問6は、内容把握選択問題である<1分>。
「一枚一枚が人生」ということの意味はどういうことなのかを文脈から考えること。
問7は、内容把握抜出問題である<2分>。
「とことんこわす」とは、どのようなことかを本文に沿って考えること。
【大問3】古文読解
- 時間配分:14分
古文の読解問題である。出典は、小林一茶著『おらが春』である。
問1は、現代仮名遣い問題である<1分>。
「けふ」は「きょう」である。
問2は、古典文法問題である<1分>。
「ぞ」が係ると結びの活用形はどのようになるか。
問3は、古文内容把握問題である<2分>。
文脈をたどり、動作の主体として適切な語句を選択する。
問4は、古文内容把握問題である<2分>。
「たぐいなき」は「他に類を見ないほど見事である」という意味である。
問5は、現代語訳問題である<2分>。
「界隈」は今(現代)でも使用する語である。「さらなり」は「言うまでもない」という意味である。
問6は、内容把握問題である<3分>。
牡丹の花を、美しい乙女にたとえている。
問7は、内容把握問題である<1分>。
牡丹が何で作った「造花」であったかを考える。
問8は、古文内容把握問題である<1分>。
魚淵は、見事な牡丹の中に紙で作った牡丹を混ぜたのである。
問9は、文学史問題である<1分>。
消去法でも十分正解できる問題である。
攻略ポイント
論理的文章に関して、「自分の頭で考える」練習をしっかり積むことである。筆者がどのような主張を、どのような根拠(考え方)で、どこまでをどのように論理展開しているのかを、丁寧に的確に追い掛けてゆくスキルを高めることが大事である。その際には、本問でもあてはまるように「キーワード」が極めて重要である。文章の初めの段落や最終的な段落に繰り返し使われている「ことば」を抽出する方法を身に付けることである。途中の段落においても、筆者が『結論』らしき事柄の導入部分を瞬間的に見抜く力を向上させたい。そのためにも、日頃から身の回りの事象や社会の現象に対して、高い意識を持ち自分の考えを持つようにすることが大切である。
また、知識問題の分野(漢字、ことわざ、慣用表現、文法、文学史)も怠りなくしっかり押さえておきたい。